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Posted by ブクログ
展覧会場などで肖像画を見て、一体何を思うだろう。
画家の画法や技量の巧拙はもちろん考えるとして、モデルの表情、姿勢、着衣などから、この人物は一体誰なのだろう、画家とはどういった関係にあるのだろうといったことを推し量ろうとするだろうか。
本書は、『怖い絵』で有名な著者が、画家とモデルの関係を巡るエピソード18編の文章をまとめたものである。
ゴヤ、ベラスケス、レンブラントといった大画家から、モデルと言えばすぐ連想されるシャガール、モディリアーニも紹介されているが、あまり観ることのない画家たちも取り上げられている。一編一編のエピソードを通して、この絵にはそういう背景があったのか、モデルとはそのような関係があったのかということなどを知ることができて、とても興味深かった。
マネの絵に描かれたことでも有名なベルト・モリゾ、強烈な差し色と曲線が特徴的なタマラ・ド・レンピッカ、長年にわたり密かに一人の女性 ”ヘルガ” を描き続けたワイエスに関するものなどは、実にドラマティックだ。
一番印象に残ったのは、多毛症に生まれた少女、トニーナ(アント二エッタ・ゴンザレス)をフォンターナが描いた一枚の絵に関する文章。多毛症の人間が半獣半人の存在として見世物の扱いを受けたことは文化史の本などで取り上げられており、この絵も挿入図版として見たことがあった。著者はこう語る。「二人の会話がどの程度通じたのかもわからない。しかし本作を見れば言葉はいらない。彼女たちの心は触れ合ったのだ。この人は優しい。この子は可愛らしいーそれが互いの結論だった。そうでなければどうしてこのような愛らしい肖像が生まれるだろうか」。絵に描かれている、つぶらな瞳、思春期の少女らしいはにかみを漂わせた小さな赤い唇、ふっくらとしたやわらかな手を描写した上で、こう結論する、「画家とモデルがいっしょに創り上げた、幸せな一枚」。そうであったことを祈りたい。
Posted by ブクログ
1 )サージェント
2 )ゴヤ
3 )ベルト・モリゾ
4 )ベラスケス
5 )タマラ・ド・レンピッカ
6 )ギュスターヴ・モロー
7 )メンツェル
8 )ロートレック
9 )ホルバイン
10)シャガール
11)フォンターナ
12)ピエロ・デラ・フランチェスカ
13)モディリアーニ
14)クノップフ
15)クラーナハ
16)レンブラント
17)ヴァラドン
18)ワイエス
18人の画家の人生が分かる本。
ひとつひとつが短く、絵の写真も載っているので読みやすいです。
好きな主要画家の表を作りたくなりました。時代と国とその時の世界情勢をまとめて一目で分かる感じの。
ヴァラドン(シュザンヌことマリー=クレマンティーヌ・ヴァラドン)がユトリロの母親と初めて知りました。そもそも彼女のことを知りませんでした。ユトリロは大大大好きだったのに!!
ヴァラドンの絵は確かにちょっとユトリロとタッチが似ていて、ユトリロが人物を描かず寒色の静に対してヴァラドンは人物を描き暖色の動という正反対なところが興味深いなぁと思いました。
クラーナハの、絵でルターを拡めた話も興味深かったし、詳しく知らない人が楽しめる本です。
長年絵に携わる仕事をしているのに詳しくない有名画家も多々いるので、半数のエピソードを興味深く読めました。
Posted by ブクログ
「画家とモデル」と言われると、あとがきや解説にもあった通り、男性画家と美人モデルを想像しがちだが、それだけに留まらないのが中野先生。
勿論、妻に隠したまま愛人を描き続けたなんていう某有名画家の話もあるが、個人的に印象的だったのは、ある女性画家の話。
多毛症の少女をあんなに愛くるしく、そして慈愛に満ちた視線で描いた絵に持っていかれた。
彼女に対する当時の世間での価値観や評価をものともせずに。
絵の背景を知った方がよりその絵に入り込めるのは、確かにその通りだとは思うが、説明されなくても伝わってくるものも確かにあると思う。
この絵はまさに、そうだと思う。
説明不要の愛。
他にも画家とその絵のモデルに関する様々なエピソードが盛りだくさん。
ベタなものから、変わったものまで。
中野先生節は今回も健在で、読みやすく勉強にもなる一冊でした。
本編中には実物が掲載されていない絵のエピソードも多数出てくるので、ぜひ画像検索しながら読むといいかと。
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