ちくま新書作品一覧

  • 倫理思考トレーニング
    4.3
    物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。
  • 蒋介石 ――「中華の復興」を実現した男
    4.5
    蔣介石は、半植民地化されていた近代中国の国際的地位を飛躍的に押し上げた。中国軍の総司令として抗日戦争に勝利し、外交手腕によって中国が戦後、国連安保理の常任理事国を担う礎を築いた。彼こそ「中華の復興」を実現した人物と言える。しかし、毛沢東と対立した彼は、中華人民共和国では長く「人民の公敵」とされ、台湾では恐怖政治の主導者として記憶されている。親日家として戦後日本の運命を変えた蔣介石の素顔を描いた決定版評伝が、もう一つの近代中国史を明らかにする。
  • 日本群島文明史
    -
    日本は群島であり、日本文明は群島文明である。大陸文明的な実体系思考よりも群島文明的な非実体系思考が優勢で、そうした世界観から生命は偶発的なものという感覚や共同主観の構造、革新性をもたらす美意識などが展開され、日本文明が創り出されてきたのだ。そうした日本の歴史的動態を描きつつ、日本の群島文明を形成する東アジアの哲学を「通底哲学」として世界哲学の中に置き直し、より深い文明論として展開する。日本の知の歴史を総合的に理解する、著者独自の日本思想大全。
  • 内調 ――内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス
    4.3
    日本の内閣情報機構は公的情報が少なく、内部証言も断片的だったため、これまで実態が未解明だった。本書は一九三六年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた一九七二年頃までの実態を、この間の情報機関に深く関わった三人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言をもとに描く。政府寄りの世論形成に取り組み、時には他省庁の取り組みにくい政策課題に自らの存在価値を見いだした内閣情報機構の実像に初めて迫る。
  • 東アジア現代史
    4.7
    「日本」「中国」「朝鮮」諸国を擁する東アジア世界は「鎖国」の終焉と共に近代化を迫られた。西洋列強の外圧の中で、植民地化や二度の大戦を経て、二一世紀の現代、劇的なまでの経済発展を達成している。一方で中国と朝鮮半島には今なお冷戦構造が残り、約二百年にわたるこれまでの歴史は、少子高齢化や安全保障にかかわる難問を投げかけている。協調と衝突を繰り返し突き進んできた過去を振り返り、未来につなげるための一冊。
  • パリ 華の都の物語
    3.0
    ケルト人の集落に端を発するパリは、今も街のあちこちに過去の時間を宿している。伝統を重んじつつ新陳代謝を繰り返す芸術の殿堂ルーヴル美術館、ナポレオンやオスマンの都市計画、豪華絢爛なオペラ座の秘密、ピカソの「洗濯船」とシャガールの「蜂の巣」、パサージュとカフェ、歴史に名を刻む死者たちが眠る墓地……。この唯一無二の街を美術史家と歩き、体感しよう。貴重なビジュアル資料を含むカラー図版約300点とともに読み解くパリの歴史と芸術のすべて。美術館案内付き!
  • 戦後入門
    4.5
    日本ばかりが、いまだ「戦後」を終わらせられないのはなぜか。この国をなお呪縛する「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか――。世界大戦の意味を喝破し、原子爆弾と無条件降伏の関係を明らかにすることで、敗戦国日本がかかえた矛盾の本質が浮き彫りになる。憲法九条の平和原則をさらに強化することにより、戦後問題を一挙に突破する行程を示す決定的論考。どこまでも広く深く考え抜き、平明に語った本書は、これまでの思想の枠組みを破壊する、ことばの爆弾だ!
  • 日本の社会保障
    -
    私たちはいつ、病気で働けなくなったり、障害を負ったり、会社が倒産して仕事を失ったりするかわからない。個人の努力ではどうしようもない場面に遭遇した時にも健康で文化的な最低限度の生活が維持できるように憲法の生存権を保障する仕組みが社会保障だ。自分の力や家族や地域での支えあいではどうにもならないことが多いからこそ、この仕組みが必要である。では、法律と運用はどうなっているか。生活保護、年金、医療、公衆衛生、介護保険と高齢者福祉、労災保険と雇用保険、子育て支援、障害者福祉、社会保障財源としての消費税など、その仕組みと財政の最新事情から課題まで網羅する一冊。
  • ハイエク入門
    5.0
    20世紀に屹立する偉大な思想家F・ハイエク。その思想は、経済学、政治思想、心理学など、幅広い領域に大きな影響をあたえた。本書では、縦横無尽に往還するハイエクの思考を複眼的にとらえ、「法の支配」「自生的秩序」などの概念のもとに展開したハイエク思想の全体像を提示する。ケインズ、マッハ、M・ポランニー、F・ナイト、ロールズなどと対比することで、ハイエクの独創性と先見性を浮かび上がらせ、日本では短絡的に語られることが多かったハイエクの自由主義思想を更新する画期的な入門書。
  • 飛脚は何を運んだのか ――江戸街道輸送網
    4.0
    例えば、ベストセラー作家の曲亭(滝沢)馬琴は、誰と、どんなやり取りをしていたか。手紙だけでない飛脚が運ぶ物産、飛脚問屋の金融的な機能や全国津々浦々の情報流通に果たした役割とは。自然災害や事故、強盗等の被害にどう備えていたか。近代郵便制度の導入以前でも、全国につながる街道、江戸市中に張り巡らされた飛脚ネットワークは相当にすぐれていた。飛脚の成り立ち、制度の変遷、ビジネス化成功の裏話、やり取りされた手紙の内容まで、江戸時代の輸送の全貌を解き明かす。
  • カラー新書 入門 日本美術史
    4.6
    日本美術史の流れには、大きな波がある。外来文化をひたすら取りいれ真似する時代と、それを熟成させる時代と。ほっそりした飛鳥仏も、ハッタリの天守閣に合う金箔べったりの屏風絵も、すべての名作は、そうした繰り返す時代の波の中から、登場してきた。楽しくて目からウロコの知識満載。役に立つコラムに、カラー図版多数。
  • アフリカ哲学全史
    4.0
    アフリカ哲学は、北アフリカのイスラム文化に基づく哲学、サハラ以南地域の哲学、アフリカ大陸の外で発展したアフリカーナ哲学に分けられ、アフリカーナ哲学はカリブ海の島々で発展した哲学も含む。本書は日本初のアフリカ哲学の入門書として、サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国で展開された哲学、アフリカ大陸における哲学に影響を及ぼしたアメリカやヨーロッパでのアフリカ人の哲学を解説。これまでの哲学を相対化し、複数の世界に共通する人間の思考のあり方を解明する試み。
