天皇への敗北―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

天皇への敗北―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

ビジネス・実用
990円 (税込)

4pt

公布から80年、今こそ日本国憲法を本気で考える。憲法をめぐって紡がれた物語は、国民に浸透しつつも、第二次安倍政権下で危機に直面する。その時、立ちはだかったのは意外な“存在”だった――。「天皇への敗北」はなぜ起きたのか? その理由を、30年前に物議を醸した「敗戦後論」、昭和の憲法学者と文人の抵抗、戦争責任まで遡って探る。戦後憲法学の試みを近代文学に準え、複雑に絡み合う「天皇・憲法・戦後」の核心に迫る。

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天皇への敗北―シリーズ哲学講話―(新潮新書) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     3日で読み切った。現在の右傾化した政治のもと、天皇上皇が戦後新憲法によって象徴天皇制のもと立憲主義と憲法擁護、憲法の実践してきたのは平成の天皇だと思う。退位の時の天皇の記者会見は国民に深く刻まれていると思う。在任中に戦争がなかったことを涙しながら語られていた。
     国分功一郎が国民は天皇の憲法擁護の姿勢に深くひれ伏すのである。安倍晋三の改憲に待ったしたのも天皇だと。
     加藤典洋、中野重治、江藤淳、高橋弘樹などの論考を引き合いに天皇への敗北を導きだしている。、とくに加藤典洋のアジアの人たち2000万の犠牲者に謝罪する前に310万の日本人犠牲者に謝罪しろとした意見に多くの識者が反駁したように加藤典洋には否定している。天皇の戦争責任にも言及して、戦後81年戦争責任を国民的議論をしてよいのではないかとしている。
    今のヒステリックな理由のわからなはな好戦的な右傾化した政府、理由のわからぬ皇室典範改正などがされた社会だからこそもっと議論すべきだし、この本は光を放っている。

    0
    2026年08月27日

    Posted by ブクログ

    天皇の存在を1条に規定してしまったがゆえに天皇が日本国憲法全体の守護者のようになってしまったという矛盾。平和護憲のシンボルとして天皇が機能しているせいで、リベラルも天皇制が反人権的制度であり廃止すべきと言わないといけないのにむしろ擁護論に回ってしまっている現状など、、。
    そのような現状が戦前戦後からどう作られてきたのかも整理されていて非常にわかりやすく、またタイムリーな出版で皇室典範改正のニュース理解に役立ちました。

    これを機に海外の皇室の態度や憲法や議会承認との関係も軽く調べてみましたが、各国いろんなやり方をしていて、歴史に裏打ちされている存在というのは厄介だなと思うなど。國府先生にはぜひこの、天皇や王室というのが現代社会や私たち個人にどう機能しているのかもっと深掘りして欲しいです。なぜ彼らは、税金を使って消費ではなく浪費的な生活をさせられているのか、、彼らが身につけるている品々が贅沢なだけではなく品があり真に価値があるものと認識されるのか、、などなど不思議に思うことが多いです。品性とはなんなのか。。。

    0
    2026年08月16日

    Posted by ブクログ

    「民主主義とは、民衆が権力を作る政治体制のこと。立憲主義とは、いかなる権力も制限される原理のこと」であり、立憲主義が危機に瀕すると、天皇がグッと前にせり出してきてこれを守ろうとする構造が日本国憲法には内蔵されているという指摘に、今日の日本の状況を鑑み深く納得。日本国民が憲法秩序を守るために成熟した態度をとることが出来ず天皇に頼ってしまったことを、天皇への敗北と評し、戦後、成熟出来ずにいる我々日本国民は、人権が認められず、その身分に即した義務と特権のみがあるという身分制を残した「飛び地」である天皇制の問題を曖昧にせず、潜在的な被害者意識を乗り越え戦争責任を主体的に引き受けられるようになることの必要制に深く同意。また情不感症はダメであるし、また、人情に負けるのもダメであること、人情的なものから目を背けず、その「皮膚感覚」を感じとることの重要性は現在の左派、リベラルの支持率の低さを考える上で大切な指摘に感じた。

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    2026年07月05日

    Posted by ブクログ

    まーじでいま読まれるべき本。

    憲法一条で規定された天皇は、憲法の存在が脅かされるときに護憲的な役割を果たすという機能が内在されていた。天皇制はもちろん令和のいまリベラルな価値観では到底許容してはならない「飛び地」である…にもかかわらず第二次安倍政権での安保法案改正・あるいはそもそも超民主主義的なふるまいをする安倍政権に対して「民主主義」としてNOを突き付けることができず、天皇の言葉に頼る形になってしまった。これが「天皇"への"敗北」として本書で書かれていることだ。全くもって非常にその通りで、現状の高市政権にていま議論されている皇族数の確保問題も超重要な国民的マターとして進めないといけない。

