新潮社作品一覧

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  • カリ・モーラ(新潮文庫)
    3.4
    マイアミに暮らす美貌のカリ・モーラは25歳。故国のコロンビアでの凄惨な過去を背負い、移民として働きながら、獣医になることを夢見ている。彼女は麻薬王の邸宅管理のバイトがきっかけで、屋敷に隠された金塊を狙う犯罪集団の作戦に巻き込まれ、彼らと対立する臓器密売商の猟奇殺人者シュナイダーの妄執の的にもなってしまい――。極彩色の恐怖と波乱の展開に震える傑作サイコ・スリラー。
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    4.5
    会津出身の父から「喧嘩は逃げるが、最上の勝ち」と教えられ、反発した鷹志は海軍の道を選び、妹の雪子は自由を求めて茨の道を歩んだ――。海軍兵学校の固い友情も、つかの間の青春も、ささやかな夢も、苛烈な運命が引き裂いていく。戦争の大義を信じきれぬまま、海空の極限状況で、彼らは何を想って戦ったのか。いつの時代も変わらぬ若者たちの真情を、紺碧の果てに切々と描く感動の大作。(解説・末國善己)
  • 女徳
    4.0
    京都・祇王寺の庵主として静かに暮す智蓮尼は、12歳で花柳界に売られ、愛のあかしに小指を切ってみせるほどの激しい気性をもっていた。赤坂の“千竜”としてその艶名をうたわれ、男とのことで数度にわたって新聞を騒がせたのち40歳で得度したのだった……。すさまじいまでの女の宿業をにないながら、本能のままに生命を燃焼させた女の波乱の半生を、大胆なタッチで描いた長編。
  • 自負と偏見
    4.4
    イギリスの静かな田舎町ロングボーンの貸屋敷に、資産家ビングリーが引っ越してきた。ベネット家の長女ジェインとビングリーが惹かれ合う一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの気位の高さに反感を抱く。気難しいダーシーは我知らず、エリザベスに惹かれつつあったのだが……。幸福な結婚に必要なのは、恋心か打算か。軽妙な物語(ストーリー)に普遍の真理を織り交ぜた、永遠の名作。
  • 虐げられた人びと
    4.2
    民主主義的理想を掲げたえず軽薄な言動をとっては弁明し、結果として残酷な事態を招来しながら、誰にも憎まれない青年アリョーシャと、傷つきやすい清純な娘ナターシャの悲恋を中心に、農奴解放を迎え本格的なブルジョア社会へ移行しようとしていたロシアの混乱の時代における虐げられた人びとの姿を描く。
  • 源氏物語を知っていますか
    4.2
    男女の愛欲と孤独。野心と諦観。縦横無尽に張り巡らされた伏線の糸。平安貴族を熱中させた、極上華麗な大ベストセラー大河小説『源氏物語』五十四帖を、短編小説の名手・阿刀田高があなたのかわりに読みました。大人のユーモアとエロス溢れる軽妙な語り口で、70年以上にわたる長大なストーリーと複雑に絡み合う人間関係が、すんなり頭に入ります。学生からシニアまで全国民必携の一冊。 ※新潮文庫に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • 春風伝
    3.8
    長州藩士・高杉晋作。本名・春風。攘夷か開国か。国論二分する幕末に、上海に渡った晋作は、欧米列強に蹂躙される民衆の姿を目の当りにし、「革命」に思い至る。激しい気性ゆえに脱藩、蟄居、閉門を繰返しながらも常に最前線で藩の窮地を救ってきた男は、日本の未来を見据え遂に幕府に挑む。己を信じ激動の時代を駆け抜けた二十八年の濃密な生涯を壮大なスケールで描く本格歴史小説。
  • 二都物語
    4.2
    フランスの暴政を嫌って渡英した亡命貴族のチャールズ・ダーネイ、人生に絶望した放蕩無頼の弁護士シドニー・カートン。二人の青年はともに、無実の罪で長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せる。折りしも、パリでは革命の炎が燃え上がろうとしていた。時代の荒波に翻弄される三人の運命やいかに? 壮大な歴史ロマン、永遠の名作を新訳で贈る。
  • ボヴァリー夫人
    4.1
    娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。
  • ぼんち
    4.0
    放蕩を重ねても、帳尻の合った遊び方をするのが大阪の“ぼんち”。古い暖簾を誇る足袋問屋の一人息子喜久治は「ぼんぼんになったらあかん、ぼんちになりや。男に騙されても女に騙されてはあかん」という死際の父の言葉を金科玉条として生きようと決意する。喜久治の人生修業を中心に、彼を巡る五人の女達、船場商家の厳しい家族制度、特殊な風習を執拗なまでの情熱をこめて描く長編。
  • 憂愁平野
    -
    1巻979円 (税込)
    社長の座を約束されている商事会社の幹部納所賢行と、美貌で優しく教養もある妻の亜紀。はた目には何ひとつ不自由のない恵まれた夫婦だが、二人の間には冷え冷えとした違和感が影を落している。ある日賢行は、軽井沢の深い霧の中で、長い間思いを寄せていた美沙子にめぐり会うが……。メルヘンにも似た夢幻的な雰囲気の中に、男と女の織りなす愛の深淵と生の寂寥を描く。
  • 香華
    4.2
    女としてのたしなみや慎みを持たず、自分の色情のままに男性遍歴を重ね、淫女とも言えるような奔放な生き方をする母の郁代。そんな母親に悩まされ、憎みさえしながらも、彼女を許し、心の支えとして絶えずかばい続ける娘の朋子。――古風な花柳界の中に生きた母娘の肉親としての愛憎の絆と女体の哀しさを、明治末から第二次大戦後までの四十年の歳月のうちに描く。
  • 天狗争乱
    4.0
    桜田門外の変から4年――守旧派に藩政の実権を握られた水戸尊攘派は農民ら千余名を組織し、筑波山に「天狗勢」を挙兵する。しかし幕府軍の追討を受け、行き場を失った彼らは敬慕する徳川慶喜を頼って京都に上ることを決意。攘夷断行を掲げ、信濃、美濃を粛然と進む天狗勢だが、慶喜に見放された彼らは越前に至って非情な最期を迎える。水戸学に発した尊皇攘夷思想の末路を活写した雄編。

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  • ふぉん・しいほるとの娘(上)
    3.7
    1~2巻979~1,089円 (税込)
