Posted by ブクログ
2021年09月01日
【概要】
タイトルや帯で分かる通り、日本史の全体を俯瞰した本。
本書は大きく二部構成になっており、いわゆる「通史」と「テーマ史」に分かれている。
しかし、同ジャンルの本との決定的な違いは「固有名詞が極限まで排されている」こと(更に、著者は日本史の専門家ではない)。
【感想・レポート】
本書の意...続きを読む義は固有名詞を極限まで排したことだと述べたが、どちらかと言えば「社会学者が日本史の専門知識に依らず、社会学的視点から俯瞰した日本史」と言った方が適切かもしれない。
日本史の固有名詞を避けたからこそ、現代社会との繋がりをより意識しやすい歴史描写が可能になったものだと感じる。実際、「古代政権はフランチャイズ」といった、現代に置き換えた比喩が多様されている。
日本史の専門用語を先に学校で詰め込んで頭でっかちになっている私のような人には、いまいちぱっとしない部分もあった。 単に私の読書力が無いだけなのだが(また読み直します)、全く新しい日本の歴史の見方として一度頭を真っ白にして読む、或いはこれから日本史を勉強しようとする方々には読みやすいのではないだろうか。
「歴史とはつまるところ、証拠と推論の組み合わせによって織りなされる叙述である」(p309)のだから。