ちくま新書作品一覧

  • ヨーロッパ思想を読み解く ――何が近代科学を生んだか
    4.5
    なぜヨーロッパにのみ、近代科学を生み出す思想が発達したのだろうか。それは「この世」の向こう側を探る哲学的思考が、ヨーロッパにのみ発展したからなのだ。人間の感覚器官で接することのできる事物の背後(=向こう側)に、西洋人は何を見出してきたのだろうか。バークリ、カント、フッサール、ハイデガー、ニーチェ、デリダらが繰り広げてきた知的格闘をめぐって、生徒との10の問答でその論点を明らかにし、解説を加える。独自の視点と思索による、思想史再構築の試み。
  • 50歳からの知的生活術
    3.4
    人生80年時代、定年後の人生もとても長い。それを満足できるものにするためには、有効な勉強法を身につけて「知的生活」を充実させることが重要である。本書は、「自分が勉強したいと思えるテーマの見つけ方」、「本をより深く、きちんと読むためのコツ」、「新聞・雑誌・テレビの上手な活用法」など、実際に使える、一生ものの勉強法を多数紹介。さらに最終章では、勉強した成果を本にし、出版するための方法を伝授する。
  • 思想なんかいらない生活
    3.7
    「思想」というものは、私たちの生活に必要なのだろうか?あるいは、思想や哲学が、今のこの状況下の私たちに、果たして有効な何かを示唆してくれるのだろうか?本書では、日本の各方面で活躍中の知識人を片っ端から取り上げて、彼らの思考・表現活動が、いったいどれだけの意味をもち、一般読者大衆にどれだけの影響を与えているのかを考え、「ふつうに暮らすふつうの人びと」の立場から「思想・哲学」を問いなおす。
  • 世界をよくする現代思想入門
    4.0
    難解で役に立たないと思われがちな「現代思想」。しかし、それらの思想が、どんな「目的」を持って、どういう「道筋」や「思考の技術」を使って展開されているのか、を見ることによって、「難解さ」は解消し、「役に立たない」という批判は誤解にすぎないことがわかるでしょう。本書では、「現代思想」によって、「幸福」や「よさ」を追求するための技術を解説し、それが日々の生活の中で使えるようになることを目指します。繰り返して参照するのにも便利な「ブックガイド」「キーワード解説」付き。
  • 考えあう技術 ――教育と社会を哲学する
    3.7
    「ゆとり教育」は「学力低下」の事実によって追いやられ、「学びのすすめ」へと方針転換された。さて、では「学び」と「教え」との間に生じる関係性、つまり教師と生徒の間の知識伝達の共有は、どのように起こるのだろうか。本書では「わかる」の現象学的な試みを、教育社会学者と哲学者との間で徹底してつめていく。「いま、なぜ勉学をするのか?」という問いかけから、「私」よりも「公」を重んじようという風潮に疑問を投げかけつつ、個人の自由と社会的平等の両方が成り立ちうる地点をめざして、「ともに考え、わかりあう」みちすじを模索・考察する。
  • 美人好きは罪悪か?
    3.3
    男同士の美人談義は、なぜか熱くなりやすい。「雨夜の品定め」の時代からミスコンテスト反対論議のあった時代を経て、男が何人か集まれば、今も行われる会話である。では、果たして美人好きは罪悪なのか? 小説のヒロイン、ロリコンや萌え、髪型やヌード、歴史上の美人などさまざまな観点から、新しい「美人論」を展開する。
  • キレる女 懲りない男 ──男と女の脳科学
    4.1
    些細なひと言に突然キレる。昔のことを蒸し返す。とりとめなく関係ない話をする。思い込みが激しい。根拠なしに「絶対これがいい」と断言する。まったく女は厄介だ。確かに女性脳は厄介だが、それゆえに潜在能を秘め、扱い方を間違わなければ、強い味方になって奇跡をも起こす(間違えれば敵になる!)。本書では、男女脳の違いをつぶさに解きながら、わかりあうための処方箋を示す。職場の人材活用に使え、恋愛指南になり、夫婦の老後の備えともなる究極の男女脳取扱説明書。
  • ダーウィン入門 ――現代進化学への展望
    3.0
    19世紀の知の巨人、チャールズ・ダーウィン。自然淘汰論による進化論を提唱し、生物学だけでなく、現代思想にも大きな影響をあたえた。ダーウィンはどんな時代を生き、何を考え、私たちに何を遺したのか。ルネッサンスから現代までの進化学説史の緊張関係にわけいり、「ヒト」の観念がどのように変わってきたのかをたどる。ダーウィンの功績と限界を審判し、最先端の進化学が切り拓いた地平を展望する生物学の入門書。
  • 歴史の中の『新約聖書』
    3.8
    『新約聖書』は、キリスト教の流れの中で最も重要視されてきた書物である。しかし、この中に収められた文書を読むと、相互に対立するようなことが書かれている。この事態を理解するには、新約聖書がどのようにまとめられたのか、それぞれの文書はどのような立場から書かれたのかを考える必要がある。また、新約聖書の核にあるイエスの意義と、そのイエスが前提としていたユダヤ教の流れについて知っておくことも必要だ。歴史的状況を丁寧におさえながら読む、「新約聖書入門」。
  • 成熟日本への進路 ――「成長論」から「分配論」へ
    4.1
    日本はこれからどの方向に進んでいくのか。政治は迷走し、国民は困惑している。既に成熟フェーズに入った日本は必然的に国家ヴィジョンを差し替えなければならない。そして、経済政策や政治の仕組みを再構築しなければ、社会は一層暗く沈滞していくだけである。国民が「自分は幸せだ」と思える社会の姿と、そうした社会を目指す政策、およびその政策を実行するための戦略と新しい社会のしくみを明快に示す。
  • 未完の明治維新
    3.5
    明治維新は尊王攘夷と佐幕開国の対立が一転して尊王開国になり、大政奉還の後に王政復古と討幕がやってくるという、激しく揺れ動いた革命だった。そのために維新が成就した後、大久保利通の殖産興業による富国、西郷隆盛の強兵を用いた外征、木戸孝允の憲法政治への移行、板垣退助の民撰議院の設立の四つの目標がせめぎあい、極度に不安定な国家運営を迫られることになった。様々な史料を新しい視点で読みとき、「武士の革命」の意外な実像を描き出す。
  • 大学生の論文執筆法
    3.8
    大学生にとって論文を書くとはどういうことか。誰のために書くのか。何のために書くのか。大学での授業の受け方や大学院レベルでの研究報告書の作法、社会に出てからの書き方まで、論文執筆の秘伝を公開する。決め言葉の歴史や、カルチュラル・スタディーズが隆盛となった最近の学問の流れをも視野に入れた新しい論文入門。
  • 教えることの復権
    4.4
    日本の教育界では、「教える」ことよりも「学ぶ」ことに重点を置きはじめたように見える。だが一方で、教師の役割を軽視しすぎてはいないだろうか? 教師が「教えるということ」をもう一度正面から見つめ直し、もっとも必要なことは何かということを、すぐれた教師とその教え子、教育社会学者の間で徹底的に考える。
  • 賢い皮膚 ――思考する最大の〈臓器〉
    4.0
    今、皮膚科学が長足の進歩を遂げている。医療や美容からのアプローチだけではうかがいしれない、皮膚メカニズムが次々に解明されつつあるのだ。「年をとるとしわができるのはどうして」、「お肌によい物質は何か」といった身近なトピックから、「皮膚が脳と同じ機能を担っているとしたら」というにわかには信じられない働きにまで本書は迫っていく。
  • 地域再生の罠 ――なぜ市民と地方は豊かになれないのか?
