【感想・ネタバレ】君たちはなぜ、そんなことしてるのか? 東大准教授のひそやかな動物行動学講義のレビュー

あらすじ

人間をミツバチの巣に案内する鳥/キリンの首が長い本当の理由/渡りをして何が嬉しいのか/カメレオンのオスは顔模型にも威嚇する/クモはどんな時に大きな巣を張るのか/虫はなぜ、電球の周りを飛ぶのか/誕生日がわからない者たち/そして、死すら訪れないヤツら…

君たちはなぜ、そんなことしてるのか? 君たちはなぜ、そんなふうに生きてるの??
著者は「原始、ヒトは誰もが観察者であった」という。自然の中でサバイブするための情報として、また、現在のように情報があふれていなかった時代の興味の対象として、人間は動物をよく観察していた。昔も今も、私たちを魅了してやまない動物たちの行動を研究するのが「動物行動学」だ。

鳥や虫、魚、哺乳類、単細胞生物まで、多様な動物の行動や生き方を紹介しながら、ファーブル、ローレンツ、ティンバーゲン、フリッシュ、ドーキンスなど歴代の科学者たちの知の探究、そして、科学的な物の見方・考え方を著者ならではのユーモアあふれる解説で教えてくれる。
動物行動学を通して、世界を見てみよう! そこから、人間の物差しだけではわからなかった物語が始まる――。


■内容
1章 人間は、説明したがる生き物である
2章 科学とは何か?
3章 原始、人は観察者であった
4章 動物行動学という学問
5章 動物行動学の始祖たち
6章 行動学の三博士
7章 行動で動物を見る―繁殖
8章 行動で動物を見る―捕食
9章 行動で動物を見る―移動・戦略
10章 科学の作法をすこし
11章 はみ出しものたちの生物学
12章 客観性とか再現性とかいうもの
終章 今日からあなたも観察者

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Posted by ブクログ

物理学であれば、E=mc²なんて公式が「この世の真実」みたいな感じでカガクっぽい。
生物学は、多数の個体が長年かけて進化した結果であり、単純化した式で示すのは非常に難しい。

生物のやることには例外が多い。
つまり、変数が無限にあるようなものを、単純化した数式で決定することはできない。

生物学の法則性は「わたしは、こう思う」という仮説にすぎない。
「そうではない」と明確に言える反証が現れない限り「相当に確からしい」となるだけだ。
ただし、反証できない仮説には検証もできないものもあり、反証可能性がないものは基本的に科学ではない。

「おしっこする時、イヌが片足を上げるのはなぜ?」
「キリンの首が長いのはなぜ?」

神様がこうしたから、みたいな説明は科学ではない。
「適応の結果、最適化されている」というのも、「神様がこうしたから」と同じで理由になっていない。

本書は、生物のなぜなぜ物語を語りながら、科学とはどういうものなのかを説明されており、科学的思考を身につけるのにも良いと思った。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

カラスの本でおなじみの松原先生の動物行動学についての本!
簡単に断言しないところがすごく研究者が書いた本だな~と感じました。
生物の話だけではなく、大きく科学とはなんなのか?について結構なページを割いて書かれてあり、興味深いなと思った。科学のポイントは「みんなが確認できる」、つまり再現性があることが重要である。(でもこのポイントは、動物という生き物についての話となると地域差、個体差が大きく、科学するのが非常に難しいだろうな、とも思った。そして実際ややこしい。)
科学では「確からしい」ことがわかるだけで、真理がわかるわけではない。常にデタラメ真理の間で、できるだけ真理ににじりよる行為が科学なのだと思う。

「利己的な遺伝子」という考え方は私はとても気に入っている。
プライドのリーダーが変わるときにライオンのオスはその集団の子供を全て殺すことも、自分は子供がなくとも家族や血縁者の子育てを手伝う個体がいることも、「本人がどう考えていようが、何も考えてなかろうが、自動的にそうなる」だけだと。
(算数の知識を使い、包括的適応度概念で見ると本人の兄弟姉妹は自分の子供と同じ1/2、孫は甥・姪と同じ1/4の血縁度を持つ存在であること、というのも面白かった!)
動物の行動に人間の「教訓」を押し付けるのが嫌いなので、この本のように徹底的に事実のみを述べる、というスタンスがよかった。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

動物行動学についてとその歴史、先駆者たちについての説明と、
科学とは何ぞや、理科とはどう違うのか?にも話が至る、
楽しく面白い松原解説、大全開!もちろんカラスも。
・はじめに
1章 人間は、説明したがる生き物である 2章 科学とは何か
3章 原始、人は観察者であった 4章 動物行動学という学問
5章 動物行動学の始祖たち 6章 行動学の三博士
7章 生き残ることを認めない――繁殖の戦略
8章 食うほうも食われるほうも大変だ――捕食の戦略
9章 動くヤツらと動かないヤツら――移動の戦略
10章 科学の作法をすこし 11章 はみだしものたちの生物学
12章 客観性とか再現性とかいうもの
終章 今日からあなたも観察者
・「おわりに」に代えて――おすすめブックガイド

理科と科学の違い。では科学とは何ぞや?で始まる
動物行動学の楽しい入門であり、易しく教える講義でもある。
遥か昔からヒトは動物を観察していた。それを
イソップは説話、シートンは動物文学で描いている。
だがファーブルは観察だけではなく、実験と考察での科学。
博物学の時代の生物の研究は、分類学と解剖学。
ハミルトンとドーキンスの遺伝子と行動研究。
そしてローレンス、ティンバーゲン、フォン・フリッシュの
研究が動物行動学を築いた。一緒にノーベル賞受賞だし。
動物行動学分かってきたのは、多彩多様な行動の繁殖戦略。
食べるためと食べられないための戦略。食われる前提もある。
動くか、植物のように動かないか。渡るか、渡らないかの戦略。
更にグールドとドーキンスの対比もあるし、
鈴木俊貴氏のシジュウカラの文法や実は動けるカメフジツボ、
キリンはメスの方が首が長いなどの最新の研究もある。
ベニクラゲの一生は自分としては衝撃!それって不死じゃん。
ともあれ、人間も含めて生物は多種多様。
生息地や環境の変化もあるから行動も多種多様。
だから観察して研究して考察した動物行動学は面白い。
だから、つい読んでしまうんだなぁ~。
松原先生、次はハシブトガラスの言葉の話の本を希望します。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

「動物行動学」とは何かを分かりやすく説明。
最後まで面白く読むことができた。

理科と科学の違い、原始、ヒトは誰もが観察者で
あったから始まり、「繁殖」「補食」「移動」という
テーマごとに説き、その中でシートンとファーブルの違いや(シートンは自然観察記録ではなく小説の
一種、ファーブルは科学者)オッカムの剃刀とヒッカムの格言など、全く知らなかった言葉なども知ることができて、とても勉強になった。
もし、松原始先生がテレビに出演されたら、
テレビの前で釘付けになりそう。

動物行動学を築いた3人のうちの一人、コンラート・ローレンツの『ソロモンの指輪』をぜひ読んで
みたい。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

動物たちの何気ない行動に隠された、驚くほど合理的でシビアな生存戦略。彼らの「なぜ?」を知ることで、世界が少し違って見えてくる、知的好奇心を刺激される一冊。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ


私自身、シートン動物記やDr.へリオット・竹田津実さんやあべ弘士さんの影響をしっかりうけているんだなぁ~。
と思いました。


科学者が語る動物行動学って
データ重視の味気ない話しかしら?
と思ったら、これが面白い。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

I feel that I was able to encounter a variety of knowledge and gain new perspectives.

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2025年09月12日

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