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会津出身の父から「喧嘩は逃げるが、最上の勝ち」と教えられ、反発した鷹志は海軍の道を選び、妹の雪子は自由を求めて茨の道を歩んだ――。海軍兵学校の固い友情も、つかの間の青春も、ささやかな夢も、苛烈な運命が引き裂いていく。戦争の大義を信じきれぬまま、海空の極限状況で、彼らは何を想って戦ったのか。いつの時代も変わらぬ若者たちの真情を、紺碧の果てに切々と描く感動の大作。(解説・末國善己)
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Posted by ブクログ
武勇を語らず、かと言って、人道を主人公に体現させることもなく、ヒーロー像を描かず、戦争を美化せず、その運命を笑わず、骨太に敗北の受け入れを描く物語で、とてもよかった。
久しぶりに戦時物を読んだ気がする かなり面白かったです 須賀しのぶさんの本はこれで5冊目だけど すべて4点以上にしてた 個人的に5冊以上読んで4点以上だった作家さんは他にいない 文章が上手いし飽きさせない
良い話だったとは思うがなんか薄っぺらな印象。しかし、本の感想からは離れるが、戦前の日本にはバカしかいなかったのだろうか?国民を虫ケラの様に扱う天皇以下の腹黒い国の指導部と、疑うことなくそれに従い殺し合いを美化するおめでたい勘違い集団。それが日本だったのかと情けなくなる。決して愛国心などではなく、単な...続きを読むるカルト宗教の教祖とその取り巻き一派と信者。そして、その指導部の生き残りから続く子孫が支配する現在のこの国。長年利権にしがみつく与党は保守の化けの皮を被った反日売国奴集団。自立できない国民は他人事人任せ。結局、戦後も更にレベルが下がっただけなのかも知れない。
須賀様に脱帽 この作品を書くために作者はどれほどの調べ物をしたのだろう…。わかりやすく、かつ正確に描かれる海軍士官と妹の物語。 こういった戦争作品はどうしても重く、取っ付き難いと感じてしまいがち。でも、読み終わってみると、なんでもっとはやく読まなかったんだろう、と、、。 各章の冒頭にある雪子の手...続きを読む紙を最後に読み返した。すごすぎてため息… 「兄さん」と「鷹志さん」という呼び方、文章からわかる雪子の成長や精神状態、、 とにかく読んでください。
幼少期の頃の話から終戦に至るまでのストーリーの移り変わりが非常にスムーズ。最後のページを読み終わった瞬間、すぐにもう一度初めから読み直したくなった。積読必須。戦争もの、歴史ものではあるがとてもとっつきやすく自然と自分の中に落とし込める感覚がある。「革命前夜」を読んだ際も感じたが、作者は緩急のつけ方が...続きを読む非常に上手い。
物語は大正12年から始まり、後の海軍少佐永峰鷹志の少年時代、海軍兵学校時代、そして太平洋戦争終戦までが描かれています。 兵学校時代、同じ分隊の級友や先輩たちの戦時中の話や、本土に残された家族の話、そして太平洋戦争が始まり紺碧の海へと乗り出していく兵士たち、「弱虫」と揶揄されながらも、艦からは犠...続きを読む牲者を出さぬように「逃げる」ことに全力を尽くす鷹志。 この時代を生きた人々の思いが胸に迫ってきました。
ー友よ、紺碧の果てを見よ。 愛するものの防人たれ。 日本語は美しいと節々に感じられた一冊。 物語自体はもちろん素晴らしく、第二次世界大戦の複雑な戦況の中に見事に構築されたストーリーは圧巻。 鷹志の心、他の登場人物の信念、自分も物語の中に入ったのではないかと錯覚を抱くほど入り込める描写だった。 ...続きを読むしかし、それ以上に心に残るのが筆者の紡ぎ出す美しい日本語だった。 悲惨な戦争で、多くの命が奪われている物語に対して不謹慎かもしれないが、読後に心が苦しくも暖かくなる。
