水野和夫の作品一覧
「水野和夫」の「過剰な資本の末路と、大転換の未来 なぜ歴史は「矛盾」を重ねるのか」「株式会社の終焉」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
#ツナグ100分de名著
\\ 寛容な心。そこにある強さ。 //
『平和』について、
4冊の本から共に考える。
◇◇◇◇◇◇
【タイトル】別冊 NHK 100分 de 名著「平和」について考えよう私たちに何ができるのか?
【 著者 】斎藤環/水野和夫/田中優子/高橋源一郎
【 出版社 】NHK 出版
◇◇◇◇◇◇
本書は2016年オリンピックイヤーに当たる年に企画された。
オリンピックは元々『平和の祭典』として戦争を休戦して大会に参加しようという理念がある。
そこから企画された本書は、4章4冊から成り立っている。
◇◇◇◇◇◇
第1章
フロイト『人はなぜ戦争をするのか』斎藤環
☆心理学から考える。平和のためにできることはダイアローグ対話である
第2章
ブローデル『地中海』水野和夫
☆経済学から考える。平和のためにできることはよりゆっくりより近くより寛容に
第3章
井原西鶴『日本永代蔵』田中優子
☆江戸文学から考える平和のためにできることは信頼を作り出し、それを持続すること
第4章
ボルテール『寛容論』高橋源一郎
☆哲学から考える。平和のためにできることはPray,and think
◇◇◇◇◇◇
このポストでは、第一章『フロイト//人はなぜ戦争をするのか』について、触れてみたいと思います。
◇◇◇
『人はなぜ戦争するのか』は精神分析の創始者であるジークムント・フロイトが物理学者アルバート・アインシュタインの呼びかけに応じて交わした公開の往復書簡である。
●アインシュタインは、人間の心自体、平和に抵抗する人間の悪しき権力欲と権力にすり寄って利益を得ようとする心がある。人間には本能的な欲求が潜んでいてその本能的な破壊欲動、死の欲動があると言った。
●戦争防止する2つの方法
①感情的な絆
②同一化
●反戦活動をする問いのこたえ
①個人の生を尊重するという個人主義に基づく
②生理的に戦争が嫌だと感じるから
●文化は欲動を制限する
文明は科学技術的なもの、文化はどちらかというと人文的な知識全般を指すもの。良い悪いの価値判断はどこでするのか。その判断をしていくのが文化の力。
「文化の発展がもたらすものは全てが戦争を防ぐように機能する」とフロイトはこの書簡の最後に記している。
◇◇◇◇◇◇
フロイトは反戦の理由を『生理的に戦争が嫌だと感じるから』と、人間の本能を取り上げていることに、驚きと納得を覚えたのでした。
あれこれ考えた理由、理性の問題じゃないんだなぁ、って思ったんです。
◇◇◇◇◇◇
他にも、4章にパリ同時多発テロの時に、奥様を亡くされた人が、『あなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。』Facebook に書き込みをした話が載っている。
『彼は生後十七カ月。普段通り食事をし、私と遊び、そして幸せで自由な人生を過ごすことで、あなた達に勝利するでしょう。彼もあなたたちに憎しみを抱くことはありませんから』
パートナー、幼い子どもの母を亡くした直後にこの思いを抱き、口にできることの凄さには考えさせられるものがあります。
◇◇◇
ページの横には各々の平和に対する一言格言が載っていて、
『戦いは戦いを生み、復讐は復讐を生み、好意は好意を生み、善行は善行を招く。』エラスムス
の言葉との繋がりも感じ、
『寛容』な心を自分の中に大きく育てることが『平和をつくる』ことなんだと、真摯に受け止め、難しくても励んでいこうと思いました。
◇◇◇◇◇◇
他にも、
『すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。』世界人権宣言第一条
『すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。』世界人権宣言第三条
など大切な考え方が本書の隅々まで載っている学びの多い、示唆に富む1冊です。
Posted by ブクログ
【シンボルエコノミー】 水野 和夫 著
経済の分野で一番信頼しているのは水野和夫氏(&河野龍太郎氏)。膨大な歴史書・哲学書を渉猟して現代の経済を考察するという稀有な経済学者です。新著が出たので、早速、読んでみましたが、新書でありながら開眼ものです。
シンボルは単なる記号であり、株式や為替も記号。一方、我々の生きる世界はリアルなエコノミー。こうしたシンボルを重視するエコノミーには上限がないものの、働いている人・工場・店舗・オフィスは目に見え、これらの資本は限りなく増やせないので両者の乖離が広がっていると分析します。また、人口の少ない国ほど生活水準が高いことも実証しますが、唯一の例外は米国。シンボルエコノミー化となった米国に対して、日本はリアルエコノミー中心の世界でいずれも「例外」。唯一、日本でビリオネアに相当するのは法人企業であり、賃下げと利払い削減によって利益を増やし、実質GDPが対1998年比で1.2倍しか伸びていないのに、内部留保は4.6倍にまで膨れ上がっている実態から、いまの賃上げのみならず、過去の生産性向上分まで還元すべきと提言します。
これまでの「より遠く、より速く、より合理的に」が限界に来ており、21世紀は「より近く、よりゆっくり、より寛容に」が「定常状態」になると予想しますが、この「定常状態」に対して資本を無限に増やそうとすることは最大の障害になると断じています。
新書と言っても万人向けではなく、多少の経済知識は必要かと思います。左派的でもあり、政策立案者には受け入れられないと思いますが、いつもながらに示唆に富む一冊です。
Posted by ブクログ
いやぁー、これはとても良い本です。21世紀の資本主義経済社会がヨーロッパの中世後期の「長い16世紀」の時代と同じ状況にあることを説く。カトリック教会が救済の役割を果たせなくなったのと同じく、資本主義が「自由と平等」を実現できなくなり、格差が拡大して、99%の自由が奪われている。
合理的経済人は「より遠くへ、より早く、より合理的に」という行動原理に従って行動すれば、会社は儲かり社員は出世するという救済をえたのだが、この行動原理に従って行動しても実質賃金は上がらず自由を手にできないようになっている。ケインズが「100年後には経済問題は人類の恒久的な問題ではなくなる」と言っていたにも関わらず、人類は相変わらず自由や平等を実現しないにも関わらず経済成長を無理やり追求している。必要のない需要を生み出すためにショックドクトリンが繰り返され、その度にビリオネアだけが巨満な富を蓄え、中産階級は99%に呑み込まれていく。
この本は、私が今まで読んだ経済に関する本の中で一番価値の高い本であった。ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思います。
再読しました。現代の経済学者でダントツの筆者に良心の書で現代の古典です。