2011年3月11日に東北地方を襲った未曾有の大災害。
自衛隊の一側面である「災害派遣」を伝えるノンフィクション。
「第1部 誰かのために」では、被災時の生々しい様子や懸命の救助活動、被災者の方々への細やかな配慮、隊内でのやりとり等が紹介されています。ひとつひとつのエピソードはとても短く読みやすく
...続きを読む、不安を抱えながら生活している人々の心にもすんなりと入っていったのでは。
誇りと使命感を抱いて任務に当たられる尊い姿。国防上の危機に備えて、平時から厳しい訓練を積んで来た自衛隊だからこそ為し得た事です。
私も本書から(つまり、自衛隊の活動から)いただいた勇気は計り知れません。
続く「第2部 災害派遣の舞台裏」で述べられる国防論、付録資料「東日本大震災と原発事故における自衛隊の活動」も必見。
震災直後、たまたますれ違った自衛隊車両。恐らく東北地方に向かう途中であろうトラックに掲げられた「災害派遣」の文字を見た時に感じた、頼もしさ。
被害の大きさや任務に伴う危険を思うと、簡単に「がんばってください」などとは口にできませんでしたが、それでも本当に心から「ありがとうございます、お願いします」という思いでいっぱいになり、涙が出た事が忘れられません。