    3.8
    社員を大切にしない会社は歪んでいく。それと同じように、市民を蔑ろする都市は必ず衰退する。どんなに立派な箱物や器を造っても、潤うのは一部の利害関係者だけで、地域に暮らす人々は幸福の果実を手にしていない。本書では、こうした「罠」のカラクリを解き明かし、市民が豊かになる地域社会と地方自治のあり方を提示する。
  • 解離性障害 ――「うしろに誰かいる」の精神病理
    3.9
    「うしろに誰かいる」という感覚を、頻繁に訴える人たちがいる。また、かれらは同時に、体外離脱や「霊」体験があるといった共通点をもつ。このような症状が高じると、リストカットや大量服薬をして、精神科を訪れることになる。さらに高じると、解離性同一性障害(多重人格)とよばれ、ときに暴力的にもなる。本書では、現代日本の解離の姿を、具体的な症例をあげて描き、寛解に至る道筋を照らし出す。
  • ザ・ディベート ――自己責任時代の思考・表現技術
    4.7
    ディベートと言えば、「ああ言えばこう言う」という詭弁術とか、言葉で相手をとっちめる技術と思いがち。和を乱す「非日本的」なものとして排除されてきたのも事実だ。だが「朝まで生テレビ」はディベートではない。実は誰でも既に、会議や交渉というビジネスの場で、「テーマを設定し、データを集め、問題枠を作り、複数の議論パターンを考え、自説を主張し、相手に反駁する」という経験をしている。これをより方法的に相互の信頼のなかで実現していく技術こそがディベートなのだ。よいコミュニケーターはよいディベーター。自分の頭で考え、自分の言葉で述べ、相手の言葉を聞くための方法。
  • ヒトラーの側近たち
    3.6
    ヒトラーの支配妄想を成就させようと画策したナチスドイツ。弁は立つが猜疑心が強く気分屋のヒトラーに、なぜ有能な側近たちが追随したのか。ゲーリング、ヘス、ハイドリッヒ、アイヒマン、ヒムラー、ゲッベルス……独裁者を支えた側近はどのように対処し振舞ったか。過激な若者集団が世界に巻き起こした悲劇の実相をえぐる。
  • 「考える」ための小論文
    4.3
    論文は、自分のモヤモヤした考えを明確にするため、またそれを他者に伝えるために書かれる。「自分とは何者か」から「人間の生」「現代社会の在り方」まで幅広いテーマを取りあげて、論文の「かたち」と「なかみ」を丁寧に解説する。本書は、大学入試小論文を通して、文章技術の基本を身につけるための哲学的実用書である。
  • 天下無双の建築学入門
    3.9
    人はいつから「家」に住むようになったのだろうか。自然の中で暮らしていた人間が家を建てるようになったのはいつからなのだろう? 山や川、木や石などに神が宿っていると信じていた頃からの心の習慣が、日本建築の中には生き続けている。建築史家であり、建築家でもある著者が建物の基本構造から説く建築学入門。
  • 公共哲学とは何か
    3.7
    シニシズムや無力感、モラルなき政治家や経済人、軍事力を行使したがる大国―こうした事態に直面して、いま「公共性」の回復が希求されている。本書は「個人を活かしつつ公共性を開花させる道筋」を根源から問う、公共哲学の世界に読者をいざなう試みである。「知の実践」への入門書決定版。
  • 高校生のための経済学入門
    3.5
    わが国の高校では、経済学がほとんど教えられていない。一方、世の人々の経済に対する関心はけっして低くない。本書では高校生にもわかるように、ポイントをきちんと抑えながら、経済学の基本的な考え方を解説する。理論よりも、現実の経済問題の解決に経済学の考え方がどのように生かせるかという、実践的な面を重視する。
  • 二〇世紀の自画像
    3.3
    二〇世紀は日本にとって、実にめまぐるしい百年間でもあった。空前の豊かさと膨大な人的犠牲という強烈なコントラストに彩られたこの世紀は、その時代を体験した人間にどのように映ったのだろうか。優れた文明批評家として知られる著者が、この百年を再考し、新たな混沌が予感される現代を診断する。
  • 憲法と平和を問いなおす
    4.2
    日本国憲法第九条を改正すべきか否か、決断を迫られる時代が近づきつつある。しかし、立憲主義、つまり、そもそも何のための憲法かを問う視点が見落とされてきた。その核心にある問いにたちかえり、憲法と平和の関係を根底からとらえなおす。情緒論に陥りがちなこの難問を冷静に考え抜くための手がかりを鮮やかに示す。
  • 現代語訳 武士道
    4.0
    日本人は、宗教なしに道徳をどう学ぶのか―こうした外国人の疑問を受け英文で書かれた本書は、世界的ベストセラーとなった。私たちの道徳観を支えている「武士道」の源泉を、神道、仏教、儒教のなかに探り、普遍性をもつ思想であることを鮮やかに示す。日本文化論の嚆矢たる一冊を清新かつ平明な現代語訳と解説で甦らせる。
  • 現代語訳 論語と算盤
    4.4
    日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。明治期に資本主義の本質を見抜き、経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、未来を生きる知恵に満ちている。
  • ドゥルーズ入門
    3.4
    没後十年以上の時を経て、その思想の意義がさらに重みを増す哲学者ドゥルーズ。しかし、そのテクストは必ずしも読みやすいとはいいがたい。本書は、ドゥルーズの哲学史的な位置付けと、その思想的変遷を丁寧に追いながら、『差異と反復』『意味の論理学』の二大主著を中心にその豊かなイマージュと明晰な論理を読み解く。ドゥルーズを読むすべての人の羅針盤となる決定的入門書。
  • 女は男のどこを見ているか
    3.8
    「男」と「女」のすれ違いは、日常のさまざまな場面で見受けられる。女の行動の謎は、男にとっては悩みのタネの一つでもある。では、男から見た男像と女から見た男像のズレの最大の原因は何か? 本書は、この男女の認識のズレを解明し、そのうえで、男が、智恵と勇気と愛と感謝の気持ちをあわせ持った「いい男」に成長するための「英雄体験」について解説する。すべての男性に必読の一冊。
  • 禅的生活
    3.8
