松原始のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大都市の街中に多数のカラスがのさばっているのは日本だけらしい。
そのカラスとは主に大型のハシブトガラスだ。
街中でのさばっているのはなぜなのか説明されていたが "日本だけ" の理由は捨てられる生ごみの多さなのか?と思った。
東京は近年ムクドリやヒヨドリが多くなった気がする。
糞害に見舞われる場所も増えているので、数が減るようにハシブトガラスやオオタカの頑張りに期待している。
ヒヨドリは漢字だと鵯、「卑しい鳥」だそうだ。
見た目は可愛いらしさもあるが、木の実や果実を食い荒らし、鳴き声も汚らしいので個人的には好きな鳥ではない。
あまり見かけないのがハシボソガラスだ。
東京都心にはほとんどいないのではと思うくらい見ない。
東京で最後に見たのは4年程前になる。
東大農学部の敷地を歩いていたのを見つけたのだが、本書でハシボソガラスはよく地面を歩くと書かれていたのに納得。
木の上にいたらおそらく気が付かなかった。
ハクセキレイは自宅近くでも職場でも地面を歩いている姿をよく見かける。
土や草原に限らず、アスファルトの道や駐車場も歩いている。
尾羽をヒョコヒョコと振るのが特徴だが、その理由については全くわかっていないようだ。
イソヒヨドリは昔沖縄に行った時に海辺に沢山いた。
ヒヨドリと呼ばれているがツグミの仲間らしい。
東京八王子でも繁殖しているそうだが都心ではまだ出会ったことはない。
カワセミみたいに青くてムクドリほどのサイズなのでいれば直ぐに分かる。
チドリと言えば千鳥足。
チドリはたぶん実際に見たことがない。
普通の状態ではチドリはしっかりと歩くらしい。
抱卵中に敵が来た時に、巣から離れ注意を自分に向けるため、怪我をしてうまく歩けないふりをする姿からきているそうだ。
その他、割と身近にいる鳥たちの性質や暮らしぶりの一端を知ることができました。 -
Posted by ブクログ
まず、著者の専門である「動物行動学」って何?と思ったので調べてみた。
大辞林によると、「生理学・心理学・遺伝学など、さまざまな方法論を用いて動物の行動を研究し、行動の総合的理解をめざす学問。」とのこと。
他に「行動生態学」や「社会生物学」といった似たような分野もあるらしいが、違いはよくわからない。
人間は組織論やリーダー論が好きで、動物の世界にも人間社会のモデルを当てはめた解釈をしがちだ。
かつて、ニホンザルはボスザルを中心とした社会システムがあると考えられていた。
今でも「ボスザルは群れに君臨してメスと子どもを守っている」「ワカモノはボスの命令によって集団を守る」という説を信じている人が大勢いる。
著者が発するメッセージは、
賢い、頭が悪い、狂暴、温厚とはどういうことか人間基準で定義していませんか?
動物のやることを、人間のやる行動にあてはめて解釈していませんか?
ということ。
とは言え人間も動物なので、行動の理由を人間の気持ちに当てはめて考えることは間違いではないと思う。
擬人化しすぎると大間違いすることがあるということでしょう。人間の考え方も人それぞれですから。
犬や猫などの飼育動物は(自分の都合のいいように)擬人化するから愛情が生まれるのですけどね。 -
Posted by ブクログ
本書を開いて最初に見る「まえがき」
そこでいきなり「最初にまず、お断りしておかなくてはならない。」と始まる。
何だ何だ、と続きを読むと「『カラス屋、カラスを食べる』は内容の一部ではあるが、一冊丸ごとカラスを調理して食っている内容の本ではない」
なるほど、それは確かにそうだろう(しかし『本当においしいカラス料理の本』(塚原直樹著/SPP出版)なる本があることも同時にまえがきで教えてくれるのだが)
しかし、まあカラスの研究者によるカラスをめぐる話が読めるのだろう、と思っているとこれも裏切られる。
なぜなら「本書は『カラス屋の大ぼうけん』というタイトルで企画されていた」ように、著者がフィールドワークの際に出くわした(さらに厳密にはフィールドワーク中とは言い難いような)「アハハと笑える「ぼうけん」」をまとめた本だからだ。
では期待外れかというとそうではなく、自然を相手にする研究者の、野性味あふれるフィールドの体験記は興味深い。カラス屋を自負する著者でも、カラスだけ、ではなく、ミズナギドリの島に向かい、夜にウミガメを押さえ、剥製標本を修理し、猛禽を調査してはクマタカを見つけ、屋久島ではサルを追う。
屋久島での前期調査最終日に行われた打ち上げ、肉を調達しに行った部隊が連れて戻ってきたのはなんと…の件に至っては「バッタ博士のいるモーリタニアかよ!」と思わざるを得ない展開(ちなみにここで提起される「どこまでが「生き物」でどこからが「食品」?」という問いは、『先生、脳のなかで自然が叫んでいます!』(小林朋道著/築地書館)の「第2章 ノウサギの”太腿つきの脚”は生物か無生物か」にも通じて、生物学者が生命というものに日々向き合っていることを感じさせる)
新宿で野宿をして襲われかけ、全裸で川で水浴びをし、マムシを食い、夜明けに妙な事態に遭遇する。
フィールドを相手にするということは、かくも様々なことに出くわすのだが、関西出身ならではの軽妙な筆致で生き生きと描かれる。
学生時代、フィールド系のサークルに所属していたが、あー周りにいてたのはこういう奴らばっかりだったなー
あ、この本の一番”新書/実用書”らしいところは「キムチ鍋を作る時には「スルメと塩サバを入れよう」かもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
