【感想・ネタバレ】小隊のレビュー

あらすじ

★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。

ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。

【収録作】
「小隊」(第164回芥川賞候補)
「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補)
「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞)

※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています

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Posted by ブクログ

戦争がテーマの文学は難しそうで読みづらいと思い込んでいたがこの作品は違いました。内面がよく描けており面白い。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世の中にはリア充という言葉があるが、充実した生について考えてみたい。テレビを見ると、仕事終わりに、ビールを買って帰る男、女、(ビール会社のCM)から子供と遊ぶ妻を見て満足そうにうなずく男(住宅メーカーのCM)このように充実した人生は、売っているものなのだが、K(戦場のレビアタン)はそう思っていない。「我々は、よりよい生活とか未来、そうでなければ、貧困という仮想敵をイメージして生きている。」しかしこんな生き方は、p194「肥大化して動けなくなった豚のような生だ」という。
p181「仕事と知人と女と金、あるいは車の話....そうでないときは仕事してるだけの日々」こんなものが充実した人生といえるだろうか?
では、生とは何か?
よくは分らないが、死を背景にしたときにシルエットのように浮かび上がってくるものではないか。戦場ではp195「バッドマンは死をしっかりともたらしてくれる」そこで、防御行動をとる自分は、充実した生を生きていると言えるのではないか。売っていない、自分だけの生にたどり着けるのである。
茶道で、「一期一会」というのがある。言ったのは、井伊直弼と言われているが、もう、主人と客として会うことがないかもしれないと思い、できるだけのことをして悔いがないように生きようというのがある。これと同じことだと思う。
戦場では、立ち上がったら、死ぬ、伏せていなければいけない(防護行動)伏せた自分は、生きる方を選んでるのである。これが生だ。
だから、敵を憎んではいない。死を望んだ時に確実に死を与えてくるル大事な存在なのだから。生きているか死んでいるかわからない、身動きできない豚のような生き方だけはしたくない。
レビアタンとは海の怪物リバイアサンのことであるらしい。ホッブズで有名であるが、この場合は、戦場での死を表す。
KはバディのSほどは店の女に興味を示さず、(p271)生きがいをさがしている、喜ぶのは、「小隊」の小隊長の仕事を全うして、水浴びするときである。(p135)逃げた古参兵の小熊のようにならなくてよかったと思いながら。

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2022年08月05日

Posted by ブクログ

(4.6)
自衛官としてあんまりのリアルさに息を呑んだ。用語や人間関係、風景全てが勤務の風景そのままであったがために、実際有事が起こった際はこうなるだろうと細胞レベルで感じた。
特に表題作である「小隊」これは今までにないほど感情移入して読むことができた。一般の方には分からないであろう感覚、感情がみるみるうちに湧いて出て震えた。自分自身の精神的にも肉体的にも、そしてこれからの勤務においても意識向上の手段として忘れないように、また読もうと思う。いい精神教育題材であると思う。
また、「市街戦」これは両親や友人、恋人に読んで欲しいと心から思える話だった。普段から行軍をするが毎回つらい。何がつらいというと文章力、表現力が乏しく上手く言葉にできないのである。だが行軍はまさしくつらい。それが歯痒かった。しかし、そのつらさ、恐ろしさを完璧に文章に表してくれたのが今作。全てが共感でき、行軍の1番のつらさを的確に表現してくださっていた。面白いというよりも、よくここまでリアルに心の内を、悩みを言葉にしてくれたと思います。言葉になることによって、精神的に大分救われる部分があります。これからも自分の人生、過去、一瞬一時の決断に誇りを持って、前進し、生きていきたいと思います。

