筒井清忠の作品一覧
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ユーザーレビュー
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大正デモクラシー、という言葉があるが、大正時代は、近代化を駆け足で進めてきた明治時代から、個の時代、「大衆化」されてきた時代で、現在の日本社会の原型を形作った時代として捉えることもできる。
大正デモクラシーの時代が、なぜ、軍国主義に向かわなければならなかったのか。
相反することにように思えるが、実
...続きを読むは、「大衆化」の文脈で根は同じところにあるのだ。
大正時代は公から個の時代へ移るのだが、そこに「大衆」が生れる一方、同調圧力も生まれる。
そしてマスコミによって煽られることになる。
何となく見過ごされてしまう大正時代を文化面を含めて認識することが歴史を学ぶ上でも大変重要なことだと気付かされた。
・以下冒頭部分からの引用
「多様に花開き、様々な可能性を孕んでいた大正文化ではあったが、その基底に大衆化の波が渦巻いている限り次の時代がどのようなものになるかは、ある程度運命づけられていたといえよう。そしてそれがある意味では今も続いているだとすれば、これからの日本を私たちにとってより好ましいものにすることができるか否かは、私たちがその起点=大正文化をよく認識できるか否かにかかっているといえるのではないだろうか。本書刊行の意図はそこにある」
Posted by ブクログ
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「議会・世論を考えたからこそ(トラウトマン)和平工作は潰れ、強硬な声明が出され、戦争は拡大していったのだった」
良書
Posted by ブクログ
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新旧様々な学問的成果も交えて色々な知識を一般向けに判り易く伝えるということが「新書」というようなモノの本旨であるように勝手に思っているのだが、本書は正しくそういう類の良書で、広く薦めたい。
「明治」、「大正」、「昭和」、「平成」というように時代を区切る理解が在る。
そういう中で「大正」は「明治」や「
...続きを読む昭和」に比して期間が短く、幕藩体制を止めて新たな体制を創って行った「明治」や、大きな戦争とその後の歩みの「昭和」という巨大な存在感の陰になってしまっているという一面が在ることを否めない。
しかし「幕藩体制を止めて新たな体制を創って行った」後に「如何なった?」というような事、「大きな戦争に突き進んで行く」というようになる「前段?」というようなことは、「大正」を見詰めなければ知り得ない。そして考える材料も得られないかもしれない。
本書は歴史の様々な事案を研究している人達が手を携えた一冊である。自身が学生であったような―酷く昔だが…―頃にも一部で見受けられたような気がするが、「〇〇学」というような大枠が掲げられ「第1回はA先生…第2回はB先生…第3回はC先生…」という程度に「〇〇学」というような大枠を構成する諸事案を複数の教員で講じるという授業が在ったと思う。本書はそういうような方式を採った一冊に纏まっている。
「大正」と呼ばれる時期には、政治、外交、軍事、経済というような各分野で色々な出来事が展開していて、それらは社会の変化を踏まえたものでも在って、論じられるべき内容は多岐に亘る。そこで26の「講」(本の章)を設定し、22人で執筆して纏めているのが本書だ。
「大正」と呼ばれる時期のあらましを知るには、本書は非常に好いと思う。人気が高かった政治家達やその退場、第1次大戦やシベリア出兵、米騒動のような事柄、関東大震災関連、国際的な軍縮会議等々の色々な話題が在る。
取上げられている様々な話題に関して、過去に各々の事案を主要主題として論じた本を読んだ経過が在るモノも交ってはいたが、それでも「“大正”を概観しよう」という趣旨で、他の事案と分量的に大きな差が無い程度で纏めてみたモノに触れるのは興味深かった。
多分この「〇〇講義」というような方式で色々なことが論じられている例は多く在るのであろうから、何処かで耳目に触れれば紐解いてみたい感だ。
Posted by ブクログ
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3巻目は首相や首相候補・外相などの列伝、人物から見る戦前・戦中の昭和史。1920年代から終戦に至るまでにリーダーを務めた人物15人に焦点をあて、実証的研究の成果をふまえてその実像に迫る。「リーダーを通して見る戦争への道」の副題どおり、各人物の行動や思想・政策などから、戦争に至る過程を見ていく。なぜ、
...続きを読むそうなったのか? 現時点における確度の高い説が提示されている。
Posted by ブクログ
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昭和史の重要事項を時代順に並べ、それぞれ専門の研究者が最新の研究に基づいて執筆する。政治の場面で何が起こっていたのか、メディアはそして世論はどうだったのか、また外交・戦争においても日本側では何があったのか、相手側ではどうなっていたのかを述べており、その叙述は冷静で、一面的な見方に陥らず、中立的である
...続きを読む。参考文献ガイドまでついており、昭和史の手引き書として最適。世の中にはびこる旧説・俗説に基づく昭和史本に対する憤懣と慨嘆にはうなづけるものがあり、こうした一般向けに最新の実証的研究の成果を紹介する本は貴重。
Posted by ブクログ
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