    生きにくい世の中である。不況、雇用不安などの外圧もさることながら、個人の内部に深く根差した、生きるための目標、足場の固め方までもが見えにくくなっている。だけど、しょせん人はこの身と心で生きてゆくしかない。それならいっそ、ものの見方をがらりと変えて、もっと楽に生きるための思考方法を身につけてしまおう。作家にして禅僧である著者が、禅語をもとにその世界観をひもときながら、「今」「ここ」を充実させるための様々な智慧を、坐禅なしに伝授してしまおうという画期的にしてフラチな人生指南&禅入門の一冊。
  • 無思想の発見
    4.0
    日本人は無宗教・無思想・無哲学だという。さて無思想とは、どのような事態か。もしかするとそれは、「ゼロ」のようなものではないのか。つまりゼロとは、「なにもない」状態をあらわしつつ、同時に数字の起点でもある。ならば、「思想がない」というのも、ひとつの「思想」のあり方ではないか。日本の風土と伝統が生んだ「無思想という思想」を手がかりに、現代を取り巻く諸問題、さらには、意識/無意識とはなにかを、大胆に、されど精緻に考え尽くし、閉塞した現代に風穴を開ける。
  • 歴史学の名著30
    3.8
    世界と日本を知るには歴史書を読むのが良い。ところが歴史を学ばずに大学生や社会人になってしまう人も少なくない。多忙な現代人のために、紀元前の時代から二〇世紀にいたるまで、日本から中国やアジア、イスラームからヨーロッパなどで生まれた名著を厳選し、歴史の面白さを伝えるブックガイドの決定版。
  • 「できる人」はどこがちがうのか
    3.7
    今日のように社会構造が根底から揺らいでいる時代には、各自が固有の判断のもとに動くほかない。そのためには、オリジナルなスタイルをもつことが大切である。「できる人」はどのように〈技〉を磨き、上達の秘訣を掴んだのだろうか。スポーツや文学、経営など様々なジャンルの達人たちの〈技〉や、歴史の上で独特な役割を果たした人々の工夫のプロセスを詳細にたどり、新しい時代に求められる〈三つの力〉を提案する。
  • 知識経営のすすめ ――ナレッジマネジメントとその時代
    3.8
    日本企業は二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力を作り上げてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは組織的知識構造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス、業務システムに具体化していく組織の運動能力をさす。いくつもの優良企業のケーススタディをもとに知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。
  • ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる
    3.9
    インターネットが登場して10年。いま、IT関連コストの劇的な低下=チープ革命と技術革新によりネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係に大きな変化が生じている。ブログに代表されるネット参加者の急増とグーグル等が牽引する検索技術の進化は「知」の世界の秩序を再編成し、ネット空間に蓄積された富の再分配が全く新しい経済圏を誕生させようとしている。このウェブ時代をどう生きるか。オープンソース、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、大変化の本質を捉え、創造的・積極的に対処する知を探る、待望の書。
  • 現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護
    3.8
    格差社会の果てにワーキングプアや生活保護世帯が急増中。だが本当にそうなのだろうか? バブルの時代にも貧困問題はあった。ただこの国は「ない」ことにしてきたのだ。貧困問題をどう捉え、その実態はどうなっているのか。ある特定の「不利な人々」ばかりが苦しみ、抜け出せずにいる現状を明らかにし、処方箋を示す。
  • あなたの苦手な彼女について
    3.2
    たいていの人に「苦手な彼女」がいるという。いったい、それはどういうことなのだろうか? 七〇年代の高度成長期にウーマンリブ運動が起き、時を同じくして消費者運動が登場した。八五年には男女雇用機会均等法が成立し、その年、内需拡大のために個人消費が推進された。その後の好景気とバブルの崩壊、平成不況……。この四十年の間に、日本の男女関係がたどってきた変遷を、ときに女帝の時代にまで溯って深く考察する。
  • マクロ経済学を学ぶ
    3.7
    国民総生産、国内総生産、経済成長、雇用、物価、国際収支、金利、為替レート。マクロ経済学は、これらの国民生活に深く関わる経済変数がなぜ変動するのか、それらの経済変数は財政政策や金融政策によって安定化させることができるのか、国民の生活が豊かになるように、経済成長率を引き上げることは出来るのか――そういった問題を明らかにしようとする、きわめて実践的な経済学である。
  • からだを読む
    3.7
    自分のものなのに、人はからだのことを知らない。からだの中を見るなんて、とんでもないと思っている。そのくせ「人体はよくできていますね」などと言う。よくできているのなら、なぜ喉にモチを詰まらせて死んだりするのか。生きるために必要な食べるという行為によって、これまた不可欠の呼吸を妨げて死ぬ。そんなバカなことがあるものか……。口からはじまって肛門まで、知っているようで知らない人体内部のディテールを多彩な図版とともに綴った医学エッセイ。養老流解剖学入門。
  • 意識とはなにか ――〈私〉を生成する脳
    3.7
    太陽の輝き、朝のコーヒーの香り、小鳥のさえずり……私たちの意識は鮮やかな質感(クオリア)に満ち満ちている。物質である脳が、心の中に、そうしたユニークな感覚を生み出すのはなぜか? そして、すべてを感じる存在としての<私>とは何者なのか? 人類に残されたこの究極の謎を解きほぐす鍵は、他者との関係性の中でダイナミックに変化する脳の働きにある。気鋭の学者が、脳科学、認知科学、哲学の領域を横断する新しいアプローチにより難問に新境地を展開した画期的論考!