    幕末の長崎で最新の西洋医学を教えて、神のごとく敬われたシーボルト。しかし彼は軍医として、鎖国のベールに閉ざされた日本の国情を探ることをオランダ政府から命じられていた。シーボルトは丸山遊廓の遊女・其扇を見初め、二人の間にお稲が生まれるが、その直後、日本地図の国外持ち出しなどの策謀が幕府の知るところとなり、厳しい詮議の末、シーボルトは追放されお稲は残される。

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  • 蒼い描点
    3.9
    若い編集者椎原典子は、女流作家村谷阿沙子の原稿催促に出向いた箱根で、顔見知りのフリーライターの変死にぶつかる。死者と村上女史に謎の繋がりを感じた典子と同僚崎野は、やがて女史には代作者がいたという確信を持つ。女史の夫と女中の相次ぐ失踪、女史の精神病院への逃避、そして第二の殺人と、事件は意外な方向へ発展する……。心理の微妙な起伏と情景の描写が光る推理長編。

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  • 日本漁業の不都合な真実(新潮新書)
    NEW
    -
    日本漁業が危うい。担い手は減り続け、生産量は40年前から7割減、30年後には漁業者がいなくなり、日本人の食卓から国産魚が消えるという声もある。中国との漁獲競争、温暖化による環境変化、エネルギーコスト上昇など、かつて世界一の漁獲量を誇った漁業を取りまく状況は極めて深刻だ。輸出拡大や企業進出、資源管理など、国が進める水産業改革は本当に有効なのか――漁業と魚食文化を守るために、渾身の論考!
  • サンセット・パーク(新潮文庫)
    NEW
    4.3
    恋人をフロリダに残し、ブルックリンへと逃亡したマイルズ。彼を待っていたのは、一軒の廃屋と将来への不安を抱えた三人の仲間だった。気のいいドラマーのビング、画家志望のエレン、博士論文執筆中のアリス。景気が後退の一途を辿る中、不確かな未来へ踏み出そうとした彼らに突き付けられた無慈悲で甘くない現実とは……。失うものの方が多い世界で、まだ見ぬ明日を願った若者たちの物語。(解説・松村美里)
  • あなたはなぜ雑談が苦手なのか(新潮新書)
    4.4
    「自分の話がうまくできない」「いつも聞き役ばかり」「もっと仕事以外の話がしたい」……そんな悩みに、これまで三千回以上のマンツーマン雑談を行ってきた著者がこたえます。よい雑談の条件やそのメリット、話が苦手な人の共通点とは? 雑談を通して考えや思いを相手に伝えることで、「自分がどうしたいか」がわかってくる。「不信メガネ」「プール理論」など独自の思考法を駆使して、そのエッセンスをやさしく伝える雑談入門。
  • 厳島(新潮文庫)
    3.8
    戦国三大奇襲の一つ、厳島の戦い。安芸の大名・毛利元就と西国最大の大名・大内家を取り仕切る陶晴賢の戦は、僅か四千の毛利軍が二万八千もの陶軍を打ち倒した。人道を超えた謀を仕掛け、勝利を手にした元就と、最後まで信義を貫き敗れた陶軍の弘中隆兼。劇的な結末の陰には対照的な二人の武将の壮絶なドラマがあった。乱世を生き残るため、己の正義を信じ、戦い抜いたものたちの熱き物語。(解説・鳴神響一)
  • 介護未満の父に起きたこと(新潮新書)
    3.9
    82歳の父が突然ひとり暮らしに。幸い健康だが、家事がほとんどできないため、その生活に黄信号が灯る。唯一の家族である娘は、毎食の手配から大掃除までをあえてビジネスライクにサポート。それでも日々体力と記憶力が衰える父に、「ペットボトルが開けられない」などの難題が次々とふりかかる。「老人以上、介護未満」の身に何が起きるのか? その時期に必要な心構えは? 父のケアに奔走した娘が綴る、七転八倒の5年間。
  • なぜ日本人は間違えたのか―真説・昭和100年と戦後80年―(新潮新書)
    3.8
    国家を滅亡の淵まで追い込んだ「あの戦争」から八〇年、同時代史として語られてきた昭和史は、これから歴史の中へと移行する。二・二六事件、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇……時代を大きく変えた八つの事象を、当事者たちの思惑や感情を排して見つめ直す時、これまでの通説・定説とはおよそ異なる歴史の真相が浮かび上がる。いったい、日本人はどこで何を間違えたのか――昭和史の第一人者による衝撃の論考。
  • 日本文化は絶滅するのか(新潮新書)
    -
    歴史より神話、自然に親しむ汎神論的な世界観、土着と外来のハイブリッド、「中空」と「ゆらぎ」の構造……この国の始まりから続く、日本人特有のものの考え方や振る舞いなど「目に見えない精神」が、グローバリズムという現代世界の潮流に呑み込まれようとしている。和辻哲郎、西田幾多郎、レヴィ=ストロース、鈴木大拙など先人の思想をひもとき、日本文化の起源と構造、変容と危地を浮き彫りにする。
  • チャールズ・デクスター・ウォード事件(新潮文庫)
    4.0
    チャールズ青年は何故かくも奇怪なる変容を遂げたのか。時空を超える魔術小説にして背筋も凍るミステリ、邪神も見え隠れする長編「チャールズ・デクスター・ウォード事件」。英国の廃修道院を舞台に描かれる怪奇短編「壁の中の鼠」。そして「インスマスの影」の後日譚「戸口にいたもの」。人類が決して見てはならぬ光景を目撃してしまった作家、ラヴクラフト。クトゥルー神話に留まらぬ傑作六編を収録。
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)
    4.3
    誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。
  • 擬傷の鳥はつかまらない(新潮文庫)
    3.5
    訳ありの依頼者の身分を偽装し、別人としての人生を与える「嘘の仕立て屋」を生業とするサチ。ある日、彼女のもとへ大金を持った二人の少女が訪ねてくる。その数日後、少女の一人が謎の転落死を遂げた。残された少女を守るべく、事件の鍵を握る男を探し始めるサチは、嘘と裏切りにまみれた過去からあまりに切実な「真相」にたどり着く——。ミステリ界を牽引する若き鬼才、衝撃のデビュー作。
  • リキッド消費とは何か(新潮新書)
    3.7
    SNSで見た服をスマホで即ポチ、映画はサブスク、車はカーシェアでOK、ブランドもののバッグより他人がうらやむ珍しい経験を――若者から中高年まで、こうした今どきの消費行動の裏には、いったいどんな心理が働いているのか。次から次へとモノと情報が流れる時代にあって、現代人の消費スタイルは歴史的な変化を迎えている。マーケティングの専門家が、「リキッド消費」という新たな現象の謎を徹底解剖!
