文藝春秋作品一覧

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  • 高峰秀子の言葉
    5.0
    名女優が遺した嘘いつわりのない言葉、その生き方 「他人(ひと)の時間を奪うことは罪悪なんです」「苦労は、磨き粉みたいなもんだね」「何でも、まず、やってみせること」――高峰秀子の言葉には嘘や飾り、蛇足がなかった。思わず笑ってしまうウイットに富み、あらゆる心情をさらりと口にした。それは彼女の生き方そのものだった。今も鮮烈な記憶を残す名女優が発した、心に刻まれる30の言葉。 目次より 「返事を書きたい手紙には、住所がない」 「一時が万事ということがあります」 「食べる時は一所懸命食べるといいよ」 「いつも心のノートを真っ白にしておきたいの」 「緊張してたら太りませんッ」 「男の人は職場で見るに限ります」 ※この電子書籍は2014年1月に新潮社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ハリネズミのジレンマ
    3.3
    TVゲーム嫌いだった彼女が「史上最速の青いハリネズミ」ソニックのゲームにハマっている様子を見て「誰の影響で?」と、恋人の心が別の男に奪われたことを疑って嫉妬するマリオ派男子の葛藤を描いた「ハリネズミのジレンマ」、街中でポーズを決めるハダカの銅像から彼らの物語を妄想する「ヌー銅物語」、投稿雑誌で見かける熟年夫婦を電車内で目撃して大興奮する「ときめき夫婦」、トム・クルーズと彼のオカンの会話を勝手にシュミレーションする「トムとマミー」ほか、「人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた」の書き出しでおなじみ、連載500回をこえた「週刊文春」の人気エッセイ「人生エロエロ」83本を収録。 巻末には、話題の本『土偶を読む』の著者・竹倉史人氏とのスペシャル対談も!
  • 肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行
    4.2
    牛、馬、猪、鹿、鴨、鳩、鯨、羊、すっぽん、内臓…… 「人はなぜ肉を食べるのか」 問いを掲げた平松さんは、日本全国十か所をめぐり、 十種の「肉」と人とのかかわりを徹底取材。 ひとつの文化として肉をめぐる諸相をとらえ、 動物とその肉について、見て、聞いて、食べて、 深くその根源を考えた前代未聞のルポルタージュ。  胸骨の端にそっと指を入れて横隔膜といっしょに引き上げると、  紫色に光る かたまりがぽろんと現れた。 (中略)  ぷりっぷりのレバーの一片をそっと口の なかに入れた。(本文「4章 鳩」より) 「生きもの」が「食べもの」になるまでの間には実に様々な工夫や技術が介在し、 「うまい肉はつくられる」ことがわかる。 信念を貫き、魅力的な多くの日本人の「仕事」の 歴史にも光を当てたエキサイティングな傑作ノンフィクション。 解説=角幡唯介 ※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 0から学ぶ「日本史」講義 古代篇
    4.4
    「聖徳太子」は存在しなかった!? 宇宙のビッグバンから仏教伝来、藤原氏の興亡まで、世界史の達人である著者がやさしく語り下ろした、読んで楽しい「日本史」講義。 ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • シャイロックの子供たち
    完結
    5.0
    映画2023年2月17日公開。池井戸潤による原点にして最高峰とも言えるベストセラーミステリー小説、コミカライズ。 「現金が足りないんです」。銀行の支店で起こった現金紛失事件。捜索の結果、当日の日付の入った札束の帯封が女子行員のバッグの中から発見され、疑いがかかる。女子行員は盗ったことを否定し、ミスを隠したい銀行は支店長らが金を出し合って補填をすることに。そのうち、別の男性行員が失踪――。東京第一銀行長原支店――中小企業や町工場がひしめき合う場所に立地し、それらの顧客を主な取引先とする銀行を舞台に、“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上がらない成績……事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤を描く。 銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作ミステリー。
  • セイロン亭の謎
    3.2
    セレブ一族と神戸の異人館が交錯する傑作ミステリー 紅茶輸入業を営む一族の女社長が殺された。中国語メッセージの謎、神戸異人館の美しい邸宅、歴史ロマン。魅惑の平岩ミステリー。
  • 小さな場所
    3.9
    まだ小さな世界しか知らないぼくに、大人たちはこの広い世界の秘密や真実を教えてくれた 台北の猥雑な街、紋身街。狡猾で強欲なだらしない大人たちに囲まれて、少年は世界の広さを知る。切なく心に沁み入る傑作連作短編集。 本書を編集しながら何度も笑いました。気づけば、泣いていました。この物語に出合うために自分は大人になったのかもしれない。ここは温かくて、時に残酷な、生きることへの問いと答えが詰まっています。どうか、現代を生きる子供たちへ、かつて子供だった大人たちへ。この物語が届きますように。――文庫担当編集者 ※この電子書籍は2019年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 鑑識課警察犬係 闇夜に吠ゆ
    3.9
    『正義の天秤』(亀梨和也主演)『婚活探偵』(向井理主演)『不協和音』(田中圭主演)など原作が数多く映像化されている大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説です。 主人公は鑑識課警察犬係に配属されたばかりの岡本都花沙。念願かなって警察犬係に配属となった岡本は、ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組んで、捜査をすることに。岡本の「バディ」となるのは、通称「第二」と呼ばれている民間警察犬訓練施設の訓練士・野見山。野見山は元警察官で、名警察犬レニーとコンビを組んでいました。しかし、あることがきっかけになって辞職。いまは民間の立場から捜査の協力をしています。 本書は五章構成になっています。第一章は、岡本が赴任する前日譚で、主人公は野見山です。レニーに向けられた疑惑の真相と、野見山の決断を描きます。第二章から第五章は、岡本を主人公にして、野見山や先輩刑事の桐谷(第一章では新人犬係として出てきます)など魅力的な脇役を配置しつつ、日々の捜査を描きます。全て読切の短編として読めますが、全体を通じて大きな謎が隠されています。 実際、警察犬の出動依頼が多いのは、行方不明者の捜査で、近年は認知症高齢者の失踪に駆り出されることが多いそうです。当然、そこには認知症を抱える家族の辛さなどもあり、そういう「日常レベル」の捜査を扱うことで、他の警察小説とは違った人間ドラマを描けていると思います。そして捜査官と警察犬が苦労の末に「心を通わせる」ことができた瞬間のなんと愛おしいことでしょうか。 第一章「手綱を引く」は第75回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作になりました。 今後シリーズ化も予定しています。
  • ボナペティ! 秘密の恋とブイヤベース
    3.5
    1巻800円 (税込)
    念願のビストロを開店して早一年。常連客もつき、 経営は順調に見えたが、徐々に客足が鈍り始めた。 新規顧客を開拓すべく立ち上がった佳恵と健司。 しかし、健司は一目惚れした花屋の女性のことで頭がいっぱいで……。 経営不振に陥った店を救う秘策はあるのか? 美味しい料理と切ない恋が心に沁みる、お料理小説シリーズ第二弾。
  • 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式
    3.9
    コロナ禍でさらに進んだ貧困問題 想像を絶する貧困のリアルから様々な支援の方策まで――国内外の最底辺を取材し続けてきた著者が若い世代に全力で届ける感動の講義。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 葬式組曲
    3.8
    20代の女社長が率いる北条葬儀社には、ある「変わった」一面があった 喧嘩別れした父の遺言、火葬を嫌がる遺族、子どもの遺体が霊安室で消失……社員わずか4名の葬儀社は故人の“謎”を解明できるのか。
  • 十字架のカルテ
    4.1
    犯罪者の心の闇に迫る精神鑑定医。医療ミステリーの新境地! 精神鑑定の第一人者・影山司に導かれ、容疑者たちの心の闇に迫る新人医師の弓削凜。だが、彼女も心の中で重い十字架を背負っていた。 光陵医科大学附属雑司ヶ谷病院の新人医師・弓削凜は精神鑑定医を目指し、精神鑑定の第一人者と言われる影山司院長に弟子入りする。影山に導かれ、凜は統合失調症、詐病、解離性同一性障害など、様々な事件の容疑者たちの心の闇に迫る。そして凜にも、どうしても精神鑑定医にならなくてはならない秘密の事情があった。 目次 プロローグ 第一話 闇を覗く 第二話 母の罪 第三話 傷の証言 第四話 時の浸蝕 第五話 闇の貌 エピローグ
  • 拾われた男 上
    完結
    4.0
    ディズニープラスで6月26日、ドラマ配信開始決定! 『シン・ゴジラ』『SP』『ひよっこ』などで話題を呼んだ人気バイプレイヤー・松尾諭の「自伝風」マンガ。 俳優を志して上京したものの、どの劇団にも入れず途方に暮れる青年・マツオ。偶然拾った航空券を警察に届けたら、落とし主は芸能プロダクションの社長だった。社長から「昨今 稀に見る昭和顔だわ…!」と気に入られて、マツオはレッスンやオーディションを受けることになるのだが……。 人気バイプレイヤーはこうして生まれた…のかも?
