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★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。
ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。
【収録作】
「小隊」(第164回芥川賞候補)
「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補)
「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞)
※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています
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Posted by ブクログ
(4.6)
自衛官としてあんまりのリアルさに息を呑んだ。用語や人間関係、風景全てが勤務の風景そのままであったがために、実際有事が起こった際はこうなるだろうと細胞レベルで感じた。
特に表題作である「小隊」これは今までにないほど感情移入して読むことができた。一般の方には分からないであろう感覚、感情がみるみるうちに湧いて出て震えた。自分自身の精神的にも肉体的にも、そしてこれからの勤務においても意識向上の手段として忘れないように、また読もうと思う。いい精神教育題材であると思う。
また、「市街戦」これは両親や友人、恋人に読んで欲しいと心から思える話だった。普段から行軍をするが毎回つらい。何がつらいというと文章力、表現力が乏しく上手く言葉にできないのである。だが行軍はまさしくつらい。それが歯痒かった。しかし、そのつらさ、恐ろしさを完璧に文章に表してくれたのが今作。全てが共感でき、行軍の1番のつらさを的確に表現してくださっていた。面白いというよりも、よくここまでリアルに心の内を、悩みを言葉にしてくれたと思います。言葉になることによって、精神的に大分救われる部分があります。これからも自分の人生、過去、一瞬一時の決断に誇りを持って、前進し、生きていきたいと思います。
Posted by ブクログ
本の題にもなっている『小隊』を含め、『戦場のレビヤタン』、『市街戦』と計3篇が収められている。各篇共に、文芸誌の1回の掲載分というような分量である。各篇毎にゆっくりと読んだ。
「5月30日」となっている「第4刷」の文庫本を入手したのだが、「第1刷」は「5月10日」である。これは少し「速い」感じの刷り方であると見受けられる。「話題」の作品であるということのようだ。
各篇は各々に綴られて、各々に発表されている。連作ということでもないようだ。が、通して3つの篇を読むと、各篇の主要視点人物が「実は同一人?」であって、『市街戦』、『小隊』、『戦場のレビヤタン』という順番に、数年間の時間軸で各篇の作中での出来事が起こっているかのような感を抱かないでもなかった。
『市街戦』は、陸上自衛隊の幹部候補生として訓練に臨んでいる男が在って、限界という次元までに身体を酷使している中で「来し方」の様々な場面が意識の中に沸き起こり、夢想と眼前の現実が混然とするかのような挿話である。
『戦場のレビヤタン』は、陸上自衛隊の幹部(尉官以上)であった経過の在る男が、民間警備会社に身を投じ、中東で活動しているという挿話だ。所謂“傭兵”ということになる。
そして本の題にもなっている『小隊』だ。これは「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という事態が惹起しているという挿話だ。
この「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という作中での事態が少し話題になっているようだ。
主要視点人物は陸上自衛隊の三等陸尉に任官して日が浅い男で、部下を率いて任務に就いている。作中「ロシア軍が北海道に上陸して軍事行動に及ぶ」という様子になっている。上陸したロシア軍が現れると目される地域で、住民に避難を促すことが任務という辺りから物語が起こる。会って話す住民は「何処にも行くあてが無いから留まる」というようなことを主張する。そうしている間に“事態”は少し大きく動く。
そんな各篇なのだが、何れも主要視点人物の心理と行動を精緻に描き込んだような感であったと思う。或いは、身体を酷使して必死に何事かに向き合い、そこを通り抜けて辿り着く境地のような、そういう心情が各篇の共通項なのかもしれない。大掛かりな国際情勢等が描かれるのでもない、「或る現場の、或る男の回顧」ということにでもなって行きそうな物語だ。
作者は陸上自衛隊での経験を有しているのだという。そういう「経験者の感じ方」という要素が巧みに織り込まれている各篇であると思った。殊に『小隊』は、その「経験者の感じ方」という要素が随所ににじませながら編まれた篇だと思った。
時にはこういう小説も好い…
Posted by ブクログ
元陸自幹部の著者がリアルな戦闘を描く。
1作目は表題作。
政治が混乱している合間を縫って、侵攻目的が不明なロシア軍旅団が北海道内に侵攻してくる。
長い待機の末に、主人公が所属する中隊も他部隊と共に防衛の戦線を開く。
主人公は自分の受け持つ小隊の小隊長として初めての戦闘指揮を執ることになるが。。
2作目は人生に倦んだ元自衛官が刺激を求めてPMCに参加し、バグダッドで対テロ警護任務に就く話。
3作目は幹部候補生時代の過酷な行軍中に白昼夢のように過去と現実が混じりあっていくある意味トランス状態のような話。
2作目と3作目は正直、微妙な印象だったが、1作目はよくここまでリアルに戦闘経過を描けたなと感心する出来だった。
まさにプライベートライアンを見ているよな気分になった。
実際の戦闘が始まった時、イデオロギーや感情の入り込む余地は無くなり、ひたすら虐殺の場が出来上がるだけである。
そこではすぐ隣にいた同僚が即死しても感情が動くことは無くなり、ただただ体が動くだけという世界。
一度、戦闘が始まってしまえばそこには命の大切さも輝きもなくなり、他者がモノような価値になってしまうのが心底恐ろしいと思った。
Posted by ブクログ
台湾有事の可能性が高まった今、戦争が起きたら、自衛隊の方々はどういう事をするのか、リアルに想像できる。さすが元自衛隊の方が作家さんなだけある。
普段聞きなれない言葉がとても多いので、スマホで調べながら読んだ。掩体とか、交通壕とか。
小隊とか大隊とか、分隊の定義は書いてほしかったな。
中国じゃなくて、ロシアが北海道から攻めてくる、てとこが、またあり得るなー、と思う。ウクライナに侵攻した事を考えると、なおさら。北方領土の問題もあるしね。
戦闘中であってもコーラが飲みたいとか、めんどくさいとか、感情の描写が人間くささを醸し出してる部分と、戦闘で人が死んだり、「肉片が〜」のような緊迫感のあるアンバランスな描写が、うまく書かれて次々とページを捲らせる。
また、相手の兵士がほとんど出てこないことが、結構怖い。敢えてそういう書き方してるんだね。砲弾や砲撃が、次々と連続してくるとこが、何ともしようがなく、絶望的で、主人公が生き残っていることが、たまたまであるとこが恐ろしい。
相手の兵士が出てこれば、「ジョン・ウィックみたいにやっつけければいいじゃん」て思えるけど、そんな事一切お構いなしで、ドーン!てくるんやな、て思うと、ウクライナの戦争もこんな状態だったんだろうと思う。
読み進めていくうちに、ふと疑問に思った。
ここ日本なんだよね。
ホームだよね。
なんでここまで劣勢なの?
装備も弾薬もたんまりあるんじゃないの?
本当に自衛隊は日本を守れるのか。
もし、守れないなら、それは自衛隊の人たちの
せいではなく、ここまで侵攻を
ゆるしてしまいかねない、
政治的な判断が、最も重要な問題だ、
という主張なんだろうか。
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