松原始のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
普段、何気なく目にしている風景の中にこそ、実はとんでもないドラマが潜んでいる。2014年に出版された『カラスのひみつ 生態と行動のふしぎをさぐろう』を手に取ったのは、ふと「カラスについてもっと知りたい」という単純な好奇心が湧いたからだった。豊富なイラストと図解のおかげでサクッと読めるこの一冊は、私のカラスに対する解像度を一気に上げてくれた。
まず驚かされたのは、私たちが普段「カラス」とひとくくりに呼んでいる鳥が、実は明確に異なる二種類のキャラクター、「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」であるという基本中の基本だ。日本の二大カラスとも言える彼らは、それぞれ生息域や性格が異なる。さらに興味深かったのは、彼らの社会構造だ。カラスといえば黒い集団で群れている不気味なイメージが先行しがちだが、実はつがいになれなかった「独身の若者たち」が集まって群れを作っているという。しかも、そこには人間社会のような厳しい上下関係があるわけではなく、意外にもフラットな関係性が築かれているらしい。これを知ってから街のカラスを見ると、「ああ、あいつらは今、婚活中なのかもしれない」などと、妙な親近感すら湧いてくる。
また、日本の都会における「ゴミ捨て場とカラス」の攻防は日常茶飯事だが、海外ではゴミの収集システムの違いから、ゴミ捨て場にカラスが群がらない地域もあるという話も目から鱗だった。環境が行動を作る、まさに生態学の面白さだ。
本書を通じて改めて感心したのは、カラスという生き物の知能の高さだ。他の鳥類に比べて脳の容積が大きく、記憶力や思考力に優れている。だからこそ、ゴミを漁るだけでなく、人間社会の隙間を縫うようにして巧みに生き残っているのだろう。一方で、子育てには懸命な努力を払い、外敵から巣を守るために様々な対策を講じる親としての顔も持つ。
しかし、そんな彼らにも弱点はある。夜だ。彼らは夜目が効かないため、日が暮れると活動を停止し、おとなしく家に閉じこもって寝ているという。昼間の大胆不敵な姿とは裏腹な、この「夜は家でじっとしている」というギャップを知ると、なんだか憎めない存在に思えてくる。
かつては意味がないと思っていた日常の風景も、知識というレンズを通すことで、急に意味を帯びて輝き出すことがある。カラスを目で追う、ただそれだけの行為が、この本を読んだ後では「彼らの思考や生活を想像する」という豊かな時間に変わった。脳みそが大きく、家族思いで、夜は鳥目でおとなしくなる隣人たち。彼らの「ひみつ」を知ることは、身近な自然の奥深さに触れる、とても面白い体験だった。
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面白かった。
松原先生本もほんま、ハズレがない。
そりゃまあ、知ってる話題ではあるんだが、
先生が書くと、とたんにおもろさマシマシになる。
副題にあるとおり、動物行動学のお話。
色々な生き物や生き物にまつわるお話の
「なんで?なんでそんなんなん?」を
並べてまとめてガッツリ読めるという。
そんな書籍。
去年の夏オフシーズンに出版されて、
即ガーっと読んで、
そのまま手元に置いてちまちまたまに読んでた。
2025年の本棚にいれておくべき書籍ではあったが、
まあ、ええ。忘れてた(笑)
巻末に松原先生おすすめ本ガイドがあり
ざっくり数行のおすすめポイントが書かれている。
私の超好き本
ハインリッヒのワタリガラスがピックアップされていて
めちゃアガった。すごく好きな一冊。
未読の書籍がなかったのが、残念ではあるが
それはそれで、
久しぶりに、何冊か再読しようかなと思ったのだった。 -
Posted by ブクログ
物理学であれば、E=mc²なんて公式が「この世の真実」みたいな感じでカガクっぽい。
生物学は、多数の個体が長年かけて進化した結果であり、単純化した式で示すのは非常に難しい。
生物のやることには例外が多い。
つまり、変数が無限にあるようなものを、単純化した数式で決定することはできない。