  • 雲を紡ぐ
    4.5
    壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるのか? 第8回高校生直木賞(2021)受賞作! 羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。 いじめが原因で学校に行けなくなった高校2年生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショール。 ところが、このショールをめぐって母と口論になり、美緒は岩手県盛岡市の祖父の元へ行ってしまう。 美緒は、祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。 一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。 「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。 その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語るように、読む人の心を優しく包んでくれる1冊。 文庫版特典として、スピンオフ短編「風切羽の色」(「いわてダ・ヴィンチ」掲載)を巻末に収録。 文庫解説・北上次郎 ※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • Iの悲劇
    3.9
    Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、 過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。 無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を 再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。 市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、 課長の西野も新人の観山もやる気なし。 しかも、公募で集まってきた定住希望者たちは、 次々とトラブルに見舞われ、 一人また一人と簑石を去って行き……。 直木賞作家・米澤穂信がおくる極上のミステリ悲喜劇。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔
    4.3
    日本初刊行、天才のすべてがわかる決定版がついに文庫化 IQ180以上、中学校中退。起業、AppleでSiriの開発に関わり20代で性を変えた無政府主義者が台湾政府で活躍するまで。 ※この電子書籍は2022年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 無恥の恥
    4.5
    SNS登場で激変! 「恥ずかしがり屋の日本人」はどこに消えた? 古来「恥の文化」を生きてきた日本人。SNS上で「自慢したい!」欲望が溢れ出し……古今東西の恥の感覚を陳列する抱腹絶倒の一冊。 ※この電子書籍は2019年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 昭和天皇の声
    4.0
    「君側の奸」はどこだ!? 皇道派VS.統制派、二・二六事件、 共産党委員長が天皇主義者へ転身―― 男たちの耳にこだまする、幾つもの「天皇の声」。 感涙の最終話で明かされる「真実」とは? 歴史連作短篇集 純朴な陸軍中佐・相沢三郎が統制派の首魁・永田鉄山に凶刃を振るう場面で始まる「感激居士」。二・二六事件の裏のドラマを描く「総理の弔い」「澄みきった瞳」。ある共産党員の魂の遍歴を辿る「転向者の昭和二十年」、そして実質的表題作ともいえるラストの「地下鉄の切符」。抑制された筆に目頭が熱くなる連作短篇集。解説・杉江松恋 目次: 感激居士 総理の弔い 澄みきった瞳 転向者の昭和二十年 地下鉄の切符 ※この電子書籍は2019年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 海の十字架
    3.0
    「銀」と「鉄砲」と「キリスト教」が戦国武将たちの運命を変えた。 大航海時代とリンクしたまったく新しい戦国史観で綴る短編集。 作家生活30周年を迎え、歴史の新しい読み解き方を提示し続ける著者が「戦国時代こそが、『開国』の瞬間だった!」という価値観で描いた革新的な一冊。 表題作「海の十字架」他六篇を収録 1 海の十字架・大村純忠 日本初のキリシタン大名となった大村純忠は、なぜ改宗に踏み切ったのか? ポルトガルの大型帆船「ナウ」を見た純忠の決断とは。イエズス会と大村家の関わりと、貿易港「長崎」誕生秘話。 2 乱世の海峡・宗像氏貞 総勢八万の大軍を擁する大友家、覇権拡大を目指す毛利家。大国に挟まれた十四歳の宗像氏貞が選んだのは「海の民」の本道を貫く生き方だった。 3 海の桶狭間・服部友貞 その実力を認められ、織田水軍として兵を率いてくれと打診された服部友貞は、それを拒絶。「桶狭間の戦い」を経て、信長という男の神髄を知ることになる。 4 蛍と水草・三好四兄弟 瀬戸内の海運を支配して莫大な関銭や津料を得ていた三好家は八ヵ国にも及ぶ版図を誇っていたが、その栄華はある男によって崩れさる。 5 津軽の信長・ 津軽為信 室町幕府の将軍の首をすげかえた信長の行動力を知った為信は、我こそが「津軽の信長」になると決意。南部家を倒すため、為信が練り上げた「策略」とは。 6 景虎、佐渡へ・長尾景虎 家督争いの渦中にいた長尾景虎は、劣勢に立ち、佐渡へ渡り、「ある行動」を起こす。「越後の虎」になった男の出発点を描く。 ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 絵のある自伝
    4.1
    『旅の絵本』『ふしぎなえ』『ABCの本』などが世界中で愛されている画家の、初の自伝。 「自伝のようなものは書くまい」と思っていたが、日本経済新聞の「私の履歴書」欄に原稿を寄せるうちに「記憶のトビラがつぎつぎに開いた」、と大改稿大幅加筆。人情味のある豪傑な義兄、小学校で隣の席だった女の子、朝鮮人の友人、両親、弟……昭和を生きた著者が出会い、別れていった有名無名の人々との思い出をユーモア溢れる文章と柔らかな水彩画で綴る。 「わたしも、冗談が多すぎた。でもまだ空想癖はやまない。しかしこの本に書いたことはみな本当のことで、さしさわりのあることは書かなかっただけである」とは著者の弁だが、炭鉱務め、兵役、教員時代など知られざる一面も。 50点以上描き下ろした絵が、心温まる追憶は時代の空気を浮かび上がらせ、読む者の胸に迫る。楽しく懐かしい、御伽話のような本当のお話。 ※この電子書籍は2014年5月刊行の文春文庫を底本としています。
  • 杖下に死す
    3.4
    大坂に大事あり! 大塩平八郎、起つ 大坂の貧民救済に立ち上がる大塩父子と、それを助ける光武利之。 剣豪小説としての魅力も豊かに幕末前夜を活写した会心の歴史小説。 ※この電子書籍は2003年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版をを底本としています。
  • 昭和の名将と愚将
    4.0
    恩賜の軍刀を与えられた秀才組に名将はいなかった 責任感、リーダーシップ、戦略の有無、知性、人望……昭和の代表的軍人22人を俎上に載せて、敗軍の将たちの人物にあえて評価を下す。 第一章 栗林忠道 第二章 石原莞爾と永田鉄山 第三章 米内光政と山口多聞 第四章 山下奉文と武藤章 第五章 伊藤整一と小沢治三郎 第六章 宮沢繁三郎と小野寺信 第七章 今村均と山本五十六 第八章 服部卓四郎と辻政信 第九章 牟多口廉也と瀬島龍三 第十章 石川信吾と岡敬純 第十一章 特攻隊の責任者 大西瀧治郎・冨永恭次・菅原道大 *電子書籍版では掲載されていない写真があります。
  • 小隊
    3.6
    ★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。 ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。 【収録作】 「小隊」(第164回芥川賞候補) 「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補) 「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞) ※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています
  • 駐車場のねこ
    3.9
    1巻800円 (税込)
    「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。 幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。 つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。 職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。 駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。 おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。 解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」 何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。 文庫化にあたり、改題しました。
  • マラヤ
    -
    『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の巨匠・安彦良和がオールカラー366ページで描く、圧巻のヒロイック・ファンタジーが電子書籍として復刊! 「完璧の城」ハルワタートは、生母エヴァを中心に老師や戦士、役女たちが集う女だけのクニ。かつて、男たちは欲望のおもむくまま戦いに明け暮れ、最終戦争を引き起こし、世界を滅亡へと導いた。それゆえ、ハルワタートでは男は災難をもたらす者として忌み嫌われ、排斥されてきた。マラヤは戦士として、侵入を繰り返す男たちを撃退してきた強者だ。その功績が認められ、次の生母に推挙される。しかし、マラヤは女王蜂のように生殖のためだけの存在になることを拒否、マラヤに嫉妬する戦士デボラの策略もあって、最下層の役女へと降格されてしまう。 底辺の生活にもかかわらず、前向きに生きるマラヤ。当初は対立していたイザベルら役女たちも、マラヤを慕うようになる。苛立つデボラは、マラヤに止めを刺すべく最下層を襲撃する。必死で闘うマラヤたちはハルワタートを脱出し、外界へと向かう。しかし、そこは獰猛な男たちとドラゴンがうごめく魔界だった……。 異界によって引き裂かれ、憎み合う女と男。運命の戦士マラヤは、二つの性の対立を乗り越え、闇夜に光を導くことができるのか──!? 名作『ジャンヌ』、『イエス』に続く、オールカラーコミックス第3弾。
