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Posted by ブクログ
思考実験を集めた本を読みたくて、あれこれ調べた末に見つけたのがこの本。単に思考実験を羅列したのではなく、いくつかのテーマに分け、作者の思索がきちんと伝わってくる書き方がよかった。
自分とは何か、他人とは何か、道徳とはどういうことか、生きることに価値はあるのか。そういった根本的な問いかけに対して、哲学書から文学、映画までも「思考実験」と捉え紹介してくれる。大変興味深かった。作者が引いてくれるわかりやすいガイドラインに沿って、自分も一緒に考えられる感じて、興味深く感じた。
やや残念だとすれば、本の量に対して多くのテーマを盛り込みすぎたような感じで、ひとつひとつについての掘り下げが中途半端に感じたことだ。まあ、それはこの本が一種の入門書というか手引き書で、さらに突っ込んで考えたければ自分で進んでいけ、ということなのだと納得することにしよう。
Posted by ブクログ
哲学的な問題を具体的に示す75の思考実験を紹介しながら、哲学上のいくつかのトピックとそれについての著者自身の考えが語られている本です。
とくに倫理学では、われわれが採用しているはずの倫理的な原則を明らかにするために思考実験を提示しながら議論が進められていくというスタイルがしばしばとられますが、本書でもそうした思考実験のいくつかを紹介しながら、わかりやすくなにが問題になっているのかということが説明されています。
哲学における思考実験の役割について考察している本だと思って手に取ったのですが、そうした議論の掘り下げはあまり見られなかったように感じました。
Posted by ブクログ
人間をめぐる様々な問題を考えるための事例をもとに、哲学の理論を学ぶもの。「自己」、「他者」、「倫理」、「社会」の4つのテーマ、75の思考実験が取り上げられている。
こういうのは有名なサンデル教授の本でも学ぶことができるが、著者曰く「奇抜なアイデアやpuzzleのような形式がしばしば話題となる。ひとつひとつの『思考実験』が、前後の脈絡のないままに、いわば頭の良さを競うように提出されるのだ。しかし、この方法では。『思考実験』のそれぞれが何を目指しているのか、あまり明確にはならないように思われる」(p.10)、とか「最近の『思考実験物』は、奇抜なアイデアを競って、自己目的化しているように見える。『思考実験』は、何かを構想するためにこそ案出されるもので、一つの手段である。パズルのように、それだけで楽しむものではないと思う。」(p.262)とあり、古典が参照されたり、理論の基本モデルも含めて「思考実験」の枠組みに入れたり、結構堅実な路線が貫かれている。
個人的には「倫理」のテーマが一番興味深かった。カントの「嘘をつくな」は有名な話だが、「いつもはホントが語られるからこそ、ときどきウソをつくことが有効になる。ぎゃくに発言がほとんどウソであれば、ウソをつきたくても、誰も聞いてくれないだろう。」(p.139)ということで、さらに「『ウソをつかない』という態度を身につけなくては、ウソをつくことさえ不可能になるだろう。」(同)ということで、だからこそカントのいかなる場合も嘘をつくな、という要求が意味を持つ、というのに納得した。また、脳科学ブームがだいぶ前に起こり、もう下火になっている感があるが、「脳科学がどんなに発展しても、倫理学が不要になることはない」(p.187)として、「その理由は、脳科学によって解明されるのは、人びとが道徳的な判断をどのように行っているかであって、あくまでも事実的な問題である。しかし、事実をどんなに集めても、『それが善いか悪いか』を決定することはできない。」(同)、「一時期の流行のように、なんでも脳科学によって分かるかのようなイメージをふりまくことは、科学的な態度からは程遠い。そうでなければ、脳科学の有効性も見えてこない。」(p.188)という部分も、分かりやすかった。(17/05/23)
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