  • アニメ文化外交
    3.6
    世界はこんなに日本が好きだ! ミャンマー、サウジアラビア、イタリア、スペイン…。日本のアニメは、想像を超えて世界に広がっている。本書では、日本のアニメが世界でどう愛され、憧れの的になっているかを、現地の声で再現。このアニメ文化を外交ツールとして積極的に活用する意義を論じ、そのための戦略をも提示する。
  • 現代語訳 学問のすすめ
    4.3
    近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉の大ベストセラー『学問のすすめ』を、原書のリズムをいかしつつ、文語を口語に移した現代語訳。国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身も充実する生き方を示した彼の言葉は色あせない。時代情勢を的確に見極め、今すべきことを客観的に判断する力を身につけよう。
  • これから世界はどうなるか ――米国衰退と日本
    3.5
    戦後の世界には、常に米国が最強という「柱」があった。軍事的に経済的に、文化的にも他国を圧倒した米国が戦後世界を取り仕切った。旧ソ連との冷戦に勝利し、日本の経済的挑戦をも退けたことで、盤石と思われたその地位が、しかし今、揺らいでいる。米国の影響力が減退する中、世界は新たな秩序を模索し始めた。いっぽう日本は、ますます米国依存を深めているようにも見える…。外交と国防の大家が激動の国際政治をリアルな目で俯瞰。新時代の針路を読み解く。
  • 関東連合 ――六本木アウトローの正体
    3.3
    六本木界隈で事件が起こると、あるいは芸能スキャンダルがあると、必ずと言っていいほど、あるグループの関与が取り沙汰される。捜査当局から、ついに準暴力団と規定された関東連合だ。いったい彼らは何者なのか。なぜそれほど影響力を持てるのか。数々の事件の背景には何があるのか――。捜査当局はもとより、関東連合幹部、暴力団関係者を直撃。さらに、暴走族、チーマー、ギャングと変遷した昭和・平成の不良少年シーンを、著者の実体験も交えて辿る。綿密な取材・分析から見えてきた、新しい反社会的なネットワークの正体に迫る。
  • ぼっちのアリは死ぬ ――昆虫研究の最前線
    3.9
    集団をつくり、他者との関わりをもって生きていこうとする性質である「社会性」……本書では、昆虫が苦手だった筆者がすっかり魅了され、10年以上にわたって見つめてきた、アリの不思議な世界をご紹介します。 【目次】第1章 なぜアリを研究するのか?/第2章 アリの生活史/第3章 孤立アリは早死にする/第4章 鍵はすみっこ行動/第5章 アリから学ぶ社会と健康
  • なぜ人は自分を責めてしまうのか
    4.2
    「すべて自分が悪い」というふうに自分の存在を否定することで、世界の合理性を獲得する。この感覚を、自責感といいます。臨床心理学では、自責の問題はほとんど扱われてきませんでした。この本では当事者の言葉を辞書として、自責感だけでなく、母と娘、共依存、育児といったものにまつわる問題を考えていきます。講座の語り口を活かした、やさしい一冊です。
  • ゆたかさをどう測るか ――ウェルビーイングの経済学
    4.5
    「ゆたかさ」とは何だろう。国が経済成長を遂げ、モノが溢れかえる一方、人々のつながりは希薄化し、自然環境は破壊され、現代社会はますます息苦しくなっている。GDPという指標の下で富の増大を目指し、社会を測ろうとする経済学は、私たちの「ゆたかな生(ウェルビーイング)」を捉えることができているだろうか。経済成長至上主義を問いなおし、経済のための人間から人間のための経済へ――。国家や市場という枠組みに囚われず、独立した個の連帯からなる社会のかたちを構想する。
  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問
    4.0
    貧困とは「お金がないこと」だと思っている人は多い。では生きていくための最低限のお金さえあれば貧困ではないのか? 貧困の定義は実は時代ごとに課題にぶつかり、形を変えてきた。貧困層を劣った人間と見なす優生思想、男女差別を前提とした家族主義、子どもを救うに値する/しないに選別する投資の論理、貧困を努力の問題に還元する自己責任論……。気鋭の研究者が、「貧困」概念をめぐる議論と問題点を整理し、「貧困」が今もなくならないのはなぜかという根本的な問いに対峙する。
  • サプリメントの不都合な真実
    3.5
    紅麹の危険性は世界的に指摘されていた! 「ビタミンやミネラルだから安全」は大間違い? ウコンは肝臓機能を低下させる? 「伝統薬・漢方薬だから安心」とはいえない? 機能性表示食品は「気のせい食品」? 日本には健康食品の安全を保証する法や制度がない……それでもあなたはサプリメントを飲みますか? 食品安全の第一人者が海外の最新事情もふまえ、これだけは知っておきたいポイントを徹底解説。知ったら怖くて飲めなくなる。9割が知らないサプリメントの黒い真実。
  • 教育にひそむジェンダー ――学校・家庭・メディアが「らしさ」を強いる
    4.5
    理想(多様性奨励)と現実(根強いバイアス)のギャップが大きすぎる! 学校・家庭・メディアで与えられる「らしさ」の何が問題か。赤ちゃんから幼児、小学生、中高生、大学生まで、育児や教育を通して子どもたちに与えられるジェンダーイメージについて、教育社会学の知見や著者自身の子育て経験を踏まえて検証・考察する。母性愛神話、マイクロアグレッション、性教育、別学か共学か、性的同意、女性の透明化・商品化…… 語りにくいが大事な問いに正面から挑む。
  • バブルの後始末 ――銀行破綻と預金保護
    3.0
    いまも続く「失われた30年」の直接的な原因とされるバブル経済の崩壊。当時、金融業界では何が起こり、関係者は何を見誤ったのだろうか。段階的に導入された一時国有化、新銀行設立、資本注入、不良債権の分離などの「破綻処理スキーム」は、何を目指したものだったのか。激動の現場で実務に当たった著者がその舞台裏を振り返り、金融不安と隣り合わせの現代に、その教訓と危機対応の考え方を伝える一冊。
  • 投資で変わる日本経済 ――「アマチュア資本主義」を活かす途
    3.5
    賃金が上がらない。ハンコがないと書類も回せない。停滞から30年も抜け出せない。日本は資本主義の落第生なのか?――新型コロナウイルス感染拡大によって、日本経済の脆弱さが浮き彫りになったが、それはバブル崩壊以降、問題を先送りし続けてきた当然の帰結だ。長期停滞の原因は日本の「アマチュアな資本主義」であるとし、データで検証。さらにデジタル化や人材育成への投資の必要性を説き、日本らしさを活かした非市場的な「豊かさ」への新たなアプローチを模索する。日本経済の閉塞感を打ち破るための一冊。
  • 萩本欽一 昭和をつくった男
    4.0
    コント55号のブレイク、欽ドン!、欽どこ、ぴったしカン・カン、スター誕生!、仮装大賞、24時間テレビなど高視聴率番組の連発、そしてイモ欽トリオやわらべ、茨城ゴールデンゴールズのプロデュース――。素人をテレビの主役にし、笑いの地位を上げ、バラエティの常識を次々打ち破った“視聴率100%男”欽ちゃんの革命。「ダメなときほど運はたまる」「勝つか、逃げるか」といったユニークな人生哲学のもと、誰もがテレビに夢中だった「あの時代」をつくったテレビスターの全軌跡。