  • よちよち文藝部
    3.3
    国内から世界まで、文豪と名作の魅力を取材と綿密な妄想で語り倒す「よちよち文藝部」。 読んでなくても知ったかぶれる大爆笑の一冊。 この1冊があれば日本の文豪も世界の文豪もどんとこい! ※この電子書籍は2012年10月に文藝春秋より刊行された単行本『よちよち文藝部』と、2019年12月に文藝春秋より刊行された単行本『よちよち文藝部 世界文學篇』の2冊を収録した文庫版を底本としています。
  • 菊花の仇討ち
    5.0
    朝顔栽培が生きがいの同心・中根興三郎はある日、 菊作りで糊口をしのぐ御家人の中江惣三郎と知り合った。 だが帰り路、興三郎は何故か中江と間違えられ、 謎の侍たちに襲われかける。 じつは中江は金のために菊を使い悪事を重ね、恨みを買っていたのだ。 興三郎は憤りつつ、彼の行動を調べ始めるのだが……。   解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 切腹考 鷗外先生とわたし
    4.0
    鴎外を読む、鴎外を生きる 前夫と別れて熊本から渡米し、イギリス人の夫を看取るまでを鴎外の文学と重ね合わせるように書く。詩人が鴎外作品に入り込む新境地。 20代の頃、熊本の切腹マニアを訪れた「わたし」。前夫と暮らした熊本から渡米し、ユダヤ系イギリス人の夫を看取るまでの20年を、「阿部一族」や「ぢいさんばあさん」に重ねる時、言葉が動き出す。生きる死ぬるの仏教の世界に身を浸し、生を曝してきた詩人が鴎外を道連れに編む、無常の世を生きるための文学。解説・姜信子 目次 切腹考 鴎外先生とわたし どの坂もお城に向かう 先生たちが声を放る 弥五右衛門 マーマイトの小瓶 普請中 ばあさんとぢいさん ヰタ・リテラーリス 山は遠うございます 隣のスモトさん 阿部茶事談(抄) ダフォディル 地震 (森倫太郎として死) 解説 風速50米の哀しみ 姜信子 ※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 生涯投資家vs生涯漫画家 世界で一番カンタンな投資とお金の話
    3.5
    どうすればお金と仲良くなれるのか? 麻雀もFXも負け続けのサイバラが、「生涯投資家」村上世彰に投資とお金について教えを乞い、 株とビットコインに挑戦。その結果は文庫特別編「3年後の収支報告」対談で! 村上世彰氏と西原理恵子氏といえば、ともに“お金好き”で知られています。しかし実態は正反対。 村上ファンドをはじめ投資で財をなした村上氏に対し、西原氏は、曰く投資もバクチも麻雀も、実はこれまで負けっぱなし。 そこで本書の前半では、村上氏が西原氏に、 「投資とギャンブルはどう違う?」「買っていい株とダメな株の見分け方」 「損切りのタイミング」「ビットコインの将来性」などについて分かりやすくアドバイス。 後半は実践篇として、西原氏が1000万円を用意し、息子とともに日経225などの株に挑戦! それまでゲームばかりしていた息子はCNNを見るように…… 誰でも投資の極意をつかめるサイバラのイラスト付き! ※この電子書籍は2019年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 飛族
    4.3
    日本海のはずれ、朝鮮との国境に浮か養生島。 かつては漁業で栄えていた離島で暮らす三人の老女のうち、ナオの死で、いまはイオとソメ子のふたりが取り残されている。 九十二歳でひとり暮らしのイオの娘、ウメ子も六十五歳になった。 イオは海女をなりわいとして、八十五歳までアワビを獲るほど、心身ともに丈夫ではあるけれど、娘のウメ子としては心配でならない。 二十五年前の海難事故で命を落とした夫を供養するイオとソメ子。 異国からの密漁船による侵略や、地球温暖化など、不吉な未来を予感しながら、泰然と暮らしを守り続ける老女たち。 そんな島に、おそろしい台風が近づいてきて……。 名作映画「八月の鯨」のように、海辺での厳しい暮らしとシンプルに生きようとする姿に胸を打たれる。 いまの時代こそ、こんな世界に浸りたくなる。谷崎潤一郎賞受賞作品。解説・桐野夏生 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 跳ぶ男
    4.1
    切り立った岩の上で独り稽古を積む、藤戸藩お抱えの道具役(能役者)の長男・屋島剛。15歳の剛は、急逝した藩主の身代わりとして江戸城に送り込まれた。「能」を使った秘策によって、貧しい藩は生き延びることができるのか。 藩の命運を握った剛は、「想いも寄らぬことをする」決意をした――。 天保年間の土地も金もない弱小藩を舞台に、ひとりの少年武家が辿る過酷な運命が、圧倒的リアリティを通して描かれる。 謎と謀(はかりごと)、美と畏れ。研ぎ澄まされた文章と壮大なる謎、唯一無二の武家小説! 「弱冠十五歳の少年が、柳営の棟梁たる将軍に対して、己の能の技量のみを武器に文字通り徒手空拳で命がけの闘いを挑む。しかも与えられた期間は、わずか七ヶ月しかない。これぞまさにミッション・インポッシブル 」  ――川出正樹 (解説より) ※この電子書籍は2019年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ナナメの夕暮れ
    4.4
    【累計26万部突破!】 オードリー若林の6年間の集大成エッセイ 「おじさん」になって世界を肯定できるようになるまで 書き下ろし17,000字!「明日のナナメの夕暮れ」収録 恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない。ゴルフに興じるおっさんはクソだ!―― 世の中を常に”ナナメ”に見てきた著者にも、四十を前にしてついに変化が。体力の衰えを自覚し、 没頭できる趣味や気の合う仲間との出会いを経て、いかにして世界を肯定できるようになったか。 「人見知り芸人」の集大成エッセイ。 人間に、変わらないことで愛され続ける部分と 変わることで愛され始める部分があるとするならば、 この本は、後者の存在を強く示してくれる。 それは、どうしたって変わりながらでしか生き続けることのできない私たちにとって、 頼もしい光となる。(朝井リョウ/解説より) ※この電子書籍は2018年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 江戸 うまいもの歳時記
    -
    人口100万を超える巨大都市・江戸に暮らす人々は、どんなものを食べていた? 春は白魚、浅蜊、白酒、山菜、竹の子… 夏は茄子、鰹、鰻、鮎、カボチャ… 秋は松茸、鮭、鶉、里芋、梨… 冬は葱、蜜柑、寒天、鰯、山葵… 身分階層の違い、住む場所や気候風土の違いはあるものの、人々は季節の食材を、調理法や調味料などで工夫をこらし、大いに食べることを愉しんでいた! 『幕末単身赴任 下級武士の食日記』のロングセラーがあり、江戸の菓子や食の専門家として多くの時代劇ドラマ・漫画の考証に携わってきた著者ならではの、江戸の食・歳時記。
  • 帰還
    3.2
    入社30年、同期の記者たちの絆とは 東日新聞四日市支局長の藤岡が工場の夜景を撮影中に水路に転落し溺死した。 警察は事故と判断したが、藤岡とともに新人時代を三重県で過ごした同期三人は納得がいかない。 編集委員の松浦、初の女性役員になりそうな高本、 なぜか出世ルートをはずれた本郷は真相究明に乗り出すが、 それぞれに家族の問題でも悩みを抱えていた。 ※この電子書籍は2019年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 神さまを待っている
    4.1
    誰にも「助けて」と言えない。 圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。 文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。 会社の業績悪化で派遣切りに遭い、失業保険を受けながら求職活動をするが どこにも採用されない。アパートの更新料や家賃、住民税、そして食費… あっという間にホームレスになった愛は、漫画喫茶に寝泊まりしながら 日雇いの仕事を始め、前の生活に戻ることを目指していたが、次第に 価値観、自己認識が揺らぎ始める。 同じ境遇の女性たち、「出会い喫茶」に来る客との交流。 生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。 ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。 大学に進学し、勉強や就活に励み、まじめに勤めていた女性が またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。 著者自らの体験をもとに描いた「貧困女子」長篇小説。     解説は 俳優・佐久間由衣  ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 甦るロシア帝国
    4.3
    帝国を解体させたイデオロギーがわかる! 若き外交官として崩壊前夜のソ連に着任し、抱いた恐れ――ロシアはいずれ甦り、怪物のような帝国になる。その現状を大幅増補!
  • メランコリック・サマー
    3.5
    ギスギスした心がフニャフニャになるムフフなエッセイ80本! 高2の夏休みに小豆島で出会った清楚な彼女から手紙が届く表題作ほか、VIO脱毛のVIOとは何か? を検索しないで考察する「それって何の略?」、街でばったり初恋の人に遭遇する「初恋のキミ」、ミュージシャンのようにモテたくてライター仲間とツアーに出る「キャーと言われたい」……などムフフと笑って元気になれる「週刊文春」人気連載エッセイ「人生エロエロ」をいきなり文庫で大放出。 笑福亭鶴光師匠との深夜ラジオ対談も収録。 カバー絵はイラストレーター、たなかみさきさんの描き下ろし。 電子書籍版では、本文中のイラスト・写真が全てカラーになっています!
