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「平成デモクラシー」は、政治の風景をがらりと変えた。九〇年代に進められた一連の改革により、政権交代を懸けた与野党の競争が始まり、首相への権力の集中が進んだ。今世紀に入ると、「小泉劇場」から民主党政権を経て「安倍一強」へ。その果てに――。「平成」という時代には、どんな意味があったのか? 激動の三十年を構造的に読み解き、「平成デモクラシー」という一筋の航跡をくっきりと描きだす圧倒的な政治ドキュメント。
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Posted by ブクログ
小泉政権を挟むものの旧態依然のシステムに頼り、徐々に瓦解していく自民党政権▶政権奪取したものの、理想に走り実を伴わず内部闘争に明け暮れた民主党政権▶二度と政権を譲らない覚悟で清濁併せ呑む安倍政権 大まかに言うとこういう流れがよく分かります。 つくづく思うのは小選挙区制である以上対抗できる野党が日本...続きを読むには必要だということでした。
「平成デモクラシー史」清水真人 政治ドキュメント。オーク。 政治とは制度の上で繰り広げられる駆け引きである、という視点から、平成の政治史を大きな転換期ごとに描いたドキュメント。 80年代後半生まれの僕にとって、平成の政治とは、派閥争いであり、権力と汚職であり、演出された劇場だった。 中学校の公民...続きを読むの授業で習う、議院内閣制や三権分立の理念と、日々ニュースで流れてくる『政治屋』の人々の言動に、つながるところを感じないまま大学生になり、社会人になり…、会社の組織の構造に馴染んでもなお、社会と政治の構造には疎いままだった。 ようやく30代(!)にして、この国の(少なくとも骨組みは)どうやって決まっていっているのかを見、その骨組みの全体像を知るために手を取った一冊。 政治家の自著は数多あれど(『私は闘う』『老兵は死なず』(野中広務)と『美しい国』(安倍晋三)だけ読んだ)、社会の動きに紐づいて、政治の舞台とその流れを緻密に書き起こしており、教科書で習った政治制度と現実世界の政治動静をつなげる良書。 なお、デモクラシーであり、政治ドキュメントでありながら、密接不可分に語られているのが、「官」の世界だ。 まさに制度の代名詞としての官僚構造と、それを現実に動かしている個々の官僚と政治家の蠢きには、報道には出てこない生々しさを感じる。 出版は2017年12月。このあとに、森友問題とそれを巡る財務省と文書管理を揺るがす国会論争、立憲民主と国民民主の完全分離路線、そして安倍晋三の3選と、政官とも大きな動きが起きた。改版での追補にも期待。(5)
【この時代を画するキーワードは「政権交代」と「首相主導」である】(文中より引用) 55年体制の崩壊に加え、2度の政権交代も実現した平成時代の日本政治。膨大な証言や記録を紐解きながら、政治組織体や統治機構がどのような変化をたどったかを考察した作品です。著者は、日本経済新聞の記者として派閥の取材にも当...続きを読むたった清水真人。 多くの党や人物が表紙を飾った平成期の政治を振り返る上で大変参考になる作品。権力の在り処とそれをめぐるゲームのルールがどのように変化を重ねたかがよくわかる一冊です。ジャーナリスティックな記述もあり、読んでいて飽きがこないような書きぶりになっている点も高評価。 ハードカバーにしても良かったんじゃないかと思わせる充実ぶり☆5つ
衆議院選挙に小選挙区比例代表並立制を導入した政治改革をはじめとする統治構造改革がもたらした「政権交代」と「首相主導」をキーワードとする「平成デモクラシー」という枠組みに立脚して平成の日本政治史を叙述。 平成の統治構造改革が日本政治に大きな変容をもたらしたことを、小沢一郎が主導した政治改革の始まりから...続きを読む橋本行革、小泉「革命」、民主党政権の実験と失敗を経て、現在の「安倍一強」の状況までを振り返ることで示している。そして、現在の「安倍一強」状態の安倍政権は、政権選択を実質的に封じ込める狙いで解散権を行使しており、政権選択と首相主導という「平成デモクラシー」の両輪のバランスを揺るがしていると指摘している。 本書を読んで、「平成デモクラシー」という概念のもと、平成の日本政治史を構造的に理解することができた。「ゲームのルール」としての「制度」の重要性を感じた。著者は歴戦のジャーナリストだけあって、文章自体も読ませるもので、非常に読み応えがあった。