  • ギャンブル脳(新潮新書)
    4.1
    「次こそ当たる! 一発逆転?」。いい加減な予想は、期待を通り越してやがて確信へと変わっていく。そんな時、ヒトの脳ではいったい何が起きているのか。脳内にあふれるドーパミン、二度ともとには戻らない思考回路、ついには薬物中毒よりも深刻な依存状態に……。ギャンブル依存症の患者とその家族の苦しみに、長年向き合ってきた作家にして精神科医が多くの臨床例と最新の知見から解き明かす、恐怖のスパイラル。
  • お城の値打ち(新潮新書)
    4.3
    「本物の城」は12しかない!? 近年の「城ブーム」のおかげで、全国各地で名所・史跡として人気を集める城の数々。だが、中には史実とはおよそ異なる姿がまかり通っている例もある。そもそも、かつて数万あったという日本の城郭はなぜ激減してしまったのか。「現存天守」「復元天守」「復興天守」「模擬天守」の違いとは――文化財としての城の値打ちと、その歴史と未来を問う。
  • 私はこう考える(新潮新書)
    3.8
    地方が甦ることなくして、日本が甦ることはない。地方から革命を起こさずして、日本が変わることはない。政治は「果実の分配」だけではなく、「不利益の分配」についても正直に伝えなくてはならない――時に疎まれつつも一貫して正論を述べてきた政治家が、己の主義と主張を堂々とかつ丁寧に語る。新潮新書から刊行した著作をもとに、その思考がわかるように編まれた「ベスト・オブ・石破茂」とも言うべき論考集。
  • 蛍火艶夜 上巻
    完結
    4.8
    全2巻990~1,210円 (税込)
    反芻者続出の話題作。待望の単行本化! 大ボリューム本編212Pに加え特別描き下ろし16Pを収録。 「このえり巻 先に特攻で逝った人から貰ったんです」 1945年3月、徳島。 報道の為、特攻隊の写真を撮影に来ていたカメラマンの淀野は、田中志津摩一飛曹の朗らかな笑顔に惹かれながらも、彼の運命を思い、うしろめたさを覚えてしまう。 ある晩。 不意に淀野のもとを訪れた志津摩。 話し込むうちに、レンズ越しには見えなかった深淵が――。(『田中志津摩一飛曹編』) 時は第二次世界大戦末期。苛烈な争いのなか、國の為、自らの命を武器に闘うべく募られた特別部隊。“神風特別攻撃隊”――……。 焦燥、憧憬、苦慮、希望、そして慕情。 生命の灯が揺らぐ日常で、魂をぶつけあう漢たちの秘められた夜6編に加え、 特別描き下ろしを1編収録。 濃厚な筆致と人物描写で描きあげるオムニバスストーリー、劣情の上巻。
  • 「それってあなたの感想ですよね」―論破の功罪―(新潮新書)
    3.8
    挑発的な物言い、過剰なエビデンス主義、旧来の規範の軽視――とかく相手を「論破」することを是とし、かつ煽る「ひろゆき氏的な思想」が若者たちを魅了している。しかし、その行き着く先にあるのは、SNSでの誹謗中傷、過激YouTuberに外食テロ、FIREブームなど、現代特有の社会問題の数々である。ニーチェや三島由紀夫ら先人の思想をもとに、この危うい思考スタイルを乗り越える道を示す。
  • 学びの本質(新潮新書)
    3.5
    日常生活から難解な科学理論にいたるまで、現代のネット社会では、欲しい情報の入手にはほぼ困らない。では、人はなぜ学校に行くのか。教師や教科書を通して知識を得るためか、それとも経済的に恵まれた仕事につくためか――長年アフリカをはじめ世界の教育政策と歴史を研究してきた著者が、自身の試行錯誤を振り返りながら、「学ぶ」という人間の本質的な営みの核心へと迫る。AI時代の到来を見据えた画期的論考。
  • 絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 1巻【電子特典付き】
    4.5
    1~5巻990円 (税込)
    気づいているんだ。俺はマンガの世界の住人……しかも、ボーイズラブの。自分がBLマンガの世界の住人だと気づいてしまった主人公(※巨乳好き)。彼は迫りくるイケメン達を回避するため、BLマンガを大量に読み漁り、恋愛に発展しそうなシチュエーションなどの知識を得た。彼の身に着けた回避能力は今のところは無敵だが、そこは「BLの世界」……。次から次へと新しいシチュエーションで「BLの世界」のLOVEフラグが主人公に襲いかかる――!! 【電子版特典】巻末には電子書籍限定マンガ1Pを収録! ※この電子書籍は2019年4月に祥伝社より配信されたコミックと内容や特典も含めて同じです。重複購入にご注意ください。
  • 軍産複合体―自衛隊と防衛産業のリアル―(新潮新書)
    4.0
    台湾有事が現実的な懸念となる今、自衛隊の安定的な運用のためにも防衛産業の再興が欠かせない。しかし、日本の防衛産業には何重もの「足かせ」がある。顧客は自衛隊だけ、大企業の弱小部門に過ぎない存在感の低さ、筋違いの「死の商人」批判などから、「本当はやめたい」会社も少なくないのだ。一貫して自衛隊と防衛産業の取材を続けている専門家が語る、「軍産複合体」のリアルな姿。
  • 大絵画展(新潮文庫)
    3.8
    バブル期に180億円で落札されたゴッホの『医師ガシェの肖像』。だがその十数年後、この絵は厳重に警備された倉庫の中で、モネやルノワールなど134枚の世界的名画とともに眠っていた。同じ頃、荘介と茜は投資詐欺に遭い、膨大な借金を背負う。追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ……。息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑ったのは!? 痛快な大どんでん返しが待つ傑作美術ミステリー。 ※電子版には、カラー口絵はつきません。(解説・村上貴史)