  • 百花
    4.1
    「あなたは誰?」 徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。 ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。 泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。 母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。 記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。 「あなたはきっと忘れるわ。 だけどそれでいいと私は思う」 「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。 あの時のように」 ……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。 『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、 小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で 作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。 各界からも反響が続々! ◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合 ◆深い感動のうちに読了した。  ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次 涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。 解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。 ※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 色仏
    4.3
    江戸末期の京都。僧になるため上京した烏(からす)は、ある女に出会い仏の道を捨て、観音像を彫り始める……著者初の時代小説。 解説・雨宮由希夫 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 雲州下屋敷の幽霊
    4.3
    女の怖さ、儚さ、したたかさ、危うさ――。 江戸時代に起こった事件をモチーフに紡がれた珠玉の5篇。 単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。 「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、 どんな酷い仕打ちを宗衍に受けても、恨む素振りを見せない。 業を煮やした宗衍が思いついたのは、彼女の背に刺青を入れさせることだった……。 「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、 材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。 彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。 「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。 貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、 花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。 ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録。 解説・田口幹人(書店人) ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本『奇説無惨絵条々』を改題した文庫版を底本としています。
  • 初詣で 照降町四季(一)
    3.7
    日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町に「鼻緒屋」の娘・佳乃が三年ぶりに出戻ってきた――  著者初・江戸の女性職人が主役の書下ろし新作<全四巻> 1巻「初詣で」内容 文政11年暮れ。雪の降る中、18で男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町に戻ってきた。 懐かしい荒布橋(あらめばし)を渡り、町の入り口に立つ梅の木を、万感の思いで見上げる佳乃。 実家の鼻緒屋では、父が病に伏せっており、九州の小藩の脱藩武士・周五郎を見習いとして受け入れていた。 父にかわり、職人として鼻緒挿げの腕を磨く佳乃は、新鮮なアイデアを出して老舗の下駄問屋の宮田屋に認められ、吉原の花魁・梅香からも注文を受ける。 自分を受け入れてくれた町に恩返しをすべく、日々を懸命に生きる佳乃だったが、駆け落ちの相手・三郎次が あとを追ってきて―― 「己丑の大火」前夜の町と人々を通して描く、知恵と勇気の感動ストーリー。
  • 合成生物学の衝撃
    4.3
    人間を“改造”する技術はすでに実在する! DNAを設計し人工生命体を作る――。ノーベル賞受賞のゲノム編集技術や新型コロナワクチン開発、 軍事転用など最先端科学の表と裏。 生命の設計図であるゲノムのデジタル改変を可能にした合成生物学。この技術で、人類は自然に存在しない 生命体を誕生させることに成功した。医療などで応用が期待される一方、軍事転用の危険も指摘される “神の領域”の科学。第一線の科学者や巨額の投資を行う軍当局を取材し、その光と影に迫る、渾身のリポート。 ※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 神様の罠
    3.5
    人気作家6人の豪華すぎるアンソロジー! ミステリー界をリードする作家による、珠玉の「罠」。 好きな作家を指名買いの方も、新たなお気に入り作家を探す方も納得の一冊です。 「夫の余命」乾くるみ 「崖の下」米澤穂信 「投了図」芦沢央 「孤独な容疑者」大山誠一郎 「推理研VSパズル研」有栖川有栖 「2020年のロマンス詐欺」辻村深月
  • だるまちゃんの思い出 遊びの四季 ふるさとの伝承遊戯考
    5.0
    〈第23回日本エッセイスト・クラブ賞〉〈第15回久留島武彦文化賞〉受賞。 生誕92周年に記念復刊した名エッセイの文庫化。 1926年に福井県の小さな町で生まれ7歳まで過ごした。自然豊かな地でのびのびと自由に遊んだ経験をもとに、ごく平凡な子供の遊びを綴った本。 とはいえ、ただ昔を懐かしむものではなく、子供自身が何を考え、どう感じ、様々な思考と準備を経て、生活や人間関係の悩みや葛藤も抱えながら「遊んでいた」のか――。大人の目ではなく、子供の心になって遊びを見つめてきたエッセイ集。 本人による「あとがき」「新あとがき」付き。 文庫版には、「月刊文藝春秋・巻頭随筆エッセイ」(2014.7月号)を追加。また巻頭に〈子供の季節の遊び〉を描いた貴重なカット絵を中心とした16pのカラーページを挿入。 文庫解説・辻惟雄(美術史家)
  • うつくしい子ども
    4.1
    14歳の兄は、それでもこの世界をあきらめなかった 裏山で見つかった、9歳の少女の惨殺体。“犯人”は、まだ13歳のぼくの弟だった。絶望と痛みの先に、少年が辿りつく真実とは――。 ※この電子書籍は2001年12月に文藝春秋より刊行された文春文庫の新装版です。
  • 苦汁200% ストロング
    3.9
    震えているのは自分の声なのに、まるで他人事だった。 悔しさも悲しみも、なかなか追いついてこない。 クリープハイプ・尾崎世界観の赤裸々日記、絶頂の第2弾。 文庫版では、『母影(おもかげ)』が芥川賞にノミネートされ、情熱大陸に密着される日々を綴った2万字の書き下ろし最新日記「芥川賞ウッキウ記」を収録。 日常から溢れたすべての記録。 2020年12月25日 とある小説を読んでいて、 色んなことを思い出した。 それまで届かなかった事、 悔しかった事、 腹が立った事、 今まであたかも自分が 被害者であるかのように 振る舞ってきた。 でも、今回思い出したのは 加害者としての記憶だ。 都合良く忘れていた記憶が 蘇ってきて、愕然とした。 何気なく、確信的に、 自分は人を傷つけてきた。 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子
    4.4
    その女性は、出生前診断をうけて、「異常なし」と 医師から伝えられたが、生まれてきた子はダウン症だった。 函館で医者と医院を提訴した彼女に会わなければならない。 裁判の過程で見えてきたのは、そもそも 現在の母体保護法では、障害を理由にした中絶は 認められていないことだった。 ダウン症の子と共に生きる家族、 ダウン症でありながら大学に行った女性、 家族に委ねられた選別に苦しむ助産師。 多くの当事者の声に耳を傾けながら 選ぶことの是非を考える。 プロローグ 誰を殺すべきか? その女性は出生前診断を受けて、「異常なし」と医師から伝えられたが、生まれてきた子は ダウン症だったという。函館で医師を提訴した彼女に私は会わなければならない。 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 音叉
    4.3
    日本を代表するロックバンドTHE ALFEEの高見澤俊彦による初小説は、 恋愛と音楽に溢れる70年代青春小説! 東京の平凡な大学生・雅彦は同級生と組んだバンドでデビューを目指す一方、学生運動に染まる響子やグラマーな加奈子、憧れの美佐子先輩との恋愛模様に翻弄される。 順風満帆に見えた大学生活だが、思いがけない悲劇でデビューか友情かの決断を迫られることに。さらにある歴史的事件によって恋愛にも陰りが……。 何者かになりたくて足掻く青年たちを、原宿のレオンや赤坂のビブロスといった70年代東京カルチャーをふんだんに盛り込んで描き出す。 音楽業界を知り尽くした著者ならではの視点が光るスピンオフ短編も収録。 さらに、文庫用に書下ろしエッセイも収録。 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 奈緒と磐音 居眠り磐音