丸山真男が、日本のジャーナリズムには、政局報道はあって、政治報道はないと喝破されているが、 新聞によっては、どの政治家とどの政治家が、会食して、どーのこーのと批評、評論をベースにしない、実につまらない記事に遭遇する事がある。 最後まで読むと、著者は、新聞記者であったようだ。 新書ではあるが、アカデミ...続きを読むックや学問的とは少し違った、読み物として面白い本となっている。 官僚主導から政治家による政治主導の政治へのチャレンジを基調に、統一感がある感じで、政治家の肉声を交え、つまらない政局報道とは画した形で、平成の権力を巡る人間ドラマが、読みやすい形で提供されている。 非常に大分であるが、スラスラ読めます。 この本を読んで理解した事は、小選挙区制による選挙制度は、もはや不可避であるということと。 比例区と小選挙区との配分も、概ね正しいということだ。 そして、僕は、一点張りでの政策選択選挙は支持しないのだが、覚悟の決め方、やると言ったら、どうやってもやる意思の強さ、時に見せる非情さ、小泉純一郎元首相は、立派な政治家のプロだという事が、よく理解できる。 三浦 瑠麗(国際政治学者・東京大講師)の2018年の3冊。 平成の政治改革をドライブした権力闘争のダイナミズムが示される。 やはり、政権交代があると、政治のダイナニズムを感じる。
平成は、1989年1月8日に始まり、2019年4月30日の平成天皇の生前退位により終わる約30年間の時代を指す。実は、この間に政治の世界では大きな変化が起こっている。その変化は、一つはシステム・制度の変化であり、もう一つは、その変化したシステム・制度の変化をうまく利用できた政権と全くうまく利用できな...続きを読むかった政権が生じたことによる、現実世界の実態的な変化である。 前者の制度的変化は、「小選挙区制の導入」「政党助成金制度の導入」「政治主導」「首相官邸の機能強化」「中央省庁再編」といったものがあげられる。 小選挙区制の導入により、選挙結果が大勝・大敗に大きく振れるようになり、二大政党制・政権交代が起こりやすくなるとされ、実際に、自民党→民主党、更には、民主党→自民党という2回の政権交代が起きた。しかし、二大政党制が定着したかと言えば、現在の政治状況を見ても分かる通り、現在の野党の側が集合離散を繰り返し、現在の状況は、安定的な二大政党制は実現できているとは言えないであろう。 小選挙区制の実施は、政治に金がかかり過ぎることの対策の一つでもあった訳であるが、その流れで、政党助成金制度は導入された。政党を運営する費用に税金の補助を導入することにより、リクルート事件の時のような、ダーティー・マネーが政治の世界に入りにくくしたのである。そして、この制度は、自民党においては、派閥の力を弱め、党中央、党総裁(=総理大臣)の力を強化する機能を持つこととなった。 また、実際の政治を動かしているのは官僚であり、その弊害は大きなものがあるという反省から行われたのが、「政治主導」「官邸機能の強化」「中央省庁の再編」である。高度成長時代には、それなりに機能していた、族議員・産官政による国家予算配分が、高度成長の終焉により機能できなくなる一方で、各省庁間の壁は厚く、部分最適を超えた全体最適的な国家戦略が取れないという反省から、政治主導による政策立案・予算配分、特に官邸主導でそれが行われやすい仕組みがつくられた。 このような仕組みが出来上がったが、しかし、この仕組みを上手に活用できた政権と出来なかった政権で大きく明暗が分かれている。 上手く活用した典型例は、小泉政権であろう。小泉元首相の個人的な人気に負うところが大きいのであるが、自民党・各省庁に対して、官邸(というか、小泉元首相個人)主導で、選挙で結果を出し、やりたい政策(例えば郵政民営化)を実現するという循環をつくりあげた手腕は、今振り返っても、見事なものがあった。また、第二次安倍政権も、安倍元首相の個人的な人気をベースに、選挙での勝利を積み重ねることにより、「安倍一強」と呼ばれる状況を作り出し、長期政権を実現した(しかし、必ずしも安倍元首相のやりたい政策は実現したわけではない。例えば、安保法制の解釈変更、憲法改正等を目指したが、実現はかなわなかった。おそらく、目指したことのハードルが高すぎたのであろう)。 