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「改革」はいかにして政治の表舞台に躍り出たのか。長らく戦後日本政治の基調であった「保守vs革新」という構図は冷戦終結とともに崩壊し、1993年の政界再編以後、保守の水ぶくれが進む。そこに現れたのが、旧来の保守政治を維持する守旧派と、その刷新を求める改革派という新たな対立軸だった。本書では「改革の政治」という視点から平成政治を再検討し、その混迷を打破するもう一つのヴィジョンを提示する。現実と格闘する政治学者が切り拓く、日本政治の新たな地平。
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Posted by ブクログ
守旧保守と改革保守というフレームを用いつつ、「改革」が現代日本政治を理解する上で重要なコンセプトだと言うことが分かる。明快な説明でわかりやすい。
55年体制が大きく転換した1990年代以降の日本の政治について、「改革の政治」という視点から整理・考察した上で、今後の日本の政治を捉える枠組みやオルタナティブを示そうという本です。 後段に進むにつれ、著者の主義主張が熱量を帯びて盛り込まれていくので、それについての賛否両論はあろうと思いますが、日本...続きを読むの現代史を見つめる一つの視座を提供してくれるという点で有意義な作品だと思います。
大井赤亥(1980年~)氏は、東大法学部卒、東大大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、東大、法政大学、昭和女子大学の各講師などを経て、次期衆議院選挙に立憲民主党から立候補予定。 本書は、東西冷戦の終結により55年体制が大きく転換した1990年代以降の日本の政治について、「改革の政治」という視点か...続きを読むら整理・考察し、また、今後に向けて、そのオルタナティブを示そうとするものである。 大まかな論旨は以下である。 ◆冷戦終結以降、日本政治は55年体制下における「保守vs革新」から、「革新」の一方的消滅を経て、広義の保守政治のみに変化した。 ◆広義の保守政治の全面化は、「保守」の内部分岐、即ち「守旧保守」と「改革保守」への二分化を招き、これが1990年代以降の日本政治の対立軸を形成してきた。「守旧保守」とは、55年体制下で行われた、強力な利益分配と、利害や要望をくみ上げて調整を繰り返して合意にこぎつけるコンセンサス型意思決定を特徴とする政治である。「改革保守」とは、利益分配政治により保護されてきた既得権を縮小するため、また、「決められない調整型政治」を克服するために、強いリーダーシップや「政治主導」の下で一連の制度改革の推進を目指す政治である。 ◆上記の構図に従うと、概ね、1993~94年「政治改革」細川政権→1994~96年<守旧>村山政権→1996~98年「行政改革」橋本政権→1998~2001年<守旧>小渕・森政権→2001~06年「構造改革」小泉政権→2006~09年<守旧>安倍・麻生・福田政権→2008年~「維新の会」橋下徹→2009~12年<守旧>鳩山・菅・野田内閣と、「改革」と「守旧」が交互に現れたと言える。そして、第二次安倍・菅政権は、表向きは「改革」を掲げつつも、実際は利益配分政治と新自由主義の折衷策であり、「改革」は曲がり角にある。 ◆「改革保守」が行き詰りを見せる中、ポスト・コロナ時代のオルタナティブの柱は、①市民社会の活性化(シェアリング・エコノミーの推進等)、②公共サービスにおける国家の復権(公平な税制の確立、教育と社会保障、雇用政策、自然エネルギーへのインフラ転換等)、③公正なグローバリズム(国際平和主義、グローバル課税の促進、気候変動に対する積極的関与等)である。(ここには、自らが当選した際に目指す政策の方向性が示されているといえる) 大半を占める前段の歴史の考察については、基本的には自民党支配が続き、自民党を中心に(中道)右派から中道左派が合従連衡を繰り返した、政治思想的には分かりにくい過去30年間の日本政治を、「改革」vs「守旧」という対立軸で捉えたところは面白かったし(それに拘るあまり、少々違和感を覚える部分も見られるが)、対立軸に限らず、個々の政治的な動きがどのような文脈で生じ、どのような意味を持っていたのかがよくわかり、頭の整理になった。 また、後段の今後目指すべきオルタナティブについては、新自由主義的な政策が、世界に広がる格差を招き、様々な対立の元凶となっていると考える私にとって、大半が賛同できるものであるが、問題は如何にしてこれを実現するかであろう。 政治に留まらず、様々な側面において行き詰まりが見られ、発想・行動の転換を求められる今、過去30年間の日本政治を振り返るために参考となる一冊である。 (2021年9月了)
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現代日本政治史 ──「改革の政治」とオルタナティヴ
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大井赤亥
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