    3.8
    “居眠り磐音”が帰ってきた! 全五十一巻で完結した平成最大の人気シリーズが復活。 豊後関前藩中老職の嫡男・坂崎磐音の朋輩に妹の奈緒が生まれたその日(「赤子の指」)。 四歳の奈緒が磐音の嫁になると口にした日の出来事(「梅雨の花菖蒲」)など、本編では描かれなかった5つの物語を収録。 ふたりの幼き日々から悲劇の直前までを描き、万感胸に迫るファン必読の一冊。
  • 陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版
    4.1
    佐伯泰英さんの代表作「居眠り磐音」決定版! 第一巻『陽炎の辻』は、豊後関前藩の若き武士3人が、国許へと帰参するシーンから始まります。 その夜、3人が直面した思いもよらなかった運命。 そして、浪々の身となった坂崎磐音は江戸・深川で長屋暮らしを始めます。 平成でもっとも愛されたエンタメ時代小説。 著者自らが再度手を入れ〈決定版〉として蘇りました。
  • 文春将棋 読む将棋2021(文春ムック)
    4.0
    すべての棋士にはドラマがある。 盤上で魂を削りあっている棋士のストイックな佇まいを描きたい、 技術はわからなくても、その筋書きのないドラマを伝えたい。 そんな思いから生まれた、将棋の魅力が詰まった すべての将棋ファンに送る1冊! 一章  「藤井聡太と若き才能」 棋士18人が証言する「藤井聡太、進化の過程」 「教授」勝又清和七段の<王位戦と藤井聡太>回想録 佐々木大地五段 将棋は生きる希望だった 西山朋佳女流三冠 三段リーグの藤井聡太戦 斎藤慎太郎八段 名人挑戦への道「4強に五分以上で」 広瀬章人八段 対局で感じた藤井聡太二冠の進化と成長 野原未蘭女流1級 秘伝の将棋「英春流」 東大将棋部と藤井聡太ほか 二章 羽生世代と見果てぬ夢 藤井猛と行方尚史、二人は戦友 さよなら、八王子将棋クラブ 深浦康市九段 諦めない「粘りの棋士」 桐山清澄九段 73歳現役最高齢棋士「幕を閉じた順位戦」 豊川孝弘七段 こうしてできたオヤジギャグ 山崎隆之八段 初のA級へ「齢40にして強くなる」など
  • トコとミコ
    3.9
    6歳から96歳まで、歴史に翻弄された二人のヒロイン。 伯爵家の令嬢・燈子と、遊び相手に選ばれた使用人の娘、美桜子。 ふたりはトコとミコと呼び合い、友情を育みながら、大人への階段を上っていく。 だが、終戦を境に伯爵家は没落、才気煥発な美桜子は実業界で成功し、燈子とその家を支えていく。 時に慈しみ、時に妬み傷つけ合いながらともに歩んだふたりの90年を描く、感動の大河ロマン! ※この電子書籍は2016年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 旅路 上
    3.5
    池波正太郎のヒロイン、仇討の旅 彦根藩の勘定方・三浦芳之助が斬殺された。 下手人は御目付方・近 藤虎次郎らしい。 男は逃亡し、藩庁は三浦の若妻・三千代に実家へ戻るようにと沙汰した。 納得出来ぬ三千代は敵討ちのため故郷を出奔、 道中危難に見舞われるが、堀本伯道と名乗る謎めいた老人に救われる。 美しくしなやかな武家の女の数奇な運命を描く傑作長編。
  • 宇喜多の楽土
    3.6
    戦国を駆け抜けた心やさしき俊才の生涯 父・直家の跡を継いだ宇喜多秀家は、秀吉の寵愛を受け豊臣政権の中枢となる。 しかし秀吉没後は、派閥争いや家中騒動に苦しみ、 西軍の主力として臨んだ関ヶ原の戦 いで壊滅する。 敗走する秀家だが、彼が目指したのは、武士としては失格の場所だった――。 心優しき秀才が、嵐世に刻んだ覚悟とは? 傑作歴史長編。 解説・大西泰正 ※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 三国志名臣列伝 後漢篇
    4.5
    後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。 能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。 184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、 後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。 大将軍の何進、 劉備の師である盧植、 曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。 解説・湯川豊 目次 何進(かしん) 朱儁(しゅしゅん) 王允(おういん) 慮植(ろしょく) 孔融(こうゆう) 皇甫嵩(こうほすう) 荀彧(じゅんいく) ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 花影の花 大石内蔵助の妻
    3.5
    赤穂浪士・大石内蔵助の妻、りく。 忠臣として語り続けられる大石内蔵助ではなく、その妻にスポットライトを当てた、影の「忠臣蔵」。 討ち入り後、りくは遺児となった大三郎とともに生きるが、その生涯は哀しいものだった。赤穂に嫁ぎ、夫を支え、そして夫亡き後は忠臣たちの遺族のもとをまわるなど、最期まで武士の妻であった。そんなりくの人生を平岩弓枝が鮮やかに描き出した傑作長編。涙なくしては読めません。 第25回吉川英治文学賞受賞作。 ※この電子書籍は1990年に新潮社より刊行され、文藝春秋より2020年12月に刊行した文庫版を底本としています。
  • 【増補版】息子がいじめの加害者に? 大原さんちの大ピンチ
    3.8
    ある日急に、自分の子どもがいじめの加害者だと言われたら、あなたはどうしますか? いじめ騒動の当事者となった一家のサバイバルを描く実話マンガ! ★息子がいじめ被害者だった前日譚をはじめ、数々のエピソードを追加した増ページ完全版です★ 東日本大震災をきっかけに、故郷の佐世保に一家で移り住んだマンガ家の大原由軌子さん。仕事も軌道に乗り、息子たちも地元の暮らしに溶け込み、ようやく落ち着きを取り戻した矢先、長男がいじめの加害者だと告発されます。 被害者の児童の親に謝罪はしたものの、教師からは精神異常者扱いされたり、全校児童の前で吊るし上げにあったりと、一家は四面楚歌に。パニック状態の由軌子さんですが、元編集者のダンナさんがいろいろと調べたところ、相手の親にも不審な点が出てきて……。 「参考になった」「共感できない」。ネット上で賛否両論、大論争を巻き起こした話題の電子書籍を単行本化。
  • 人間タワー
    3.9
    二者択一を迫られる世界でもがく小学生。胸を衝く物語! 桜丘小学校の運動会で毎年六年生が挑んできた組体操「人間タワー」。 しかし危険性が取りざたされ中止に!?  強硬なタワー推進派の珠愛月先生、 冷めた目で反対を主張する文武両道な男子・青木、 誰もが納得する道を探ろうとする同級生の澪…… 教師、児童、親、様々な人物の思いが交錯し、胸を打つラストが訪れる! 運動会の花形「人間タワー」の是非をめぐるノンストップ群像劇。 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 飛ぶ孔雀
    3.8
    三冠達成の傑作幻想小説! ・第69回芸術選奨文部科学大臣賞受賞 ・第39回日本SF大賞受賞 ・第46回泉鏡花文学賞受賞 ジャンルの概念を超えた驚くべき物語。 * * * シブレ山の石切り場で事故があって、火は燃え難くなった。 シブレ山の近くにあるシビレ山は、 水銀を産し、大蛇が出て、雷が落ちやすいという。 真夏なのに回遊式庭園で大茶会が催され、 「火を運ぶ女」に選ばれた娘たちに孔雀は襲いかかる。 ――「I 飛ぶ孔雀」 秋になれば、勤め人のKが地下の公営浴場で路面電車の女運転士に出会う。 若き劇団員のQは婚礼を挙げ、山頂の頭骨ラボへ赴任する。 地下世界をうごめく大蛇、両側を自在に行き来する犬、男たちは無事に帰還できるのか? ――「II 不燃性について」
  • 「自分メディア」はこう作る!
    3.9
    会社を辞めて、自由に生きていく! 自分の価値を高めて「自由」を手に入れる5つの戦略とは――「個人」の時代の必読書! フォロワー35万人突破! 無名の会社員がトップブロガーに登り詰めた、戦略的ブログ運営記 ちきりん×pha 特別対談も収録!
  • そして、バトンは渡された
    無料あり
    4.6
    1巻0~800円 (税込)
    幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。 その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。 血の繋がらない親の間をリレーされながらも、 出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。 大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。 解説・上白石萌音 ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 理系。
    5.0