  • ウクライナ動乱 ――ソ連解体から露ウ戦争まで
    4.3
    冷戦終了後、ユーラシア世界はいったん安定したというイメージは誤りだ。ソ連末期以来の社会変動が続いてきた結果としていまのウクライナ情勢がある。世界的に有名なウクライナ研究者が、命がけの現地調査と100人を超える政治家・活動家へのインタビューに基づき、ウクライナ、クリミア、ドンバスの現代史を深層分析。ユーロマイダン革命、ロシアのクリミア併合、ドンバスの分離政権と戦争、ロシアの対ウクライナ開戦準備など、その知られざる実態を内側から徹底解明する。
  • 写真が語る銃後の暮らし
    -
    戦時下の庶民生活を、当時の貴重な写真約350点で振り返る一冊。モボモガのブーム、満州事変、二・二六事件、日中戦争、日独伊三国同盟、日米開戦、徴用・動員、本土空襲、沖縄戦、原爆投下、玉音放送、引揚・復員、占領などの節目となった出来事、世相をコンパクトに解説。歓喜から絶望へと突き進んだ15年にわたる人々の暮らしを疑似体験するビジュアル新書。
  • 大正史講義【文化篇】
    4.0
    大正時代の日本は、さまざまな外来の文物を貪欲に受け入れ、豊かな社会の到来もあって新たな思想や価値観、生活スタイルや芸術文化を生み出した。労働運動がさかんになり、デモクラシーへの要求が強まるとともにナショナリズムも勃興する。教養主義が成立し、女性の地位が変わり始めるなか、大衆社会化によって多様な消費文化が生まれていった。百花繚乱ともいえるこの時代の文化を、二五人の研究者による最新成果を結集して、イデオロギーにとらわれることなく、正確に描き出す。
  • 大正史講義
    3.8
    わずか15年間の大正時代にはロシア革命、第一次世界大戦、関東大震災など内外に大きな出来事が生じ、日本の社会も大きな変化を余儀なくされた。そしてその変化とともに大衆が登場して政治を動かし、「劇場型政治」が展開していく。この激動の昭和の原点ともいえる複雑な時代をどう見るべきか。その歴史を見るための視座を提供すべく、23名の第一線の研究者が最新の研究成果を結集。26の論点によって、大正時代を正面から描きなおす、まったく新しい大正史入門決定版。
  • 9条の戦後史
    4.5
    世界に先がけた理想として敗戦国日本にもたらされた憲法9条。だがその9条とのあいだに、私たち日本人は生きた関係を築けずにきた。原初からの問いを育てることができなかったからだ。もし9条が役に立ちうるとすれば、それを生かすのにいま、何が必要なのか――。日米安保条約締結から、改憲派・護憲派の二項対立が形成される高度成長期をへて、冷戦終結後、対米従属を深め混迷にいたる現在まで。戦後史の深層を丹念に掘り起こし、ゼロからの問いを提起する。『9条入門』の後半として書き下ろされた、著者さいごの提言。
  • 現代思想講義 ──人間の終焉と近未来社会のゆくえ
    -
    「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。
  • 皇族と天皇
    -
    日本の歴史の中でも特異な存在であった明治以降の皇族。彼らはどのように古来の伝統から離れて生み出され、いかなる事件を様々に引き起こしてきたか。またそれにより、歴代天皇はいかに悩まされてきたのか。ときには政治や戦争にも関わり、陰に日向に日本を動かしてきた皇族たちの動きをつぶさに追い、日本近代史の忘れられた一面に光を当てる。皇族問題の長年にわたる探究をもとに、明治維新から、昭和天皇の退位問題まで、近現代の皇族と天皇の歩みを解明した通史決定版。
  • 柳田国男 ──知と社会構想の全貌
    4.0
    民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。
  • 現代思想史入門
    -
    二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすい新しいタイプの入門書。
  • 世界経済史講義
    4.0
    世界における経済の歴史は、どうなっているのか。経済はいつ誕生したのか、資本とは資本主義とは何か。利子、帝国、法人の誕生、バブルの発生、世界恐慌、戦争と経済成長など、さまざまな観点から見ていく。宗教と資本主義が密接に関係していることも明らかにする。グローバル資本主義は終焉を迎えつつあるが、今後は何が経済を動かしていくのか。経済学者の水野和夫が宗教学者の島田裕巳を聞き手に、わかりやすく説く。
  • 聖母の美術全史 ――信仰を育んだイメージ
    -
    2020年4月、一枚の聖母像の前でフランシスコ教皇は、新型コロナと戦う連帯を全世界に呼びかけるミサを行った。今も昔も、悩み苦しむ人びとが求めるのは、「母なるもの」のイメージなのだろう。イコンをその源に持つ聖母は「受胎告知」「ピエタ」「無原罪の御宿り」など様々な主題を生み、祈りの対象としてのみならず、西洋美術史を強く牽引した。聖母像の起源から、ルネサンス、バロック、日本の南蛮美術やお掛け絵、現代美術に至るまで、その大潮流を追いかける比類なき美術史。
  • 日本語全史
    4.3
    日本語の全史を一冊でたどる初めての新書。日本語の変遷を古代(前期・後期)/中世(前期・後期)/近世/近代という時代ごとに、総説・文字・音韻・語彙・文法の五つに分けて整理していく。日本語は世界の言語の中でも比較的、古代からの変遷が少ない。であればこそ、現代語との関わりのなかで、日本語史を記述していくことが可能となるのだ。日本語の変遷の全体像がわかるだけでなく、現代の一部の慣用表現や方言などに残る過去の日本語の痕跡をたどっていく謎解きとしても楽しめる一冊。
  • 日本思想全史
    3.6
    この国の人々は選択的に外の思想を受け入れつつ、あるべき人間とは何かという問いを立ててきた。ではその根底にあるものは何だろうか。思想史を俯瞰してそれを探るには、日本の内と外の両側から眺める視点が必要である。そしてそのような内と外の意識こそ、古代からこの国で綿々と受け継がれてきたものだ。神話時代から現在までの各時代の思想に、外部的視点からの解釈を押し通すのではなく、内在的視点をもって丹念に光を当てる。一人の思想家による、初めての本格通史。
  • 哲学は何ではないのか ――差異のエチカ
    -
    西洋哲学のメインストリームは、古代ギリシアから近現代にいたるまで、基本的に形而上学的な領域に依拠して展開されてきた。しかし、こうした〈フィジック/メタフィジック〉に代表されるようなに古い階層的な哲学的思考、超越主義は、もはや静かに消尽していかなくてはならない。脱‐超越主義としての内在性の哲学が多様に形成され配慮される必要がある。本書からこの哲学の根本と核心をつかみ取ること。反時代的思考をとめるな!