  • 「権限によらないリーダーシップ」で組織が変わる
    5.0
    「リーダーシップを発揮するには、組織内でその根拠となる何らかの『権限』が必要だ」と考える人は多いだろう。本書で紹介するのは、そういった権限の有無や強弱によらず、参加する人すべてが発揮する新しいリーダーシップだ。このリーダーシップは具体的スキルとなる「目標設定・共有」「率先垂範」「相互支援」の最小3要素が過不足なく機能することで実現可能となる。個々人のキャリアアップに結びつく一方で、柔らかく強い組織づくりにもつながる「権限によらないリーダーシップ」が支持される理由と習得法、実践法を紹介する。
  • ごみ収集の知られざる世界
    4.2
    あなたが今捨てたそのごみはどう集められ、どう処理され、最終的にどこへいくか知っていますか? 自宅、会社、外出先それぞれで、実はごみの扱いも異なってくる。地域によっても特色があり、様々な工夫がなされているが、それには従事する人の頭と力が必要となる。もちろん環境や持続可能性を考えるなら、掘り下げる余地はまだまだある。自ら北へ南へ赴いて体験することで見えてきた、奥深い世界を紹介する。
  • バブルと資本主義が日本をつぶす ――人口減と貧困の資本論
    5.0
    令和バブルともいうべき株や都市部不動産の高騰、急速に進行する地方経済の衰退。近代英国の労働者のような低賃金に貧富の差が拡大している。老後への不安に付け込み、税優遇などの誘惑によって引きずり込まれた危険なマネーゲームの乱高下はチキンゲームの様相を呈してきた。バブルは壊れて消えるのが必定。マルクスは、資本主義には貧困が必要なことを喝破したが、日本はいま未曾有の労働力不足、人口減少社会に直面している。――日本の末期的状況を、マルクスやエンゲルスの枠組みで読み解く。
  • 理系的 英語習得術 ――インプットとアウトプットの全技法
    4.7
    科学者として英語を日常的に使いこなす著者が、半世紀にわたる英語学習の経験から「結果を出せる」ノウハウだけを厳選してアドバイス。システマティックで合理的な英語の勉強法、すなわち誰にでもできる「習得術」を理系的視点から大公開。英語情報のインプット、アウトプット、未来の活用の三項目を見据えて学習を進めていく。読めば、頭をポジティブに稼働させ、「英語が得意になった」感触を得ることができる実践の書。
  • 中国共産党vsフェミニズム
    4.0
    中国に女権主義(フェミニズム)ブームがやってきた。「なぜこの社会は不公正で不条理なのか」。自らの境遇に不満を募らせる女性たちの問いに、女権主義が答えを与えたからだ。「天の半分を支える」といわれてきた中国の女性だが、建国以来、中国共産党最高指導部にその姿はない。改革開放政策は男女格差を広げ、出産や結婚から女性は遠ざかる。女性への暴力や人身売買の報道もあとを絶たない。女権主義を手に入れた女性たちに対し、政権は神経をとがらせる。MeToo運動の最中に現地取材をした中国特派員が見た抵抗と弾圧の最前線。
  • 自民党幹事長 ――歴史に見る権力と人間力
    3.0
    自民党幹事長は、いつも政治の中心にいる。党内対立・抗争で調停役を務め、国会では野党との対立の矢面に立ち、また時に妥協の道を探り、国政選挙では陣頭指揮に立つ。幹事長ポストでは政治家としての総合的な力量が試される。政策能力、組織運営力、そして人望――まさに人間力の勝負である。長く政治を取材し、テレビのキャスター、コメンテーターとしても活躍してきたベテラン政治記者が、自民党の五五代・四三人の歴代幹事長の業績を振り返り、幹事長の強さの秘密を探る。
  • 哲学の問い
    -
    「世界は物質だけでできているという考えは、科学的だと言えるのか」「犯罪者は、非難の対象ではなく治療の対象として扱われるべきか」「何かが本当に存在しているとは、いったいどういう意味なのか」……。哲学をすることの中心には、世界の隙間に目を向けて、自分自身の頭と言葉で問いを育てていくことがある。バラエティ豊かな24の問いを通じて、〈哲学をするとはどのようなことか〉を読者が一気につかみ取るための、生きた哲学の入門書。
  • 検証 大阪維新の会 ――「財政ポピュリズム」の正体
    3.7
    結党から十数年の間に地域政党の枠を越え、国政でも存在感を見せる維新の会。公務員制度や二重行政にメスを入れる「身を切る改革」や、授業料の完全無償化が幅広い支持を得る一方、大阪都構想や万博、IRなどの巨大プロジェクトは混迷を極める。“納税者の感覚”に訴え支持を広げる政治、そしてマジョリティにとって「コスパのいい」財政は、大阪をどう変えたか。それは誰に手厚く、誰に冷たい政治なのか。印象論を排し、独自調査と財政データから維新の「強さ」の裏側を読みとく。
  • 中学受験の落とし穴 ――受験する前に知っておきたいこと
    -
    高学歴親はわが子の将来を心配して、脳の発達の順序や成熟度を無視した早すぎる塾通いから中学受験を考えがちだ。しかし、合格しても決裂する親子関係、入学後も続く苛烈な競争に疲弊する子ども……将来の幸せどころか目の前のトラブルを抱える事例が続出している。一生涯の幸せのために重要なのは、家庭生活でしか育めない“頑丈な脳”を作ること。発達脳科学の視点から、受験を考える前に知っておくべきことをアドバイス。
  • 町内会 ――コミュニティからみる日本近代
    3.9
    加入率低下や担い手の高齢化により、存続の危機に瀕する町内会。回覧板、清掃、祭り、防災活動など、活動は多岐にわたる。そもそも参加は任意であるはずなのに全戸加入が原則とされてきた、このふしぎな住民組織はいつどのようにして生まれたのか。それは共助の伝統か、それとも行政権力の統治技術か。明治地方自治制、大衆民主化の時代から戦中・戦後まで、コミュニティの歴史を繙くことで、この国の成り立ちがみえてくる。問題の本質をとらえ、再生の手がかりを探るための必読書。
  • 道鏡 ――悪僧と呼ばれた男の真実
    3.3
    女帝・称徳天皇に取り立てられ重用された奈良時代の僧侶、道鏡(?~772年)。女帝に取り入って皇位さえうかがった野心家として、長く悪名が根付いているが、本当にそのような人物だったのだろうか。さまざまな伝説を検証し、最新資料を検討すると、道鏡は実際には政治に関与することなく、天皇への仏教指導に終始した人物としての意外な実像が見えてくる。史料の綿密な検討によって、謎が多く、悪評にまみれた時代の寵児の実像に迫るとともに、古代政治の実態を描き出す。
  • 使える!予習と復習の勉強法 ――自主学習の心理学
    3.9
    学校の授業中は勉強しているけど、授業以外での勉強の方法がわからない。試験はまだ先だし、勉強は授業の中だけでも十分じゃないの? そういった疑問に答えるべく、授業の理解度をぐんぐん上げるための予習と復習の考え方を解説する。予習と言えば教科書を眺めるだけ、復習といえば解説をノートに写すだけ、といった人は必読。効率的、効果的な勉強法と、苦手な科目でも対応可能なメソッドで、あなたのやる気もあがるはず! 学校の授業中は勉強しているけど、授業以外での勉強の方法がわからない。試験はまだ先だし、勉強は授業の中だけでも十分じゃないの? そういった疑問に答えるべく、授業の理解度をぐんぐん上げるための予習と復習の考え方を解説する。予習と言えば教科書を眺めるだけ、復習といえば解説をノートに写すだけ、といった人は必読。効率的、効果的な勉強法と、苦手な科目でも対応可能なメソッドで、あなたのやる気もあがるはず!