  • ウツパン―消えてしまいたくて、たまらない―
    完結
    4.8
    全1巻990円 (税込)
    助けを求めるって、なんでむずかしいんだろう――。ある日、目が覚めると28時間が経っていた。ふとんから起き上がれなくなったウツパンは、やがて「死にたい」という気持ちに振り回されるようになる……。生きていく苦しさから逃れたくて、「死」を選んだウツパンが見つけた生きる道とは――? 大反響!! 「死にたい」気持ちをリアルに描いたコミックエッセイ。臨床心理学者・末木新氏解説付き。
  • この気持ちもいつか忘れる(新潮文庫)
    3.8
    毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。(解説・菅波栄純)
  • オルタネート(新潮文庫)
    4.0
    高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」が必須の現代。料理コンテストでの失敗に悩む調理部部長の蓉(いるる)は、再びの挑戦を決断。高校を辞め居場所を探す尚志(なおし)は、音楽家らのシェアハウスに潜り込む。オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、アプリが導く運命の相手を探す。そして文化祭の初日、三人それぞれに起こる奇跡――。10代の過酷さと煌めきを鮮やかに切り取る、青春小説の新たなマスターピース。(解説・重松清)
  • 画家とモデル―宿命の出会い―(新潮文庫)
    4.0
    生涯独身を貫き、人知れず青年のヌードを描いたイギリス屈指の肖像画家サージェント。身分違いの女公爵への恋文を絵に潜ませた宮廷画家ゴヤ。遺伝性疾患のために「半人半獣」と蔑まれた少女を描いたイタリアの画家フォンターナ。15年にわたり人妻と密会して描き続けたリアリズムの巨匠ワイエス……。不世出の画家たちが画布に刻みつけた、モデルとの濃厚にして深淵なる関係を読み解いた論集。(解説・諏訪敦)
  • ザ・ロイヤルファミリー(新潮文庫)
    4.2
    お前に一つだけ伝えておく。絶対に俺を裏切るな――。父を亡くし、空虚な心を持て余した税理士の栗須栄治はビギナーズラックで当てた馬券を縁に、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」のワンマン社長・山王耕造の秘書として働くことに。競馬に熱中し、〈ロイヤル〉の名を冠した馬の勝利を求める山王と共に有馬記念を目指し……。馬主一家の波瀾に満ちた20年間を描く長編。山本周五郎賞受賞作!(解説・今野敏)
  • オペラ座の怪人(新潮文庫)
    3.8
    19世紀末、夜ごと流麗な舞台が繰り広げられるパリの花、オペラ座。その地下深くには奇怪な事件を巻き起こす怪人が棲み着いていると噂されていた。怪人は若く可憐なクリスティーヌに夜毎歌の手ほどきを授けていたが、歌姫に想いを寄せる幼馴染の子爵との仲に嫉妬しクリスティーヌを誘拐。結婚を迫り、拒否すればオペラ座を爆破すると脅すのだった……。ホラー小説の先駆けと名高い世紀の名作。(解説・岡田暁生)
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)
    3.8
    現実味を増す台湾有事に備え、自衛隊の元最高幹部たちが「有りうるかも知れない有事の形」をシミュレーションしてみた。シナリオは、グレーゾーンでの戦いの継続、物理的な台湾の封鎖、全面的軍事侵攻、終戦工作の4本。実際に有事が発生したら政府は、自衛隊は、そして国民は、どのような決断を迫られるのか。リアルなストーリーを通じて、「戦争に直面する日本」の課題をあぶり出す。
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)
    4.3
    「暇」とは何か。人間はいつから「退屈」しているのだろうか。答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう――現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加えて待望の文庫化。
  • トヨタ物語(新潮文庫)
    4.3
    同じような部品や機械を使っても、できあがった自動車の性能はまったく違うものになる。その違いを生むのは生産方式だ。「ジャスト・イン・タイム」「かんばん方式」――トヨタ自動車は「トヨタ生産方式(TPS)」に則り優れた自動車を作り続けてきた。「日本人が作った車で生活が豊かになる」と夢見た三河の自動織機会社が世界のトヨタになるまで。TPSの最深部を描き切った巨編ノンフィクション。(解説・千住博)
  • 最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―(新潮新書)
    3.6
    ・成績が上がる・集中力が上がる・記憶力がよくなる・発想力が豊かになる・ゲームがうまくなる……etc.etc.ではその方法とは!? コロナ禍で自宅時間が増え、大人も子供もスマホやパソコン、ゲームやSNSに費やす時間が増えていませんか? 欧米では運動不足や睡眠不足、うつになる児童や若者の増加が問題になっています。記憶力や集中力の低下、成績悪化、心の病まで引き起こす、そんな毎日を一変させる方法を本年度50万部のベストセラー『スマホ脳』著者、ハンセン先生がやさしく教えます。教育大国スウェーデンの教育現場を変えた、簡単なのに科学的な方法とは!?