逆に、この仕組みを上手に活用できなかった政権は、第一次安倍政権・福田政権・麻生政権であった。そして、更に下手だったのが、民主党政権であった。民主党政権も、「政治主導」を目指して政権運営を始めたが、それは「官僚排除」「官僚軽視(あるいは蔑視)」の政治であり、自民党政権のような「政治主導」ではあるが、「官僚活用(あるいは統制)」とは、全くスタンスが異なっていた。政権運営の経験のない閣僚たちが、官僚の協力を得ずして政治を上手くまわすことが出来るはずがなく、首相に就いた鳩山・菅元首相のリーダーシップ資質への疑問符と相まって、折角の政権交代は短期間で幕を閉じてしまった。 というような、一つは平成年間の、政治に関するシステム・制度の変化と、もう一つは、それを背景とした政治ドラマを描いたのが本書であり、かなりの読み応えがある。結局は、①システム・制度を上手に活用することができ②個人的な人気を背景に選挙に勝つことができる首相が、長期政権を築くことが出来る、というのが、私が本書から読み取ったことである。 選挙という意味では、安倍元首相時代の「自民党一強」と呼ばれた国会での議席数を、菅・岸田首相時代に少しずつ食い潰し、石破首相になってから、貯金を使い果たした状態と言えるであろう。それでも何とか自民党政権が続いているのは、少数野党が並列し、かつ、今回の国民民主・維新・立憲民主が示したように、野党側が、 政府の予算案に対する対処方法すら統一できない状況にあるところが大きいと思う。 参議院選挙を考えると、石破首相下の自民党は選挙に勝つのが難しいのではないかと思う。しかし一方で、野党が政策においてすら協力することも考えにくいという状態が続くのではないか、と予想する。
平成を駆け抜けた政治のダイナミズムを臨場感たっぷりに楽しむことができた。 「事実は小説より奇なり」とはいうものだが、まさにこの30年間の政権を巡る争いは、非常に興味深く、そこには確かな必然性を帯びたストーリーがあった。 改革に向けて、制度が変わり、個性的なプレーヤーが入れ替わっていく。いまの自民党政...続きを読む治体制に至るまでなにがあったのかよく理解できた。 そしてなりより小泉純一郎のリーダーシップに強く惹かれる。しがらみや前例にとらわれず、自分の信念に従って、時に犠牲を払いながらも、突き進む姿は、自民党のみならず、族議員が跋扈した前時代の「政治家」をすべてぶっ壊したのかもしれない。
平成を中央政治の観点で振り返るとこうなるのか。 既に退場した人たちの名前がたくさん出て来るが、今の安倍政権と小泉政権を除けば、小沢一郎に振り回された印象が強い。 当事者の思いに関わらず、小選挙区導入によって衆院選が政党選択選挙となり、一旦は民主党に政権が移ったものの、内閣主導政治にうまく対応した...続きを読む自民党が政権を独占する結果になった。 少数分割している限り、野党にできることは与党の揚げ足取りしかなく、今の不毛な政治状況は当分続くのだろう。
タイトル通りの内容だが実に重厚。冷戦終結/バブル崩壊→政治改革(選挙改革)→行政改革→官邸機能強化という太い平成デモクラシーの政治過程におけるかなり細部までを語った力作。この30年間の日本の政治を流れで掴むにはうってつけの本かと思う。読んで思うのは、平成の政治を形作った主役の一人は間違いなく小沢一郎...続きを読むであったということ。彼が構想し、実現し、そしてぶっ壊し続けたのが平成の政治。そしてその中で数々の人間ドラマが繰り広げ荒れるわけだが、最終的に残るのは人ではなく制度であるところが面白い。(そして、小沢一郎が天下を取った訳でもない) 選挙制度を変えると、これほど政治のガバナンスそのものが生き物のように変化するのは驚きであり、つとめて人は環境の申し子であることが分かる。 平成は今年で終わるわけだが、また時代の要請によって選挙制度を変えて政治の流れを変えるのか、あるいはその前提である憲法や二院制というもっと根本を換えて国の有り様を変えていくのか、ポスト平成の政治家のセンスが問われるとこだと思う。ポスト平成の小沢一郎は誰になるのか?楽しみでならない。
新聞記者+政治学の蓄積がうまい具合に合わさっている感。近年に関しては著者が現場から離れたからか、まだ歴史になってないからか、荒い印象。
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