  • 渡来人とは誰か ――海を行き交う考古学
    3.0
    今から1600年ほど前、倭の王権と各地の有力者は、競い合いながら朝鮮半島と交渉を重ね、みずからの治める地に渡来人を招き寄せていた。海を越えて倭にたどりついた渡来人は、訪れた地で地元の民と共生しながら、乗馬の風習、鉄器や須恵器の生産、漢字の使用など、多様な技術と文化を伝えた。一方、朝鮮半島に渡った倭人もおり、そこに定住するなど盛んな交流がなされていた。こうした渡来人の姿から、古代の相互交流の実像にせまる。
  • 形而上学とは何か
    3.7
    形而上学は既存のルールや秩序を疑い、世界の見取り図を丸ごと描きなおすメソッドだ。時間は存在するか。私たちに自由はあるか。物事の因果はどうやって決まるのか。同一性とは何か。この世界とまったく別の世界は存在するか――。論理学、認識論、倫理学と並び、古代ギリシア以来哲学の中心問題でありつづけてきた形而上学。その基本から最新論点までをわかりやすく解説。読んだ後には世界ががらりと違って見えてくる! 俯瞰的に、明晰に考え、メタ思考力を鍛える最良の入門書。
  • 写真が語る敗戦と占領
    3.0
    ポツダム宣言を受諾した日本は、1945(昭和20)年8月15日、終戦を迎えた。そして新たな支配者となったGHQによる民主化と非軍事化、天皇の人間宣言、新憲法の公布、東京裁判と戦争責任の追及がはじまった。80年前の占領下日本で、私たちはどんな地獄を見て、何を糧に生き抜いたのか。焼け跡に生まれた自由市場ヤミ市、街を闊歩する進駐軍とパンパンガール、東西冷戦下で目まぐるしく進む復興。本書は1951(昭和26)年のサンフランシスコ平和条約締結によって国際社会に復帰するまで、焦土から復活へと向かう混沌と激動の日本の姿を、250点の貴重写真でたどる。
  • 新しいリベラル ――大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」
    4.0
    実は日本には「新しいリベラル」と言いうる人々が存在することが、7000人を対象とする社会調査から浮かび上がってきた。この人たちが求めるのは、私たちの「成長」をサポートする政治だ。「新しいリベラル」は最多数派を占めるのに、これまで見落とされてきたのはなぜか? 「従来型リベラル」や保守層など他の社会集団と比較しながら、「新しいリベラル」が日本政治に与えるインパクトと可能性を示す。「新しいリベラル」の実像と可能性を明らかにした、初めての書!
  • 神戸 ――戦災と震災
    4.5
    1868年の神戸港開港後、1889年の市制施行で「神戸市」が成立する。以降、神戸というまちは、1938年の阪神大水害、1945年の神戸大空襲、1995年の阪神・淡路大震災と、災害や戦争の影響を大きく受けながら発展していく。本書は、こうした危機からの復興を軸に、明治期から現代までの都市史を描く。貴重な図版を多数収録した、神戸都市史の決定版である。
  • 日本漢字全史
    3.0
    中国で生まれた漢字は日本語と邂逅し、日本文化に大きな影響を及ぼした。字形・字音・字義は日本独自に発達した面も少なくない。本書は日本における漢字の歴史を言語の側面のみならず、日本の文化や人々との係わりを通して描き出す。古代における漢字の受容、漢文・漢語の定着と万葉仮名の展開、中世の漢字・漢文の和化、和漢混淆文と字音の独自変化、江戸時代の漢学・漢字文化の隆盛、そして近代以降の漢字簡素化・字形整理――より深い日本の漢字文化理解のための必携の通史。
  • 女の氏名誕生 ――人名へのこだわりはいかにして生まれたのか
    4.1
    江戸時代の女性名は現代とどう違ったのか?「お」の付く女性名はどこに消えたのか? 近代女性名の「子」とは何か? 何が今日の「夫婦別姓」論争を生み出したのか? アイデンティティとして名前に執着する現代の常識は、どのように生まれたのか?――男性名とは別物だった江戸時代の女性名が、明治期に男女共通の「氏名」となって現代の諸問題を抱えるまで、近代国民国家の形成、文字の読み書きや捺印、戦後改革など様々な事象を通して、日本人名文化の歴史的変遷を明らかにする。
  • 現代写真とは何だろう
    -
    「真実」を「写しとる」と書いて「写真」。しかし、テクノロジーの進化により精巧なAI画像が氾濫し、これまでの「写真」の位置づけが流動化している。もはや既存の知識や古い思考では、「現代写真」をとらえられない。写真にしかできないことを理解しない限り、コンテンポラリーアートとしての写真の魅力を語ることはできないだろう。だが、それはいったい何なのか──。90年代以降、国内外で写真展をプロデュースしてきた著者が、W・エグルストン、N・ゴールディン、ホンマタカシ、杉本博司、W・ティルマンスなど現代写真の疾走者へのインタビューを交えながら、最先端の写真表現を読み解く待望の新・写真論。
  • 写真が語る満州国
    3.8
    満州民族、漢民族、朝鮮民族、蒙古民族、日本民族が協力し争いのない平和な国づくりを目指した満州国。満州躍進の象徴となった特急「あじあ」号、日満親善のアイコンとなった満映の李香蘭、智謀・石原莞爾参謀が「世界最終戦争」のために引き起こした満州事変、清朝復活の執念にとらわれた皇帝溥儀、国策で満州に渡った二七万人の満蒙開拓団……。五族協和の王道楽土を夢見た約一五五万人(軍人を除く)の在留邦人はどう暮らしたか。ソ連による満州侵攻、日本敗戦によって、彼らに何が起こったか。わずか一三年あまりで消えた実験国家の建国から崩壊まで貴重写真でひもとく。
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存
    3.8
    清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏には、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ近くでも人が殺されるような状態だった。そして、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
  • 商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間
    3.7
    商店街は過去の遺物ではなく、新たな動きが見え始めている。若い世代がカフェやコワーキングスペースなどコミュニティの拠点として商店街に関心を向け、クルマで買い物に行くのが難しい高齢世代が商店街に足を向ける流れも出てきた。コミュニティ空間としての「ウォーカブル・シティ(歩いて楽しめる街)」を求める動きも各地で起こりつつある。商店街のもつ新たな意味や価値に注目し、国際比較の視点や、まちづくり・交通など公共政策の観点も盛り込み、幅広い叡智を結集。未来の商店街のありようと、再生に向けた具体策を提起する。
  • 民主主義を疑ってみる ――自分で考えるための政治思想講義
    -
    近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。本書では、政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などを取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を整理していく。主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。
  • 「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う
    4.0
    イエ、家族、ホーム、ファミリーなど、多くの名が生まれた理由は、その言葉を用いないと表現できない現象や思いがあったためだ。「家庭」には、リベラル、保守、それぞれの理想が託されてきたが、一方でその理想と現実には様々な乖離があった。明治から昭和、平成、現代まで、それらをめぐる錯綜した議論をときぼぐしていくことで、近現代日本の新たな一面に光をあてる。
  • 古代日本の宮都を歩く
    4.0
    よく知られるように平城京・平安京以外にも、古代には数多くの宮都があった。王権の所在地であり国家統治の中枢だった王宮は、やがて「百官の府」と称され、京域に貴族官人や庶民が集住し都市文化が萌芽。それは遷都と造都を繰り返す中でもたらされた。半世紀以上にわたり、古代の宮都を訪ね歩いてきた著者が、過去の景観と現在を比較し、文献史料を再検討することによって、宮都の知られざる事実を掘り起こす。通説にとらわれずに史実を明らかにしてきた碩学による宮都案内。
  • ヨーロッパ冷戦史
    4.5
    ヨーロッパはいかに二つの陣営に分断され、ベルリンの壁はどう築かれたか。ベルリンの壁崩壊から、なぜ分断が一挙に統合へと向かったのか。ドイツ問題を軸に、東西間の対立と緊張緩和の過程を描き、冷戦の国際政治力学を浮き彫りにする。さらには、軍事的・経済的な対立と緊張緩和が交錯するドラマが活写される。ブレグジットで欧州統合が大きな曲がり角を迎え、世界が再び地域主義の様相を呈しているいまこそ参照すべき、最新研究に基づく現代ヨーロッパ国際政治史入門。