第1章 カラスは女子供をバカにするか
第2章 天国に一番近い地獄
第3章 味覚生物学のススメ
第4章 ウミガメと握手
第5章 新宿クロウズ
第6章 ナイトミュージアム
第7章 謎の生物「ヨソモノ」
第8章 ケダモノ5班の彷徨
第9章 実録!木津川24時
第10章 青くはなかったが美しきドナウ
第11章 調査職人
<内容>
一応「自然科学」に分類したが、内容は漫談集(?)。カラスの話は、最初のあたりにしか書いていない。そしてこの本を読むと、生物学を大学でやることを躊躇すること請け合い!それでも「生きもの」が好きなら、この世界にどっぷりとつかれるはず。日常生活はもちろん、ファッション(ユニクロの話がよく出てくる)や食生活も犠牲にして、生きものと付き合っていく覚悟。そして第11章にあるが、「環境アセスメント」を生業にしている人がいる(それもかなり苛酷な仕事)のには驚いた… -
Posted by ブクログ
「ファンデルワールス力で付着するような世界の方が、動物界では普通なのだろう」というフレーズが一番のお気に入り。ヤモリの足がガラスにくっつく仕組みを説明する中での言葉で、その仕組み自体は知識としては知っていたけれど、ファンデルワールス力なんて実感したことはないしなんとなく腑に落ちないでいたところにこの言葉に出会い、表現の仕方にハッとさせられた。ユクスキュルの『生物から見た世界』にも通じるような、いきものに見えている世界は人間のそれとは違うということを表現した至言だと思う。
『カラスの教科書』の著者、カラス先生こと松原始先生のエッセイ集。カラスのみならず、そして鳥のみならず、魚や昆虫など、様々ないきものにまつわる体験が綴られている。幼少時から自然に親しみ、いきものに触れ、種類を覚えたり特徴を観察したりしてきた方なのだなあということが良く分かる本。身近ないきものの話が多く、よく見るいきものでもちゃんと観察してあげると違った姿が見えてくるのだなと思った。
鳥類の飛行能力の違いを、飛行機の構造との関連から考察しているところなどは、とても面白かった。博物学的な知識に立脚しつつ、物理的な視点も合わせて考察するということの、身近な具体例を見せてもらった感じ。
学生への講義の準備をしているときの話もあって、この先生の講義を是非受けてみたいなあ、とも思った。
(NetGalleyでゲラ読み) -
Posted by ブクログ
星3.5をつけたい。
生き物に興味を持って夢中で調べることって子供の頃によくあることだと思うけれど、それを学問にした人がいる。
興味がない人からしたら、調べて何になるのか、お金になるのかと思われるところだが夢中なものはやめられないよなー。
動物の行動にどんな意味があるのか、はたまた意味なんてないのか。
なんでその姿になったのか。
ほんとの答えなんて動物に聞かないとわからないけれど、そこをイメージするのが楽しい!
科学という分野がここまで日進月歩で、違う考察が生まれたことで180度変わる可能性があることに驚き。
専門的な内容が多いので、統計とか実験の話が難しいと感じるかも。
巻末のおすすめガイドブックに載っている本がやたら面白そうなチョイス! -
Posted by ブクログ
●科学の目線で動物たちの行動の「なぜ?」解き明かし、動物たちの「利己的な生存戦略」を考える本。
●動物行動学を学び、何に活かせるかも考える。→動物行動学と、それを成り立たせる科学的な視点について詳しくなれた。
●まず1章~6章で、そもそも科学とは何なのかや動物行動学という学問の成り立ちを説明し、7~9章で動物行動学の実践、動物行動学的に見た各々の動物の行動についての解説があり、10~12章で科学の作法、科学的に考えることについて述べるという構成になっている。順序立った構成によるところも大きいのか、読みやすくわかりやすい内容となっている。読み進める中で印象的だったのは、一見利他的に見える動物の行動は「種の保存のため」と理解していたのだけれど、あくまで「自分のコピーをいかに残すか」という徹底した生存戦略に基づいたものだと知って驚いた。また、科学とは「みんなが確認できる根拠」に基づき、常に反論を受け入れながら進むものであるという解説も納得感があった。「虫はなぜ電球の周りを飛ぶのか」といった身近な問いに対し、既存の説に縛られず、より合理的で価値のある仮説を模索し続ける姿勢には、学問としての誠実さを感じる。動物たちの行動の背景にある「なぜ?」を探る過程は、知的興奮に溢れている。 -
Posted by ブクログ
「苦手だったカラスが、少しだけ『知りたい存在』に変わった一冊でした。」
読書会で話題になっていたので、Audibleで聞いてみました。
実は私はカラスがあまり好きではありません。子育て中になぜか何度もカラスに襲われた経験があり、「怖い」「不気味」というイメージを持っていました。
今回Audibleで聞いてみましたが、正直なところ音声だけではカラスの魅力までは十分に伝わってきませんでした。しかし、PDFの図解やイラストを見ると印象が少し変わりました。イラストがかわいらしく、カラスの生態や特徴も分かりやすく紹介されていて、「もっと知ってみたい」という気持ちが湧いてきたのです。
これまでカラスは苦手な存在でしたが、本をきっかけに少し興味が持てるようになりました。読書会では別のカラスの本も紹介してもらったので、今度は「なぜ私はカラスに襲われやすいのか」という疑問も含めて、カラスについてさらに調べてみたいと思います。
一番の気づきは、苦手なものでも知ることで見方が変わることがある、ということでした。