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2022年08月01日

Posted by ブクログ

本の題にもなっている『小隊』を含め、『戦場のレビヤタン』、『市街戦』と計3篇が収められている。各篇共に、文芸誌の1回の掲載分というような分量である。各篇毎にゆっくりと読んだ。
「5月30日」となっている「第4刷」の文庫本を入手したのだが、「第1刷」は「5月10日」である。これは少し「速い」感じの刷り方であると見受けられる。「話題」の作品であるということのようだ。
各篇は各々に綴られて、各々に発表されている。連作ということでもないようだ。が、通して3つの篇を読むと、各篇の主要視点人物が「実は同一人?」であって、『市街戦』、『小隊』、『戦場のレビヤタン』という順番に、数年間の時間軸で各篇の作中での出来事が起こっているかのような感を抱かないでもなかった。
『市街戦』は、陸上自衛隊の幹部候補生として訓練に臨んでいる男が在って、限界という次元までに身体を酷使している中で「来し方」の様々な場面が意識の中に沸き起こり、夢想と眼前の現実が混然とするかのような挿話である。
『戦場のレビヤタン』は、陸上自衛隊の幹部(尉官以上)であった経過の在る男が、民間警備会社に身を投じ、中東で活動しているという挿話だ。所謂“傭兵”ということになる。
そして本の題にもなっている『小隊』だ。これは「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という事態が惹起しているという挿話だ。
この「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という作中での事態が少し話題になっているようだ。
主要視点人物は陸上自衛隊の三等陸尉に任官して日が浅い男で、部下を率いて任務に就いている。作中「ロシア軍が北海道に上陸して軍事行動に及ぶ」という様子になっている。上陸したロシア軍が現れると目される地域で、住民に避難を促すことが任務という辺りから物語が起こる。会って話す住民は「何処にも行くあてが無いから留まる」というようなことを主張する。そうしている間に“事態”は少し大きく動く。
そんな各篇なのだが、何れも主要視点人物の心理と行動を精緻に描き込んだような感であったと思う。或いは、身体を酷使して必死に何事かに向き合い、そこを通り抜けて辿り着く境地のような、そういう心情が各篇の共通項なのかもしれない。大掛かりな国際情勢等が描かれるのでもない、「或る現場の、或る男の回顧」ということにでもなって行きそうな物語だ。
作者は陸上自衛隊での経験を有しているのだという。そういう「経験者の感じ方」という要素が巧みに織り込まれている各篇であると思った。殊に『小隊』は、その「経験者の感じ方」という要素が随所ににじませながら編まれた篇だと思った。
時にはこういう小説も好い…

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

元陸自幹部の著者がリアルな戦闘を描く。

1作目は表題作。
政治が混乱している合間を縫って、侵攻目的が不明なロシア軍旅団が北海道内に侵攻してくる。
長い待機の末に、主人公が所属する中隊も他部隊と共に防衛の戦線を開く。
主人公は自分の受け持つ小隊の小隊長として初めての戦闘指揮を執ることになるが。。

2作目は人生に倦んだ元自衛官が刺激を求めてPMCに参加し、バグダッドで対テロ警護任務に就く話。

3作目は幹部候補生時代の過酷な行軍中に白昼夢のように過去と現実が混じりあっていくある意味トランス状態のような話。

2作目と3作目は正直、微妙な印象だったが、1作目はよくここまでリアルに戦闘経過を描けたなと感心する出来だった。
まさにプライベートライアンを見ているよな気分になった。

実際の戦闘が始まった時、イデオロギーや感情の入り込む余地は無くなり、ひたすら虐殺の場が出来上がるだけである。
そこではすぐ隣にいた同僚が即死しても感情が動くことは無くなり、ただただ体が動くだけという世界。

一度、戦闘が始まってしまえばそこには命の大切さも輝きもなくなり、他者がモノような価値になってしまうのが心底恐ろしいと思った。

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

台湾有事の可能性が高まった今、戦争が起きたら、自衛隊の方々はどういう事をするのか、リアルに想像できる。さすが元自衛隊の方が作家さんなだけある。


普段聞きなれない言葉がとても多いので、スマホで調べながら読んだ。掩体とか、交通壕とか。


小隊とか大隊とか、分隊の定義は書いてほしかったな。


中国じゃなくて、ロシアが北海道から攻めてくる、てとこが、またあり得るなー、と思う。ウクライナに侵攻した事を考えると、なおさら。北方領土の問題もあるしね。


戦闘中であってもコーラが飲みたいとか、めんどくさいとか、感情の描写が人間くささを醸し出してる部分と、戦闘で人が死んだり、「肉片が〜」のような緊迫感のあるアンバランスな描写が、うまく書かれて次々とページを捲らせる。 


