筒井清忠のレビュー一覧
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この前、陸軍もの読んだので・・・
その流れでチェック・・・
大正末期、政党政治が日本で花開く・・・
加藤高明内閣から約8年間は政党政治が続く・・・
そして昭和初期、政党政治が没落し、軍部が力で権力を握り、日本を戦争へと引きずり込んでいく・・・
何でだろう?
やっぱり悪い軍部がいけないの?
いやいや、そんなに単純じゃあございません・・・
加藤高明<1><2>内閣から・・・
若槻礼次郎<1>、田中義一、浜口雄幸、若槻礼次郎<2>、犬養毅と歴代内閣の経過と評価を辿りながら、政党政治がどう変遷して没落していったかを確認できる・・・
劇場型政治ってのは戦前から存在し・・・
マ -
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選挙前なので、昭和の二大政党に関する文献を読んだ。その一冊が本書。もう一冊は井上寿一氏が最近出した本。これについては次に読む予定。
それはいいとして感想であるが、現在と状況がかなり似ていると感じた。たとえば行財政改革を行ったり、あるいはマスコミが扇動的な報道を行ったり(これは現在の方が幾分かマシに思えるが)するところは現代と類似しているといえよう。ただその一方で状況が全く異なるものもある。具体的には天皇を政治シンボルとして使うことや軍部の存在というものが挙げられよう。
史料に基づき、詳細な分析がなされているところに好感が持てる。また、現代の議論に使える論点や主張もあるので、二大政党を考えるにお -
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<目次>
第1章 「軍縮期」の軍人と世論
第2章 普通選挙と政党政治
第3章 無産政党の台頭と挫折
第4章 ロンドン条約・統帥権干犯問題
第5章 満州事変
第6章 血盟団事件、五・一五事件
第7章 国際連合脱退
第8章 帝人事件
第9章 二・二六事件
第10章 日中戦争~勃発と拡大
第11章 三国同盟・ヒトラーと日本世論
第12章 近衛新体制と大政翼賛会
第13章 日中戦争をめぐる反英米論の展開
第14章 日米交渉と開戦
<内容>
昭和史を筒井教授グループが、ちくまから朝日新聞へと移ってきた感じ。ちくまと内容にそう差はないように思うが、日中戦争などは、論というより -
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民主主義への可能性をもっていた政党政治がなぜ崩壊したのか?
それは単純に軍部のせいというわけでもなく、政党自身の問題、それを選挙で選んだ人々、マスメディア、そして天皇周辺の勢力のさまざまな動きのなかで生じたこと。
もちろん、背景には世界大恐慌というのがあるわけだけど。
未熟な政党政治の問題を批判しているうちに、民主主義自体の価値がさがっていって、より純粋に国をよくしようとしている軍部に国民の期待がうごいていく。
そして、そのイメージとして、天皇が使われていき、反対陣営の議論を封じ込めていく。
で、満州事変によって、世論は大喝采をおくり、その勢いをもって、急速に陸軍が政治の中心になって -
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戦前の昭和史を事件ごとに、最新の研究を成果を踏まえて解説する「昭和史講義」のシリーズは、学ぶところが多い。なんとなく、イメージとして、こんなことなんだろうと思っていることが、現在の研究ではニュアンスが変わっていることがわかると歴史の理解が深まるし、今の日本の見方も変わってくる感じがする。
そんなシリーズの3弾目は、国の政治リーダー、首相や外務大臣などの人物ごとの解説。前の2冊で議論されたことを違う角度から見つめ直すような感じ。
あらためて、こうしたリーダーを人物としてみてみると、当たり前だが、とても優秀、有能な人々だということがわかる。
こうした優秀な人々が、そして人格もしっかりしていて -
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『昭和史講義』シリーズも7冊が既刊だが、いよいよ最終配本とのこと。
興味を持った講は、次のとおり。
第1講「丸山眞男と橋川文三」〜丸山の近代主義的な超国家主義研究に対し、橋川は、日本の“超国家主義“を日本の国家主義一般から区別する歴史的視座の構築を目指し、具体的には、安田善次郎を暗殺した朝日平吾をそのスタートとして着目する。社会的緊張の状況におかれた下層中産階級の者たちの自我意識がその限界を突破しようとして、現状のトータルな変革を目指した革命運動であったとして昭和超国家主義を捉える。
第3講「知識人と内閣調査室」〜「内調」という組織は、なかなか外からはその実態が分からない。最近でこ -
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下巻は、戦後日本文化のうち映画・音楽などヴィジュアル・音声メディアに関わる内容を扱っている。
まず、50年代の映画は黄金時代だったのだなあということを改めて実感した。松竹・東宝・新東宝・大映・日活・東映の主要6社について、各社ごとにそれぞれその特徴やターゲット層が具体的な制作作品と共に紹介されていて、社のカラーが良く理解できた。
しかし60年代に入るとテレビの普及により観客動員数、映画館が急速に減少し続けてしまう。各社とも厳しい状況を踏まえて新しい路線を開拓しようとするのだが、ある程度上手くいく場合もあれば失敗に終わる場合もありで、大きな曲がり角だった訳である。
映画以外では、テレ -
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日本の近現代史の大疑問として、「なぜ日本は勝ち目のないとわかっているアメリカとの戦争を始めたのか?」というのがあるわけだが、このシリーズは、最新の研究成果を踏まえつつ、多様な視点を提示しつつ、現時点での答えをだしている感じ。
そうしたなかで、文化人、知識人はなにをやっていたのかという話し。
たくさんの文化人(いわゆる思想家や小説家だけでなくて、音楽や絵画、漫画などの分野の人もカバーしている)が紹介され、各人の戦前、戦中、そして戦後がごく簡単に整理されているわけだが、人物ごとに著者が違うのもあって、あまり全体としてどうなのかはよくわからなかったかな?