    今、世界を救うのは理系だ――。 川村元気が最先端の理系人15人と語った未来のサバイブ術! これから、世界は、人間は、どう変わるのか? 危機の先にある、大きなチャンスをどうやってものにするのか。 稀代の映画プロデューサーであり、ベストセラー作家である川村元気が、 日本を代表しする最先端の理系人と対話し、その目が映す未来に迫る。 解剖学者の養老孟司、伝説的な任天堂のゲーム開発者・宮本茂、 数学的映像クリエイターの佐藤雅彦、天皇陛下の執刀医・天野篤、 ほかにもロボットクリエイターから、バイオ学者、人工知能研究者、統計学者まで、 「文系代表」川村元気との科学反応で生まれた知的刺激満載の全国民必読本! 川村元気×15人の日本を代表する理系人 ・養老孟司(解剖学者/作家/昆虫研究家) ・川上量生(カドカワ取締役/ドワンゴ顧問) ・佐藤雅彦(東京藝術大学大学院 映像研究科教授) ・宮本 茂(任天堂 代表取締役 フェロー) ・真鍋大度(メディアアーティスト) ・松尾 豊(東京大学大学院准教授 人工知能研究者) ・出雲 充(ユーグレナ 代表取締役社長) ・天野 篤(順天堂大学 心臓血管外科 教授) ・高橋智隆(ロボットクリエイター) ・西内 啓(統計家) ・舛田 淳(LINE 取締役 CSMO) ・中村勇吾(インターフェースデザイナー) ・若田光一(JAXA宇宙飛行士) ・村山 斉(理論物理学者) ・伊藤穰一(ベンチャーキャピタリスト) 文庫版まえがきより 「コロナウイルスに見舞われたこの時代において、世界を救うのは理系だ。 いかに『理系の知恵』を『文系の物語』をもって適切に使い、難局を乗り越えるか。 危機の先にある大きなチャンスとブレイクスルーをどうやってものにするのか。 いま読み返すと、まるで預言者のように、彼らが教えてくれていた」 姉妹本『仕事。』に続く、生き方と仕事の指南本。 ※この電子書籍は2016年4月にダイヤモンド社より刊行された単行本を、改題した文春文庫を底本としています。
  • お局美智 経理女子の特命調査
    3.8
    1~2巻800~880円 (税込)
    あるときは普通の経理課OL、あるときは社内の不正に立ち向かう“お局美智”! クールなヒロインが活躍する、新感覚「お仕事エンタメ小説」が誕生! 中堅企業「NOMURA建設」に勤める佐久間美智。普段はごく普通の経理課OLだが、彼女には誰も知らない秘密の顔があった。社内にはびこる不正やスキャンダルを未然に防ぐため、ハイテク盗聴システムを駆使し、社員の会話を傍受する──。そんな特命を、ご意見番である会長から負わされていたのだ。 セクハラ常習犯の役員にパワハラ上司、社長の愛人問題や不正会計、労災事故隠しなど、NOMURA建設はトラブルが続出。さらに、吸収合併を企むライバル企業まで現れた。“お局美智”は果たして、会社の危機を救えるのか? 投稿サイト「エブリスタ」発、第1回「週刊文春小説大賞」受賞作。『花咲舞が黙ってない』や『これは経費で落ちません!』を上回る面白さと、ネットの世界では大評判! クールなヒロインが活躍する、新感覚「お仕事エンタメ小説」の誕生です。 ※本作は、電子オリジナル作品『お局美智』、『お局美智2 姿なき愛人』、『お局美智3 You’re fired!』、『お局美智4 キャット・パニック!』、『お局美智5  緑中央銀行の錬金術師』を一冊にまとめたものです。
  • 贄門島 上
    3.0
    あの岩を通って島を出た者は、二度と戻らない! 21年前の父の遭難事件の謎を追う浅見光彦は、美しい島を訪れたが―― 「こんなにつづけて何人も送ることはない」 「そうだな、来年に回すか」 21年前、海に転落して漁船に命を救われた浅見光彦の父・秀一は、朦朧とした意識の中で奇妙な会話を聞いたという。 父の遺した言葉の謎を解くべく、房総の豊かな海に浮かぶ小島・美瀬島を訪れた浅見の前で、知人の水死体が相次いで発見される……。 ※この電子書籍は2006年8月に文藝春秋より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • ドローン探偵と世界の終わりの館
    3.0
    ドローン対名探偵 廃墟の迷宮で繰り広げられる知恵比べ! あなたはきっと見破れない。究極のエンターテインメント 颯爽と空から現れ、犯人を捕獲する神出鬼没の《ドローン探偵》こと飛鷹六騎。 ある日彼は、捜査中に両足を骨折。折しも大学探検部の面々と廃墟探検へ向かう予定だった。 悩んだ末にドローンを操り、カメラ越しに探検するが、廃墟の中では部員たちが何者かに襲われ始め━━。 定石破りの天才が贈る傑作ミステリ。 解説・細谷正充 ※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ランニング・ワイルド
    3.6
    警視庁チームが参加するアドヴェンチャー・レースで拉致事件が発生! 制限時間24時間のタイムリミット・サスペンス。 山、川、海などの自然を舞台に、ラン、バイクやカヤックなど様々な手段で移動しながらチェックポイントを通過していくアドベンチャーレース。 瀬戸内とびしまを舞台にしたアドベンチャーレースに参加した警視庁のチーム。 最年長の重盛、若手の牧山、女性メンバーの星名らをまとめるキャップの和倉だが、スタート直前に携帯電話に「家族を預かった。返してほしければ、レース中にあるものを回収しろ」との脅迫が……。 レースの制限時間は24時間。 彼らは無事にゴール出来るのか、愛する家族を無事に救い出すことが出来るのか? 解説・林田順子 ※この電子書籍は2017年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 空に咲く恋
    3.7
    家出した超イケメンの由紀が出会ったのは、花火店の跡取り娘ぼたん。 勝気な彼女に惹かれていくが……。夏を彩る青春恋愛ストーリー。 花火屋の実家を飛び出し、放浪の旅の末、新潟・山古志村に移り住んだ女性アレルギーのヘタレ男子・由紀(よしき)。 ある日、花火店の跡取り娘ぼたんと出会う。 自信のない自分とは違う、勝気な彼女に段々と惹かれていき――。 花火師は目指すライバル同士の恋のゆくえは? 逆風に負けず、恋に仕事に全力投球! 爽やかな青春恋愛物語。 ※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 川上弘美書評集 大好きな本
    3.8
    いい本があるよ、みんなもよかったら読んでね! 純文学からマンガ、へんなエッセイまで、川上弘美が「ほんとうにいい」と思った144冊。あなたを心よろしき読書へ誘うガイドブック
  • 音四郎稽古屋手控 音わざ吹き寄せ
    3.0
    血を分けた兄妹でも知らぬことがいいことがある 元吉原の北、長谷川町に住まいする役者あがりの音四郎と妹お久。 足に大けがを負い舞台から去った異父兄にはお久の知らぬ事情が……。 江戸・元吉原の「猫返しの神さま」 と言われる三光神社近くの長屋で、 長唄を教えている音四郎、お久の兄妹。 将来を期待されていた歌舞伎役者だった兄は足に傷を負って役者を辞め、稽古屋を始めた。 負傷にはなにやら因縁があるようだ が、お久には知らされていない。 兄にはまだ他にも、人に言えぬ秘密があるようだ。 「大女」「ならのかんぬし」「いぬぼうざき」「はで彦」「宵は待ち」「鷺娘」「菊の露」「丙午」「にせ絵」。 弦音ひびく江戸情緒あふれる9編を収録。 解説・吉崎典子
  • ボナペティ! 臆病なシェフと運命のボルシチ
    3.9
    1巻800円 (税込)
    美味しい店がないなら作ればいいじゃない! 絶品料理と美味なる“謎”を召し上がれ。 仕事どん詰まり中の会社員の佳恵(食品会社勤続13年)。自らを元気づけるため、かつて愛したフレンチの名店を訪れるも、その空気が一変していたことから新しいシェフと喧嘩し、出禁になる。仲裁したシェフ見習いの青年・健司はシェフ志望で、その料理の腕は確か。佳恵は彼をスカウトし、念願のビストロを開店するが――。難問つづきの日々を無事乗り越えられるのか?
  • 最愛の子ども
    4.2
    女子高生たちの手探りの関係に、心をかきたてられる。 泉鏡花文学賞受賞作、待望の文庫化。 〈パパ〉日夏、〈ママ〉真汐、〈王子〉空穂、同級の女子高生三人が演じる疑似家族の行方は――。それぞれのかかえる孤独ゆえに、家族のように親密な三人の女子高生。同級生の「わたしたち」の見守る中、愛も性も手探りの三人の関係は、しだいに揺らぎ、変容してゆく。家族、少女、友愛といった言葉の意味を新たにする、時代を切り開く作家が到達しえた傑作。 解説・村田沙耶香 ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 車夫
    3.9
    1~2巻800~850円 (税込)
    時代に逆行した乗り物――人力車。 だけど乗る人を笑顔にできる素敵な乗り物でもあるのです! 家庭の事情で高校を中退した吉瀬走は、生きるために夢中になった陸上も辞めざるを得なかった。 そんな中、陸上部OBの前平が現れ、人力車のひき手をやらないかと誘われる。 車夫の条件は、走るのが好きなのとイケメンであること!? 浅草の「力車屋」で車夫となった少年と同僚や客らとの交流が瑞々しく描かれた感動の物語。 期待の新鋭作家、初の文庫化作品! 「人力車が運ぶ一期一会の幸せを感じました」(女優・奈緒) 解説・あさのあつこ
  • 間隙・すきま
    -
    1巻800円 (税込)
    村上春樹さんのエッセイ『猫を棄てる』で表紙と挿絵を担当した、台湾の漫画家・イラストレーターの高 妍(Gao Yan)さん。 一年間の日本留学を終えた彼女が、帰国後に描いた短編漫画を電子書籍化しました。 沖縄留学中の主人公。台湾での苦い思い出に浸りながら、大好きなミュージシャンに会うため、福岡の音楽フェスに一人で参加します。 一つ一つが丁寧に描かれたコマに注目です。巻頭にはカラーページのエッセイも収録。 ※この電子書籍は、2019年に自費出版された『間隙・すきま』を底本としています。 ※電子化にあたって、作中の言葉を日本語に変更しています。(翻訳・劉堅白)
  • 皇国史観
    3.8
    幕末維新から令和の代替わりまで 歴史と天皇をめぐる「思想の戦い」が始まる! なぜ徳川御三家から尊皇思想が生れたのか? 「衆」と「番」の論理で幕末維新を読み解く タテの儒学、ヨコの国学 大日本帝国憲法 伊藤博文と井上毅の“暗闘” 南北朝正閏問題・天皇機関説事件は「大衆の反逆」だった? 昭和天皇への御進講・平泉澄の挫折 柳田国男VS.折口信夫 相克する天皇像 「網野史観」が天皇像をリニューアルした? 近代天皇制の枠組みが壊れた日 ほか 迫り来る外からの危機 「国のかたち」はどうなる?
