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壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるのか?
第8回高校生直木賞(2021)受賞作!
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校2年生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショール。
ところが、このショールをめぐって母と口論になり、美緒は岩手県盛岡市の祖父の元へ行ってしまう。
美緒は、祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。
その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語るように、読む人の心を優しく包んでくれる1冊。
文庫版特典として、スピンオフ短編「風切羽の色」(「いわてダ・ヴィンチ」掲載)を巻末に収録。
文庫解説・北上次郎
※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
高校に行けなくなった17歳の美緒は、家族との折り合いが悪く、一人で新幹線に乗って父方の祖父が住む盛岡へ向かう。
祖父が営む「山崎工藝舎」では羊毛を手仕事で染め、紡いで織るホームスパンを作っていた。
盛岡の美しい景色と、膨大な量の手作業から羊毛が一本の糸になっていくその魅力にどんどん引き込まれ、羊毛の感触までもが手に伝わってくるようです。
これは、三世代の家族の物語です。
家族は時に激しくぶつかり合ったり離れたり、だけど羊毛の糸のように切れてもつながるものなのです。
物語の中で、おじいちゃんが美緒やその両親に語りかける温かく包み込むような言葉がたくさんあります。
中でも、「今は決められない、それも選択の一つだ」という言葉が心に残りました。
ひとつ屋根に暮らしていても、親も子も年を取り、いつかはそれぞれの道を行くことになる。
だけど離れて暮らしても、家族への愛は決して消えたりはしないはず。
盛岡に行ってみたい…。宮沢賢治のイーハトーブの町。
この物語に出てくる、隠れ家的な美味しいコーヒーの店を探してみたいです。
Posted by ブクログ
この間プチ旅行に出かけたお供に読み始めたら止まらなくなってしまった。
激しく温かい気持ちで本を閉じられた。
読み始めてずっと息もできないくらい苦しくて。
美緒ちゃんは私だった。
人の顔色を伺ってしまう、言葉尻で自分に対する負の感情を感じ取ってしまう、詰められると言葉は胸の中に沢山あるのに何も言えなくなってしまう。
決めつけてかかってくる母親。
辛いよね。
苦しいよね。
好きなものが分からない、心地いいが分からない、自分がどうしたいか分からない。
自分を大切にするってことがそもそも分からない。
美緒ちゃんはホームスパンに出会った。
私は音に出会っていた。
自分の心地いいことに気付ければ、理解してくれる人に出会えれば。
それでいくと私は半分美緒ちゃんのお母さんとも似てるのかもしれない。
誰にも甘えられない。頼れない。
こうやって文字に起こして客観的に見ると私かなりやばい人ね。
何が好きなのか、どんなことが心地いいのか、自分はどうしたいのか。少しずつ分かってきた。
本を読むのもそのひとつ。
それすら分からなかった。
人に頼るのはまだまだ。
これが一番難しい。
まだまだ育て直し中だけど、客観視できるようになっただけまだマシかな。
娘達もそうなんだよね。
黙っちゃう。
娘達がぽつりぽつりと話し出すのはお風呂の時間と寝る時。
だから大きくなってきたけど、お風呂も寝る時間も未だに一緒。
いつでも受け止めてあげられるように。
「言わで思ふぞ、言ふにまされる」(言えないでいる相手を思う気持ちは、口に出して言うより強い)
黙っているという向こう側に豊かな森が広がっている。と「ことばのかたち」にも出てきたな。
もしも私が何か言い返した時には相当な勇気を振り絞っているんだなと思って褒めてくれたら嬉しい。
雲を紡ぐ、言葉を紡ぐ、人と人とを紡ぐ。
そんな物語だと思った。
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