  • 「いいね!」を集めるワードセンス
    3.8
    会話の中で、イヤなことを言われた時、気まずい雰囲気になった時などの切り返し方には、その人のセンス、人間性が現れる。嫌味にならない、あるいは場の雰囲気をこわさない、共感を集める言葉の選び方、言い換え術を学ぼう。雑談の中でも、あるいはSNSでも、ちょっとした一言で印象は大きく変わる。芸人や有名人、映画のタイトル、CMのコピー、文学作品等に学んだり、クイズを解いたりすることで、自然にワードセンスを磨いていける。
  • 日本人なら知っておきたい日本の伝統文化
    5.0
    現代の私たちは日本の伝統文化をあまりにも知らない。それは明治時代に西洋の知識や技術を取り入れるためにつくられた学校教育や近代の学問が、日本の文学や歴史を私たちの心から切り離して論じてきたからだ。伝統的な日本人の心のあり方や死生観はどのようなものだったのか。いま私たちが伝統的と思っているものの多くが、いかにして明治に入ってからつくりだされてきたのか。民俗学や宗教学、倫理学等の観点から近代以降に日本人が見誤り、見失ってきたものを掘り起こす。
  • レビー小体型認知症とは何か ――患者と医師が語りつくしてわかったこと
    4.6
    著者の樋口は、50歳で「若年性レビー小体型認知症」と診断されたが、41歳の時にうつ病と誤診されて治療で悪化した経験がある。この本では、この病気に精通する内門医師と、この病気の早期発見のポイント、幻視や睡眠障害への対応、薬についての知識や治療で気をつけること、アルツハイマー病との違い等、ケアする側や高齢化社会では誰もが知っておくべきことを徹底的に語る。「認知症になったら人生終わり」ではなく、希望がある病気であることを伝えたい。
  • ブッダという男 ――初期仏典を読みとく
    3.8
    ブッダは本当に差別を否定し万人の平等を唱えた平和主義者だったのか? 近代の仏教研究は仏典から神話的装飾を取り除くことで、ブッダを平和主義者で、階級差別や男女差別を批判し、業や輪廻を否定した先駆的人物として描き出してきた。だがそれは近代的価値観を当てはめ、本来の内容を曲解したものにすぎない。では、ブッダの真の偉大さは一体どこにあるのか。これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。
  • 情報公開が社会を変える ――調査報道記者の公文書道
    4.0
    行政が押し進める理不尽な政策。そこに共通するのは、意思決定過程が不透明で結論や負担だけを市民に押しつける点だ。真実を知り、民主主義を守るためには、私たち一人ひとりが行政を監視し、政策をチェックすることが求められる。役所の不正に立ち向かうとき、強力な武器となるのが情報公開制度だ。これまでに千件もの情報公開請求を行い、数々のスクープを伝えてきた調査報道記者が、長年の経験をもとに、そのしくみとテクニックをわかりやすく伝授する。
  • 東京タワーとテレビ草創期の物語 ――映画黄金期に現れた伝説的ドラマ
    -
    東京のシンボルとして親しまれ、数多くの映画やドラマ作品に映し出されてきた東京タワー。本書は、東京タワーが登場する現存最古のテレビドラマ『マンモスタワー』をめぐる若きテレビ産業の奮闘に迫る。この番組が放送された1958年は、映画産業が観客数の最高を記録した絶頂期である一方で、東京タワーが「史上最大の電波塔」として竣工した年でもあった。映像メディアの主役が映画からテレビへと転換していく時代において、その緊張関係を象徴する『マンモスタワー』のユニークな魅力を気鋭のメディア研究者が描き出す。
  • ルポ 高学歴発達障害
    3.6
    「ケアレスミスが多い」「人間関係がうまくいかない」――生活や仕事上で問題を抱える「大人の発達障害」が注目を集めて久しい。実はその中に「高学歴でありながら、発達障害を抱えている人」が少なからず存在する。「エリート」のイメージと「障害」の実情の狭間で理解が得られず、周囲と自分を比べては落ち込み、アイデンティティの葛藤を抱える……。当事者、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて、発達障害が取りざたされる背景にある「異質であること」「非効率的であること」に不寛容な社会の姿を浮かび上がらせる。
  • 道徳的に考えるとはどういうことか
    5.0
    その考えは正しいか正しくないか、あるいはそれをすべきか否か――。私たちは日々、様々な道徳的判断を迫られ、あるときは自然に、また別のときには悩みに悩んで結論を下す。こうした判断はしばしば、自分たちの外部にある絶対的な規準を個別の現実に当てはめるものとして思い描かれる。だが、そんなふうにすべてを一刀両断できる規準などありうるだろうか。「非主流派倫理学」の立場からプラトン、ウィトゲンシュタイン、一ノ瀬正樹、槇原敬之らの実践を取り上げることで、道徳的思考の多様で奥深い内実を浮き彫りにする哲学的探究。
  • 大還暦 ――人生に年齢の「壁」はない
    3.0
    人間は、どうやら120歳(大還暦)まで生きることができるらしい――そんな時代に長い老後をどう生きて、どう死んでいくのか。それを考える上で、「宗教」は役に立つのか。宗教学者の著者が、日本人の死に方、生き方、宗教の衰退について、そして、最期まで充実して楽しく過ごすにはどうしたらいいかを考える。秘訣は「怒らない」「超然とする」「自分にとって切実な、学ぶテーマを見つける」!