  • 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)
    4.1
    日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために「一汁一菜」という生き方をはじめてみませんか――。料理研究家・土井善晴による根源的かつ画期的な提言は、家庭料理に革命をもたらした。一汁一菜の実践法を紹介しながら、食文化の変遷、日本人の心について考察する。著者撮影の食卓風景も数多く掲載。(解説・養老孟司)
  • 極主夫道 8巻 小冊子付特装版
    3.7
    仁義なきドーナツ対決、接待任侠ゴルフ、“キマる”テントサウナ、強すぎる婦警さんなど、クセが強いエピソード盛りだくさんな“極道系”日常コメディ! 【小冊子付特装版内容】 シリーズ初となる特装版には『極主夫道』劇中に登場するアニメ、『クライムキャッチポリキュア☆』の漫画小冊子を収録!! (執筆:助野嘉昭 原案:おおのこうすけ)
  • 数学者たちの楽園―「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち―(新潮文庫)
    3.6
    アメリカの超人気アニメ『ザ・シンプソンズ』は、ハーバード大学の数学者たちがシナリオを書き、超難解な「数学トリビア」がちりばめられていたこと、ご存じですか? 番組の熱狂的ファンである著者が、シンプソンズ一家が繰り広げるドタバタ風刺アニメに隠された数学の魅力とサブカル的ディテールを語り尽くす。アメリカの知性あふれる笑いと毒の粋を発掘する異色の科学ノンフィクション。(解説・竹内薫)
  • クイーンズ・ギャンビット(新潮文庫)
    4.1
    孤児院で育った少女ベス。用務員にチェスを習い天賦の才を開花させた彼女は、やがてウィートリー夫人に引き取られ、各地の大会で強豪プレイヤーを相手に次々優勝、男性優位のチェス界で頭角を現す。孤児院で与えられた安定剤と、アルコールへの依存とも闘いながら、ベスはついにソ連の大会で最強の敵ボルゴフに挑む――。世界的な大ヒットドラマの原作となった、天才少女の孤高の挑戦を描く長編。
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)
    4.2
    六十歳を前に、離婚して静かに人生の結末を迎えようとブルックリンに帰ってきた主人公ネイサン。わが身を振り返り「人間愚行(フォリーズ)の書」を書く事を思いついたが、街の古本屋で甥のトムと再会してから思いもかけない冒険と幸福な出来事が起こり始める。そして一人の女性と出会って……物語の名手がニューヨークに生きる人間の悲喜劇を温かくウィットに富んだ文章で描いた家族再生の物語。
  • 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―(新潮文庫)
    4.5
    ミャンマー奥地で遭遇した、納豆卵かけご飯。日本以外にも納豆を食べる民族が存在することをそのとき知った。そして著者は探求の旅に出る。ネパールでは美少女に導かれ、湖南省で味噌との関係に苦悩。東北秋田で起源について考える。“手前納豆”を誇る人びと。夢中で食べた絶品料理。愛する食材を追いかけるうちに、アジア史までもが見えてきた。美味しくて壮大な、納豆をめぐる冒険の記。(解説・小倉ヒラク)
  • みすゞと雅輔(新潮文庫)
    4.2
    「みんなちがって、みんないい。」小さな命の輝きを詠った金子みすゞ。弟の雅輔(がすけ)は幼くして養子に出され、みすゞを姉と知らずに文学の友となる。新発見の雅輔の日記から浮かび上がる二人の文芸への情熱、青春の光と影、愛と嫉妬、みすゞの自死、永遠の別れ。大正デモクラシーに生まれた童謡詩が、戦争にむかう昭和に衰退する時代背景を描きながら、知られざるみすゞ像に迫る、画期的伝記小説。(解説・片山宏行)
  • ワン・モア・ヌーク(新潮文庫)
    4.2
    「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」。原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。爆発は3月11日午前零時。福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの、その真意を政府は見抜けない。だが科学者と刑事の執念は、互いを欺きながら“正義の瞬間”に向けて疾走するテロリスト二人の歪んだ理想を捉えていた――。戒厳令の東京、110時間のサスペンス。
  • 部長が堕ちるマンガ
    4.8
    1~2巻990円 (税込)
    「なんで、私が同人誌に!?」会社で部下に睨みをきかせる堅物部長の小山田が腐女子の部下に堕とされたのは、めくるめくオタクの世界――!? 堅物部長×腐女子部下の堕落系コメディ開幕!
  • 実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。 1巻【電子限定特典付き】
    完結
    4.1
    生まれてはじめて泣くまで殴られた。その時、生まれてはじめて恋に落ちた。暴力を受けることでしか興奮できない被虐趣味を持つ私。自分でも理解し難いこの欲望を、己の中に溜め続けた日々に、突然限界が訪れた――。もっと他にやるべきことがあるような気がするけど、向き合おう、自分の欲望に!! 23歳、処女、恋愛経験なし、性的嗜好がこじれまくった作者が恋に落ちた奇跡を描く、ちょっと過激な初恋エッセイ。【電子版特典】巻末には電子書籍限定のイラストを収録!
