筒井清忠のレビュー一覧

  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    戦前日本の政治動向を、マスメディア、特に新聞の影響力を軸に描き出す。日比谷焼き討ち事件の時から、新聞記者がその騒動の直接的な担い手であったことに驚く。その後の各時局における記事の書きぶりも自在に紹介され、普通選挙時代に展開された新聞の扇動的な役割を活写している。戦前ポピュリズムの具体的な展開を見るにつけ、現代と重なる部分の多さに薄ら寒さを感じる。今まさに読まれるべき本だと思う。

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    2024年07月30日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    「議会・世論を考えたからこそ(トラウトマン)和平工作は潰れ、強硬な声明が出され、戦争は拡大していったのだった」
    良書

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    2022年03月02日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    満州事変が日中戦争、そして太平洋戦争を引き起こしたとは言えないが大きな要因の一つになっている。ではなぜ満州事変は起こったのか。

    15年5月9日袁世凱は対華21カ条要求を受けいれた、この日は後に国恥記念日になっている。また五四運動という大規模な反日運動を引き起こした。日本国内でも吉野作造が「最小限度の要求」と読んだように議会や世論はこの要求を当然のものと見なしていた。ドイツから奪った山東省の権益や満州の権益のみならず調印時には中国に対する内政干渉とも言える第5条も戦勝国日本にとっては無理な要求とは映らなかったと言うことだ。

    辛亥革命後の中国は南に孫文の革命派、北に安徽派、直隷派、奉天派などの

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    2019年02月17日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    選挙権の範囲は広がって、政治指導者は選挙民の顔を伺うようになり、小村寿太郎のような政治家は出にくくなった。政治家だけにその責任を負わせるのは非対称だ。では有権者はどうだったのかまで触れないと完全な分析、研究とは言えない。

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    2018年11月04日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    筒井先生の本はよく読ませていただいているのだけれども,本書はその中でも面白い。戦前期のポピュリズム台頭の様子が,日比谷焼き討ち事件,大正期の大衆運動,朴烈怪写真事件,田中義一寺内閣時代,統帥権干犯問題,満洲事変,五・一五事件裁判,国際連盟脱退,帝人事件,天皇機関説事件,近衛内閣時代といくつかのトピックスを通じて活写している。

    旧平価による金解禁もある意味ポピュリズムの賜物。政治家と新聞が結託して昭和恐慌をもたらした。

    現代のわれわれにとってもモリカケ問題は言うに及ばず,あらゆるところでポピュリズムが蔓延っている。

    最後にマスコミが民主主義の健全な発展に不可欠という指摘はその通りだと思うが

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    2018年03月16日
  • 陸軍士官学校事件 二・二六事件の原点

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    陸軍士官学校事件は、皇道派と統制派の派閥抗争のさなか、辻政信大尉がスパイを送り込み、クーデター計画を捏造したとされる事件で、二・二六事件の原点と呼ばれている事件であるが、これまであまりに謎が多く、実像が明らかにされてこなかった。本書は当事者の日記・記録・回想、捜査に当たった憲兵隊や軍法会議の記録のほか陸軍士官学校候補生らへの取り調べ調書記録なども駆使し、その全貌を明らかにした貴重な研究である。

    著者は「諸個人の集合的行為の複合物としての歴史は最初の諸個人の意図を大きく越えほとんどそれと正反対のコースに進むことが多いが、この事件はその典型的ケースだった」(230頁)と述べる。そして、この感慨は

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    2016年06月18日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    複雑な国際関係の中で昭和初期の外交がなぜ敗北し「満洲事変」という軍部の暴発に至ったのかを日露戦後の大衆社会の誕生から整理して筋道を立てて説明している。本書は簡潔で的を射ていると思うが、それでも辛亥革命以後の中国情勢を理解するのは本当に難しい。理由の一つは当時の中国側資料にアクセスすることの困難さがあると思うが、これは現在の共産党政権が倒れでもしない限り、かなり難しいだろう。著者は慎重に当時の外地でのメディア資料なども用いて実証的に迫ろうとしている。日貨排斥運動などについて当時の国際世論から言っても中国側がかなり酷いことをしていたのがよくわかる(それが事変の正当化にはつながらないことは著者も言う