  • 100円100品100文字レシピ
    4.0
    ひとり100円でこんなにおいしい! たった100文字でこんなに簡単! 誰でも料理が楽しくなるミニマムレシピの決定版。 料理のレシピををわずか100文字で表現してしまう「100文字レシピ」は、人気料理研究家・川津幸子さんの専売特許です。 それがどれほど難しいことであるかは、いまお読みいただいている文のここまでが約100文字であることでご理解いただけるのではないでしょうか。 美味しいひと皿を簡単につくることを心がけている川津さんに、「一人前100円でお願いできますか」とリクエストしましたところ、 「またひとつ挑戦しがいがあるハードルが立ちましたね」と快諾いただきました。 電卓を片手にスーパーに通い、何度も試作をかさねて100品が揃いました。 一人前100円という制約がありますから、牛肉や高級魚など高価な食材は使えません。 それでも、鶏スペアリブのキムチ煮、焼き鮭のおろしあえ、水菜と桜えびの煮びたし、中華風肉豆腐、ごぼうのごまじょうゆ漬け、 ツナねぎチャーハン、ロイヤルミルクティーのグラニテ……と、一人前100円とは思えないようなメニューが満載です。 「これから料理を始める人に」「つまみを作りたい人に」「野菜を食べたい人に」 「友を呼びたい人に」「おやつも作りたい人に」という5つのパートからなりますが、 これで家庭料理のすべてが網羅される構成は、料理書籍の名編集者でもある川津さんのならではのアイデアです。 料理の基本テクニックや料理器具の使い方についてのコラムも充実。一家に一冊、キッチンに常備していただきたい“家庭料理のバイブル”です。
  • ハジの多い人生
    3.7
    1990年代、痴漢だらけの満員電車で都内の女子校へ通学する思春期を過ごしつつ、 メガネ男子に萌え、16歳で献血を初体験。大足コンプレックスにレーシック、 恋愛、化粧、髪形、三十路で開眼したタカラヅカに、音楽やインターネットに至るまで――。 「変わってる」「非モテのオタク、腐女子」と言われようと、 世界のハジッコでつぶやき続ける著者会心のデビュー作。 宇垣美里さん(フリーアナウンサー)も絶賛! 『ハジの多い人生』というタイトルは「恥」ではなく「端」、中心に対する周縁を指している。 私はいつも世界の隅、真ん中じゃなくハジッコ部分を生きており、無駄を嫌う人が 削ぎ落としてしまうような、雑多な余白にこそアイデンティティを置いている。 「文庫版のためのまえがき」より ※この電子書籍は2014年5月に新書館より刊行された単行本を、文春文庫より文庫化したものを底本としています。
  • 謝々! チャイニーズ
    4.1
    何も知らず飛び込んだ国で、こんなにも優しい人々に出会った。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。開放政策に沸く等身大の中国を描いたデビュー作が、電子版で登場! 時は1993年。中国に魅せられた私は、ベトナム国境から上海まで、改革開放に沸く中国・華南地方を埃だらけの長距離バスに乗って旅をした。 急激な自由化の波に翻弄される国で出会った、忘れえぬ人々。 『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者の、みずみずしいデビュー作。 解説・斎藤美奈子 ※電子書籍化にあたり、新章「地中に埋まっている部分」を収録。また、著者撮影の本文写真をすべてカラーで掲載。
  • ミレニアム・レター
    3.0
    笑い、涙、恐怖、切なさ満載の傑作短編集 男に届いたのは、十年前に自分へ宛てた手紙だった(ミレニアム・レター)。ミステリからホラーまで詰まった幻の短編集が遂に文庫化。
  • 夫・車谷長吉
    4.7
    この世のみちづれとなった、詩人と小説家。 起伏に富んだ夫婦の日々を描いて講談社エッセイ賞を受賞した名随想。 「もし、こんな男でよければ、どうかこの世のみちづれにして下され。」 四十八歳の風変わりな私小説作家の求愛を受け入れた四十九歳の詩人。 強迫神経症、「赤目四十八瀧心中未遂」で直木賞受賞、訴訟、カブトムシ愛、四国遍路、二人での句会、そして不意の死別。 起伏に富んだ夫婦の日々を至純の筆致で描き、高い評価を得た回想記。 文庫版特典として、著者の講演「詩と小説の間――夫・車谷長吉とともに」を収録。 解説・角田光代 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 番犬は庭を守る
    3.8
    とてつもなく過激で痛快、そして悲惨――とにかく無類に面白い。 ページをめくる手が止まらない傑作長篇! 原子力発電所が爆発し、臨界事故が続発するようになった世界。そこでは、放射能汚染による精子の減少と劣悪化が深刻な問題となっていた。 優良精子保有者である「種馬」の精子は民間の精子バンクが高額で買い上げ、その一家には一生遊んで暮らせる大金が転がり込んでくる。 一方で、第二次性徴期を迎えても、生殖器が大きくならず、セックスのできない不幸な子どもたちは「小便小僧」と呼ばれていた。 「小便小僧」として生まれたウマソーは高校を卒業後、警備保障会社に就職をするが、 市長の娘に恋をした罰として、使用済みの核燃料や放射性廃棄物で溢れる、廃炉になった原発を警備することになる。 やがてウマソーの性器は徐々に失われ……。 超格差社会の最底辺を生きるウマソーは、次々と襲いかかる悪夢にどう立ち向かっていくのか。 岩井俊二が全身全霊を込めて書ききった、壮大で豊饒なエンタテインメント。 解説・金原瑞人 ※この電子書籍は2012年1月に幻冬舎より刊行され、文藝春秋より2020年1月に刊行した文庫版を底本としています。
  • サイレンス
    3.4
    一気読み必至の偏愛サスペンス。 婚約者が雪深い孤島で突然失踪……、故郷の島には恐ろしい“秘密”があった。 深雪は婚約者の俊亜貴を連れ、故郷の雪之島を訪れる。結婚してありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが、祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に……。この島、何かがおかしい――。『暗黒女子』の著者が、人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。 解説・澤村伊智 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 世襲人事
    3.8
    1巻800円 (税込)
    生保業界に新風を巻き起こした実在の人物をモデルに描く経済小説の傑作。 「世襲人事」と批判された社長の息子は、現場で働き、みんなから慕われ、ただひたすら働き、そして……。 大日生命社長を勤める父の強引な招きで、商社から取締役待遇で転職した広岡厳太郎。 「世襲人事」との批判をものともせず、外務の“生保のおばちゃん”に学び、保険の国際化、法人営業部の創設など、革新的な新機軸を打ち立てるのだが……。 英姿颯爽の快男児を描き、働き方や同属経営の問題に切り込む長編経済小説。 解説・高成田亭 ※この電子書籍は『いのちの風』を改題、加筆修正して文藝春秋より2020年1月に刊行した文庫版を底本としています。
  • 東京會舘とわたし 上 旧館
    4.3
    1~2巻800円 (税込)
    数々の結婚式やパーティー、この場所が見てきた百年の歴史。 社交の殿堂を舞台に描く感動小説。 大正十一年、社交の殿堂として丸の内に創業。 東京會舘は訪れる客や従業員に寄り添いつつ、その人の数だけ物語を紡いできた。 記憶に残る戦前のクラシック演奏会、戦中の結婚披露宴、戦後に誕生したオリジナルカクテル、クッキングスクールの開校――。 震災や空襲、GHQの接収などの荒波を経て、激動の昭和を見続けた建物の物語。
  • 悲しみの秘義
    4.3
    暗闇のなかにいる人へ――傑作エッセイ もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智) 宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングらの、死者や哀しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。 「言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっとも深める」――自らの深い悲しみの経験を得た著者が、その魂を賭けて言葉を味わい、深い癒しと示唆を与えてくれる。 日経新聞連載時から話題を呼び、静かなロングセラーとなった一冊。 文庫化に際して「死者の季節」「あとがき」を増補。 カバーと本文内を、世界的に人気の高いアーチスト・沖潤子の作品が 優しく深く彩る。大切な人に贈りたい、特別な一冊。 単行本 2015年11月 ナナロク社刊『若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義』 文庫版 2019年12月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 壁の男
    4.1
    彼はなぜ絵を描き続けたのか? 〈最後の一撃〉が読者の心を撃ち抜く感動の傑作長編。 北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。 決して上手いとは言えないものの、その色彩の鮮やかさと力強さが訴えかけてくる。 そんな絵を描き続ける男、伊苅にノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが、寡黙な彼はほとんど何も語ろうとしない。 彼はなぜ絵を描き続けるのか――。 だが周辺を取材するうちに、絵に隠された真実と、孤独な男の半生が次第に明らかになっていく。 〈最後の一撃〉が読者の心を撃ち抜く感動の傑作長編。 解説・末國善己
  • アンソロジー 隠す
    3.8
    冒険、ミステリー、人間ドラマ、恋愛……。 11人の人気女性作家が同じテーマに挑む短編小説集! 誰しも、自分だけの隠しごとを心の奥底に秘めているもの――。 実力と人気を兼ね備えた11人の女性作家たちがSNS上で語り合い、「隠す」をテーマに挑んだエンターテインメントの傑作! 『アンソロジー 捨てる』に続く「アミの会(仮)」が送る、注目シリーズ第2弾。 多彩な物語すべてに、共通の「なにか」が隠されています。 (答えが掲載されている「あとがき」は、最後にお読みください) これが、本物の短編小説集。 ※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました
    3.6