  • 代替医療解剖
    4.4
    ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと──。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。
  • 罪と罰(上)
    4.2
    鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。
  • 陽のあたる坂道
    -
    外見は、富んで進歩的で明るい田代家。だが、倉本たか子が家庭教師として内側に入ってみると、そこには複雑で欺瞞だらけの家族関係が現前しているのだった。そんななか、妾腹の次男・信次は、やや不良ながら生一本の快男子で、重苦しい家庭の空気を体当りで破った彼は、家族の虚偽の仮面をも引きはがして、ついにはたか子の愛を勝ちとる――。青年層に多大の共感をよんだ名作。
  • 江戸前の男 春風亭柳朝一代記
    4.3
    最初の入門にしくじって、出戻りから、春風亭柳朝の落語家人生ははじまった。気っ風うが良くて喧嘩っ早い、そのうえ野暮が大嫌い。おまけに酒と博奕には目がなくて、女も好きの道楽三昧。しかし、落語のセンスは抜群で、やがて、立川談志・三遊亭円楽・古今亭志ん朝に並ぶ四天王の一角を担うようになったのだった……。粋を貫きとおした、これぞ江戸っ子芸人の破天荒な生涯を描く。
  • 江戸三尺の空
    -
    ゆすりたかりに押し込み、殺しで、獄門となるはずだった囚人・音次。が、市中引廻しの最中に、なぜか縄が解けて脱走する。牢屋同心は責任をとって切腹、その息子・角之助は、父の仇を討つため、岡っ引の子分となって音次の行方を探す。次々と裏切り者を始末する音次、追いつめる角之助、二人をめぐる女たち。悪の巣と化した邪淫寺を舞台に、江戸の闇を描くピカレスク時代長編。
  • 松岡洋右 悲劇の外交官(上)
    -
    昭和8年、国際聯盟脱退。昭和15年、日独伊三国同盟。昭和16年、日ソ中立条約。――昭和史の重大な転回点の立役者として外交手腕を発揮した異色の政治家・松岡洋右。軍部にも政党にも組せず、独自の理想実現のために行動した彼の生涯と思想を追いながら、太平洋戦争に至る日本の軌跡を新たな視点で見つめる。本書には、松岡の出生から国際聯盟全権に任ぜられるまでの前半生を収める。
  • 三島由紀夫の世界
    3.5
    破れた初恋が、その生涯に落した長い影。「假面」の創造と「他者」への転生の足跡。そして、死を賭してまで世に訴えたかったこと……。生前の深い交友を絶妙の通奏低音としつつ、創作や評論、ノート、書簡等、あたう限り三島由紀夫自身の言葉にもとづき、類いなき文学者の全体像を精緻に浮びあがらせる。スキャンダラスな曲解、伝説の数々を払拭、「三島論」の期を画した決定版評伝。
  • 森

    4.0
    明治33年、15歳の菊地加根は九州から東京の森の学園・日本女学院に入学した。恋愛、友情、嫉妬……、「新しい女性」の理想を掲げた自由な校風の下、加根を取りまく女学生たちの青春の姿が細やかに描かれ、明治の群像が瑞々しく蘇る。女性たちの自立への物語であると同時に、幕末から明治30年代に至る文化史でもある豊潤なロマネスク小説。近代日本の百年を生きた著者の最後の大作。
  • いつまでも若いと思うなよ
    3.3
    若さにしがみつき、老いはいつも他人事。どうして日本人は年を取るのが下手になったのだろうか――。バブル時の借金にあえぎ、過労で倒れて入院、数万人に 一人の難病患者となった作家が、自らの「貧・病・老」を赤裸々に綴りながら、「老い」に馴れるためのヒントを伝授する。「楽な人生を送れば長生きする」「新しいことは知らなくて当然」「貧乏でも孤独でもいい」など、読めば肩の力が抜ける、老若男女のための年寄り入門。
  • 薄桜記
    3.7
    愛する妻の過ちから左腕を失って浪人し、はからずも非業の運命を生きることになる当代一の使い手・丹下典膳。高田馬場の決闘で一躍名をあげ、素浪人の身の上から浅野の家臣となる闊達な正義漢・中山安兵衛。かの〈忠臣蔵〉事件にまきこまれた二人は、互いに友情を抱きながら、やがて敵味方に別れてゆく――泰平の元禄の世を揺るがした赤穂義挙の裏話として無類の面白さを放つ時代長編。
  • 卑弥呼
    4.2
    ガラス張りの午後の喫茶店でも爽やかに口にしたくなる、大らかで明るい呼び名を女性のアソコに。そんなキャンペーンを企画したのは、低迷気味月刊男性誌の編集部員ユウコ、猫みたいにいい女。BFのカオルがまた、申し分なくいい男。でもこの二人には、一つだけ難点がある。どうしても出来ないのだ、アレが……。おかしくて切なく、卑猥にして気高きビルドゥングス・ラヴ・コメディ。
  • 新しい天体
    1.0
    1巻990円 (税込)
    予算の残りを食いつぶすために生れた《景気調査官》。彼の役目は文字通り各地の食物を試食し、景気に関する“実感的レポート”を作製することにある。銀座のたこ焼きをふり出しに、知床半島から鹿児島まで、あり余る“取材費”にものを言わせて、主人公はただひたすら食いまくる……。官僚主義への痛烈な諷刺を軸に、一瞬にして消え去る美味の本質を見事に捉えた異色の食味小説。
  • 化石の森
    -
    現代という“化石の森”をさすらう主人公は、予期せざる危機に追い込まれる。ショッキングな結末が、そこにこめられている寓意の恐ろしさが、いっそう深い衝撃性をもって読者の胸に伝わってくる。劇薬《メディアチオン》による完全殺人、母親に対する嫌悪、荒廃した性愛、関わりのない他人への自己破滅的な献身。救い難い矛盾に引き裂かれた医学生・緋本治夫の戦慄の行動を通して、現代人の内部に暗く鬱積した怒りを白日のもとにさらし、他者とは何か、人間の存在とは何かを追求した、渾身の書下ろし長編。芸術選奨文部大臣賞。
  • 「昔はよかった」病
    3.6
    「昔はよかったね」――日本人はそう言って今を嘆き、過去を懐かしむばかりだ。昔は安全だったのに、子どもは元気だったのに、地域の絆があったのに、みな勤勉だったのに……。しかしそれは間違いだ。捏造された追憶、あるいは新しいものを否定する年長者のボヤキにすぎない。資料を丹念に分析し、シニカルな視点で通説を次々ひっくり返す。「昔はよかった」病への特効薬となる大胆不敵の日本論。
  • 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―
    4.6
    ロシア外交、北方領土をめぐるスキャンダルとして政官界を震撼させた「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた――。外務省きっての情報のプロとして対ロ交渉の最前線を支えていた著者が、逮捕後の検察との息詰まる応酬を再現して「国策捜査」の真相を明かす。執筆活動を続けることの新たな決意を記す文庫版あとがきを加え刊行!
