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日本の内閣情報機構は公的情報が少なく、内部証言も断片的だったため、これまで実態が未解明だった。本書は一九三六年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた一九七二年頃までの実態を、この間の情報機関に深く関わった三人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言をもとに描く。政府寄りの世論形成に取り組み、時には他省庁の取り組みにくい政策課題に自らの存在価値を見いだした内閣情報機構の実像に初めて迫る。
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Posted by ブクログ
新書509ページ!しかしまったく冗長にはならず濃密な読書でした。たまたま内閣情報機関の歴史についての問題意識を持った著者が2020年に亡くなった元内閣調査室主幹、志垣民郎が自宅に残した資料の整理の手伝いをしたことで生まれた戦前と戦後の日本のインテリジェンス組織の連続性を指摘するに至るドキュメンタリー...続きを読むでもあります。いわば戦前の内閣情報機関の設計者である横溝光暉、戦後「内閣調査室を調査する」という雑誌論文などでその組織を批判したジャーナリスト吉野公一郎、吉田茂が1952年に内閣総理大臣官房調査室を新設してから一貫関わってきた志垣民郎、この3つの視点からの「アナザーストーリー」です。労作であり力作であり、そして本書が生まれたことによるこの分野の研究が進む可能性の書でもあります。大国間の緊張関係の中で国の宣伝、広報、あるいはプロパガンダの存在がデジタルの世界でも激しくなってきた感のある現在、また国内問題のフェイクニュースを含めた情報の分断が深いタイミングでの時宜を得た読書になりました。この本棚においても最近読んだ『PR4.0』『言語統制』に続いての『内調』とお互い重ならないけど関係し合う「アナザーストーリー」読書になりました。また本書にも出てくる里見修の『ニュース・エージェンシー 同盟通信社の興亡』『言論統制というビジネス 新聞社史から消された「戦争」』とのシンクロも興奮しました。
戦前から戦後にかけての日本の内閣情報機構の歴史をまとめた本。戦後、吉田茂と緒方竹虎を中心に日本の情報機関を作ったといわれるが、著者は戦前の情報委員会から戦後の内閣情報機構にかけての歴史を見ると、広田内閣が日本の行政史上初めて内閣情報機構を設けた政権だという。内閣に直属の情報委員会を設置するきっかけと...続きを読むしては満州事変であった。
日本の内閣情報機構についての、戦前戦後を通した歴史と役割。 関係者による手記等がほとんどなく、こうした本はほぼ初めてらしい。 日記や記事などを丹念に辺り、様々な視点で通史を表す。 研究の一冊か。新書版だが、かなり分厚い。 硬質な内容で、あまり興味は引かれなかった。
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内調 ――内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス
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岸俊光
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