逃げるは最上の勝ち、ならぬものはならぬ。戊辰戦争後、辛酸を舐めた会津の教えを体現した艦長の判断に共感を覚える。又、奔放に振舞う妹ゆきことのコントラストに、この小説に深みと豊かな情緒をみる。 戦果に散った英霊を美化した小説は多数有るが、牧歌的な昭和初期の生活や教育と主人公の心の成長や拠り所となる思想...続きを読むに至る経緯を明瞭な筆致で描き、極限の環境や置かれた立場の中で、己の信念を曲げずに判断を下すに至った人間性を知る良書であった。
8月には戦争物を読む。 確固とした主義を持っているわけではないけれど、なんとなく読みたい気持ちになるのだ。 タイトルも、カバーイラストも美しい。 繰り返し出てくる『紺碧』のイメージは何なのだろうかと考える。 海と、空? それは刻々と色を変えるものであり、しかし実は何の色にも染まらないものである。 ...続きを読む人間に何があろうと、いつでもそこにある、青は特別な色。 浦賀で育った、永峰(会沢)鷹志の家は、会津の武家の末裔。 父は日露戦争の生き残りだが、昔のことは話さない。 無口だが反戦の気持ちがある。 朝敵、と蔑まれた会津の出だからこそ、「負ければ何もかも失う。変わらないと信じていた正義や美徳も全て奪われ、地べたに叩きつけられ、唾を吐かれる」「勝てない喧嘩はしてはならない」と語る。 まるで、これから鷹志が戦うことになる太平洋戦争を予言しているかのようだが、若い鷹志には噛み砕くことのできない言葉であった。 遠縁で、鷹志を可愛がってくれる海軍士官の永峰宗二の養子に入り、軍人を目指した。 鷹志の3つ下の妹・雪子は父に似て手先が器用。 幼い頃から兄を言い負かす気の強さと知性がある。 ただし、ちょっと変わった子であった。 とても仲の良い兄妹であったが、鷹志が永峰家の養子になって家を出たことで、“繋いでいた手を離された”と雪子は感じる。 兄のいなくなった家を出て、奔放な芸術家の道を歩もうとする。 章の間に、雪子から鷹志に宛てた手紙が挿入されている。 時系列がランダムだ。 あれ?この雪子の気持ちを、なぜ鷹志は知らないのだろう?といぶかしく思うが… 雪子は常に紺碧の中に“飛び去った鷹”を追い求め、探し続けた。 鷹志は兵学校で友を得て青春を謳歌し、海軍に入隊して士官となる。 一見すれば、体育会系の学生生活、そしてお仕事小説のようでもある。 鷹志たちの気持ちもそうだったろう。 その“お仕事”が戦争でなかったならば。 先輩が、友が、散ってゆく中、上層部の愚策に憤る鷹志は、任された艦の運用に自分なりの「被害を出さないための工夫」を凝らし生き延びて行く。 鷹志は艦長という立場だったからこそそれが出来たのかもしれないが、時流に洗脳され、精神論だけをたよりに、上層部からの命令で紙っぺらのように命を燃やしつくしていく若者たちは哀れだ。 この戦争は負ける、と悟った鷹志は、そんな若者たちを、せめて自分の息子のように思う、艦の乗組員たちだけでも、あらゆる手段を使って生き延びさせたいと思うようになる。 鷹志は時々家に戻る。 その日常の部分では、雪子や妻の早苗という女たちの人生も描かれる。 時代に新しすぎて世間に痛めつけられ続けた雪子も、一見地味な女だが芯の強い早苗も、とても魅力的だ。 最後に、鷹志が部下たちに語る言葉には、崇高な感動を覚えずにいられない。 雪子の元から飛び去った鷹は、今は海と空の紺碧の果てを悠々と飛んでいるに違いない。 雪子はそれを、いつまでも見守りつづけるだろう。 第一章 始まりの夏 第二章 江田島 第三章 リメンバー・パネー 第四章 空墓 第五章 紺碧の果て
幼い頃、会津を離れた一家 浦和のドック近くで育ち 兄は海軍へ、妹は芸術の道へ。 仲間たちの死、激しくなる戦争 淡々とした文章だけに胸に迫ります 「紺碧の果てを見よ。愛するものの防人たれ」
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