  • 人斬り以蔵
    3.8
    自己流の暗殺剣法を編み出し、盲目的な殺し屋として幕末の世を震えあがらせた岡田以蔵の数奇な生涯を追跡する表題作。日本陸軍建軍の祖といわれる大村益次郎の半生を綴った『鬼謀の人』ほか、『割って、城を』『おお、大砲』『言い触らし団右衛門』『売ろう物語』など。時代の変革期に生きた人間の内面を鋭く抉り、長編とはまた異なる味わいの、人間理解の冴えを見せる好短編、全8編。
  • 城塞(上)
    4.1
    「豊臣家をつぶす」──“関ヶ原”から十四年、徳川家康は多年の野望を実現すべく、大坂城の秀頼・淀殿に対して策謀をめぐらす。方広寺鐘銘事件など、つぎつぎと打ち出される家康の挑発にのった大坂方は、西欧の城塞をはるかに凌ぐといわれた巨城に籠城して開戦することを決意する。大坂冬ノ陣・夏ノ陣を最後に陥落してゆく巨城の運命に託して、豊臣家滅亡の人間悲劇を描く歴史長編。
  • 「自分」の壁
    3.6
    「自分探し」なんてムダなこと。「本当の自分」を探すよりも、「本物の自信」を育てたほうがいい。脳、人生、医療、死、情報、仕事など、あらゆるテーマについて、頭の中にある「壁」を超えたときに、新たな思考の次元が見えてくる。「自分とは地図の中の矢印である」「自分以外の存在を意識せよ」「仕事とは厄介な状況ごと背負うこと」――『バカの壁』から十一年、最初から最後まで目からウロコの指摘が詰まった一冊。
  • 路傍の石
    4.1
    極貧の家に生れた愛川吾一は、貧しさゆえに幼くして奉公に出される。やがて母親の死を期に、ただ一人上京した彼は、苦労の末、見習いを経て文選工となってゆく。厳しい境遇におかれながらも純真さを失わず、経済的にも精神的にも自立した人間になろうと努力する吾一少年のひたむきな姿。本書には、主人公吾一の青年期を躍動的に描いた六章を“路傍の石・付録”として併せ収める。
  • 孔子
    3.8
    二千五百年前、春秋末期の乱世に生きた孔子の人間像を描く歴史小説。『論語』に収められた孔子の詞はどのような背景を持って生れてきたのか。十四年にも亘る亡命・遊説の旅は、何を目的としていたのか。孔子と弟子たちが戦乱の中原を放浪する姿を、架空の弟子・えん薑が語る形で、独自の解釈を与えてゆく。現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した最後の長編。野間文芸賞受賞作。
  • 悪女について
    4.1
    《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。
  • 草競馬流浪記
    5.0
    競馬場のある町には、他の町にはない味がある。さあ、馬券を買って旅に出よう! 中央競馬にない楽しさ、ガイドブックにない名所を求めて、東へ西へ南へ北へ、全国公営競馬27カ場完全踏破。ギャンブルを、読むだけで楽しむのもよし、本書をまねて自ら実践するもよし。競馬ファンはもちろん、競馬にまったく関心のない人にもおすすめできる、本当の旅の魅力が、ここにある――。
  • 影武者徳川家康(上)
    4.5
    慶長五年関ヶ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された! 家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者、只者ではなかった。かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人」であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ……。

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  • 飢餓海峡(上)
    3.9
    1~2巻990円 (税込)
    樽見京一郎は京都の僻村に生まれた。父と早く死に別れて母と二人、貧困のどん底であえぎながら必死で這い上がってきた男だ。その彼が、食品会社の社長となり、教育委員まで務める社会的名士に成り上がるためには、いくつかの残虐な殺人を犯さねばならなかった……。そして、功なり名を遂げたとき、殺人犯犬飼多吉の時代に馴染んだ酌婦、杉戸八重との運命的な出会いが待っていた……。
  • Dの複合
    3.7
    作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や奇怪な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。

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  • 眼の壁
    3.9
    白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に背負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者・田村の応援を得て、必死に事件の真相を追う。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織に立ち向かうが、手がかりは次々に消え去ってしまう…。複雑怪奇な社会の裏に潜む悪の実体をあばき、鬼気迫る追求が展開するベストセラー。

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  • 孤高の人(上)
    4.3
    1~2巻990円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
  • 本居宣長(上)
    4.5
    「とにもかくにも人は、もののあはれを知る、これ肝要なり……」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。
  • 漂流
    4.6
    江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。

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  • 蒼ざめた礼服
    3.6
    大学卒業から四年。就職難で仕方なく入った会社の仕事に男は気が乗らない。だが、古本屋でふと手にした雑誌をきっかけに、政財界の裏で活動する柿坂経済研究所に入るや、持ち前の好奇心を発揮し始めた。しかし、独自に探っていた謎に、国会でも注目の特殊潜水艦の建造計画が絡んで、殺人事件まで相次ぎ……。国防問題と巨大軍需産業の闇を背景に描かれた白熱の社会派ミステリー。

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  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―
    3.6
    現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く「黒地の絵」。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した「真贋の森」。他に、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる「装飾評伝」など7編を収める。

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  • ジェーン・エア(上)
    4.3
    孤児として、伯母に育てられたジェーンは、虐待され、ローウッド寄宿学校にいれられる。そこで八年を過した後、広告を出し家庭教師として赴いた先に居たのは子供と家政婦だけだった。散歩の途中助けた人物こそ、屋敷の主人ロチェスターであると知ったジェーンは、彼と名門の貴婦人とのロマンスを聞き、胸が騒ぐ。
  • パラサイト・イヴ
    3.7
    事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。

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  • 用心棒日月抄
    4.3
    用心棒が赴くところにドラマがある――。故あって人を斬り脱藩。己れの命を危険にさらし、様々な人の楯となって生きる浪人青江又八郎の苛烈な青春。江戸は元禄、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれ、請け負う仕事はなぜか浅野・吉良両家の争いの周辺に……。凄まじい殺陣の迫力と市井の哀歓あふれる十話。
  • パラダイスバード
    完結
    5.0
    月の出モール街で古書店を経営する美野さんの元に集まってくる奇妙な人々。さらにそのモール街には謎の「裏側」があって!? 阿佐ヶ谷の商店街を舞台に、美女や妖怪、ネコたちが入り乱れ、やがて異界への「扉」が開く!! 伝説のSF漫画家・佐藤明機がついに動き出す!! 「@バンチ」連載分に加え、「ピアニッシモ」連載の第1部、さらに幻の作品だった「家出王国」も収録した完全版。同じく未収録の短編や描き下ろし外伝、4コマ「日本気配」も収録します!!