生物学の法則性は「わたしは、こう思う」という仮説にすぎない。
「そうではない」と明確に言える反証が現れない限り「相当に確からしい」となるだけだ。
ただし、反証できない仮説には検証もできないものもあり、反証可能性がないものは基本的に科学ではない。
「おしっこする時、イヌが片足を上げるのはなぜ?」
「キリンの首が長いのはなぜ?」
神様がこうしたから、みたいな説明は科学ではない。
「適応の結果、最適化されている」というのも、「神様がこうしたから」と同じで理由になっていない。
本書は、生物のなぜなぜ物語を語りながら、科学とはどういうものなのかを説明されており、科学的思考を身につけるのにも良いと思った。 -
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シマエナガ、かわいい(*´ω`*)←とか言ってるわたしにツッコミ入れてくれる内容で、とっても面白かった
カラスを専門に研究されている方の書籍で、
動物は見た目が100%
とか
ペンギンの目って、実は鋭くて
リヴァイ兵士長のように決して近づきやすいとは言えない(リヴァイ兵士長は好きなキャラクターです♡)
とか
結婚というシステムは人間のなかでのことで、動物たちにはあまり重要でないとか
へぇ~って思うと同時にアライグマのお話ははげしく同意!!
子どものころ
何気なく調べたときのアライグマをき、汚い。と思ったんですよねぇ~
ラスカルでも獰猛さは描かかれていて、ショックでした
とにかく
言葉選びがうまい、そしてカラスのことが好きなんだなぁ〜。と
そして
すべての動物に敬意を。とおっしゃる作者さま素敵です -
Posted by ブクログ
著者の松原さんのカラスを中心としたフィールドワークから始まり、ミズナギドリの首根っこを掴みまくったり、ウミガメと握手しながら磯臭い息を吹きかけられ続けたりします。
今回もユーモア溢れる文章で、読んでいてこんな大学生時代を送りたかったなぁとしみじみと思いました。
あ、と言ってもウミガメの磯臭い息を嗅ぎたい訳ではなくて(^^;;
じっと待ち続けるのは大変そうですが、みんなでチームを組んで生き物を観測する様子がとても楽しそうに感じました。
タイトルに「大ぼうけん」とあるようにフィールドワークに留まらず、新宿や池袋という名のダンジョンを彷徨い歩いたり、ドバイやウィーン、ブダペストでの珍道中…じゃなくてぼうけんもあります。
さらに世界で最も難しい言語の一つ、マジャール語も学べます(3語のみ)。
「エルネーゼーシュト」=「すいません」
「ホル・ヴァーン・ヴェーツェー?」=「トイレどこですか?」
「ヨー」=「いいよ」
ハンガリーは英語があまり通じないそうで、エルネーゼーシュト!で呼び止めたら、あとは指差しや筆談、身振り手振りでなんとか話をつければよいとの事です。
まだ日本から出たことはないですが、これでいつかブダペストで急にトイレに行きたくなっても安心ですε-(´∀`*)ホッ
ちなみに、肝心のタイトルのカラスを食べた時のお味は……ぜひ読んでみてください。
「対象動物を食ってこそ一人前」という話が出てきますが、わたしはもし大学に行ってカラスの研究者になったとしても、一人前になる事はご遠慮させていただきます:(´◦ㅁ◦乂): -
Posted by ブクログ
鳥のすごさと人間側の飛翔への憧れをマニアックに描く、
知識の楽しさ全開の、松原ワールド。もちろんカラスも。
・はじめに
PART1 鳥×テクノロジー こんなところに鳥と工学
PART2 鳥×メカニズム 鳥の体と行動学
PART3 鳥×ビヘイビア 鳥は何を考える
[巻末企画I]鳥マニア的BOOK&FILMガイド
[巻末企画II]鳥マニア的「この人に会いたい!」
スペシャルインタビュー 松本零士
零時社訪問記
・おわりに
参考文献/ネタ一覧有り。
飛行に特化した鳥の身体の構造VSヒコーキ。
直立二足歩行のヒトと鳥との進化の違い。
鳥の生活を支える驚異の羽毛。
500系新幹線に鳥由来の技術やデザイン。
空飛ぶ鳥のナビゲーション。
鳥の種類で異なる特化した嘴は、道具。
カラスの食べ方の工夫。
鏡に映るのは仲間か?敵?それとも鏡像認識?
