小島直記の作品一覧
「小島直記」の「気概の人 石橋湛山」「鬼才縦横」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「小島直記」の「気概の人 石橋湛山」「鬼才縦横」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
表記の本ではなく『小島直記伝記文学全集 第七巻
松永安左エ門の生涯』を読んだ。(小島は他にも松永について書いているので、表記のものとまったく同じではないが、重なりが多いのは想像に難くない)
以下それについての書評である。
第九巻の石橋湛山に続いて読むが、松永安左エ門についてもやはり教科書や本などで名前を聞き知っているだけで、詳しく知らない存在であった。この伝記を通して松永安左エ門の濃密な生涯を垣間見て、自分の安易な日々や無知の脳髄に雷の稲妻を受けたような衝撃であった。又、「老いて学べば死して朽ちず」の意味を問う年来の問題意識の解になるヒントを教えてくれる先人の話であった。翁の70代以降晩年の生き方も、老いに従いますます本質的になる仕事や学びの生活と茶道(耳庵)を通した交友の深さにも感服である。
太平洋戦争を挟んで一実業家が日本資本主義の重要な電力産業の業界再編成を目指し、戦中は軍部や政党と、戦後はGHQや政治家・官僚との駆け引きなど、権力の思惑に振り回されながらも、発電・送電・販売一体の九社分立体制という電力業界の現在に至る体制を作り上げた。戦後パージ明けで、77歳から再起して本格的に活躍する、信念に生きた「電力の鬼」の伝記である。
印象的な件は①河合栄治郎の愛弟子木川田一隆(東京電力)、松永の秘蔵っ子である無私・大悟の中部電力の横山通夫、太田垣士郎から引き継ぐ関西電力の芦原義重など各社の次世代の実務家同志と共鳴して業界再編成に身を挺した姿②96歳の書「不失恒心、不守恒産」(恒心は理念・理想であり、恒産は地位・肩書・名声・財産)。生涯を通したアンガージュマン=現実関与の姿勢・気迫③福沢諭吉の教え「公正の論は不平の徒より生ず」を信条とし、トインビーの『歴史の研究』(第一次大戦後40歳から75歳まで35年かけて6巻を書き上げる)に共感し、81歳で訪欧し直接本人から許可を得て92歳で刊行会を設置、鈴木大拙・小泉信三・蠟山政道・谷川徹三などの協力を得て翻訳事業に取り組む(彼は6歳年長)。刊行の辞を書くためにシュペングラーの『西洋の没落』原典を赤と青のアンダーラインを引きながら終日読む。1972年に全25巻刊行。中山伊知郎はこの翻訳事業を「教育者としての松永翁」で杉田玄白の「蘭学事始」を想起させ日本の文明を世界の文明の中で考えることを教えた、と言う。94歳の生涯で死ぬまで、原書も含めた多くの読書や各社新聞の精読や切り抜きを絶やさず、知性・教養や情報への貪欲な姿勢を貫く。
筆者は徹底した関係者への取材や文献・資料の収集と分析で偏りなく纏め、松永安左エ門のリアルな全貌を再現している。立場上異論の存在は当然であるがそのことを踏まえても、松永の人生の処し方が時空を超えて読者に迫ってくる骨太の傑作である。
Posted by ブクログ
『小島直記伝記文学全集九巻 異端の言説石橋湛山』
(中央公論社昭和62年版)
を読んだが、表記のものと同じ作品であると思う。
自分の読書生活のなかで、日本近現代の政治や経済の本を読むたびに気になる人物としてよく目に止まるのが石橋湛山であった。歴史的な事象の諸々の場面で話題になり、一時総理大臣にもなった人なのに、今までその経歴や思想は殆ど知ることがなかった。
にもかかわらず、何故か親しみを感じ共感を覚える存在であったことは不思議である。
その理由がこの伝記を読んではっきりとわかった。
彼は甲府第一中学(甲府一高)で2年落第したことが幸いし、札幌農学校1期生でクラークに薫陶を受けた大島健明校長に遭遇する。これを「奇跡の邂逅」といい、人生に転機をもたらす。
小島直記という伝記作家によって彼の一生が冷静に偏ることなく淡々と紡がれている。
遅ればせながらもこの伝記を発見し彼の生き方や思想、業績を垣間見ることができたのは幸運であった。
1990年代、勤務する会社の会長が全管理職にこの全集の7巻(松永安左衛門)と九巻を配ったのであった。箱入りの立派な装丁の二冊で数千円もするものだ。その人は海軍短現の魚雷艇乗りで終戦を迎え、盟友平岩外四経団連会長の副会長になるが不祥事で辞任した。自分はその意図も価値も全くわからず、配られてすぐ本棚の奥にしまい込んだ、誰のことが書かれているのかすら全く興味がなかった。この度、本棚の整理をしていて「石橋湛山」が描かれていることを知りびっくりしたとともに、これを読んで当時の会長の思いと見識の凄さに今更ながらに恐れ入った。経営者の意思である。
石橋の人となりについては、生い立ち、学び、東洋経済新報社での論説、思想、政治家としての活動、身の引き方等々時系列に詳しく丁寧に描写されている。
彼が関った課題についても、金解禁、小日本主義、戦時の軍部との確執、戦後保守党の派閥抗争等々わかりやすくそして的確に描かれている。特に金解禁はその経緯や本質が初めてよくわかった。現在も当局は超金融緩和政策からの脱却・正常化を模索しているが、歴史を辿ると、いつもこのような難しい課題があったことを教えられる。
戦時下、憲兵に見張られ、次男の戦死にもめげず信念を貫いた自由主義者の生き様に感じるものがある。
全編を通して今の政治・経済運営にも通じるものも多く、学者や出版人、指導者の在り方を問いかけ、読む者に厳しく迫るものがある傑作である。
石橋湛山は「日本のケインズ」に喩えられるようだが、自分にとっては、日本近現代史のなかで「明治の福沢諭吉に対する昭和の石橋湛山」という図式が思い浮かぶ。
Posted by ブクログ
その《熱》という言い方を、おもしろい、と感じた。そこが武藤の武藤らしさだが、自分の工場の従業員だけでなく、人間が自分の仕事に打ち込んでいる姿を、何よりも好んでいる
しかし自分の言葉をひねくれてとらないで、さっさと着替えをし、また駆け戻ってきたところが素直でいい、と思った
要するに他力本願ではだめなんだ。もっと真剣に、君は君自身の仕事と対決せねばならない
おい、お祝いをしよう
友吉といいます。陰ひなたのない働き者です
自分の人生にとっては決定的な、天下分け目の決断がそこにかかっているその対象から眼を背け、自分の身体をよけさせるとき、《飛躍》も《大望》も永遠に手の届かぬものになる
自分の生活を立て、そうしてみんなのためになることだ
いかに大きく儲けるかではなく、いかに人々のためになるかを考えるのが本当の事業精神
不死の秘密は、ソロバンではない。理想なのだ