  • 医学全史 ――西洋から東洋・日本まで
    4.5
    現代医学はどのようにしてできあがったのか? 古代より、伝統医学は経験から治療法を、推論から理論を創り出すと同時に、西洋では解剖学という人体の科学的探究を続けてきた。それが19世紀に、病理解剖学や実験生理学の発展に伴い実践的な治療と結びつき、劇的な変貌を遂げることになる。医史学研究の第一人者が古今東西の書物を繙き、萌芽期から現代までの歴史を丁寧に辿りつつ、その飛躍的発展の背景に迫る決定版通史。
  • 日本経済学新論 ──渋沢栄一から下村治まで
    4.5
    水戸学のプラグマティズムを、近現代日本を支えた経済思想へと発展させた人物こそ、渋沢栄一であった。『論語と算盤』で水戸学の朱子学批判を賤商思想批判へと読み換え、尊王攘夷思想から継承した経済ナショナリズムで日本の近代資本主義を確立した渋沢。その精神を受け継ぎ経済政策の実践に活かした高橋是清、岸信介、下村治ら実務家たちの思想に「日本経済学」と呼ぶべき思考様式を見出し、そのプラグマティズムと経済ナショナリズムに危機に立ち向かう実践的姿勢を学ぶ。
  • 大学改革の迷走
    3.9
    「大学は危機に瀕している」。何十年も前からそう叫ばれつづけてきたが、いまでも、様々な立場から大学を変えるための施策がなされたり、意見が交わされたりしている。では、大学の何が本当に問題なのか? 80年以降の改革案から遡り、それらの理不尽、不可解な政策がなぜまかりとおったのか、そして大学側はなぜそれを受け入れたのかを詳細に分析する。改革が進まないのは、文部科学省、大学関係者だけのせいではない。大学改革を阻む真の「悪者」の姿に迫る。
  • 阪神タイガース 1985-2003
    3.8
    バース・掛布・岡田・真弓で空前のブームを巻き起こし、日本一に輝いた1985年。だがその後の道は多難だった。「ダメ虎」の強烈な印象を残した1980年代末の暗黒期、終盤までヤクルトとの死闘を演じた1992年の一瞬の輝きを経て、再び長い90年代後半暗黒時代へ。そして野村監督時代という夜明け前を経て、突然やってきた2003年の星野阪神の栄光。とかく印象論で語られがちな人気チームの歴史を、記録と報道された事実をベースにして再構成する。ファン必携の「正史」。
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴
    3.9
    出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異なり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。本書は、戦後から現在までの動向、就学前〜高校までの各教育段階、国際比較と、教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。その上で、すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために、採るべき現実的な対策を提案する。
  • 大坂城全史 ──歴史と構造の謎を解く
    -
    かつて浄土真宗の聖地として栄え、織田信長の後を承けた豊臣秀吉、徳川家康・秀忠まで、時の権力者が本拠地として修築を重ねた大坂城。豊臣家の居城として栄華を極めるが、大阪夏の陣で落城。江戸幕府に再築されるものの、幕末には大部分が焼失した。明治以降、大阪市民の支持を得て天守閣が復興、現在まで市民に愛され続けている。長きにわたり権力者たちの興亡の舞台となった名城を、最新の研究成果に基づき読み解く、通説を刷新する決定版通史。
  • 西郷隆盛 ──手紙で読むその実像
    -
    西郷ほど多くを語られ、また歪められてきた人物はいない。その生涯をめぐって、事実と異なる歴史がこれまで数多く語られてきた。その最大の原因は、歴史家が一次史料と二次史料をないまぜにし、それらを適宜選択的に使うことにある。本書では、西郷自身が書いた手紙を中心に、大久保・木戸・三条・岩倉・勝らが書いた手紙や日記などを加え、もっぱら一次史料をもとに、西郷の生涯を改めてとらえ直す。生身の人間・西郷の真実に迫るとともに、既往の西郷論の真偽を問う挑戦の書。
  • 建築から見た日本古代史
    3.5
    建築とは、権力者たちが駆使した政治的言語である──。日本誕生の舞台となる古代において建築は、権力者が自らの権威を明らかにし、体現する文明の壮大さ、美意識の優越を高らかに宣言する最大最強のメディアであった。飛鳥寺、法隆寺、四天王寺から本薬師寺、伊勢神宮式年遷宮にいたるまで、建築様式や構造、配置パターンのなかに、母系と父系、天皇と律令、ナショナリズムと文明開化、それぞれの葛藤と融合を見いだし、まったく新しい日本古代史を組み上げ、提示する。
  • 中世哲学入門 ――存在の海をめぐる思想史
    3.0
    未踏の大地だった中世哲学は、20世紀に入ると忘却の淵から蘇った。歴史的な関心よりも、現代における問題に直結する哲学として光が当てられ、中世論理学が言語哲学への枠組みを提供するなど、非合理でも素朴でもなく、煩瑣で無内容でもない中世哲学の姿が示されるようになってきた。中世哲学への入り口を示し、基本用語への解説を加えつつ存在の問題からアヴィセンナの存在論、存在の一義性、個体化論、普遍論争へと、存在の海をめぐる思想史を丁寧に案内する決定版入門書。
  • 脱炭素産業革命
    -
    2020年代に入り、カーボンニュートラルに向け世界的に社会経済・産業構造は大きく変わった。脱炭素の実現目標が掲げられ、もう後戻りできない。いまなぜ脱炭素なのか。本書では、新たな段階の産業革命として現状をとらえ、新たな生産様式・生活様式が、エネルギー安全保障や資本主義・市場経済及びグローバル経済のグリーン化にまで至っている状況を分析。さらに資源国のパワー低下と脱炭素先進国の台頭による地政学的変動、さらに国際政治経済秩序の変容までを分析する。
  • 戦争と平和の国際政治
    3.0
    世界は「100年に一度の大変局」(習近平国家主席)の時代に突入した。長年外交の第一線に携わり、その後東京大学で教鞭をとった著者が、実務と理論の両面から国際政治の本質を明らかにし、その上で日本周辺の危機を読み解き、ウクライナ戦争の意味と国際秩序の変動を論じる。米中対立で不透明感を増す日本の平和と繁栄をどう維持して行くか、国家生存の課題を問い直す。
  • 世界マネーの内幕 ──国際政治経済学の冒険
    4.2
    リーマンショック後、莫大な資金がタックス・ヘイブンに流入した結果、「1% vs 99%」といわれる貧富の格差が世界中で進み、それは国境を越えて二極化している。グローバリズムの浸潤とともに、経済の軸はモノ作りから金融・情報が激しく行き交う「市場」に移っているにもかかわらず、日本は立ちすくんでいるように見える。しかし、一方で、それが深い闇に包まれていることもまた事実である。金融は世界をどう動かしているのか。マネー興亡の歴史を通観し、現代の深層に迫る。
  • 教養としての仏教思想史
    3.5
    紀元前6世紀頃にゴータマがインドで始め、現在も日本文化に深く根を張る仏教。神を絶対者として崇める西洋的な宗教とは一線を画すこの信仰は、時代と地域を超えていかにして現在の形になったのか。上座部、大乗、密教、禅宗など、数多く存在する部派・宗派を歴史の中に位置づけ、それらの発展に秘められた膨大な知の全貌を俯瞰。さらに中国、朝鮮半島をはじめ地域ごとの展開にも目を配り、わかりやすく解説する。これだけは知っておきたい仏教の知識が満載の決定版入門書。
  • 産業革命史 ──イノベーションに見る国際秩序の変遷
    4.4
    イノベーションこそが世界秩序を形成してきた。技術革新が起きる現象を広く産業革命と捉え、第一次産業革命(1760~1830年代、軽工業)、第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭、重工業)、第三次産業革命(20世紀後半、IT・情報)、第四次産業革命(2010年代以降、IoT・AI)の四段階に分け、世界経済の変遷をたどり直す。経済体系の変遷や社会経済発展・分業との関係など多様な論点を交え、持続的な世界経済の運動として産業革命を大局的に描き出す。
  • 香港危機の700日 全記録
    4.5
    2019年、ピーク時には100万人超とも言われる市民が抗議デモに参加した香港の民主化運動。言論や表現だけでなく、デモや集会などの政治的な自由も保障してきた香港の「一国二制度」。中国共産党はこの制度を50年間継続すると約束したにもかかわらず、20年6月、治安法制「国家安全法」を導入。一万人を超える市民が警察に逮捕され、民主派議員は失職し、香港は「沈黙の街」と化した。朝日新聞・前香港支局長が、その始まりから、厳しい弾圧により絶望が広がるまでを鮮烈なタッチで描く。民主派から親中派まで、無名の市民から大物政治家までを徹底取材した、比類なきドキュメント!
