カラス学者でお馴染み、松原先生が野鳥についても語り尽くすエッセイ。とは言っても出だしはやはりカラスからだ。この本を読んで、身近なカラスを識別することにハマってしまった。車を運転中、目の前でクルミを落下させて割らせようとするカラスを見かけ、「(ハシ)ボソめ…」と思わず独り言を呟いてしまった。一部のハシ
...続きを読むボソガラスが行う行動文化らしい。
スズメ、ツバメは言わずもがな、サギ、ハクセキレイ、カモ類ももはや身近な野鳥だ。殊更よく見かける鳥の項は食いついて読み込んでしまう。カラスだけでなく、随所で他分野にも精通されている先生の知識に舌を巻いた。
『巣を前にして思うこと』という一節がある。
以下本文より抜粋する。
「一番まずいのは、ヒナを人間が持ち去って世話をしようとすることです。ヒナの世話は温度管理や餌が大変なので、素人の手に負えるものではありません。また、ヒナがいなくなってしまえば、親鳥は他のヒナの世話にかかりきりになり、移動してしまいます。後から返しに行っても1度連れ去られたヒナを見つけられるとは限りません。哀れっぽく鳴いているヒナを放置できない気持ちはよくわかりますし、その気持ちを悪く言うつもりはありませんが、これは『ヒナの誘拐』になってしまいます。絶対にやってはいけません。」
野生動物の距離感を履き違えることが、最も良くない。改めて、鳥類を観察する時にも野生であることに気をつけて、楽しんで行いたいものだ。