筒井清忠のレビュー一覧

  • 大正史講義

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    大正時代というのは、改めて振り返ると、とても重要、且つ学ぶべき時代だと思う。
    明治から始まる近代化は、大正時代において、特に政治の観点で成果が見えつつあり、文化の面でも花開くところがあった。
    そんな中で、どのように昭和を迎え、何が軍国主義に追い立てたのか?
    決して、徐々に軍国主義が広がったわけではなく、大正時代は、ある意味、国民の政治に参加する意識は高く、議会制民主主義の裾野が広がった時期でもある。
    軍国主義が、その反動だった、という一言で片づけられる訳もなく、よくその時代を追っていく必要がある。

    軍国主義へ導いたことを現象面で上げるとすれば、相次ぐ政治家へのテロがある。
    それも、政治に対する不満にを受けて、それを肯定するような国民感情があったし、それを支えたメディアの力も無視できない。

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    ・大正政変で政治家・桂太郎は傷付き、退陣から8カ月後に亡くなった。しかし、桂が残した新党、立憲同志会は加藤高明を総裁として1913年12月に結成される。その時点の所属代議士は政友会に遠く及ばなかったが、桂系の有力な官僚出身者を多く抱え、また三菱資本がバックについたこともあって潜在的な成長力は侮りがたく、のち憲政会・立憲民政党と名称を改めつつ、政友会に対応し得る存在となっていく。

    ・20世紀初頭の国際政治の変化。
    アメリカがイギリスに替わる覇権国として台頭しはじめ、極東政治のアクターとしても重要な役割を演じ始めた。

    ・二十一カ条要求は中国ナショナリズムを大いに刺激した。

    ・1919年には、日本の船舶保有量は急増し、1920年にはイギリス、アメリカに次ぐ世界第三位の船舶保有国となった。
    それまでヨーロッパ諸国から輸入に頼ることの多かった機械工業や化学工業では、輸入が困難になったことから国産化が進んだ。

    ・原内閣の政策内容を簡単に要約すれば、全国各地各層の、そして多様な産業分野に従事する国民が、あまねく文明の恩恵に浴して生活を向上させることをめざしたものであった。第一次世界大戦直後という豊かな財政状況に支えられ、原内閣はそれまでのどの内閣よりも大きな成果を上げることに成功した。

    ・牧野の内大臣への栄転は、その後の天皇統治の安定性を考える上で、きわめて大きな意味を持つことになった。原や西園寺と異なり、牧野は天皇機関説的政治運用の枠を超える可能性をもつ天皇シンボルの積極的な活用、つまり天皇の政治的役割をより能動的に指向することになったからである。

    ・昭和天皇は後年、大東亜戦争の重大な開戦原因の一つとして米国における日本人移民への差別を挙げている。

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    2022年08月14日
  • 昭和史講義【軍人篇】

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    帝国陸海軍の主要な14人の将官を扱ったもの。紀伝体的に個別人物に着目しているわけだが、中身は玉石混淆。編年体では無いので全体像は掴みにくくなるが、それはシリーズ全体で縦糸横糸の関係にあると思う。但し、紀伝体らしく、その人の個性・経歴・思想などに切り込めている章が全てではなく、残念ながら星4とした。

    読後感としては、個別人物が好きかどうかは別として、梅津、鈴木貞一、武藤、牟田口、今村、永野、石川、堀が面白かった。山本が自分の中ではダントツに詰まらなかった。

    特に、海軍の指導者として名前はよく見るが全く知らなかった永野は更に知らなければと思った。リーダーシップなき組織の典型。堀悌吉の項では、とてつもなく有為な人材が末次・加藤のような怪物・俗物の策謀で排除されるわけだが、悪貨が良貨を駆逐する典型例で、いつの時代も気をつける必要がある。

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    2022年04月03日
  • 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道

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    「昭和史講義」が好評だったので、その続編としてでたもの。