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く
    3.5
    「ひとりの人間の、人生の語り」が生活史です。この本は、生活史を聞いて原稿を書き、冊子にまとめて作品とするための手引きとして書かれています。沖縄で二五年にわたって聞き取り調査をしてきた著者が、生活史の美しさ・おもしろさから、そのむずかしさ・暴力性まで、これまでの考えをまとめた一冊です。
  • 日本の国民皆保険
    3.8
    わが国は一九六一年に国民皆保険を実現し、高度経済成長が終わる七三年まで給付の拡充を図った。しかし、社会経済が右肩下がりになれば、国民皆保険が形骸化するおそれがある。この危機を乗り越える鍵は歴史の中にある。社会保険方式、被用者保険と国民健康保険の二本建て、独立型の後期高齢者医療制度という日本独自の仕組みは、なぜ、どのように生まれたのか。基本に立ち返ることで、真に守るべきものが見えてくる。医療政策の第一人者が、国民皆保険の構造と軌跡を明らかにし今後の展望を描く。
  • ヨーロッパ近世史
    5.0
    ヨーロッパ史において「近世」とはいかなる時代か。宗教改革からフランス革命にかけてのこの時期は、ときに「近代」の準備段階とみなされ、ときに「長い中世」の一部とされてきた。だが近年、複合国家論などが提唱されるなかで、中世とも近代とも異なる独自の時代として近世を位置づける動きが広がっている。では、その独自性とは何か。近世を多様な地域が複雑に絡み合う歴史的空間と捉え、人やモノのグローバルな移動に注目することで、これまで教科書などでは十分に語られてこなかったその複雑なうねりをダイナミックに描き出す。
  • アッシリア 人類最古の帝国
    4.3
    人類史上最古の帝国、アッシリア。圧倒的な軍事力と洗練された行政システムによって古代西アジア世界の統一を成し遂げたこの国家はいかにして生まれ、なぜその繁栄の絶頂から100年ほどのうちに歴史の表舞台から姿を消したのか。本書では、その起源である都市国家アッシュルの誕生から、領域国家アッシリアの成立、さらにはそれがバビロニアをはじめとする近隣諸国と抗争を繰り返しながら帝国として花開くまでの1500年にもわたる歴史をたどり、謎に満ちた滅亡の背景に迫る。本邦を代表するアッシリア学者による待望の通史。
  • プロ野球選手の戦争史 ――122名の戦場記録
    4.2
    昭和11年、プロ野球旗揚げとほぼ同時に二・二六事件が起こり、日本は戦争へとなだれ込む。日中戦争、太平洋戦争、そして終戦。引き分け禁止や日本語化といった影響を被りながらも断続的にリーグ戦を行い、野球界も戦渦に巻き込まれてゆく。特攻に志願する者、病いや飢えで命を落とす者、帰国して活躍する者――人生の数だけ戦争の記憶がある。プロ野球草創期に生きた122名の選手たちの体験談や秘話をもとに、新たな視点で戦争の悲惨さを伝える。
  • 日本書道史新論 ――書の多様性と深みを探る
    3.0
    日本書史の碩学が、近年の新たな研究成果に基づき、日本の書がもつ多様性と深みを新視点から明らかにする。わが国の書の原点を稲荷山古墳鉄剣象嵌銘や聖徳太子「法華義疏」に見、近年中国で見つかった吉備真備の李訓墓誌銘などを例に挙げつつ、その発展史を辿る。さらに三筆・三跡と呼ばれる平安期の能書家、儒者、西行・寂厳から良寛に至る僧侶、頼山陽ら文人の書から、中国基軸の漢字文化史とも異なる、自由で伸びやかな日本独自の文字文化の歩みとしての書道史を描きなおす。
  • 世界哲学のすすめ
    5.0
    世界哲学とは、西洋中心の「哲学」を根本から組み替え、より普遍的で多元的な哲学の営みを創出する運動である。それは、私たちの生活世界を対象とし、多様な文化や伝統や言語の基盤に立ちつつ、自然環境や生命や宇宙から人類を反省する哲学であり、世界に生きる私たちすべてに共有されるべき普遍性をもった、本来の哲学を再生させる試みでもある。『世界哲学史(全9巻)』の成果を踏まえつつ、より広い視野で世界哲学を本格的に論じ、開かれた知の世界へと読者をいざなう。
  • 近代美学入門
    4.3
    近代美学は、17~19世紀のヨーロッパで成立しました。美学と言っても、難しく考えることはありません。「風に舞う桜の花びらに思わず足を止め、この感情はなんだろうと考えたなら、そのときはもう美学を始めている」ことになるからです。本書は、芸術、芸術家、美、崇高、ピクチャレスクといった概念の変遷をたどり、その成立過程を明らかにしていきます。
  • 現代フランス哲学
    5.0
    1968年五月にパリで起こった「革命」を起点に、若者や労働者を巻き込み、時代や経験に深く根ざす思想運動として発展した現代フランス哲学。資本主義の矛盾や構造的な抑圧がさまざまに露呈する1980年代以降、それは大きな変化を遂げた。構造主義からポスト構造主義を経て、政治や宗教、労働、ジェンダー/フェミニズム、科学と技術、エコロジーをめぐる諸思想にいたるまで。フーコー、ドゥルーズ、デリダに続き、変容する社会を鋭くとらえる強靭な思想の広がりを一望する。
  • 問いを問う ――哲学入門講義
    4.0
    哲学とは、昔の人の考えや言葉を知って、理解することではない。哲学上の根本問題に自ら立ち向かうことでしか、哲学はできない。「私たちの心を超えた世界を知ることはできるか?」「他者の心を知ることはできるか?」「心と脳の関係はどのようなものか?」「死んだら無になるのか?」――本書では、この四つの問題を素材に、哲学の核心へと一気にいざなう。問いの意味そのものを問いなおすこと。相対立する議論のやり取りを、自分ひとりで視点を転換させて行うこと。深く、粘り強く、哲学的に考えるやり方を追体験できる教科書。
  • 資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか
    4.0
    なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか。それは、資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである。資本主義そのものが問題である以上、「グリーン資本主義」や、表面的な格差是正などは目くらましにすぎず、根本的な解決策にはなりえない。破局から逃れる道はただ一つ、資本主義自体を拒絶することなのだ――。世界的政治学者が「共喰い資本主義」の実態を暴く話題作。(解説・白井聡)
  • 紛争地の歩き方 ──現場で考える和解への道
    3.6