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    2016年05月06日
  • 昭和史研究の最前線 大衆・軍部・マスコミ、戦争への道

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     本書は、「昭和戦前の日本の政治・社会の基底には極めて強い大衆社会化の圧力があり、それは多くの事件に見られたのであった」(「はじめに」より)が、これまで十分にそれらが検討されてきたとはいいがたいことから、正確な実証的成果に基づいた大衆世論からみた昭和史を、14章のテーマに沿って見ていこうとするものである。

     全体として、新聞・マスコミ報道によって大衆世論が作り上げられていき、それが大きな同調圧力となって軍部の台頭を招き、政策決定にも影響を与えていったことが解き明かされる。
     各章で取り上げられている事件や出来事はそれなりに知ってはいたが、それぞれかなり詳細、具体的な事実を基にしながら、大筋の

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    2024年10月12日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    筒井清忠氏は昭和史を塗り替える注目すべき論考をいくつも世に問うてきた。丸山眞男の日本ファシズム論への批判を皮切りに、二・二六事件が純真無垢な青年による無謀な暴発ではなく、緻密なプランを持ち成功の可能性も大いにあったクーデターであるとする新解釈(『 二・二六事件とその時代―昭和期日本の構造 (ちくま学芸文庫) 』)や、「軍部大臣現役武官制」が軍の政治介入の温床になったという神話の解体(『 昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像 』)など、いずれも手堅い実証に裏付けられたプロの歴史家の仕事だ。本書は対米戦争で破局に至るプロセスの起点として満州事変を捉えてその原因を探るものだが、氏の

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    2023年12月29日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    タイトルから、「満州事変」が起きた数年前、たとえば張作霖爆殺事件あたりからの著述なのかなと思って読むと、著述は明治時代あたりから、中国との関係や国内政治、社会情勢などを踏まえながら、「満州事変」にいたる流れを整理したもの。

    これを読むと、「満州事変」が起きたのは、むしろ必然の感じがしてしまうが、あくまでも「満州事変」が起きたという事実があったことをベースにそれにつながる歴史の流れを整理したということ。

    つまり、さまざまな歴史の流れはあるわけで、満州事変のようなものが起きなかった、仮に起きたとしてもあそこまで拡大せずに終わった歴史の可能性は多いにあるわけだ。

    それでも、やはりこのラインをお

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    2022年07月31日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日本のファシズムは、ドイツやイタリアと比べると、あまり全体主義的ではなく(いろいろな意見・利害対立があって、バラバラで、「全体」になってない)、下からの運動というより、天皇の権威を利用した上からの統制という具合に理解しているのだが、それでもやはりファシズム的であるのは、大衆からの支持があったから。

    そして大衆の支持は、マスコミによる影響が大きいのだろうという予測のもとに、この本を読んでみた。

    大きくは、こうした事前の予測とは異なるわけではなかったのだが、それでも具体的にメディアがどういう論調の記事を書いたのか、そして、それに大衆がどういうふうに反応したのかを読むと、あらためて戦前の日本がど

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    2022年01月13日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日露戦争後の日比谷焼き打ち事件に端を発した劇場型大衆動員政治は、その後日本を戦争へと導く大きな要因になった。当時の新聞やラジオなどのマスメディアが世論に与えた影響が非常に大きいことが分かる。

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    2018年10月21日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    なぜ日米戦争に向かったのかを、軍部ではなく政治と社会の側から探る。政党政治を崩壊させたものは何だったのか。結局、当時の日本社会では民主主義が幼稚に過ぎたためってことなんだろうけど、これって今とどれだけ違うのか? 既存政党を批判するばかりでは、民主主義は育たない。自ら判断できる知力と、正確な資料報道の重視が求められるのだろう。こりゃ道は遠いわな。