鳥の捕獲の工夫と苦心惨憺。
鳥の戦いと武器。
・・・ということで、鳥っていろいろスゴイんだよ~な、
話がてんこ盛りな内容。特に羽毛は驚異でした。
でも、それだけではない。マニアなネタが少しずつ発現し、
零時社訪問記ではマニア心全開の松原ワールドでありました。
本文のみならず、欄外の注や巻末の参考文献/ネタ一覧に、
・・・ってネタ一覧がある本、珍しくない?というか、
この本やマンガ読んでるんだ~な親しみも湧きました。
鴨場は見学したことがあるので嬉しい。(高倍率の抽選)
囮のガチョウや水路はもとより、網が職員の繊細な手作りで
カモファーストな場所?であることを知りました。 -
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カラスの登場今回は少なめ。スズメやツバメ、チョウゲンボウ、ウグイス、ホトトギスなど、鳥たちのさまざまなトリビア。唸るようなものもある。
たとえばウグイス。ウグイスは「鶯色」をしていない。「鶯色」はむしろメジロの色。「梅に鶯」とは言うが、ウグイスが梅に来ることはない。メジロは来る。ひょっとして入れ替わった? 江戸時代ウグイスを飼って美声で歌わせるのが流行したが、その一因は「すり餌」の発明。これによって幼い時から飼育できるようになった、とか。
たとえばスズメ。穀物を食べるだけでなく、害虫も食べる。人間中心の益鳥vs.害鳥の二分法がいかに短絡的か。スズメは粒の小さな雑穀を好む。現代の米粒は大型化してしまって、スズメにとっては食べにくいらしい、とか。 -
Posted by ブクログ
まえがきには「看板に偽りあり」とある。羊頭狗肉の書名は出版社の常套作戦。カラスの頭で買わせたかったらしい。カラスの味見のエピソードは、マンボウやマムシを食べる話のなかに登場する。
学生・大学院生時代(~36歳)のフィールドワークのドタバタ劇が中心。カラスだけでなく、ミズナギドリやハチドリ、さらにはウミガメやニホンザルの調査の話も出てくる。ブダペストのカラスの話もある。どれもみなおもしろい。
冒頭は「カラスは女子供をバカにするか」を検証する卒業研究の話。実験を軌道にのせるべく試行錯誤を重ねるそのプロセスが読みどころ。卒研は、論文にならなくとも、その過程でたくさんのことが学べるのだ。 -
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見た目や先入観で判断してはいけない。
動物行動学からの観察では、姿だって行動だって、
生物たちの生き残るための子孫を残すための理由がある。
・はじめに
PART1 見た目の誤解 PART2 性格の誤解 PART3 生き方の誤解
・おわりに
暴走する「カワイイ」と映画「ジョーズ」の影響。
「美しさ」はメスへのアピール。キモい姿の理由。
生き残るための知能はヒトとは異なる。
動物は「やさしく」なれない。でも仲間には?