また、相手の兵士がほとんど出てこないことが、結構怖い。敢えてそういう書き方してるんだね。砲弾や砲撃が、次々と連続してくるとこが、何ともしようがなく、絶望的で、主人公が生き残っていることが、たまたまであるとこが恐ろしい。


相手の兵士が出てこれば、「ジョン・ウィックみたいにやっつけければいいじゃん」て思えるけど、そんな事一切お構いなしで、ドーン!てくるんやな、て思うと、ウクライナの戦争もこんな状態だったんだろうと思う。


読み進めていくうちに、ふと疑問に思った。
ここ日本なんだよね。
ホームだよね。
なんでここまで劣勢なの?
装備も弾薬もたんまりあるんじゃないの?


本当に自衛隊は日本を守れるのか。
もし、守れないなら、それは自衛隊の人たちの
せいではなく、ここまで侵攻を
ゆるしてしまいかねない、
政治的な判断が、最も重要な問題だ、
という主張なんだろうか。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『小隊』
文藝春秋の砂川さんと小泉悠さんの対談で兼ねてより読んでみたいと思っていた作品。
2022年にウクライナで戦争が始まったことはひどくショッキングでありセンセーショナルであったので、日々戦況や惨状を割とニュース等で追っていたが、そこで戦っている人の様子はなかなか想像がつかなかった。この作品を読んで、戦場での個人の目線を一つ与えてもらえたように感じた。
死が紙一重に隣接する戦闘の中で、頭中沸騰しながらも訓練で培われた戦闘所作はオートマティックに体を動かし、そして時々私生活のあれこれが思考に去来する。何日も風呂に入れず痒い全身、体を締め付ける重い装備、散らばった肉片のディティールや、集団内における個人の打算への怒りと葛藤。
戦場には多数の確かな個がいながら一度向かい合えばこれもまたオートマティックに味方と敵に別れてしまう。外にいれば分からない、これが戦争が絶えない理由の一つかもしれないと感じた。

『戦場のレビヤタン』
傭兵としてセキュリティー会社からイラクの施設に派遣される元自衛官の話。「イラクの砂漠に伸びる果てしない一本道と、十勝の雪原の風景とがオーバーラップした」

『市街戦』
自衛官の幹部候補生の演習中の話。舞台は九州は佐賀から長崎にかけて、行軍・戦闘演習が行われる。Kはリーマン・ショック時代の就職氷河期世代のようだが、就職難から自衛官になったのではない様に思われる。正直Kにドン引きしてしまうシーン(回想または白昼夢?の内容)もあったが、自分が生きる場所がここではない感という点では理解が出来る気はした。そして、一種エマージェンシーな状況のほうが生を感じられているのではないかという体験はわずかながらにも自分にもあった。(今となってはPTSDに近いものもあるので二度とごめんだが)
現在、高校世界史の勉強を今更ながらしている。(高校地理選択で歴史がさっぱりなのだが、歴史的文脈が分かれば日々目に留まる情報がもうちょっとは面白くなるかもと、今更ながら)安直だが、人間が幾多の戦いの末勝ち残ってきた生き物であるならば、緊急事態に生を見出すことは生物的にはあり得るのかもしれないとも感じた。

3作品を通じて…
専門用語が多いので都度検索しながら読み、大変勉強になった。2025年現在の世界の価値観は少し変化してきているように感じられる。力(軍事や経済)の論理を良しとする傾向を感じるが、戦争が良しとされる世の中にはなってほしくないと思う。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

北海道へロシアが軍事侵攻してきて自衛隊が食い止めなくてはならなくなった日本。戦争が始まるという実感がなく戦闘が始まる瞬間まで現実逃避をするリアリティとか、頭は上の空なのに訓練で作られた身体が勝手に動く緊迫感とか元自衛隊員の著者だから書けた話で圧倒された。

