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Posted by ブクログ
女帝は皇位継承の中つぎの役割であった、古代の孝謙=称徳天皇以降、江戸時代の明正天皇まで女帝が出なかったことから、それが歴史の常識として受けとられてきた。そのような考え方に著者は真っ向から異を唱える。
中国の父系社会とは異なり、日本は双系的親族結合を基本とする社会であったこと、王には群臣を心腹させる統率力/個人的資質が必要であったことから、男女を問わず、年齢的にも成熟した有資格者の中から王が擁立されたのだと著者は言う。
古墳における男女の首長の存在を明らかにする考古学的知見、史料において用いられている語のその当時における意味の厳密解釈その他様々な証拠から、女帝が男子臣下からサポートを受けていただけでなく、独自の指導力を発揮していた事実を証明していく。
隋書倭国伝に出てくる倭王、多利思比孤に関わる「ヒメ」、「ヒコ」の解釈や、当時天皇は外国使節に直接会うことはないのが倭国の慣例であったなどとする著者の説について、その当否を論ずる能力はないが、後代に確立された父系直系継承を当たり前の仕組みと見ずに考えるならば、著者の論証にはかなりの説得力があると思われる。
主要人物の父方、母方の関係が入り組んでいるのが古代の特徴だが、政争の敗者として敗れた者たちの背景も系図を見ていると、良く理解できた。
創られた伝統によって半ば閉ざされた眼を覚ましてくれる、とてもスリリングな本である。
Posted by ブクログ
<目次>
序章 古代双系社会の中で女帝を考える
第1部 選ばれる王たち
第1章 卑弥呼から倭五王へ
第2章 世襲王権の成立
第2部 王権の自律化を目指して
第3章 推古~王族長老女性の即位
第4章 皇極=斉明~「皇祖」観の形成
第5章 持統~律令国家の君主へ
第3部 父系社会への傾斜
第6章 元明・元正~天皇と太上天皇の”共治”
第7章 孝謙=称徳~古代最後の女帝
終章 国母と摂関の時代へ向けて
<内容>
古代の女性天皇に関する歴史書。歴史学会では、「女性天皇」はありなのだと思うが、この本は意外と現在の政治的要素を排除して、淡々と記する。「父系」の伝統は明治以降なのは、学界では自明の事実で、それを「伝統」と呼ぶのはおかしい。「伝統」と呼ぶなら、この古代の「双系」(or「女系」)の方が伝統であり、中国の諸制度をまねながら、「父系」だけは取り上げなかったところが「伝統」なのだろう。
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