    殺しあいをしてきた人々は、どのように仲直りをするのか。闘いを通じて増殖され蓄積された憎しみ、悲しみ、怒り、憤りを当事者たちはどう処理するのか。和解を促すうえで、第三者のどのような手助けが効果的なのか。カンボジア、東ティモール、インドネシア、アフガニスタン、スリランカ、フィリピン、キプロス、ボスニアなど世界各地の紛争地で、現地の平和に貢献する活動や研究を行ってきた国際紛争研究者が、紛争の現場で見て、感じ、考えたことをもとに和解の物語を綴ってゆく。
  • 世界遺産の日本史
    3.5
    「(日本の)世界遺産からみた日本史」に焦点を当てて、最新の研究成果に基づく日本の歴史・文化についての知見を、世界史の中に位置づける。縄文遺跡群から産業革命遺産、原爆ドームに至るまで、日本の世界文化遺産を正確に紹介した上で、世界遺産と照らし合わせる形で、世界的まなざしから日本史を見据えて各世界遺産の普遍的意義・価値を再検証する。選考の動向や、文化財保護と地域社会との連携の問題も考察する。日本文化史を学びなおすためにも最適な、世界遺産入門の決定版。
  • 格差という虚構
    4.0
    格差の問題を前にして、我々はいったい何を求めているのか。人々を選別する〈能力〉とは何か──。学校は格差再生産装置であり、遺伝・環境論争の正体は階級闘争だ。だが、メリトクラシーの欺瞞を暴いても格差問題は解けない。格差は絶対になくならないだけでなく、減れば減るほど人間を苦しめる。平等とは何か。平等は近代の袋小路を隠すために我々の目を引きつける囮であり、擬似問題にすぎない。世に流布する議論の誤解を撃ち、真の問いを突きつける、著者最後の虚構論。
  • 東映任侠映画120本斬り
    3.0
    1960年代後半から70年代にかけて、高度成長まっただ中の時代に、ヤクザの世界を描いた作品群が量産される。鶴田浩二、高倉健、藤純子、菅原文太などがスクリーン上で活躍する姿は一世を風靡した。それらの作品を同時代に見続けてきた著者が、その面白さの秘密を探る。『網走番外地』『日本俠客伝』『昭和残俠伝』『緋牡丹博徒』などの人気シリーズをはじめ、隠れた名作や傑作を再発見する!
  • ポスト社会主義の政治 ――ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制
    4.0
    約三〇年前、ソ連・東欧の社会主義政治体制は崩壊した。議会制=ソヴェト制の外観の下、一党制または事実上の単一政党制を採用していた国々は、複数政党制を前提とする新しい政治体制への転換を迫られた。以来現在まで、これらの国々では幾度となく政治体制の変更が行われ、それは時に暴力を伴う。この政治体制のダイナミックな変化を理解する鍵となるのが、ポスト社会主義圏に多く見られる「準大統領制」というシステムである。地政学的対立とポピュリズムに翻弄されたソ連崩壊後の三〇年を、大統領・議会・首相の関係から読み解く。
  • リベラルの敵はリベラルにあり
    4.3
    細分化されたアイデンティティ集団の近視眼的政治利用がリベラルの包容力を自壊させ、あまりに理想的に設定されたリベラルな価値からこぼれ落ちる生身の人々の憤りがポピュリズムを肥大化させる。グローバリズムとアルゴリズムの波は、個人の自律のみならず国家の自律をも脅かす。AI時代において国家と個人の自律を貫く具体策とは? ナショナル・アイデンティティによる包摂、そして「人の支配」から「法の支配」への脱却を斬新に提言する、気鋭の法律家によるリベラル再生に向けた挑戦状。
  • 渋沢栄一 ――日本のインフラを創った民間経済の巨人
    3.8
    「近代日本資本主義の父」とも称される実業家・渋沢栄一(1840―1931)は、日米・日中関係改善に尽力した「民間」外交家であり、さらには社会福祉、教育などにも深く関わった慈善事業家でもあった。本書は、論語・算盤・「民主化」という三つのキーワードをもとに、東アジアの伝統と文化の中で育まれた渋沢の精神を明らかにし、渋沢の構想した「英米資本主義」を超える日本発の新しいグローバル資本主義を考察しながら、稀有なリーダーの足跡を余すところなく踏襲する試みである。
  • 消費税増税と社会保障改革
    3.0
    消費税増税で経済が急速に冷え込むさなか、新型コロナで私たちは痛めつけられた。そもそも消費税増税の理由は噓ばかりで、社会保障は後退し続けているし、年金・医療・介護・子育てすべてにおいて、高負担低福祉状態にあり、疫病の流行で、その危機は一層深まった。いっぽう大企業の法人税や高額所得者への所得税は減税が強行される。日本の税制と社会保障はいまどうなっているのか。今後どうすれば建てなおすことができるか。
  • 日本経営哲学史 ──特殊性と普遍性の統合
    3.5
    日本の経営哲学の核心には、古来「和魂」と呼びうる独特の宗教性・倫理道徳性・世界観がある。この和魂が劣化し、日本企業は「モノ造り」から「コト創り」への価値創造の転換に失敗したのだ。本書は、中世から現代までの日本の経営哲学の展開を概観し、渋澤栄一から松下幸之助・本田宗一郎らに至る代表的経営者の系譜をたどりつつ、その思想に顕れた和魂の実相を見る。そして日本再生に向け、日本的特殊性とグローバルな普遍性を最適統合した新和魂の経営哲学を提唱する。
  • 考古学講義
    3.7
    科学的な手法の発達によって、近年、考古学の成果が多数挙がり、考古学の年表は全面的に書き換えられつつある。旧石器捏造事件で考古学の危うさが指摘されて以来、科学的な確からしさが常に問われている。そこで実証的な考古学の最新成果を一般の読者にわかりやすく伝えるとともに、通説をそのままなぞるような水準にとどまらない、挑戦的な研究を紹介。旧石器時代から古墳時代までの全貌がわかるだけでなく、考古学ファンの批判に耐え、知的好奇心を満たす最前線の研究案内。
  • ヨーロッパ現代史
    4.3
    第二次大戦後、ヨーロッパ諸国は「和解」に向け歩んできた。だが、現在は自国中心主義勢力が各国で拡大し、英独仏ロによる「大国の時代」が復活しつつある。この危機の本質を理解するには、これまでの七十数年の歴史を繙かねばならない。福祉国家の成立とその行き詰まり、新自由主義時代の到来と東欧革命、エスニシティの噴出、グローバル化の進展、財政危機や難民問題、反EUなど現在の危機に至るまで、国際関係のみならず各国の内政との関わりからも描き出す決定版ヨーロッパ史。
  • 教養としての政治学入門
    4.3
