桜林美佐のレビュー一覧
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ネタバレ自衛隊を含めた防衛産業の現況と問題点、並びにこうなったらいいのに、という願望・希望が語られている本。
防衛に関わる事業は儲からない、自衛隊のためにやっている、という老舗又は中小企業の努力は本当に頭が下がります。
随意契約ができず競争入札で、定常的な発注が見込めない以上、企業としては赤字になりやすいプロジェクトを認めにくい状況はその通りでしょう。
製品に対する原価計算方式が問題との指摘がありました。これは、医療機器(特定保険医療材料など)の保険適用希望書を提出して、厚労省に認めてもらうスキームのように、研究開発費を原価に含めることができれば、理論的には、赤字は解消されるのでは?と感じました。(時間がかかっちゃいますけどね)
学術界もそうですが、防衛産業になんであんなにアレルギーがある人が多いのか個人的には理解できない。国の安全があってこそ、というか、日本に手を出したらやばい!って思われるような体制(ソフト面、ハード面の広い意味で)にしないと本当に舐めてくる隣国が多いので、自衛隊をはじめ、防衛産業に従事する方々には頑張ってほしい。
平和ぼけと言われて久しい国ですが、本当に、街中にミサイルが落ちて、実際に被害が出ないと変わらないのかもな、と少し暗い気持ちになって閉じました。 -
Posted by ブクログ
元陸将、元空将、元海将という、自衛隊のトップクラス幹部を務めた方々が出演し、ウクライナの状況について考察を述べるYouTube番組の書籍化。
個人的にこれといったことは何もできないながら、関心を持ち続けることだけはやめないようにしようと思っている中で、プロの分析を読みたいと思い検索で見つけた。
自衛隊幹部の分析ということで、政治の延長としての戦争という現代的な定義をベースに展開される論理的な考察は、テレビでは全く聞けない具体的で実際的なものばかり。期待を上回る内容であった。
本書の元の動画は最初の5ヶ月間に公開されたものなので、2023年6月現在では新しい事実が分かっていると思われることもあるのは仕方がないところ。
専守防衛というコンセプトは個人的には賛同だが、それも攻撃的抑止力がないとなりたたないのかもしれない、ということはそう思えるようになってきた。
また、ファシリテーターである桜林氏のあとがきに興味深いことが書かれていた。
陸海空軍は基本的に別組織であり別の論理で動くものであるいうことは各国共通だが、日本の場合は同じ学び舎で4年を過ごす珍しい方式をとっていることが、統合運用の進化を比較的スムーズに進める効果をもたらしているとのこと。
こういった特長が、専守防衛というこれも珍しいコンセプトと融合して、日本式の抑止力の構築につながることを期待したい。 -
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桜林美佐さんの警告と、提言です。
色々と気づかされることを述べられています。
経済のなかに防衛は存在し、防衛は外敵から国民の幸福、すなわち経済そのものを守っているのです。
現実的に恐れるべきなのは、万が一、日本が戦争に巻き込まれたとしても、何もできないことの方です。
戦争によって多数の人が命を落とし、傷つき、人生を変えられてしまう。
現在の日本には他国を侵略するような能力がないどころか、「専守防衛」すらも、人員面でも装備面でも十分にまかないきれません。
国防力を整備し、戦争が起きないようにしていくことこそが国防と防衛経済育成の最大のポイントです。
周辺各国は停滞を続ける日本の都合など構わずに経済成長を続け、それ以上の勢いで国防費を増やしています。このままでは差が開く一方です。
軍事はリアリズムです。理想を語ることも大切ですが、いま、この瞬間の国防、安全保障は、徹頭徹尾、現実的に捉えなければならない事象です。
いまケアしなければ、10年後の結果は見えているのです。
防衛経済の正しい育成を通じてこそ平和と繁栄が保たれます。
私たちは、いまの日本を生きるものの責任として、悪い事態を防ぐ努力をしなければなりません。
桜林さんみたいに日本のことを思ってくれて発言・活動をされてくれている人がいてくれてありがたいですし、私も自分なりに日本のため、日本人のために生きなくてはいけないと思いました。 -
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2011年3月11日に東北地方を襲った未曾有の大災害。
自衛隊の一側面である「災害派遣」を伝えるノンフィクション。
「第1部 誰かのために」では、被災時の生々しい様子や懸命の救助活動、被災者の方々への細やかな配慮、隊内でのやりとり等が紹介されています。ひとつひとつのエピソードはとても短く読みやすく、不安を抱えながら生活している人々の心にもすんなりと入っていったのでは。
誇りと使命感を抱いて任務に当たられる尊い姿。国防上の危機に備えて、平時から厳しい訓練を積んで来た自衛隊だからこそ為し得た事です。
私も本書から(つまり、自衛隊の活動から)いただいた勇気は計り知れません。
続く「第2部 災害派遣の舞台裏」で述べられる国防論、付録資料「東日本大震災と原発事故における自衛隊の活動」も必見。
震災直後、たまたますれ違った自衛隊車両。恐らく東北地方に向かう途中であろうトラックに掲げられた「災害派遣」の文字を見た時に感じた、頼もしさ。