  • 病が分断するアメリカ ――公衆衛生と「自由」のジレンマ
    -
    コロナ禍のアメリカでは、迅速な疫学調査とワクチン開発がなされたにもかかわらず、多くの死者が出た。ワクチン接種に当初から反対が根強く、マスク着用では国が分断された。アメリカの公衆衛生が抱える深刻なジレンマ――国民の健康と自由な活動という二律背反の価値のどちらを優先するかをめぐって、どんな論争があったのか。20世紀初頭以来の公衆衛生史を繙きつつ、社会格差・地域格差・人種格差などによって分断されているアメリカの諸問題を追究する。
  • 日本人が知らない戦争の話 ――アジアが語る戦場の記憶
    4.0
    アジア・太平洋戦争において、後景に退きがちな大陸や東南アジアでの戦闘。激戦や苛酷な統治が繰り広げられたその場所で暮らす人びとは、当時をどう語り継いでいるのか。そもそも私たちは、かつて日本軍がしたことをどれだけ知っているだろうか。シンガポールにおける大検証と粛清、「戦場にかける橋」で出会った元英兵捕虜、バターン死の行進、帰国できなかった中国残留孤児……。長年アジアに残る戦争の記憶に耳を傾けてきた地理学者が、日本人がけっして忘れてはいけないことを明らかにする。
  • そのまま仕事で使える英語表現189
    -
    “Please”を使うのは上から目線? ビジネスメールの件名はどう書くのが正解? 仕事や商談での英語では、ただ伝わるだけではなく、微妙なニュアンスの使い分けが不可欠です。ビジネスメールでそのままマネしたいフレーズから、会議やプレゼンで好印象を与える英語テクニック、上手に相づちを打つ方法、そしてチームを鼓舞する言葉まで。ベストセラー『日本人の9割が間違える英語表現100』の著者が、仕事で英語を使うことになったら知っておきたい、必携フレーズをお教えします。
  • ゴルフ白熱教室
    -
    ゴルファーの悩みは深い。「なぜ昨日までできていたことができないのか?」「なぜ人により言うことが全く違うのか?」「池やバンカーがあると、なぜありえないミスをするのか?」「ミスを繰り返さないためにはどうしたらいいのか?」……プロもアマも誰もが持つ悩みを出し合い、それぞれの克服法を話し合う「白熱教室」。ゴルフにはただ一つの正解はない。あるのはあなたに合う方法だけ。この中に、何年たっても変わらなかったあなたのスコアをよくするヒントが必ずある。
  • ACEサバイバー ──子ども期の逆境に苦しむ人々
    4.3
    子ども期の逆境体験、ACE(=Adverse Childhood Experience)は、その後の人生での病気・低学歴・失業・貧困・孤立など様々な困難と関連することがわかってきた。自分の子どもを不適切に養育する傾向もあり、その影響が次世代に及ぶ可能性も見えてきた。本書では、データを基に実態を明らかにし、彼らが生きやすく、不利にならない社会にするためにはどうしたらいいかを提起する。
  • 自衛隊海外派遣
    3.0
    敗戦後の日本は憲法九条の規定により、軍隊の海外活動を禁じることとなる。一方、日本が飛躍的な経済復興を遂げ経済大国の仲間入りを果たす中、国際社会への経済援助だけでなく、人的な貢献が必要だとする議論が起こった。緊迫する国際情勢に対し、日本の自衛隊は何ができ、何ができないのか。転機となった湾岸危機後のペルシャ湾、イラク戦争、南スーダン、ソマリア沖、そしてウクライナ戦争に至るまで。自衛隊海外派遣の全貌を網羅し、日本のとるべき道を考える、必読の通史。
  • 健康寿命をのばす食べ物の科学
    4.0
    健康食品では病気は治せない? 筋肉を維持し老化を防ぐ食べ物とは? 腸内細菌を上手にコントロールするには? ふだんの食事をほんの少し工夫するだけで、こんなに元気になる! 複雑な代謝のメカニズムから、丈夫な骨格のしくみ、本当に必要不可欠な栄養素まで。食品生化学の第一人者が最新データと科学的エビデンスをもとに、健康に長生きするための食事と生活習慣のコツをわかりやすく解説。間違った情報にまどわされず、今日の食事を自分で選びとるための食の科学。
  • K-POP現代史 ──韓国大衆音楽の誕生からBTSまで
    3.7
    いま世界を席巻するK-POPは、いかにして生まれたのか? 植民地支配下における韓国大衆音楽の誕生から、隣国日本との歴史的葛藤、「韓国といえば演歌」の時代、社会に議論を巻き起こしたヒップホップ、民主化、経済危機、IT化、「戦後最悪の日韓関係」の中で花開いたK-POPブーム、そして力強いメッセージ性とアイドル性を兼ね備えたBTSの世界的成功まで、激動の100年の情勢を押さえつつ、今日に至るジャンルと国境を越えたダイナミックな発展を通史的に論じる。
  • 心理学をつくった実験30
    4.0
    パヴロフの犬、ミルグラムの服従実験、マシュマロテスト、セリグマンの学習性無力感……。心理学の魅力は、精緻に練り上げられた実験手法と、それがあぶり出す人間の知られざる一面にある。「心」とそれにまつわる人間の活動を科学的に解明することをめざした近代心理学は、その当初から実験研究を重視してきた。本書では、そのなかから広く知られ、大きな影響力を持った30の実験をセレクト。それぞれの実験を心理学の流れのなかに位置づけ、その内容と影響を紹介していくことで、心理学という学問の歴史とその広がりを一望する。
  • 職場のメンタルヘルス・マネジメント ──産業医が教える考え方と実践
    3.9
    社員が急に会社に来なくなった。部下が鬱になった。職場全体が疲れている……。深刻化する職場のメンタルヘルス問題。その多くに社内の人間関係が絡んでいる。心のあり方は人によってさまざま。上司は部下のパーソナリティについて理解し、相手にあわせた立ち振る舞いをしなくてはならない。産業医としての豊富な経験と精神医学の最新知見をもとに、管理職や人事労務担当者が押さえておくべきポイントを丁寧に解説。予防メンタルヘルスの基本がこれ一冊でまるごとわかる!
  • 東北史講義【近世・近現代篇】
    3.0
    「東北」とは、幕末から近代において作られた言葉である。古代以来の律令制国たる陸奥・出羽二国の領域を「東北」と呼称して、地方の一体性を強調する現象が発生していくのは、主に近代以降のこと。時としてそこには「後進」や「周辺」の意味が込められている場合がある。本書は、この問題関心のもと、近世・近現代の東北史を三つの視点から描写する。一点目は、中央との位置。二点目は、各地との交流。三点目は、中央の影響力のもとでの地域の独自性である。
  • 東北史講義【古代・中世篇】
    4.0
    東北史を三つの視点から読み解く。一つめは、近畿地方を中心に国家が形成されると、やがて国家的な境界が東北地方に形成されたこと。二つめは、境界領域としての東北地方で、人や物、言語、習俗、信仰などの交流が活発に行われたこと。三つめは、これまで一言で東北地方といってきた、その内側に多様性に富む地域が形成されていたということである。東北史を考えることは、現代日本の構造を明確化させることでもあり、逆に地域の主体性や独自性を示すことに他ならない。
  • シン・中国人 ──激変する社会と悩める若者たち
    4.0
    待ったなしの少子化、激変する結婚・住宅事情、未来を担う若者の奮闘と苦悩などニュースの裏側の中国の「ガチの素顔」をレポートする。画一化された競争人生を強いられメンタルが繊細化し焦慮する若者(「内巻」)、手塩にかけて育てた一人っ子に「優良」な結婚と孫の誕生を切に望む親世代。男女人口の崩れも影響し婿家族が嫁家族に渡す結納金が高騰、加えて、住宅私有化とともに不動産も高騰、そこに出現した「結婚道徳」……。圧縮された国際化と市場化の激流の中で、市井の人々、特に若者は何を思い、人生を歩むのか。
  • 読むワイドショー
    3.8