動かない生き方と動く生き方。
強いと弱いは誰が相手にすればで変わる。恐いのは環境の変化。
ヒトという種の生き方と動物たちの生き方の違い。
群れると群れないの事情。つがいになっても関係は様々。
本能は生得的と学習による後天的な組み合わせ。
学習はトライ&エラーと親を真似ることから。
人間の視点での姿や行動は、本来の動物たちの生き方からは
異なっているということで、もっと動物側からの視点で見て
分かって欲しいんだよ~感が漂っています。
確かに、最近は海辺で噛むイルカ事件が発生していますし、
近所の川ではカラスとカモメの仁義なき抗争が勃発。
「ぜったいに飼ってはいけないアライグマ」
さとうまきこ/著は、その凶暴性を真摯に伝えてくれています。
実はゴキブリは抗菌仕様のボディだったとは。
そんな多様な生物の知識もたっぷりなので、お得感マシマシ。
更にツッコミも多いので、楽しく読めました。
でもやっぱり松原先生。
カラスの話はあちこちに散りばめられていました。 -
Posted by ブクログ
都会にいるカラスではなく「野生」のカラスと言われてハッとした。都会で残飯を漁ったり、ゴミを散らかすのがカラスと思い込んでいたのではないか。
ハシブトガラスはもともと森林に住んでいたという。松原先生は、相棒?の森下先生と共に、どういう場所にどれだけの生息数があり、何を餌としているのかなど、調査を開始した。
ところがこれがなかなか難しい。広い森林の中にいるカラスをどうやって把握するのか、そもそもこの森に住んでいるのか、確かめるだけでも困難だった・・・。
これは調査のレポートであるとともに、カラスを見るためにあちこちを旅してしまう様子を描いたお話。
内容は読みやすく、学術的であり面白いのだが、会話のドキュメントは私のユーモアのセンスと合わなかったな〜。
「学会」という場所が、研究者だけでなく、誰でも参加できる場所というのも、知ってはいたが、こうしてレポートしてもらうと雰囲気がよくわかった。松原先生が「見逃したくない」と言った川上和人さんの芸人?並の発表を、私も見たくなってしまった。
ブタベストやマレーシアなどのレポートは、実践旅行ガイドにもなるくらい実用的。ただし、カラスを見ることのみに特化した旅行だけど。
南米にはカラスがいないそうだ。だから、南米には行かないと(笑) -
Posted by ブクログ
カラス学者でお馴染み、松原先生が野鳥についても語り尽くすエッセイ。とは言っても出だしはやはりカラスからだ。この本を読んで、身近なカラスを識別することにハマってしまった。車を運転中、目の前でクルミを落下させて割らせようとするカラスを見かけ、「(ハシ)ボソめ…」と思わず独り言を呟いてしまった。一部のハシボソガラスが行う行動文化らしい。
スズメ、ツバメは言わずもがな、サギ、ハクセキレイ、カモ類ももはや身近な野鳥だ。殊更よく見かける鳥の項は食いついて読み込んでしまう。カラスだけでなく、随所で他分野にも精通されている先生の知識に舌を巻いた。
『巣を前にして思うこと』という一節がある。
以下本文より抜粋する。
「一番まずいのは、ヒナを人間が持ち去って世話をしようとすることです。ヒナの世話は温度管理や餌が大変なので、素人の手に負えるものではありません。また、ヒナがいなくなってしまえば、親鳥は他のヒナの世話にかかりきりになり、移動してしまいます。後から返しに行っても1度連れ去られたヒナを見つけられるとは限りません。哀れっぽく鳴いているヒナを放置できない気持ちはよくわかりますし、その気持ちを悪く言うつもりはありませんが、これは『ヒナの誘拐』になってしまいます。絶対にやってはいけません。」
野生動物の距離感を履き違えることが、最も良くない。改めて、鳥類を観察する時にも野生であることに気をつけて、楽しんで行いたいものだ。
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Posted by ブクログ
「なんだ、カラスか」と侮蔑してしまった経験がある。身近な鳥である為、有り難みがないというかいつでも会えるイメージがある鳥、カラス。この本はカラスを愛してやまない筆者が、カラスだけを語りたい気持ちをグッと抑え(ているような気がする)、生きもの多方面にアンテナを伸ばして語ったエッセイと言えよう。
読み終わると、電線に留まったカラスに会いたくなる不思議な本だと思う。この本の構成が『カラスでないもの』にもしっかり比重をとっているにもかかわらず、かえって先生のカラス愛が際立つというか。終始楽しく読んでいくことができた。
カラスに限らず、野生動物に対して「わかりあう」のは難しい。「渡り合う」という事がお互いのためであるところに大いに共感した。