    0
    2026年06月17日

    Posted by ブクログ

    立憲主義が安倍内閣の時に破壊された時に、主権者である国民によって抵抗できなかった。その抵抗を天皇に頼るしかなかったということを敗北と表現していた。
    では、なぜ国民による抵抗をできないような状態になってしまったのか、戦後の憲法学の失敗はなんだったのかという話は複雑で半分くらいしか理解できず。9条をアメリカが作っていながら、それを自分らが作ったものとして自分自身を騙している、納得させているという「ねじれ」がその原因ということらしいが、ニュアンスのみ分かったような気がする。美濃部達吉が憲法草案時に反対して、GHQの支配下の中で戦力不保持を記載するという実態にあった文言にするのが良いという意見はねじれがないというイメージとして理解した。しかし、ねじれがある状態は完璧には分からず

    そもそも、安倍政権時代を立憲主義から見るとこのような見方になるということを全く知らず。アベノミクスのイメージばかりであった

    0
    2026年09月23日

    Posted by ブクログ

    戦後の平和教育は戦前の天皇制を否定し、戦争を放棄し、国民主権を謳った日本国憲法を基盤に、戦前とは180度異なることを日本人に教えてきた筈だった。

    昨今、その憲法を変えようとする一部の政治家が力を持った。それは衆参両院の3分の2以上の賛成という改憲の条件の一つを変えようとすらした。
    憲法という国家の基盤をもっと容易く変えられるようにしようというのは、改憲論議である以前に憲法を軽く考える、不遜なものだった。

    しかし、その行動にブレーキをかけたのは、平和教育を受けて育った国民ではなく、憲法によって戦前の立場を否定された天皇自身だった。天皇自身が憲法を尊重する意思を見せたことで、護憲の世論が息を吹き返した。

    我々が続けてきた平和教育とはなんだったのか、それを受けて育ってきた日本人とはなんだったのか。

    0
    2026年09月19日

    Posted by ブクログ

    本書で書かれている「天皇への敗北」とは、政治で憲法問題が問われる時(本書では具体的に第二次安倍政権の政策を指している)天皇の「お言葉」や態度により、護憲が示された。このことにより左派・護憲派までもが「天皇の素晴らしさ」を語った事実を言っている。つまり言論と自由を信として闘うはずの日本のリベラルが悲しいことに「天皇は危機の時に現れて社会を救う」という理論を立ててしまう「日本言論の敗北」のこと。
    中盤ではこの「天皇への敗北」から、日本国民の倫理、対東アジア軋轢の原因を追究している。
    後半ではさらに昭和天皇の戦争責任や、現在も続く憲法第一条の問題も言及している。

    日本国憲法で天皇に基本的人権が及ばない問題を「憲法の飛び地(問題)という」196

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    2026年09月17日

    Posted by ブクログ

    民主主義なき立憲主義は空虚であり、立憲主義なき民主主義は盲目である、この意味合いを理解する機会となった。また、憲法学における飛び地問題についても、昨今の議論を俯瞰する上で、とても参考になった。

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    2026年07月27日

    Posted by ブクログ

    ・民主主義と立憲主義の緊張関係
    ・民主主義のみではだめp56
    ・P68 天皇への敗北
     天皇による護憲的立場に頼ってしまっている
     (天皇はそもそも憲法に内蔵されている仕組み)
     安倍政権時 憲法秩序が危機を迎えた際、
     民主主義的な手段での対抗はほとんど力を持たなかった

    →メモ:天皇は家父長制の頂点にある存在であり、その意味で象徴天皇制の廃止を求める意見もある。が、憲法秩序の維持において天皇が果たしている役割を知り、天皇制廃止する・しない と短絡的に考えることはできないなと思った

    ・P123 戦後 という観点で考えないこと
     それはゼロの出発を想定することになり、主体として戦争責任を引き受けることはできない
     加藤の指摘:現代と戦前の日本との連続性の欠如 
     連続性をどうつくるか(自己欺瞞をどうなくすか)
    ・P135 アクチュアルな問題に取り組むことによって、連続性を作る

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    2026年06月20日

    Posted by ブクログ

    タイトルこそ天皇だけど、語られる大半は憲法と文学。作者自身は哲学者なので自説を滔々と語るのではなく、感じたことを発言していくスタイルが信頼できるとともに読みやすい。読み終えて日本人はそろそろ天皇から卒業・自立しないといけないのではと改めて思いました。

    0
    2026年06月15日

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