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壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるのか?
第8回高校生直木賞(2021)受賞作!
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校2年生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショール。
ところが、このショールをめぐって母と口論になり、美緒は岩手県盛岡市の祖父の元へ行ってしまう。
美緒は、祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。
その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語るように、読む人の心を優しく包んでくれる1冊。
文庫版特典として、スピンオフ短編「風切羽の色」(「いわてダ・ヴィンチ」掲載)を巻末に収録。
文庫解説・北上次郎
※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2024年04月06日
去年盛岡に行ったから情景が湧いてとってもよかった。
不器用なひとたちばかりだけど
なんか愛らしくて、応援したくなる!
手仕事ってすごいなぁと。
自分のこと、なかなかわからないし
口に出せないし
うすら笑いして誤魔化しちゃう感じとか
すごくわかるなぁと思った、
つよがって、大丈夫、とばかり言ってし...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月09日
「複数の色の羊毛を混ぜてひとつの色を作ると、遠目には一色に見えても、糸に潜むさまざまな色の毛が、奥行きや味わい、光を布にもたらすものです」
美緒のおじいちゃん、山崎紘治郎の経営する山崎工藝舎では、羊毛を洗い、染め、糸を紡ぎ、その糸で布を織って製品を作る。
そして、求める色の布を織るには、初めから染料...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月05日
多感な時期に皆と同じ色に染められることが良しと思っていたのに、結局それは自分の心が受け付けてくれなかった
果たして自分の本当の色って?
祖父、紘治郎の無骨だけれども温かな言葉の一つ一つがとても胸に染み入る。
一生懸命もがいて、苦しんで、でも自分しかない自分の色を見つけて手に入れるー
岩手の美...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月26日
p.140の
「本当に自分のことを知っているか?何が好きだ?どんな色、どんな感触、どんな味や音、香りが好きなんだ?何をするとお前の心は喜ぶ?心の底からわくわくするものは何だ」
自分にも問いかけられてるような気になりました。
おじいちゃんが言ってくれる言葉たちは、美緒だけでなく私のことも勇気づけら...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月21日
「紡ぐ」という言葉が深い。
美緖を取り巻く人たちが、時をかけて心を紡いでいく。読み終えて心が温かくなる物語です。
岩手に行って岩手山を見たい。ホームスパンが仕上がる過程を見たい。そんな風に思うのは、伊吹先生の表現の力でしょうか。
初めての伊吹作品でしたが、行間のとり方や場面の切り替えも、静かな...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月18日
岩手の風景、羊毛でできた糸から織られた服地のやわらかさ、細かく異なるたくさんの色が不思議と読みすすめながら鮮明に脳裏に浮かんで、ページをめくる度にいい気分になる本だった。
自分の好きな色、感触、味、香りをもっともっと理解したくなった~よくよく理解できたら世界の切り取り方が、受け止め方が変わるだろうな...続きを読む
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