    ワイドショーのコメンテーターとは何者で、いつ登場したのか。画面隅の小窓をなぜワイプというのか。略奪婚とは何なのか。テレビと芸能の世界には謎がいっぱい。だれも教えてくれないからいろいろ調べてみたら、逮捕された歌手のレコードが回収された最初の例や、昭和の芸能人たちによる過激な政治批判の数々と政治家からの言論弾圧のすさまじさもあきらかに。タブーなき芸能メディア文化論に、ご期待ください。
  • 消費社会を問いなおす
    4.0
    平成のデフレ不況を乗り越えてもなお、消費社会は私たちの生活全体を覆い尽くしている。消費社会がもたらしたのは「豊かさ」ばかりでなく、深刻な格差や環境問題でもあった。一方で、消費社会はその根本において個人の自由かつ多様な生き方を実現し、今も多くの人々を魅了してやまない。大量消費の限界に向き合いつつ、消費社会が私たちにもたらした「自由」の意味をあらためて問いなおし、その可能性について、ベーシックインカムをはじめとする政策提言も視野に検討する。
  • 親は選べないが人生は選べる
    3.7
    親から虐待を受けた子は、計り知れない心の傷を負う。多くの場合死ぬまで苦しみ続け、最悪の場合、自殺してしまうこともある。どのように「親」と決別し、自分の人生を歩んでいったらよいのか。運命を変えて自由になるには、それまでの思考を変えることだ。発達段階と親との関係を読み解くことで、育った環境、親からの影響を自覚し、必然性から抜け出す。精神科医が指南する「親との別れ方」。
  • ウクライナ戦争
    4.0
    2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまりNATO諸国の支援を受けて徹底抗戦を続けるゼレンシキー。そもそもこの戦争はなぜ始まり、戦場では一体何が起きているのか? 数多くのメディアに出演し、抜群の人気と信頼を誇る軍事研究者が、世界を一変させた歴史的事件の全貌を伝える待望の書き下ろし。
  • ルポ 副反応疑い死 ──ワクチン政策と薬害を問いなおす
    3.0
    新型コロナワクチン接種後の副反応疑い死亡報告は1900件に迫る。健康被害救済制度もあるが、驚くほど因果関係は認められない。厚労省と巨大製薬企業が築く壁。打ちひしがれる遺族、因果関係を示す主治医や解剖医、遺伝医学者、製薬メーカー、制度を仕切る厚労官僚などを綿密に取材。副反応と死の間の真実、制度の闇、構造的要因を白日の下にさらす。
  • ルポ 特殊詐欺
    3.7
    騙すも地獄、騙されるも地獄――オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの「特殊詐欺」が社会問題化しておよそ20年、累計被害総額は5743億円、1日あたり7730万円が騙し取られている。強盗や傷害、殺人未遂事件を引き起こすなど粗暴化し、末端で犯行に及んでいるのはSNSで「闇バイト」募集から簡単にリクルートされた若者だ。本書は近年起きた事件に取材し、犯罪グループ側の組織の構図、実行の手口を犯人の視点から描く。少年から高齢者まで、全世代が警戒すべき凶悪犯罪のリアル。
  • ケルトの世界 ──神話と歴史のあいだ
    3.0
    ギリシア・ローマやキリスト教と並ぶもう一つのヨーロッパの源流とされ、 日本でも根強い人気を誇るケルト文化。だが、 近年ではケルト神話やケルト音楽からイメージされるような島のケルトと歴史上のケルト人との連続性にはさまざまな異論があり、なかにはその実在を疑う「ケルト否定論」すら展開されている。では、古代ケルト人とは何者だったのか。 著名な神話を入り口に、それを考古学的・歴史学的知見と照らし合わせることで、古代ケルトの生活世界へと分け入る入門書。
  • ソ連核開発全史
    5.0
    第二次世界大戦後、大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は、人類史をどう変えたのか。最初期の放射線研究、史上最大の水爆実験から、世界初の原子力発電所稼働、東側同盟国への技術提供、原子力ビジネス、そして史上最悪のチェルノブイリ原発事故に至るまで。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね、科学者・技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクト。現代ロシアの基礎をなすその計画の全貌に迫る、はじめての通史。
  • シンプルで伝わる英語表現
    4.2
    日本人に特有の「言えそうで言えない」英語表現があるようだが、なぜだろうか? ビジネスを中心に日常的な場面やSNSで使われそうな会話の中で、より適切な英語表現はどれになるかを、クイズ形式で学んでいく。文法的な誤りや単語の使い方、さらに文化的背景や物事の捉え方の違いを解説で読みながら、日本語と英語の発想の違いに気付くことで、よりシンプルで伝わる英語表現を身につけていきたい。
  • 理数探究の考え方
    3.7
    小中高の教育のキーワード「探究」のキホンをご案内します。教えられる教育から自ら主体的に学ぶ教育へ。高校では物化生地の理科のほかに「理数探究」という新しい科目が立ち上がりました。どう学びを深め、どうアウトプットするか、数学の確率的思考や理科の実験のデザイン方法などについて、豊富な事例とともに見ていきましょう。
  • 社会主義前夜 ──サン=シモン、オーウェン、フーリエ
    -
    サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この三人の名を聞けば、多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう。だが、彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし、地に足のつかない夢想家でもない。現在から見れば、彼らは社会企業家や社会プランナーとも呼べる存在だった――。19世紀初頭、フランス革命と産業革命という二つの革命によって荒廃し、格差で分断された社会をどのように建て直すのか。この課題に取り組んだ三者の思想と行動を描く。
  • 聞く技術 聞いてもらう技術
    4.0
    「聞く」は声が耳に入ってくることで、「聴く」は声に耳を傾けること――。「聴く」のほうがむずかしそうに見えて、実は「聞く」ほうがむずかしい。「聞く」の不全が社会を覆ういまこそ「聞く」を再起動しなければならない。そのためには、それを支える「聞いてもらう」との循環が必要だ。小手先の技術から本質まで、読んだそばからコミュニケーションが変わる、革新的な一冊。
  • 教養としての能楽史
    3.0
    能は退屈どころか、本当はとてつもなく面白い。700年におよぶ日本の伝統文化の蓄積があるからだ。太閤・秀吉や五代将軍綱吉は相当な能狂いだった、桃山時代までの能は今のおよそ2倍の速度で演じられていた、世阿弥の晩年はよくわからず、その著書『風姿花伝』は明治末年まで一般にはその存在すら知られていなかった――等々、能の歴史を楽しく学びつつ、日本の伝統芸能の本質も理解できる。日本人なら教養として知っておきたい、確かな史料に基づいた能楽史の入門書決定版。
  • 日朝交渉30年史
    -
    2000年に日朝国交促進国民協会が発足し、2002年には小泉首相が訪朝。金正日委員長と会談し、日朝平壌宣言を発表した。国交樹立は目前に迫ったと思われた。しかしその後数年のうちに交渉は決裂、いまや日朝関係は完全な断絶状態に陥っている。歴代の首相や外交官が試みた交渉はなぜ頓挫したのか。両国が再び歩み寄る手がかりはあるか。国交交渉が始まった1991年にさかのぼり、膨大な資料と交渉の鍵を握った当事者たちの貴重な証言から、失敗の背景を徹底検証する。

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