Posted by ブクログ
2016年01月04日
出版当時26歳だった気鋭の若手社会学者である著者が既存の若者論を更新した名著の文庫版です。脚注部分など2015年時点で新たに追加されている部分もあり若者論のテキストの最新改訂版としても読み応えがあります。若者論を歴史的かつ体系的に述べた第一章はそれだけでも価値が高いものだと私は思います。
本書の中で...続きを読む我々が「一億総若者化時代」を生きている、と著者が述べているのが特に印象に残りました。
世代ごとの意識の差が減少し続け、今後ますます多くの若者が「正社員」や「主婦」という既存の社会が前提とした「大人」になれないのだとしたら、若者は年齢に関係なく「若者」でありつづけるしかない。著者の指摘は鋭く着眼点がすごいです。
不安定が若者らしさであるとしていつまでも不安定なままの大人になれない若者ではない若者が増え続けるならば我々の社会はどうなるのだろうか?
著者の今後の活動がますます楽しみです。