    前作同様に、戦前を中心として、注目すべき出来事の事実解明を中心としながら、20のトピックを20人の研究者が概説したもの。

    出版の経緯からして、前著と一緒に読まないと、全体の流れがわからなくなるかもしれないが、これだけでも、多分、それなりに面白いだろう。

    一人の著者による通史ではないので、読みにくさはあるのだが、取り扱われるのは、それなりに「知っている」つもりの出来事が多いので、それなりに面白い。また、通常、どういう文脈で議論されているかもなんとなくわかっているつもりなのが、近年の研究ではかなり違う話しになっいるかがわかって、スリリング。

    やっぱ、わたしたちの戦前の歴史の標準的な理解は、戦後民主主義の視点で、戦前と戦後を切り分けて、戦前を陸軍とか、一部の政治家の責任として整理して、前に進んでいこう、という感じのものになっている。

    が、現実はやはり複雑で、色々な人の思惑や権力闘争がなされるなかで、半ば、偶発的になにかがなされ、それが次の打ち手を制限していく、という感じのものなんだな。日本が無茶な戦争をやったことは必然ではない。とはいっても、その時点でどの程度の自由度があったのかというと、やはり選択の幅はだんだん狭くなっていたのだろうと思う。経路依存的なプロセスだな。

    もちろん、国内の事情だけで、政策が決定されるわけでなく、戦争となると、国際情勢のなかにあるわけで、ナチスドイツの台頭、大戦前半での快進撃をみながら、どうにかなるんじゃないかみたいな他力本願な面も多々ある。

    まさに、国際社会、そして国内政治、世論の荒波というか、濁流のなかで、しばしば意思決定を先送りしつつ、中央のコントロール不足で生じるさまざまな軍事衝突に苦悩しつつ、なんとなくやっているうちに、だんだん打ち手がなくなってしまう、というプロセス。

    これは、やはり全体主義ではない。ほんとバラバラな意見がぶつかって、意思決定できない状態なのだから。

    でも、なぜだか、「天皇」というキーワードで誰もが一致してしまう不思議さ。

    では、その天皇自身はどうかというと、国際関係を重視していて、英米と協調路線でいきたい。なので、軍部、とくに陸軍の過激派を警戒していて、信じていない。できるだけ、軍部をガバナンスしたい。しかし、天皇が具体的な政治判断をすることは、旧日本憲法下においてもできない。先がわからないなかで、具体的な政治判断をすると、その責任が天皇自身にふりかかり、制度としての天皇を維持できなくなるリスクがあるわけだ。

    そういうなかにおいても、トップの人事については、漠然として形ではあるけど、方向性を示して、なんらかの影響力を行使する。それが軍部をコントロールすることになると思っての介入である。だが、この介入が、しばしば、より状況を悪くすることに働いたりする。もちろん、結果論なんだけど。。。。

    「天皇」という文脈を外してみると、こういうこといまだにやっているな〜と思ってしまう。

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    2022年01月19日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日本のファシズムは、ドイツやイタリアと比べると、あまり全体主義的ではなく(いろいろな意見・利害対立があって、バラバラで、「全体」になってない)、下からの運動というより、天皇の権威を利用した上からの統制という具合に理解しているのだが、それでもやはりファシズム的であるのは、大衆からの支持があったから。

    そして大衆の支持は、マスコミによる影響が大きいのだろうという予測のもとに、この本を読んでみた。

    大きくは、こうした事前の予測とは異なるわけではなかったのだが、それでも具体的にメディアがどういう論調の記事を書いたのか、そして、それに大衆がどういうふうに反応したのかを読むと、あらためて戦前の日本がどういう国だったのかが伝わってきて、驚きがある。

    ここには、現在の常識では考えられない愚かさがあるとともに、現在でも相変わらずな構造も多く見受けられる。

    やはり、日本型のファシズムは、それを支える世論があり、指導者は、最初は大衆の意見とは異なっても、それが国益であるのならば、嫌われてもやるべきことをやる人がいたわけだが、だんだん、(選挙権をもった)大衆の好みにうまく乗っかるのが上手な人が中心になるわけだ。