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    2018年04月05日
  • 近代日本暗殺史

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    ネタバレ

    本朝の暗殺への反応でおおきな特徴をあげると
    ①判官びいき
    ②暗殺者の非業の死を悼み鎮魂
    ③仇討ちへの理解
    ④暗殺による革命
    となる
    明治期の暗殺は世直し的であるが、大正期には
    弱者への同情からの政府批判(と、見せかけた
    浅はかな功名心もある)

    本書の出版時期と安倍首相暗殺が重なる(´・ω・`)

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    2024年01月19日
  • 近代日本暗殺史

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    <目次>
    第1章  明治編
    第2章  大正編

    <内容>
    「VOICE」連載のものをまとめたもの。明治編は割と淡々とした筆致であるが、大正編は、朝日平吾による安田善四郎暗殺、中岡艮一による原敬暗殺を詳細に論じている。面白いのは、この後の昭和に起きる五・一五事件、二・二六事件と共に、暗殺者への大衆の賛美が見られること。これを結びで論じているが、マスコミを含めて、判官贔屓や弱者が強者をくじく、という雰囲気が世間に広がっていたこと、らしい。

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    2023年10月31日
  • 昭和史研究の最前線 大衆・軍部・マスコミ、戦争への道

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    <目次>
    第1章  「軍縮期」の軍人と世論
    第2章  普通選挙と政党政治
    第3章  無産政党の台頭と挫折
    第4章  ロンドン条約・統帥権干犯問題
    第5章  満州事変
    第6章  血盟団事件、五・一五事件
    第7章  国際連合脱退
    第8章  帝人事件
    第9章  二・二六事件
    第10章  日中戦争~勃発と拡大
    第11章  三国同盟・ヒトラーと日本世論
    第12章  近衛新体制と大政翼賛会
    第13章  日中戦争をめぐる反英米論の展開
    第14章  日米交渉と開戦

    <内容>
    昭和史を筒井教授グループが、ちくまから朝日新聞へと移ってきた感じ。ちくまと内容にそう差はないように思うが、日中戦争などは、論というより

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    2023年01月17日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日本の大衆は、日比谷焼き討ち事件から始まった。日露戦争の講和条約ポーツマス条約に反対する国民大会。
    徳富蘇峰の国民新聞だけが、講和条約に賛成した。

    日比谷焼き討ち事件は、討幕派から226事件までの中間的な思想事件。

    排日移民法排撃運動ではアメリカ大使館の前で切腹。

    初の普通選挙では2大政党時代が訪れた。政策より大衆人気が勝利する。

    ロンドン海軍軍縮条約では国際協調主義の世論が、わずか3年後の国際連盟脱退では、松岡全権を大歓迎した。新聞の誘導が原因。

    515事件は、国民の減刑運動によって海軍による刑は軽いものとなった。

    満州国はフランスでは、不戦条約などに違反していないという論もあっ

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    2018年08月15日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    ちょっと長い。
    つまみ読みになってしまった。
    日本のこれまでの民主主義は、マスコミの報道によって出来上がったもの、と紹介されていると受け止めた。
    ポピュリズムと民主的手続きとメディア。
    もう少し考えてみようと思う。

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    2018年06月16日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日比谷焼き討ち事件から近衛内閣による日米開戦まで。
    日本史の教科書を読んでいるようだ。
    ポピュリズムが大きく反映された世相、政治経済。
    大きな事件には必ず世論が動く。
    それは今でも同じだがネットが無い時代、やたらと人が集まる時代だった。なかなか面白く読めた。
    戦後編は無いのかな?

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    2018年05月22日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    ネタバレ

    日本はワシントン条約に忠実に行動したが、中国の不平等条約への反発は、英米との融和によって、日本の孤立化を導いた。中国の急進的な不平等条約解消運動は日本を追い詰める形となった。中国の強硬論に業を煮やしたイギリスの提案を日本がそれに応じるより早く、日本の内部の急進主義者が軍事行動を起こしてしまったのである。その間の様々な事件や出来事を簡潔に示していた。

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    2015年09月22日