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2023年04月18日

Posted by ブクログ

何を見て、この小説にたどり着いたかは覚えていないのですが、
近未来に、ロシアが日本に上陸。攻めてきた話。
戦闘シーンの描写もすごいですが、著者ならではの自陣内でのやり取りの重きを置いた流れです。
読み終わって、
自分も、汗と泥を洗い流したいと思うような疲労感が得られます。

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2022年12月24日

Posted by ブクログ

芥川賞を取った作家の戦争小説でした。

元幹部自衛官という経験を活かし、味方と敵、日常と非日常、生と死、そしてそれらの狭間について、専門的な用語をとことんを使って物語を書いていました。

読者に忖度せず、自衛官という主人公の視点で語ることで、今までの小説にない臨場感と緊張感が伝わってきました。

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2022年06月04日

Posted by ブクログ

 表題作を含む短編集。主人公を極限状況に置きつつ、しかし平和な日常生活と地続きであることを自覚させつつ、人間の存在とは何か、生きるとは何かを問い続ける。文学的価値は非常に高い。内容が重くて娯楽性は低く、簡単には読み進められないけれど。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

この小説が雑誌に掲載された2020年、書籍として出版された2021年、ロシアが2022年にウクライナに侵攻すると、一体誰が思っただろうか。してみると、ロシア軍が北海道の道東に上陸し、局地的に戦争が始まるというこの小説が、全くあり得ない話ではないと思えてくる。いきなり戦争の最前線に押し出されることになった時、日本の自衛隊員は、本当に戦えるのか。「不撓不屈の精神でも高邁な使命感でも崇高な愛国心でもなく、ただ一個の義務」だという主人公、恐怖で震える自衛隊員たちが、決して職業軍人ではない自衛隊員の姿としてリアル。

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2022年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかく鬱!内容はロシア軍が北海道に攻めて来るという、タイムリーな内容。ロシア軍の圧倒的な兵器の前に日本軍はなす術無くジリジリと敗北していく様が描かれている。グロい表現が今でも頭にこびりついてるほど生々しくて気持ち悪かった。作者が元自衛隊という事もあって、戦争描写もリアルで読み応えがあった。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

著者のバックグラウンドを全面に押し出した短編集。経験に基づく「戦場」の雰囲気は十分。日常と非日常の境目がテーマの1つ。中東やウ戦のことを考えつつ自身のGWを過ごす我々に、善悪や是非を問うのではなく、そういうものであることをありのまま伝えているものと理解。

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2025年05月02日

Posted by ブクログ

◼️ 砂川文次「小隊」

ロシア軍が北海道に上陸・交戦。凄惨な戦闘に訓練しか知らない自衛官たちは・・

著者は元自衛隊員。「ブラックボックス」で3年前に芥川賞を受賞している。

冒頭の表題作ではすでにロシア軍が上陸して攻めてくる前提で、釧路付近で迎え撃つ自衛隊、その大卒中隊長が主人公。敵は地形が変わるほどの圧倒的火力で自衛隊の陣を攻撃し、砲撃や撃ち合いで大勢の兵士が死ぬ。初めての、訓練ではない戦闘、命のやりとりにさらされた隊員たちの姿と、その前夜の、まだ訓練の名残りがあるかのような雰囲気とのギャップが生々しい。

次の作品はイラクでの傭兵たち。こちらは自爆攻撃はあるものの本格的な戦闘はない。

文学界新人賞を受賞したという3作めの「市街戦」。防衛大、一般大学卒の幹部候補生たちの最後の訓練、武装し30キロもの荷物を背負っての100キロの行軍。過去、学生時代の友人、恋人、自宅周辺、東京と夢幻とうつつが交差する作り。訓練。ちょっと昭和の古式ゆかしい構成かも、などと思った。

ふむふむ。専門用語が覚えきれず、この言葉は何やったかいな、などと考えながらそのまま読む。「小隊」はさすがにえぐい迫力があった。ディストピア的に終わり。続きはないの?と。