    「マイナスイオンドライヤーなどの美容家電製品は、廃止すべきです」 自分の主義に反するものを、あなたは売れますか? 大手電器メーカーに勤める科学マニア、羽嶋賢児は、 自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、 最も行きたくなかった商品企画部に島流しに…。 空気を読まずに正論を言う。そんな賢児はやがて部の 鼻つまみ者扱いになってしまう。 賢児のまっすぐすぎる科学愛は、美容家電を変えることができるのか!? 自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、 すべての働く人に贈ります。 『わたし、定時で帰ります。』で話題の著者が描く、お仕事小説。 解説・塩田春香 ※この電子書籍は2016年11月に文藝春秋より刊行の『賢者の石、売ります』を改題した文庫版を底本としています。
  • 古事記神話入門
    3.5
    この1冊で古事記神話のすべてがわかる! ベストセラー『口語訳 古事記』の著者が「あらすじ」と「解説」で紹介する、決定版古事記入門書。 イザナギ、イザナミの国生みから、高天の原を混乱に陥れたアマテラスとスサノヲの諍い、国譲りをするオホクニヌシ、初代天皇イハレビコの誕生まで。 日本人なら一度は読んでおきたい日本のはじまりの物語が、わかりやすく、より深く理解できる。 単行本より解説を増補し、この一冊で古事記のストーリーが完全に把握できるように改編。初代天皇からの系図や2020年に編纂1300年を迎える日本書紀との比較も掲載される。 女系天皇、生前退位と、天皇制に注目が集まる令和の時代を生きる日本人にとっての必読書。 ※この電子書籍は2012年5月に文藝春秋より刊行の『あらすじで読み解く古事記神話』を改題、大幅に加筆した文庫版を底本としています。
  • 希望が死んだ夜に
    4.4
    「教えてください。彼女を殺したのは誰ですか?」 本屋大賞2019発掘本で話題になった社会派ミステリー! 神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生・冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。 少女は犯行を認めたものの、動機は一切語らない。 県警捜査一課の真壁は“半落ち”のままの容疑者に納得がいかず、所轄の生活安全課の女性刑事・中田蛍とともに捜査を続けると、やがて意外な事実が浮かび上がってきた。 ネガは母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしている。 母はあまり働かなくなり、生活保護も断られた。 まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、あるとき運命的な出会いがあって……。 単行本刊行時からSNSでじわじわと噂が広まり、本屋大賞2019発掘本でも話題となった隠れた傑作が待望の文庫化。 現代社会の暗部を描いた話題作! 「面白い作家が、凄い作家になる瞬間がある。本書を読んだとき、天祢涼は凄い作家になったと、感嘆した」(細谷正充) 「彼女を死に至らしめたのは社会ではないか? 社会派×青春×ミステリーの見事な融合。本書に出会えてよかった」(ベル 文学YouTuber) 解説・細谷正充 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 蒼ざめた馬を見よ
    3.6
    ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。原稿の入手を命じられた 外信部記者の鷹野は、新聞社を離れ、身分を偽ってソ連に潜入する。 運よく手に入った小説は全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立つ。 ところが、その裏には驚くべき陰謀があった! ――「蒼ざめた馬を見よ」 東京で神経をすり減らした男は、休暇をとり、友人を頼ってモスクワへ飛んだ。 そこで出会ったウクライナ出身の美女の過去とは。――「赤い広場の女」 バカンスのためブルガリアの首都ソフィアを訪れた商社のパリ駐在員は、 妙な雰囲気を漂わせる日本人夫妻と知り合う。その妻に手を出した男が 寝物語で聞いた二人の関係。――「バルカンの星の下に」 愛する妻、良縁の決まった娘、大学進学を控えた息子に囲まれ、幸せな 生活を送る地方大学の助教授、慎吾。教授昇進も目前に控えていた、 ある日、不気味な電話がかかってきた。 「エラブカから何を持って帰ってきた?」 記憶の深部にきざまれた二十年前の約束がよみがえる。――「夜の斧」 Q商業高校山岳部のパーティー6人は北陸二県の県境で墜落事故を 目撃する。その直後、吹雪で立往生したため、顧問の黒木は救助を求めて 一人、近くの集落を目指すが・・・。――「天使の墓場」 直木賞受賞作の表題作をはじめ、いまなお魅力を失わない初期の5編を おさめた代表的作品集。
  • 坂の上の雲(一)
    4.3
    維新で賊軍とされた伊予・松山に、三人の若者がいた。貧乏士族の長男で風呂焚きまでした信さん(後の秋山好古)、弟で札付きのガキ大将の淳さん(真之)、その竹馬の友で怖がりの升さん(正岡子規)である。三人はやがて、固陋なる故郷を離れ、学問・天下を目指して東京に向かう。しかし、誰が彼らの将来を予見できただろうか。一人は日本陸軍の騎兵の礎をつくり、一人は日本海大海戦を勝利にみちびき、さらに一人は日本の文学に革命を起こすことになるのである。
  • デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
    4.2
    今度は私があなたたちの“言葉”をおぼえる 荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。感動の社会派ミステリー。
  • 青い壺
    4.2
    読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇 無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が売られ贈られ盗まれ、十余年後に作者と再会した時。人生の数奇な断面を描き出す名作、復刊!
  • 菜の花の沖(一)
    4.1
    江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
  • 地層捜査
    3.6
    1995年に東京・荒木町で起きた老女殺人。確たる手がかりもなく、未解決のままだったこの事件が、2010年の公訴時効撤廃を受けて再捜査の対象となる。捜査一課の水戸部と、以前この事件を担当していた地域指導員加納は、当時の捜査本部が着目した土地トラブルを追いながら、かつては芸妓、後に置屋の女将として生きた老女とこの街の記憶に目を向けていく。そう、事件の「地層」を掘り起こすのだ??。『廃墟に乞う』で直木賞を受賞した警察小説の名手が放つ待望の新シリーズ、いよいよ開幕!
  • 竜馬がゆく(一)
    4.6
    総発行部数2500万部超! 坂本竜馬の奇蹟の生涯を壮大なスケールで描く、司馬文学の金字塔、遂に電子化! 土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる! 第1巻/生まれ落ちたときから背中一面に旋毛がはえていたため、豪気な父は、“千里の駿馬”になるかもしれないと、竜馬と名付けた。が、十二になっても寝小便する。近所の子から「坂本の寝小便ったれ」「坂本の泣き虫」 とからかわれ泣かされて帰ってくる。字を満足に覚えられず、寺子屋の師匠に見捨てられる。そんな竜馬は、十四歳の時に小栗流の道場に通いはじめてから、にわかに顔つきまで変わっていった。竜馬は強い――。幼年時代から、江戸での剣術修業、奥手だった青年時代、人斬り以蔵、桂小五郎との出会いなどを描くシリーズ第1作
  • 小さいおうち
    4.1
    昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない、上質の恋愛小説。第143回直木賞受賞作。山田洋次監督で映画化。
  • 無理(上)
    3.2
    1~2巻800円 (税込)
    「あのとき以来、自分はどこか投げやりだ。心から笑ったことは一度としてない。それどころか不意に思い出しては、惨めさと悔しさに打ち震えている」。合併で生まれた地方都市・ゆめので、鬱屈を抱えながら暮らす5人の男女。人間不信の地方公務員、東京にあこがれる女子高生、暴走族あがりのセールスマン、新興宗教にすがる中年女性、もっと大きな仕事がしたい市会議員……。縁もゆかりもなかった5人の人生が、ひょんなことから交錯し、思いもよらない事態を引き起こす。
  • 花まんま
    3.9
    【第133回直木賞受賞作「花まんま」映画化決定!】 まだ幼い妹がある日突然、母のお腹にいた時のことを話し始める。それ以降、保育園をぬけだし、電車でどこかへ行こうとしたり、習ったことの無い漢字を書いたり。そして、自分は誰かの生まれ変わりだと言い出した…(表題作「花まんま」)。 INFORMATION 映画『花まんま』 2025年春 全国公開 出演:鈴木亮平 有村架純 監督:前田 哲 配給:東映 公式HP:https://hanamanma.com ~映画化によせて~原作者の言葉 私が書いた『花まんま』は八十枚ほどの短編で、もともとは子供である俊樹とフミ子の物語でした。今回の映画化の際には、原作をそのままに生かしつつストーリーを膨らませ、見事に世界を広げていただきました。私の手が届かなかったところにまで気持ちが届いていて、原作者冥利に尽きるというものです。さらに存在感のある出演者の方々には期待が高まるばかりで、まさに私一人では見ることができなかった『花まんま』です。 ------------------ 昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちの思い出が語られる。ちょっと怖くて不思議なことや、様々な喜びやほろ苦さを含む物語に、深い感動と懐かしさがせまる傑作短篇集。 第133回直木賞受賞作。
  • 悪役令嬢のお嫁さま 1【電子限定特典付き】
    5.0
    【愛を誓おう。復讐のために――】 「食事って、その残飯の事?」 王妃としての将来を約束されていた令嬢・カリナは、 ある日突然、婚約破棄を言い渡される。 彼女を流刑に処す王子の隣には、妹・アウロラの姿があった。 魔物が棲むと噂される極北の地へ追放されたカリナ。 不穏な音に誘われて踏み出した雪原で、一匹の獣を助ける。 それが、運命を変える“つがい”との始まりだった。 悪役令嬢×人外少女。追放から始まる、極寒の“共犯”ファンタジー! カバーイラストの全体図を電子特典として巻末に収録!

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