    そういう意味では、日本のファシズムの源泉は、やはり大衆の好みというところにあって、その好みが第2次世界大戦に向かって、日本が突き進んでいく原動力になったのだ。

    戦後において、日本型のファシズムは、陸軍のせいにされることが多く、国民は騙されていたというふうな理解がある気がするのだが、こうして歴史の流れをポピュリズムという観点でみるとその理解は陸軍をスケープゴートにして、自らを正当化する心理であったのだろうと思われる。

    2.26に関する記述があまりなかったり、日米開戦に先行する中国における戦争とそれに対するメディアや大衆の反応などもも少なめで、もうちょっと知りたいところもあったが、新書という分量のなかでは、十分な内容かな?

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    2022年01月13日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    学校の日本の歴史の授業では、近現代史に到達するまえに、授業が終わって、のこりは自習ということになっていた。なので、その辺のところは、とても表面的なところでしか知らなかったわけだが、最近、この辺りのところに関心があって、学習中。

    この本は、最新の研究成果をまとめて、これまでの通説的な理解を塗り替える、みたいな位置付けなんだけど、なまじこれまで学んでないので、へ〜、そうなんだという感じで、あまり驚きはなかった。(笑)

    歴史というものは、そんなに単純な因果関係で理解できるようなものではない、ということがよくわかるな〜。

    もし自分がこの時代で、しかるべき立場にいたとするならば、どんなことを思って、どんな判断をするだろう?多分、同じようなことを考えてしまっただろうな〜と思う。

    だれが悪いわけでもないのだが、いろいろやっているうちに、そんなことになってしまう、という実に日本的な空気感があって、痛いところ。

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    2021年11月22日
  • 大正史講義【文化篇】

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    <目次>
    第1章  吉野作造と民本主義
    第2章  経済メディアと経済論壇の発達
    第3章  上杉慎吉と国家主義
    第4章  大正教養主義~その成立と展開
    第5章  西田幾多郎と京都学派
    第6章  「漱石神話」の形成
    第7章  「男性性」のゆらぎ~近松秋江、久米正雄
    第8章  宮沢賢治~生成し、変容しつづける人
    第9章  北原白秋と詩人たち
    第10章  鈴木三重吉・『赤い鳥』と童心主義
    第11章  童謡運動~西條八十・野口雨情・北原白秋
    第12章  新民謡運動~ローカリズムの再生
    第13章  竹久夢二と宵待草
    第14章  高等女学校の発展と「職業婦人」の進出
    第15章  女子学生服の転換~機能性への志向と洋装の定着
    第16章  「少女」文化の成立
    第17章  大衆文学の成立~通俗小説の動向を中心として
    第18章  時代小説・時代劇映画の勃興
    第19章  岡本一平と大正期の漫画
    第20章  ラジオ時代の国民化メディア~『キング』戸円本
    第21章  大衆文化とモダン文化~商都・大阪のケース
    第22章  大衆歌謡の展開
    第23章  発展する活動写真・映画の世界
    第24章  百貨店と消費文化の展開
    第25章  阪急電鉄と小林一三~都市型第三次産業の成立
    第26章  宝塚と小林一三
    第27章  カフェーとの展開と女給の成立

    <内容>
    新書としてはかなり厚いが、今まであまり知らなかった大正期の文化(一般に大衆文化と理解してきたが…)を総まとめしてくれた感じである。もちろん妙に掘り込まれた章もあるが、やはり全体的に子ども・女性を含めて、文化の大衆化が展開した時代と理解した。マスメディア(『キング』・ラジオ・活動写真)と大衆文学。百貨店やカフェーの話。、また女性の社会進出が進んだ時代である。教科書的には、建築に関する記述が少なったことが残念か。