自衛隊や傭兵の活動を小説に生かしていることはひとつ興味を惹かれるポイントだが、どうにも自己主張が強くかつ他者否定的で、冗長さを巧みな技ではなく手段として使っている印象も受けたかな。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

最近戦争ものの小説を読んだせいか、おススメされたので読んでみた一冊。元自衛官が描く戦場のリアル…という惹句なのだが、こういうエグいのが読みたかったわけじゃないんだよなぁ…。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

「小隊」
 北海道に攻め込んできたロシアにボコボコにされる陸自の話。彼らが前線で酷い目に遭いながらも、ラジオからは音楽番組が流れてくる。住民に避難を勧めに行けば、こっちには生活があるんだとつれない返事が返ってくる。
 現に戦争が始まったのだから、自衛隊以外の国民も戦争とは地続きになるはずなのだが、そんな実感は沸かないのがリアルな戦争なのだろう。物語の中で人が死んでいくのだが、悲しさとか敵への怒りみたいなものは湧いて来ず、なんというか、なんでこの人たちはこんなことをしなくちゃいけないんだろうという直観的な疑問が浮かんでくる。そりゃもちろん、敵が攻めてきたら戦わなきゃいけないのだから、疑問に思うことなんてないのだが。
 著書が自衛隊を辞めたこととリンクしているかは分からないが、国家の戦闘行為を担う自衛官という役割に「馬鹿馬鹿しさ」を感じさせてしまう物語だなと感じた。

「戦場のレビヤタン」
 小隊とは打って変わって主張の激しすぎる主人公の傭兵の語りがとにかく読んでいてしんどかった。
 主人公の置かれた立場の弱さだったり悲しさの感情みたいなものが、ただ説明されている感じだった。キャラの立つライトノベルならアリなのかもしれないけど、純文だと旨みがないというか……

「市街戦」
 自衛官候補生という「自衛官」であり「社会人」になる過程、言うならば卵の殻を破り世界に出ていく直前期の演習が描かれ、ところどころで夢とも過去ともつかない、追憶のような大学生活の場面場面が挿入される不思議な小説。
 社会人へのイニシエーションというよりは、混沌とした世界に飛び込んでゆく不安のような、混沌としつつも守られている公務員の世界に飛び込んでゆく安寧のような感覚が伝わってくる。
 吉祥寺で繰り広げられる市街戦は、リアルな戦闘描写に近付きつつ、歩行者達は主人公を醒めた目で迷惑そうに眺めていてリアルでは無い。大学生活の回想もおぼろげ。行軍で頭がぶっ壊れている感覚がリアルで良い。ぶっ壊れることによって現実を無理やり受け入れるというか、自分を歪なかたちの現実に溶かし込むというか、そんなプロセスを描いた小説として読めた。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

小隊、最前線で戦う人達。
終わりの見えない、そもそも終わりが自分達の役割にあるのかどうか。

少しも光を感じさせてくれない。意地でも見せない感じ。リアルを投げつけられた感じ。

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2024年11月25日

Posted by ブクログ

「小隊」はよかったけど、後の2作は刺さらなかった。
戦争に至る背景とかもっと詳しく書いてほしかったかも…

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

芥川賞受賞作
「ブラックボックス」 を読む前に。
非日常を日常とした若者の一人語り。
といった感覚。
たぶん再読はしないです。

3篇収録されていて
表題の「小隊」 は非常に読みやすく、
デビュー作である 「市街戦」はもうろうとした意識の中の 展開のため少々読みにくさはある。
とはいえ1冊通読するのに5時間程度。
ふむ。

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2024年02月23日

Posted by ブクログ

題名:「小隊」他二編の短編集。

「小隊」は北海道にロシア軍が上陸し、釧路付近で地上戦になる話。
この話が全編続くと思っていたら、すんなりあっけなく終わる。

土地勘があるので、物語は生々しく思える。

「戦場のレビヤタン」、「市街戦」はKが一人称で登場する。

「市街戦」からの「戦場のレビヤタン」 なのかと邪推してしまう。

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2023年02月03日

Posted by ブクログ

自衛隊というか軍事に関して今まで触れたことがなかったので、知らない専門用語か多く多少読みにくく感じましたが、この作品を通じて「実際の戦争って、こんなものなのかもしれないなぁ」と感じた部分が235ページにわかりやすく書いてありました。

