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第166回芥川賞受賞作。 ずっと遠くに行きたかった。 今も行きたいと思っている。 自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。 自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。 昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(本書より) 気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
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Posted by ブクログ
久しぶりに良い意味で陰鬱で 心がザワザワする作品で良かった。 自分も 何かしらの軽い発達障害を持っているのではないかと なんとなく思っている この作者の 「自分の尺度では」頑張っている感じ 物事が上手くいかない感じ 読みながら 上手く呼吸出来ない感じ(閉塞感)に 久しぶりに 良い意味で暗い気持...続きを読むちで本を読んだ よかった
人が行動を起こす時、その内側では何が起きているのか?私達はみな一瞬ともいえないような時間で、言葉にも変換されないイメージのようなものが生じて、それから行動に移る。その一瞬(ブラックボックス)をよくここまで文字にしたなあ。 その時その時、滴のように優しい人の気持ちが滴ることがあってもサクマには気付...続きを読むくことも、活かすこともできない。サクマはイメージを持てない。サクマは見通しを持てない。サクマのような人はいて、サクマのような人はブラックボックスのなかを、このようには語れない。けれどもし、それを表現してくれるなら、私はそれをききたい。
Audibleにて。 前半は、「ケーキの切れない非行少年たち」を連想させる内容であった。「推し、燃ゆ」の少女もそうだが、生まれ持った何らかの苦手さがありそうだ。 しかしその特性に気づき、何らかの工夫を凝らせばこの特性を苦手さにしないことは可能なのだ。各種認知特性に対するユニバーサルデザイン、...続きを読む色覚に難を持つ人に対して作られた最近のゲーム(例えばぷよぷよ)のような合理的配慮が求められる。(倫理資本主義の観点から言っても、これは素晴らしい試みだと感じる) 必要なのは、コグトレなのか環境整備の方なのか。おそらく両方だが、個人的にはコスパ&タイパ的に、後者重視で良いんじゃないか?と思う。 明日はどうなるか分からない。この強烈な不安感から逃れるために、人は「黙過」を必要とする。 黙過は、どうしたらよいか分からない時に許された一人で生き抜くための防衛機制だ。「人間」ではなく、「人」である時の生きる手段、それが黙過ではないか。
制度があったりルール強くある方が楽に生きる事ができそうだ。今風の会社で勤めることのトレンドとして自分の意思が会社の意思よりも反映されやすく、パワーバランスが昔と逆転している気がする。 (フレキシブルな働き方、週休3日、転職のハードルが低くなったり) 自由を求め、何にも縛られない生活が良いのかなぁと信...続きを読むじているのはムショに入る前のサクヤ。冒頭の 「信号なんかに足止めをくらいたくなかった。」 が分かりやすい。 自由であり、自分の意思で物事を決める事ができるようになった今の時代には、生活には溢れるように娯楽が転がっている(ネトフリ、YouTube、スマホゲーム等)。そのせいで、「このままじゃダメだ。」と思っていても、そんな思念を上書きするかのようにあらゆる娯楽が時間潰してくれる。そして、現実生活と向き合う事をおろそかにしてしまう。向き合わなくてもある程度満足出来てしまい、現実に起きた些細な事に対して無視できてしまう。だから、昨日と今日は全く違うのに今日を吸収しようとしなくなる。
芥川賞私小説読むシリーズ。なかなか好き。生きづらい人間が沈んでいくなかに何かを見出す話は古今東西ハズレがない。
主人公の「このままでいいのか」と焦りや不安がひしひしと伝わる作品でした。コロナがピークだった時は、給料が安定しない会社で働くことに不安を感じる人も多かったと思います。 前半後半で大きく場面が変わり、後半に入ったときは『なぜ、刑務所にいるのか』と困惑したけど、徐々にその経緯がわかっていきました。
砂川文次『ブラックボックス』講談社文庫。 初読み作家と思っていたが、どうやら2作目のようだ。この作家の先に読んだ第164回芥川賞候補作『小隊』が面白くなかったことを思い出す。 元自衛官の作家による第166回芥川賞受賞作。 バブル崩壊後の失われた30年と言われる長い不景気、新型コロナによる社会に...続きを読む漂う閉塞感。いつの間にか不安定な非正規雇用が当たり前という時代になってしまった。そんな嫌な雰囲気の中で物語は展開する。 前半は読む限りでは、主人公のサクマが現代の非正規労働に苦しむ若者たちの姿と重なり、可哀想に思った。しかし、中盤過ぎの展開からサクマが何事にもだらしなく、直ぐにキレて暴力を振るうが故に仕事が長続きしなかったのだと知ると同情心は粉々に砕けてしまった。 物語の構成は少し変わっていて面白い。唐突に主人公のサクマの現在の置かれた状況を描いてから、何故そういう状況に陥ったのかが描かれるのだ。 特に唐突だなと思ったのが中盤過ぎの展開で、何故かサクマは刑務所に収監されているという場面だ。小さな山谷があるくらいで、眼を見張るような展開は無い。では、出所してからのサクマが描かれるのかと思えば、そうでもなく、結末が曖昧なままに小説は幕を閉じてしまう。 自衛隊の辞め、次に勤めた不動産会社も辞め、その後もアルバイトを主とした職業を点々とし、今は都内で自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは焦りと苛立ちを感じ始める。 そんな中、同棲中の彼女が妊娠し、サクマはさらに焦りと苛立ちを募らせる。 場面は変わり、サクマは刑務所に居る。一体何が…… 定価682円 ★★★★
物語だと終わりがあって、それが主人公又は読み手にとって収まりの良くないものであれば、バッドエンドと呼ばれる。しかし、現実はそうではない。多くの場合、突然人生が暗転したとて、まだ幕切れというわけには行かない。再び明かりがついたりつかなかったりする。そんな人生を生きていくために大切なことが何かを考えさせ...続きを読むられたと感じた。
始終、陰鬱とした空気で物語は進む。 このままじゃいけないと頭の隅で思いながらも、日々生活する為のルーティンに追われることで、枯渇していく未来をふわっと遠くに押しやり、思考に蓋をする主人公に共感した。 恐らくADHDであろう主人公から見た社会は、ブラックボックスのように分かりにくい世界で、だから順応出...続きを読む来ずセーフティーネットからもこぼれてしまう。 そして、社会からみた彼自身も、ブラックボックスの中でもがいているから救われない。 自己中心的で人の気持ちに寄り添うことも出来ない彼だが、最後、自分の得意とすることで社会に通じるドアを開けることが出来たラストは、静かだが良かった。 どんな形であろうと、人間は人や社会と繋がることで自らの檻から脱出出来るのだと思う。
ある種俯瞰的な表現で語られるのが特徴的。タイトルは外形と中身の話と理解したが、中盤の展開はその点からも印象深い。
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