    政治学をこれから学ぼうとする読者や、社会人として最低限知っておくべき教養として政治学を身につけたいという読者に向けて、最先端の研究者が最新の論点を提示。いま政治学で何が問題になっているのか、なぜそれが争点なのかを、政治史・政治理論・国際政治・福祉政治・行政学・地方自治などの専門研究者が、「日本と世界」「歴史と思想」「比較と地域」の3部構成、12のテーマで幅広く、わかりやすく論じる。学問の面白さ、大切さを伝える、初学者から学べる現代政治学案内。
  • 国際法
    4.5
    国際法とは何かと聞かれても、すぐにイメージしにくいかもしれない。でも、憲法や安全保障のような国民全体の大問題だけでなく、コンビニでパンを買うといった私的な問題にまで国際法は関わっている。そのように広く国際社会に通用している国際法をどう理解すればよいのか。弱肉強食の「国際社会」という不条理の世界で、法はどう働くのか。そうした「生きた国際法」を誰にでもわかる形で、国際法の第一人者が解説。グローバル時代を生きるすべての現代人にとって必読必携の書。
  • あなたは自由か
    4.0
    「奴隷」哲学者エピクテトスからルターとエラスムスの「自由意志」論争にまで説き及ぶ本書は、「自由」をめぐる歴史上のピークをなす白熱の瞬間をとらえる一方、相異なる多様な考察をあえて並列するにとどめてもいる。今や人工知能が本格化し、監視社会化が進む時代を迎えて、自由の実態はますます不透明になりつつある。原理的な考察とともに、日本の近代を世界史の中で再検証し、自由の動的で、かつ多面的な姿を展望する。
  • 薬物依存症 【シリーズ】ケアを考える
    4.3
    「意志が弱い」「怖い」「快楽主義者」「反社会的組織の人」……薬物依存症は、そういったステレオタイプな先入観とともに報道され、語られてきた。しかし、そのイメージは事実なのだろうか? 本書は、薬物依存症にまつわる様々な誤解をとき、その真実に迫る。薬物問題は「ダメ。ゼッタイ。」や自己責任論では解決にならない。痛みを抱え孤立した「人」に向き合い、つながる機会を提供する治療・支援こそが必要なのだ。医療、そして社会はどのようにあるべきか? 薬物依存症を通して探求し、提示する。
  • 現代語訳 老子
    4.0
    中国古代の社会に深く根ざした『老子』。そのテクストは、人の生死を確かな目で見つめ、宇宙と神話の悠遠な世界を語り、世のために恐れずに直言する、苛烈な戦国時代を生きた一人の思想家の姿を伝えている。この大古典を少しでも読みやすく、深く味わうために、本書はテーマによって内容を整理し、謎に包まれたテクストを明快に解きほぐす。二千年以上も読み継がれてきた中国の精髄へ、大胆かつ精密に接近し、そこに日本の神話と神道の原型を発見する。
  • 神道・儒教・仏教 ──江戸思想史のなかの三教
    4.0
    現代日本人の意識の深層は江戸時代と地続きであることが明らかにされつつある。したがって江戸の思想を支配していた三教――神道・儒教・仏教――にこそ、我々の内面の問題を解く鍵がある。幕藩体制に組み込まれた仏教。近世の思想界において主導的立場に立った儒教。国学の勃興と明治維新のイデオロギーとして機能した復古神道。これらはいかに交錯し、豊かな思想の世界をかたちづくっていたか。我々の基盤になっている思想の原風景を探訪し、その再構成を試みる野心作。
  • 明治史講義【人物篇】
    3.4
    明治史上の重要人物に対するかつての見方は、昨今の研究によって大きく覆されつつある。22の明治史のキーパーソン――木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通、福澤諭吉、板垣退助、伊藤博文、井上毅、大隈重信、金玉均、陸奥宗光、李鴻章、山県有朋、谷干城、榎本武揚、小村寿太郎、桂太郎、明治天皇、岩崎弥太郎、松浦武四郎、福田英子、嘉納治五郎、乃木希典――を最新の実証研究に基づき、気鋭の先端研究者たちが捉え直す。『明治史講義 テーマ篇 』とあわせての明治150年記念出版。
  • 行政学講義 ──日本官僚制を解剖する
    4.0
    1990年代に政治主導に向けたさまざまな政治・行政改革がなされたのに、かえって今や為政者の恣意と統治者への忖度が蔓延してしまっている。我々は悪しき支配から抜け出せないのか。支配・外界・身内・権力の4つの切り口で行政の作動様式を活写。その実相を解明したうえで、現在の官僚制とのつきあい方の心得を提示する。行政に携わる為政者にとっての「行政学の教科書」ではなく、支配と権力にさらされる被治者を読者として想定した、公務員対策たる「行政学の基本書」。
  • 平成デモクラシー史
    4.5
    「平成デモクラシー」は、政治の風景をがらりと変えた。九〇年代に進められた一連の改革により、政権交代を懸けた与野党の競争が始まり、首相への権力の集中が進んだ。今世紀に入ると、「小泉劇場」から民主党政権を経て「安倍一強」へ。その果てに――。「平成」という時代には、どんな意味があったのか? 激動の三十年を構造的に読み解き、「平成デモクラシー」という一筋の航跡をくっきりと描きだす圧倒的な政治ドキュメント。
  • 朝鮮思想全史
    4.3
    朝鮮思想史を概観すると、思想の純粋性をめぐる激烈な闘争が繰り返し展開されてきたことがわかる。思想闘争は政治闘争と直結し、その様相は朝鮮時代の儒教や、解放後の韓国と北朝鮮のイデオロギーに典型的に見られる。そしてその思想の純粋志向性はやがて運動となり、国家や共同体の成員の肉体的生命を超え「朝鮮的霊性」が燃え上がる――それが現代の韓国・北朝鮮の激烈な思想運動にもつながってきた。朝鮮思想をできるだけ客観的に捉え、全体を俯瞰するはじめての試み。
  • 現代中国入門
    3.5
    中国は理解しにくい。だが理解せずにすむ時代は終わった。変化が速すぎる一方で、伝統中国もまだかなり残る。漢民族が圧倒的に見えても、国土は広く、民族的多様性も無視できない。中間層は増えたが地域間、社会階層間の経済格差も大きい。どの中国が正しい姿なのか。専門研究者・ジャーナリストによる中国研究の最新結果を結集し、中国をバランスよく見る視座を示す。現代史、文化史、思想、社会、軍事、地域研究など分野を異にする十一人が、明快で多彩な講義を繰り広げる。
  • 日本の戦略外交
    4.5
    日本を取り巻く外交の〈戦略環境〉は劇的に変化した。対外膨張を志向する中国の台頭、疲弊しながらもなおグローバル・パワーとして期待される米国の焦燥、世界最大の民主国家インドの野望、ロシアの策謀、EUにおける移民の流入や英国の離脱……。地殻変動の中、日本の外交はこれまでどう変化してきて、これからどこへ向かうのか。キーマンたちのインサイド情報を基に、日本の〈戦略的リアリズム〉を解剖する!