  • 国家の総力(新潮新書)
    4.2
    国家の総力をあげて、中国を食い止めよ! 台湾有事が現実的な懸念となった近年、軍事面での議論はなされるようになってきた。しかし、国家間の戦いがグレーゾーンから始まる現在、総合的に有事を想定しておかなければ実際の戦闘には対応出来ない。エネルギーと食料安保、シーレーン防衛、特定公共施設と通信、そして経済・金融への影響などの観点から、有事における日本の問題を考える。
  • 百日紅の咲かない夏
    3.8
    1巻1,023円 (税込)
    父の事故死、母の出奔で別々に育てられた姉弟が、十年ぶりに再会した。以来、十七歳の弟は、二十歳の姉を週末ごとに訪ねる。夜、姉の布団で幼子のように身を寄せながら、歳月の重さと互いの愛の深さにおののく二人。その年、北国の町では怪しげな商事会社が暗躍し、孤独な二人に危険な人間関係がからみつく。
  • 暗い波濤(上)
    4.0
    1~2巻1,023~1,078円 (税込)
    昭和18年4月、特設巡洋艦愛国丸は、台湾での基礎教育を終えた海軍第二期予備学生550余名を乗せて帰国の途につき、呉に入港した。ここで予備学生たちはそれぞれの配属先に別れるのだった。霞ヶ浦航空隊の栗原、海軍兵学校の田崎、館山砲術学校の三宅――彼らは厳しい専門訓練を経て任官し、前線に出てゆく……。自ら青春を日本海軍とともにした著者が情熱を傾けた渾身の二千枚。
  • 風屋敷の告白
    3.0
    定年退職して暇をもてあまし、素人のくせに事務所を立ち上げた還暦探偵コンビ、憲幸と勉。最初のお客である美しい人妻の依頼で、空き家となった洋館の持ち主を捜し始めた二人は、なんとそこで白骨死体を発見してしまう。いったい殺されていたのは誰なのか。そして屋敷に隠された秘密とは――。危なっかしくも果敢なオヤジ探偵の大奮闘。めくるめく展開が待ち受ける長編ミステリー。
  • エトロフ発緊急電
    4.0
    1巻1,023円 (税込)
    1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。この攻撃の情報をルーズベルトは事前に入手していたか!? 海軍機動部隊が極秘裡に集結する択捉島に潜入したアメリカ合衆国の日系人スパイ、ケニー・サイトウ。義勇兵として戦ったスペイン戦争で革命に幻滅し、殺し屋となっていた彼が、激烈な諜報戦が繰り広げられる北海の小島に見たものは何だったのか。山本賞受賞の冒険巨篇。
  • 安楽病棟
    3.9
    深夜、引き出しに排尿する男性、お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける女性、気をつけの姿勢で寝る元近衛兵の男性、異食症で五百円硬貨がお腹に入ったままの女性、自分を23歳の独身だと思い込む女性……様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。理想の介護を実践する新任看護婦が気づいた衝撃の実験とは? 終末期医療の現状と問題点を鮮やかに描くミステリー!
  • 臓器農場
    4.0
    1巻1,023円 (税込)
    新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」──。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か? 真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手……。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
  • 冬の旅
    4.1
    1巻1,023円 (税込)
    美しく優しい母を、義兄修一郎が凌辱しようとした現場を目撃した行助は、誤って修一郎の腿を刺して少年院に送られる……。母への愛惜の念と義兄への復讐を胸に、孤独に満ちた少年院での生活を送る行助を中心に、社会復帰を希う非行少年たちの暖かい友情と苛烈な自己格闘を描き、強い意志と真率な感情、青春の夢と激情を抱いた若い魂にとって非行とは何かを問う力作長編。

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  • 現代お笑い論(新潮新書)
    NEW
    -
    「なんだかわからないけど、面白い」はなぜ生まれる? “全身落語家”を標榜しながら、若手芸人の登竜門M‒1グランプリの審査員を務めた著者は、「ぶっ飛んだ」漫才を高く評価する審査を貫き、いつしか個性派を指す「志らく枠」という言葉まで生まれることに――ランジャタイ、トム・ブラウンを見出した落語家が、超ニッチな若手からレジェンドまで総勢90組を縦横無尽に論評、現代の「お笑い」の真髄に迫る!
  • 43歳頂点論(新潮新書)
    3.7
    植村直己、長谷川恒男、星野道夫――名だたる冒険家やクライマーが、なぜか同じ年齢で命を落とす。背後にあるのは、歳とともに落ちる体力と上がっていく経験値とのギャップ、すなわち「魔の領域」だ。二十代の頃、「体力の衰えは経験でカバーできる」と語る先達を「心中ひそかにバカにしていた」著者が、五十代を前に「その言葉は衰退の言い訳ではなく真理」だと思い至るまで、極地探検家ならではの圧倒的人間論!

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