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Posted by ブクログ
現在不遇の状況にある元フォトグラファーの立花浩樹と、浩樹の住むシェアハウスでたまたま出会った失意の男たちのリスタートを描く、ついてない人々の再生物語。
◇
かつて、秘境を訪れありのままの自然を撮るテレビ番組で人気を博した写真家の立花浩樹だったけれど、バブル崩壊によりネイチャリング・フォトグラファーという肩書きを失ったあとは転落も速かった。
仕事だけでなく、家も失くし恋人も離れていった。バブルに踊らされ自分を見失っていたことに気づいたときは、後の祭りだった。
厭世的になり、自堕落な生活を送っていたある日、入院中の母親から知人を撮影するように頼まれた。気が進まないながら引き受けた浩樹だったが……。
* * * * *
登場する主要人物は、主人公の立花浩樹はじめ真面目で不器用な人間ばかり(宮川も実はそのタイプだと思います)。虚勢を張っていても足元の危うさには気づいています。
そんな彼らが、自分を見つめなおしつつ足下を固めていくという過程が面白かった。
何に仕事のやり甲斐を感じ、何を生き甲斐として人生を送っていくか。私たちは生きるうえで、そこに気をつける必要があるのだと思いました。
結局、金銭や虚栄心というものを第1にすると、切りがなくなる。いつまでも安心は手に入らない。だから、決して幸せにはならないのでしょうね。
大切なことは、きれいごとに聞こえるかも知れませんが、どれだけ人に喜んでもらえるかだと思います。 ( 自分の能力を使って人々に感動や喜びを感じてもらう。大谷翔平選手を見ていると、よくわかります。)
伊吹有喜さんらしい優しいタッチで紡がれた物語で、温かい気持ちになりました。
安易に恋愛を味付けとして使っていないところもよかったと思います。
Posted by ブクログ
伊吹有喜さんの連作短編集
『今はちょっと、ついてないだけ』
収録は以下7つの短編
・今はちょっと、ついてないだけ
・朝日が当たる場所
・薔薇色の伝言
・甘い果実
・ボーイズ・トーク
・テイク・フォー
・羽化の夢
●あらすじ
バブル期に「ネイチャリング・シリーズ」という冒険番組でもてはやされた「タチバナコウキ」こと立花浩樹。
バブルがはじけ、番組も終了し、プロデューサーの連帯保証人となっていた浩樹は、多額の負債を背負わされる。
自己破産もせず、十五年かけて地道に全額返済した浩樹だが、ふと気が付けば、家庭も持たないまま、夢や希望も見失い、人生に行きづまっていた。
そんな時、母の見舞い先で訪れた病院で新たな出会いが訪れるのだが・・・
●感想
主人公の立花浩樹を中心に、色々な人が登場してくる短編集。みんながそれぞれの事情で人生に行きづまっている。
けれど、行きづまっている誰もが、真の部分にしっかりと自分の大切なものを秘めている。それが徐々に導かれるように描かれていくので、先が気になって仕方がない。
しかも、人生も後半戦に入っているであろう中年の方々がメインなので、歳の近さも相まって親近感すら抱いてしまった。
自覚できてるかどうかは別として、誰しも上手くいかない時はあると思う。振り返ってみれば、あの時何だか色々ついてなかったなぁってこともある。
今はちょっとついてないだけ・・・
伊吹有喜さんからの、心を少し楽にしてくれる優しいメッセージなのだろう。
辛い時や行きづまった時には、そんな風に思えるように、これからの人生を過ごして行きたいと思った。
タイトル通り、世知辛ぁぁ、、、ってなるようなお話が多かった。キラキラだけじゃなくて、大人になるというのはこんなこともあるんだよって。立花の母からのお手紙がグッと来た。今はちょっとついてないけど、それでもなんとかやっていこうともがきながらも頑張る大人たち。
Posted by ブクログ
とあるYouTubeで紹介されていて、
何軒目かの本屋さんで見つけて思わず手に取りました。
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バブルの頃、
自然写真家としてもてはやされた立花浩樹は、
ブームが過ぎると忘れられ、
所属事務所に負わされた多額の借金を返すうちに
四十代になっていた。
カメラを捨て、すべてを失い。
自分が本当に欲しいものとは、なんだったのか?
問い返すうちに、ある少女からの撮影依頼で東京に行くことになった浩樹は思いがけない人生の「敗者復活戦」を挑むことになる。
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読み終わってからだいぶ日が経過していますが、
本書の中で私が一番覚えているのは、浩樹の母親。
自分の愛する子どもは、
何歳になっても愛しいんだなって。
浩樹じゃなくて、お母さんが悔しがってくれて。
あらすじには「敗者復活戦」と銘打ってありますが、
どちらかというと、
自分と向き合って再生していくような印象を持ちました。
通勤と仕事の休憩時間で一気読みでした。
序盤や途中で理不尽だったり、
嫌な奴が出てきたりするんですが、
視点が変われば印象が変わることを再確認しました。
バイアスから逃げられないですね。苦笑
振り返れば「そう言えばあのときって恵まれてたんだな、幸せだったんだな」って思うことがあるんですが、渦中では気づかないんですよね。
タイトルがとても好きです。
登場人物たちも大なり小なり葛藤を抱えていて、
そんな人たちが集まるからこそ見えてくる景色というか。
読後はあたたかい気持ちになりました。
30代後半の私にとっては、とても好きな一冊でした。
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