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2023年01月26日

Posted by ブクログ

リアルな戦場を描いておりますが描いただけで終わりだったのかなと感じました。ブラックボックスもそうだったのですが結局読み終えて「で?」としか思いませんでした。(わたしの感受性の問題だと思います)

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2022年12月08日

Posted by ブクログ

戦争って綺麗事じゃないよなということを、まざまざと感じた。軍備に詳しい人なら、読後感が違ったものになるかもしれない。

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

 北海道に展開する自衛隊が、いかに作戦を展開するのか。ロシアのウクライナ侵攻でがぜんリアリティが出てきた舞台設定だ。給料と引き換えに戦闘行為に身を投じる覚悟があるか。国を守るために銃をとる覚悟があるのか。銃を手に取るということは、すなわち標的になるということだ。私は、殺す側にも、殺される側にも立ちたくない。

 タイトルになっている短編のほか、現代の自由主義世界に住み、かつ兵士になることを選ぶ価値観について様々な解釈をしている。生きている実感と言われれば、そうかもしれないが、本質は殺すか、殺されるかだ。

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2022年08月16日

Posted by ブクログ

実家が道東なので、地元が戦場となったらどうなるのか、被害シミュレーションも兼ねて読みました
戦争も仕事と同じ事前の準備、段取りが大事なんだと思いました
実際準備している時間は相手の動きで封殺されたりするので、色々な事態を想定した準備や訓練って大事だなと痛感しました

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2022年06月06日

Posted by ブクログ

戦争物「小隊」「戦場のレビヤタン」「市街戦」3編
【小隊】
ロシアが北海道に侵攻し、陸自が防衛する戦闘を描いている。元自衛官の筆者が描く戦闘シーンは超リアル。息つく暇もない筆致で自分も戦場にいるような感覚でした。
ロシアのウクライナ侵攻と重なり、圧倒的火力の脅威がどれほどのものかを具体的に感じ取れました。ジャベリンは安いから戦車からジャベリンにきるかえるべきとか言うワイドショーレベルの財務省に読んでほしい。
【戦場のレビヤタン】
息苦しい主人公と生き苦しい自分と重ねる
なるべく遠ざけている「死ぬまで何をしていればいいのか」がぶり返す。
不快感にどっぷりつかってこのまま生き続けるのかと思うと憂鬱になる。
緩慢な生なのか緩慢な死なのか分からなくなってくる。中途半端な孤独が耐えられない。
【市街戦】
訓練行軍と夢?妄想?を行ったり来たりする。陸自の行軍は流石にリアル。
ただ、私には難しい作品でした。言いたいことがよくわからなかった。

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2022年06月04日

Posted by ブクログ

ふつうの感性の人間が、自分ではどうにもならない極限状態に置かれたときに、瞬時瞬時の経験をどのように感じ、どう行動するのかを小説として表現したのだと思う。戦闘する自衛隊が舞台となっていることは、著者が説得力に満ちたリアリティを与えやすいということで選ばれているに過ぎないのではないか。この小説をもって国防や外交を考えるというものでもない。

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

実に生々しくて、読んでると鬱屈した感情になってしまう場面もありましたが、この作品こそが、著者の思ったままの生身の表現なんだと感じました。
元自衛官の著者だからこそ描ける、訓練の過酷な
部分など、戦地のリアルさを伝えていると思います。

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロシア軍が日本に突然攻めてきて北海道で自衛隊と衝突 その最前線の小隊長視点でのお話

まず専門用語が多すぎて何言ってるのかわからない なのでリアルなのかもどうかも判断できない なんか大変だなー で最後まで終わった

最後の見せ場はまさかの小熊さんバックれてたのかよくらいでなんだかなぁと

多分作者の言いたいことは「自衛隊は実際の戦闘したら弱いですよ あの連中形だけですわwww」なのかなぁと

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2022年04月23日

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