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    2021年10月30日
  • 大正史講義

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    大正史に関連するテーマ全26講を500ページ越えのボリュームで読み解く。
    全く初心者の入門ではなく「講義」と銘打っているだけあって、一講ごとのページ数の中にギュッと詰め込まれた情報量の多さと、かならず末尾に執筆者がお勧めする「さらに詳しく知るための参考文献」が入っているのが有り難い。紹介した著作について、それぞれ一言ずつどんな位置づけの書籍なのかのコメントまでついていて、この本を読んでより深く学びたいテーマに出会ったときに、次に読み進めるべき読書ガイドとしての使い勝手も良い構成になっています。

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    2021年09月28日
  • 大正史講義

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     大正史となると、およそ100年前の時代、だいぶ現代史に近づいてきた感がする。
     "はじめに"として、編者筒井氏の総論が述べられる。「大正時代というのは一言で言えば、大衆の登場が始まった時代である」そしてそれを象徴するのが、日比谷焼打ち事件であった。
     第一次護憲運動、大隈ブーム、対中国強硬政策要求運動、米騒動、普選運動、排日移民抗議運動、第二次護憲運動、護憲三派内閣、普選法成立、二大政党政治、28年普選実施と事態は進んでいく、それらの駆動力となったのが、大衆であった、と言う。

     全26講、それぞれに新しい知見を得ることができて勉強になったが、特に関心を持ったのは次のとおり。

     第1講 大正政変〜桂園体制が壊れた原因、背景
     第2講 大隈内閣成立と大隈ブーム〜政界を引退していた大隈が首相に推薦された理由
     第7講 原敬政党内閣から普選運動へ〜 政党だから即普選実施ではなかった理由
     第9講 人種差別撤廃提案〜日本政府が本提案に拘った事情
     第18講 宮中某十大事件と皇太子訪欧〜君主制における「位」と、個人の「身」の関係
     第19講 関東大震災後の政治と後藤新平〜新党問題に後藤新平が関与していたことを、これまで知らなかった
     第21講 「軍縮期」の社会と軍隊〜山梨軍縮、宇垣軍縮の挫折が、「昭和の陸軍」を産み出してしまった
     第24講 中国国権回収運動
     第25講 破綻する幣原外交
      〜激化する中国ナショナリズムにどう対処するか、内政不干渉主義を取った幣原外交に対して、英・米・日の足並みが揃わなかったことが、その後に影響したこと。

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    2021年08月23日
  • 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道

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    『昭和史講義』で触れながら掘り下げられなかった事項、触れられなかった事項を取り上げる。 引き続き、冷静かつ中立的な記述によって昭和史に関する最新の実証的研究の成果を紹介してくれる。物事がいかに複雑に展開したか、一面的な見方や単純な見方、陰謀論などは成り立たないということが、本書を読むと非常によくわかる。未だに論争になっていることもあり、昭和史の論点の整理としても読める。

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    2020年12月21日
  • 明治史講義【人物篇】

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     例えば、谷干城とか、今まで知らなかった面を、ずいぶんと知る。
     一般的なイメージというのは、あまり役に立たない。

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    2019年10月02日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    2018.12.16-2018.12.20
    昔ながらの紋切型の歴史観がネット上で飛び交ふ中で、最新の研究を元にした議論を一般にも広めようといふ意図は評価できる。
    特定の問題についての論文が並んでゐるので、全体像についての知識がないと読みにくいかも。
    個人的には、中国国内の情勢、例へば蒋介石の動きと日本の政治が密接に関係してゐたことを再認識した。

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    2018年12月21日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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     戦前から戦中にかけての昭和史を専門家が短く読みやすくまとめたものである。それぞれの研究者によって、同じ事象に対して見方が異なるところがあり、それがかえって一方向に偏らない思考の助けになる。本書の特徴である。
     内容としては、すでにたくさんの書物、新聞の論説、NHKなどのテレビ番組によって世の中に広く知られていることが議論の対象であり、特別に新しい発見があるとかいうものではない。
     ただ、本書のような重層的な書き方がまとまったものを手にして、日本が日中戦争、太平洋戦争(大東亜戦争)に至るそもそもの目的は何だったのか、最後に何をしたかったのか、あるべき姿をどのように描いていたのか、このような本質的な部分に疑問を持つようになる。