被害の大きさや任務に伴う危険を思うと、簡単に「がんばってください」などとは口にできませんでしたが、それでも本当に心から「ありがとうございます、お願いします」という思いでいっぱいになり、涙が出た事が忘れられません。 -
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ネタバレ大東亜戦争を元自衛隊幹部の方々が振り返れば・・・という、つまり軍事のプロの視点で描かれている。
前段で述べられている通り、これは「正解」ではないということである。歴史問題であるから視点によって変わるから当然でしょうね。反省すべき点は現代に活かしてほしい、というメッセージが含まれていると思います。
所々、現代の政治や企業組織運営論にも述べられていました。また、対話書き起こし形式の書籍でしたこともあり、割と軽く読み進めることができました。
自分自身、大東亜戦争について誤解していたと思われる部分もあり(何が正解なのか、ではありますが)、読み終えて意識をアップデートしたような気分です。 -
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著者が長年にわたり防衛産業について調査し、雑誌「丸」に連載してきたものをまとめた本。よく調べられていると思う。知らなかった内容が多く、勉強になった。
「(防衛産業問題)この問題が産業政策だと捉えている人も多く、そうではなく、これは「安全保障政策」であるという認識を高めなければならないのである」p10
「防衛装備品生産に従事する企業における防衛需要依存度は平均で4%程度だ。防衛産業の規模は約1.8兆円といわれ、自動車などの製造業全般は58兆円である中、100円ショップよりも小規模である。企業にとってこの部門ははっきり言って、なくなってもいいものである。防衛需要への依存度は企業によっては1%以下というところも少なくない」p11
「どんな経営においても「特需」ではなく「安定受注」を求めている。それこそが、コストつまり価格を下げ、雇用創出に繋がるということがあまり理解されていない」p18
「(防衛生産基盤の維持が難しいこと)大きな要因は、自衛官にあると思う。多くの自衛官には当事者意識はない。それどころか「防衛産業のために運用するわけにはいかない」「防衛産業の話は聞かない方がいい」などという考え方がまかり通っているのである」p19
「防衛生産・技術基盤の維持」とは、「可哀そうな防衛産業に送るエール」でも何でもなく、残しておかないと「日本の防衛力が困る」つまり、自分たちの生命に関わる施策といっていいことを、繰り返し認識して政策なり戦略なりを進めて欲しいと思う」p41
「(FMS)修理に出したら最後「2年前に送ったきり戻ってきません」などという話もザラにある。また、そもそも納入が6年以上も遅れた誘導弾があったり、戦闘機の通信機が丸9年以上納入されなかったケースもあるという。結局、購入する時は「すぐに」「最新のものを」と良かれと思い決めても、後で泣かされることになるパターンが少なくないのだ」p57
「(IHIのジェットエンジン開発)少なく見積もっても、向こう10年は赤字になるだろう。企業にとっては大胆な決断だった」p128
「米国では経済安全保障は国防省主導で考えられているようだが、わが国では防衛省が主導するわけではない」p176
「(装備移転)「装備品の輸出を」というが、だいたい、日本の自衛隊が国産を買わないのに、それを外国に買ってもらおうという発想自体がおかしいのではないだろうか。相手国を見下しているのだろうか」p237
「(防衛装備庁が担当)相手は国や軍であり、装備品を買うことに対し自国の農産物などの購入を約束させる「オフセット取引」を求められる場合も多いというのに、勝手に対応できるはずがない。諸外国が当たり前に行っている首脳外交の場を使ってトップセールスをしなければ話にならないだろう。そのためには、官邸が装備庁では今どんな話が進行中なのかといった情報を常に知っている状況を作る必要があるだろうし、首脳会談で漠然とした話をしても意味がなく、具体的な売り込みをここでできるように準備する必要がある」p242
「今後、装備移転の成功事例を増やしたいのなら、首相だけでなく「制服自衛官」もキープレイヤーになる覚悟が必要だ」p245
「米国では、国家の研究開発予算の約半分を国防総省が持っている」p255
「(ノーベル)ニトログリセリンは振動などでも爆発を起こしてしまう非常に不安定な物質だったため、ノーベルの爆薬製造工場が爆発事故を起こしてしまい、5人もの死者を出してしまった。その中には実弟も含まれていた」p259 -
Posted by ブクログ
東日本大震災のとき、まさに国民のために滅私奉公した防衛省・自衛隊の記録。平時は顧みられることなく、批判や無理解にもさらされる自衛隊。未曾有の大災害にあたって、彼らはどのような思いで任務に臨んだのか?
女性自衛官や事務官、即応予備自衛官、警備犬など、防衛省・自衛隊のなかでも特にスポットの当たりにくい部分も紹介しているのがよかった。
著者はおそらく保守的な思想の人で、この本も美談本という側面はあるのだが、あの時、あの場所で、確かに賞賛されるべき行為が、評価されるべき人たちが存在したということは事実だと思う。
終盤では国防の現状にも触れている。人員減、「純粋な」国防予算減。自衛隊は災害派遣専門部隊ではなく、戦闘部隊であり、これからもそうでなくてはならないということ。こういうことの是非も、考えていく必要がある。