  • ほんとうの法華経
    4.1
    仏教最高の教典といわれる「法華経」。だが、その真意はあまり理解されていない。なぜなら鳩摩羅什による漢訳を、日本語に重訳したものが読まれてきたからだ。そこで登場したのが、植木雅俊による画期的なサンスクリット原典からの翻訳。その訳業で、仏教のほんとうの教えが明らかにされた。日本を代表する宗教社会学者・橋爪大三郎との対話の中で、ブッダ本来の教えとは何か、法華経の正しい読み方とはいかなるものかが次々と解き明かされる。全く新しい、最高の仏教入門書!
  • 日本近代史
    4.2
    日本が最も激しく揺れ動いた一八五七(安政四)年から一九三七(昭和一二)年までの八〇年間。近代日本の劇的な歩みを六つの時代に区分し通観する。わずか数十年の間に「近代化」を実現しながら、「崩壊」へと突き進まざるをえなかった原因はどこにあるのか。史料を精緻に読み解くことで近代史をダイナミックに捉えなおす。
  • 商人の戦国時代
    4.3
    中央権力が衰退し混迷する戦国時代、旧来の秩序を破る新興商人を、権力者たちは取り締まることが困難になった。新旧商人の縄張り争い、金融業の出現、拠点都市の建設、利権ビジネスと借金トラブル、御用商人の暗躍、世界貿易への参入、「楽市・楽座」の実態――。幕府、朝廷、大名、寺社、海外勢力、様々なプレイヤーが乱立する時代に、商人たちは何を頼り、秩序と自由の狭間を生き延びたのか? 史料に現れる、余りに人間的なエピソードの数々から、乱世を生き延びる戦略を学ぶ。
  • ラテン語の世界史
    4.0
    イタリアの一地方言語に過ぎなかったラテン語は、ローマ帝国の公用語として世界に広まり、西ローマ帝国崩壊後もキリスト教と結びついて普遍的公用語としての地位を築いた。しかし、やがて主要言語としての地位を失い、「教養」語となって現代に至る。長く歴史上に君臨したラテン語はいかにして広まり、生き続けてきたのか。ギリシア語との覇権争い、キリスト教との蜜月、各国の近代俗語との交代──「世界最強の言語」が歩んだ2000年以上に及ぶ数奇な運命に迫る。
  • 細胞を間近で見たらすごかった ――奇跡のようなからだの仕組み
    -
    人体の中では何が起こっているのか? 一目瞭然のイラスト(←全部著者が描いた!!)と分かりやすい比喩の説明で楽しく「からだの中」をガイドします! 本書は、食べ物や空気やバイキンとともにからだの内側を巡り、私たちが「生きてる」仕組みを支えている「すごすぎる細胞たち」に会いに行きます。病理医の著者自ら描いた解説イラスト満載で、ふだんは見えない世界も一目瞭然! 細胞を基本パーツとすると、人体というビルディングは「細胞→組織→臓器→器官→人体」の五段階構造。栄養がいきわたるように血管の配管工事もばっちり、細胞の新陳代謝でメンテナンスも緻密……と分かりやすい比喩が盛りだくさんの、前代未聞の人体ツアーへレッツゴー!
  • 倭寇・海商・華僑 ――海はいかにして歴史をつないだか
    -
    西洋列強の進出、信仰の伝来、生活文化の変容――世界をつなぎ歴史を更新してきたのは、国境のない海を主戦場とする海賊や海商たちだった。日本を含む多国籍海賊となっていった「倭寇」、日本へ渡り外国の文化を伝えた「海商」、日本の近代化に貢献した「華僑」。時に権力と結びつき、時に非合法的な方法で、彼らは荒波を乗り越え、いかにして新しい文化を届けたのか。大航海時代から現代まで、海を越えて伝えられた文化に焦点を当て、新しい視点から東アジアの歴史を描きなおす。
  • 資本主義はなぜ限界なのか ――脱成長の経済学
    -
    長期化する低成長、分断される世界、深刻化する気候変動。戦後日本の経済成長の条件であった労働力人口は減少、資源は枯渇し、待ったなしの環境問題に直面しつつある。資本主義はなぜ行き詰まるのか。持続可能な未来はいかにして可能か。「成長」を中心目標に掲げてきた経済学を根本から見なおし、際限なき利潤追求と再投資によって肥大化した経済システムを徹底解明。資本主義のからくりを読みとくマルクス経済学を手がかりに、一歩ずつ着実に社会を変えていく方法がここにある!
  • オーラル・ヒストリー入門
    4.0
    オーラル・ヒストリーと一言でいっても、実際の現場で行われている行為はさまざまだ。本書は、「話し手の口述によること」「共有可能にしようとしていること」「話し手が歴史的事実を語り残そうとしていること」の三点を実現するための具体的な手順を示したうえで、それぞれの実践における困難と実践を紹介する。聞き取りの初心者にも、経験者にもおすすめのガイドブックである。
  • パレスチナ占領
    5.0
    2023年10月7日、イスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲で始まったパレスチナ自治区ガザの戦闘は、パレスチナ側の死者が6万人を超える未曽有の大惨事に至った。これは反ユダヤ主義による蛮行ではなく、長きにわたるイスラエルによるパレスチナ占領が招いた悲劇ではないか。2024年までエルサレム特派員を務めた著者は、パレスチナの人々が抱き続ける故郷喪失と抵抗の記憶を聞きとり、イスラエル国内で被害者意識が強化される構造を読みとく。その歴史から現在まで、パレスチナ問題を一望する必読の書。
  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機
    4.2
    リーガル・リテラシーを用いてあらゆる課題や実務に対応する弁護士は、社会インフラの要である。ときにこの国の形を整え、またビジネスの現場で攻守にわたり力を発揮する。しかしこの人材が質・量ともに危機的な状況である。本書では、ロースクール・司法試験という人材の供給過程を徹底的に検証する。彼らが支えるべき経済や社会のあらゆる活動――経営、企業法務、国際取引、AI、テクノロジー、地方など、主に法廷外での活躍の必要性と可能性を洗い出し、アップデートする。

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