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    2018年10月28日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日露戦争後の日比谷焼き打ち事件に端を発した劇場型大衆動員政治は、その後日本を戦争へと導く大きな要因になった。当時の新聞やラジオなどのマスメディアが世論に与えた影響が非常に大きいことが分かる。

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    2018年10月21日
  • 明治史講義【人物篇】

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    明治期に活躍した人物というと、どうしても小説から得た情報が中心になっている。司馬遼太郎先生の作品の影響は大きい。司馬先生の力量のせいで小説なのに史実と思いがちだ。特に人物の印象は間違いなくそうだ。
    実はけっこう違う。小説ではデフォルメされていたり一定の役割を与えられているけど、実際にはそう極端に突っ走ったりしないわけだ。あらためて歴史ってのは誰かの思惑通りに進んだりはしないってことが分かるよね。

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    2018年08月25日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    なぜ日米戦争に向かったのかを、軍部ではなく政治と社会の側から探る。政党政治を崩壊させたものは何だったのか。結局、当時の日本社会では民主主義が幼稚に過ぎたためってことなんだろうけど、これって今とどれだけ違うのか? 既存政党を批判するばかりでは、民主主義は育たない。自ら判断できる知力と、正確な資料報道の重視が求められるのだろう。こりゃ道は遠いわな。

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    2018年04月05日
  • 昭和史講義3 ──リーダーを通して見る戦争への道

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    筒木清忠編のちくま新書による「昭和史講義」シリーズ第3弾は、人物にスポットを当てての入門書。

    15名の人物(加藤高明、若槻礼次郎、田中義一、幣原喜重郎、濱口雄幸、犬養毅、岡田啓介、廣田弘毅、宇垣一成、近衛文麿、米内光政、松岡洋右、東條英機、鈴木貫太郎、重光葵)が取り上げられている。このうち首相経験者は、12名。宇垣、松岡、重光以外は首相をやったことがあるから、サブタイトルにある通り「リーダーを通してみる戦争への道」でいうリーダーはほぼほぼ首相ということになろうか。逆に首相非経験者3名が軍人、外交官という選定(宇垣は大命降下までいって組閣失敗という事例だが)。

    外交官関係は加藤、幣原、廣田、松岡、重光の5名で全体の3分の1。うち加藤、幣原、廣田は首相経験者。逆に財政通と言えるのは、濱口のみ。陸海軍関係は、田中、岡田、宇垣、米内、東條、鈴木で外交官を若干上回る。

    戦後は軍人は当然だが、外交官出身の首相がほとんどいない。吉田茂以降は皆無。アメリカの世界戦略の中に完全に組み込まれてしまった戦後は外交畑でリーダーシップを取る余地がなくなったということか。

    もっとも加藤高明以前も外交官出身の首相は皆無なのだが……。

    というように考えてみるとこの昭和戦前期は外交というフィールドの重要性がわかる気がする。

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    2017年07月24日
  • 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道

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    全部で20講あるので当然中身も精粗様々。個人的には第5項、8講、12講、16講が興味深かった。「昭和恐慌下の日本」を扱った第4講はダメ。しかし、全体としては勉強になった。

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    2016年08月03日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    昭和史の最近の研究成果を反映させた論文集だ.ロンドン海軍軍縮会議(1930),満州事変(1931),2.26事件(1936),ノモンハン事件(1939),日独伊三国同盟(1940)などに関して新しい知識が得られた.従来の説とやや異なる記述も目立つが,参考文献を詳細に示していることで,いわゆる俗説ではないなと感じた.

