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Posted by ブクログ
フリーランスとして働いていると、「しっかり稼ぎたい」という焦りと「自分のやりたいことや価値観を見失いたくない」という思いの間で揺れることがよくあります。
本の中で描かれている起業時のリアルな思いや期待と不安は、今の自分の心境と近く深く共感しました。効率や規模ばかりが求められがちな時代だからこそ、自分の得意なことやこだわりをブレずに持ち続けることの大切さを教えてもらいました。
誰のために、何を届けるのか。仕事の原点を改めて教えてもらった気がします。自分の価値観やこだわりを大切にしながら、目の前の仕事一つひとつに向き合っていこうと思えました。
Posted by ブクログ
GAFAMのような巨大資本の徹底的な包囲網と搾取網からどう逃れるか、ということもそうだけれど、人それぞれ違う幸福の定義のなかで、悪魔的な便利さとともに息苦しくなっていること自体、言われ始めて久しい。そうなのだけれど、状況は一向によくならないし、打開策も見当たらない。
どうにもお手上げ状態の下で、せめて本を読んで、日々を少しずつ心豊かにすることが数少ない抵抗であろうよ、と思って、新潮社のサイトで又吉直樹さんと対談されているのを見かけて気になり始めた本だった。
夏葉社という出版社は知らなかった。何気なく本屋で手に取った津村記久子の『ふつうの人が小説家として生活していくには』が、夏葉社の仕事で、島田潤一郎さんの手によるものだと知って嬉しくなった。
本作の解説を手掛けられた津村記久子さんはもちろん、サニーデイ・サービスも庄野潤三も心の大切なところに居座る存在ということもあるし、本屋やレコード屋はこの社会での数少ない僕の居場所だった。知らない作家、作品、本屋、古本屋がたくさん出てきた。そのどれもが、島田さんの語るものなのだからきっと自分にとっても大切なものになりうると思えた。
巨大資本の支配には抗いようはないけれど、街の本屋さんに、夏葉社に、そして何より島田さんに、自分が稼ぐことのできた細やかなお金を落として生きるという確固たる楽しみであり、生き方の指針ができた。そして何より、ここで書かれている「働く」という営みの中に宿る大切なものを受け取ったような気持ちになった。
Posted by ブクログ
著者はの自認は「自分にできることを地道に丁寧にやってきただけだ」みたいな感じなんだけど、いやいやそうじゃねえだろあんた一種の天才だろ、という印象。
この人の本屋業の本は以前にも読んだけど、また同じ感想。
普通の人は庄野潤三のご遺族に凸る行動力も、ご家族の輪にスゥッと入り込んじゃうコミュニケーション能力もないんだわ。あっ誠実さとか物腰など含めた「コミュ力」の話ね。
実際この人教科書営業時代トップセールスマンだったって書いてるじゃん。そりゃそうだわ。優秀だもん。ビジネス書とか読まなそうなのに、信頼関係作り→課題のヒアリング→課題の解決の提案、の一段階目を実践しちゃってるもん。次も次の次もやってたんでしょ多分。
こんなに誠実にありのままの生成りのシャツみてーな飾らない感覚で商売を成り立たせている著者を嫉妬するよ。俺は誠実に虚飾を重ねブランディングしマーケティングして商売してるからね。そうしないと俺が助けたい人を助けられないから。自分の仕事に満足する瞬間はあるけど、著者みたいな、日の光を浴びて風に揺られる白いティーシャツ、みたいな商売の仕方には憧れる。
長く商売続けてほしい。そういう商売で長いこと食っていけると見せてほしい。
かつての文学青年として、望む。
Posted by ブクログ
50社連続不採用。転職活動でうまくいかず、大好きな従兄も亡くなり、人生の暗い沼の中、本を読むことで自分の居場所を確認し、自分の大好きな本を顔の見える人に届けたいという思いで、古くてあたらしい「出版社」を立ち上げた島田潤一郎さんのバイオグラフィー的なエッセイ。大きな資本にできないことをやる小さな仕事の価値や人の仕事に対する根本的な価値観、本を通じて紡がれる人と人との歴史ともいえる関係性、島田さんの本や人に対する思いなど、正直でか弱く小さな声が、資本主義の大きな声の中で仕事をする自分にとても、響きました。社会的インパクトが大きく顔のわからない顧客に価値を届ける仕事と、小さくとも顔のわかる多様な個人に向けて価値を届ける仕事。どちらもかけがえのない仕事ではある。両者を行き来するような仕事観を持ちたいと思った。
冒頭、小沢健二さん「人は仕事をしたがっている」、「そのことの、圧倒的美しさ。その美しさの前では、それにつけこむビジネスがあるなんてことは、塵のような話にすぎない」と話した。
人に必要とされる、人のために何かをするという仕事の純粋な基本に立ち戻される話から始まる。
従兄がなくなり、僕を必要としてくれる人のために仕事がしたいと思い、真っ先に思ったのは、叔父と叔母だった。ヘンリー・スコット・ホランドの詩を本にして、叔父と叔母に届けたいという思いで、出版社を始めた。
「何度も読み返される、定番といわれるような本を、一冊一冊妥協せずにつくることによって、長期的な利益を確保する。そのために、会社を応援してくれる本屋さんを全国に100店舗開拓し、それらの店を重点的に営業していく」。
事業目的に合わせて、初めに手掛けたのは、絶版書の復刊だ。レンブラントの帽子は、和田誠さんに装丁を依頼。荒川洋治さんに巻末エッセイを依頼した。
途中に挟まれる亡き従兄の遺品を浜辺で焼くシーンは、悲しみの中に笑いがあり、人間の悲哀と喜びが同居していて、胸が打たれた。
本はページを開いた人が居る限り、いつになっても古くならない。夏目漱石もマーク・トゥエインも。本は、誰も拒まない。誤読すら初めから想定されている。
人生に疲れた時、孤独で孤独でどうしようもない時、本はいつでもそこに居てくれる。読書に関する新しい扉を開いてくれるような本だった。
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小説・文芸