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    2016年03月25日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    全15講からなる「昭和史講義」。“複雑きわまる戦前期を正確に理解するための決定版通史”と帯には惹句が掲げてあるが、多分、何の前提の知識もない人が読んでもちんぷんかんぷんだと思う。

    そういう意味で多少この時代に興味を持ち、何冊か概説書も読んだけれど、イマイチよくわからない人が読んで、“最新の研究はこういう資料を使ってこうした議論がされているのか……” と、もしかすると概略を掴めるのかもしれない、といった感じのテキスト。

    決して簡単で易しいという本ではないが、コンパクトなまとめと導きのブックガイドは非常に有益(ただし、経済史・社会史のネタはほとんどなし。政治史・外交史に偏ってはいる)。

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    2015年08月02日
  • 昭和戦前期の政党政治 ──二大政党制はなぜ挫折したのか

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    男子普通選挙とともに訪れた本格的政党政治の時代は、わずか8年で終焉を迎えた。待望久しかった政党政治が瞬く間に信頼を失い、逆にそれほど信望の厚くなかった軍部が急に支持されるようになったのはなぜか。宮中やメディアといった議会外の存在、大衆社会下におけるシンボルとしての天皇、二大政党による行き過ぎた地方支配など、従来の政治史研究では見過ごされてきた歴史社会学的要因を追究する。現代日本の劇場型政治と二大政党制混迷の原型を、昭和戦前期に探る試み。(2012年刊)
    ・はじめに
    ・第1章 護憲三派と政党政治の新生―政友会の分裂から第二次加藤高明内閣まで
    ・第2章 「劇場型政治」の開始―第一次若槻礼次郎内閣
    ・第3章 天皇・非政党勢力・メディア―田中義一内閣
    ・第4章 ロンドン軍縮会議という岐路―浜口雄幸内閣
    ・第5章 満州事変と政党政治の危機―第二次若槻内閣
    ・第6章 政党政治の終焉―犬養毅内閣
    ・まとめ
    ・あとがき

    本書は、昭和戦前期の本格的政党政治の時代を分析したものである。原敬暗殺後、後継の高橋是清内閣が行き詰まり内閣は総辞職、加藤友三郎、山本権兵衛、清浦奎吾と非政党内閣が続く。1924年に政友会が分裂。第十五回総選挙の結果、大命は憲政会総裁加藤高明に降下する。以後、若槻、田中、浜口、若槻、犬養と二大政党制が機能したが、犬養亡きあと、斎藤実(海軍軍人)への大命降下となり政党政治が終焉するまでを論じている。
    これまでは、政党の汚職や党利党略により争いが激化し、軍部に付け入る隙を与え、政党政治が自滅したものと理解していたが、本書を読むと、事情はより複雑であることがわかる。
    当時の社会的な背景としては、普通選挙を導入したことにより、政策論争だけではなく、政治シンボルの操作が最も重要な政治課題となる劇場型政治が始まる。それが政権交代を実現するための手段として意図的に用いられていく事がわかる。(朴烈怪写真事件、不戦条約問題、統帥権干犯問題、天皇機関説問題)
    また、この時期、軍人の社会的地位が著しく低下していた事も無視できないという。背景には行財政整理にともなう軍縮がある。政府はマスメディア(新聞)の後押しを受けて軍縮を進めるが、この時期の政党側の軍人軽視傾向が軍部台頭の真因であったという。
    満州事変後、マスメディア(新聞)世論は、事変前と変わって大旋回する。戦争報道によって大きく部数を伸ばした新聞は、新聞経営の立場を優先させ軍部台頭の片棒を担ぎ、政党政治の崩壊に手を貸すこととなる。
    いくつか興味深い点がある。元老西園寺公望の加藤高明の高評価、ロンドン海軍軍縮問題を巡る考察(条約批准には成功したものの、政党外勢力への政党政治の依存の危険性)、最後の元老が果たした超法規的役割や宮中勢力による天皇の輔弼(天皇の宮中の満州某重大事件の処理を巡って天皇は田中首相を叱責するが、これは個人的意思で偶発的に行ったわけではなく、宮中のアドヴァイザーのアドヴァイスを受けつつ行ったことだという。)など、戦前期の政治を理解する上で参考になった。

    著者は当時のマスコミについても厳しい見方をしているが、現在に至っても本質に変わりはないのではないか。社会の木鐸たる見識もなく劇場型の報道に終始する現状をみると既視感を感じずにはいられなかった。

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    2014年04月12日