面白くはあったが。。。
日本人って、 -
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タイトルが少し分かりづらいが、天皇退位と新天皇即位について、コロナ禍という非常事態において見えてきた日本社会の特徴など、いくつかの時事的問題を対象として、昭和史の出来事や歴史の流れと対比させつつ考えた、複数の論考をまとめたものである。
各編、比較として上げられる例や見る視点、角度が興味深いし、大正から昭和戦前期の生々しい政治の動きを具体的に知ることが出来た。
その中でも著者が最も強調したいことは、大正時代に萌芽のある“ポピュリズム”がいかに歴史を動かしてきたのか、それが理解できなければ昭和史は十分に分からないし、歴史の教訓から学んだとも言えないということだろうと思う。
日比谷焼打ち -
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<目次>
第1章 大正政変~第一次護憲運動
第2章 大隈内閣成立と大隈ブーム
第3章 第一次南京事件から対中強硬政策要求運動へ
第4章 第一次世界大戦と対華二十一カ条要求
第5章 大戦ブームと『貧乏物語』
第6章 寺内内閣と米騒動
第7章 原敬内閣から普選運動へ
第8章 パリ講和会議、ヴェルサイユ条約、国際連盟
第9章 人種差別撤廃提案
第10章 三・一独立運動と朝鮮統治
第11章 シベリア出兵からソ連との国交樹立へ
第12章 日露戦争後から日米関係と石井・ランシング協定
第13章 ワシントン会議~海軍軍縮条約と日英同盟廃棄
第14章 新人会~エリート型社会運動の開 -
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前著『大正史講義』に続く【文化篇】。大衆が登場してきた大正時代においては、文化の有り様も現代にかなりつながっていて、かなり身近に感じられるテーマが多い。
前半は、大正教養主義と吉野作造、上杉慎吉、西田幾多郎、漱石等ビッグネームが登場するが、中盤からは『赤い鳥』、童謡運動、民謡運動、大衆文学、漫画、ラジオ、映画、百貨店など多岐にわたる新たな文化状況が紹介される。
全27講。非常に広い分野にまたがっていて、なかなか全体を統一的に把握するのは難しそうだ。各講、"さらに詳しく知るための参考文献"が付されているので、それらを頼りに興味を持った項目を深掘りするのが楽しそう。
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ネタバレ<目次>
第1章 石橋湛山内閣~高度経済成長への序曲
第2章 安保改定
第3章 安保闘争と新左翼運動の形成
第4章 岸内閣の内政と外交
第5章 対東南アジア外交の展開~1950ー1960年代
第6章 池田内閣と高度経済成長
第7章 政治家・官僚関係の新展開~1950ー1960年代
第8章 日中民間貿易と国交正常化
第9章 東京オリンピック
第10章 佐藤長期政権
第11章 日韓基本条約
第12章 全共闘運動・三島事件・連合赤軍事件
第13章 沖縄返還
第14章 公害・環境問題の展開
第15章 原子力・核問題
第16章 石油危機
第17章 田中角栄の時代
第18 -
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ネタバレ<目次>
第1章 天皇・マッカーサー会談から象徴天皇まで
第2章 戦後改革
第3章 シベリア抑留
第4章 復員と引揚げ~戦争終結後の人の国際移動
第5章 東京裁判~被告東条英機のケースから
第6章 日本国憲法
第7章 新憲法と世論の変遷
第8章 吉田茂内閣~時代で変化する吉田路線とワンマン宰相
第9章 戦後共産党史~レッドパージから六全協まで
第10章 朝鮮戦争と日本
第11章 再軍備から自衛隊創設まで
第12章 サンフランシスコ講和条約・日米安保条約
第13章 李承晩ラインから漁業問題
第14章 ラストボロフ事件~日本を舞台とした米ソ情報戦
第15章 鳩山一郎内 -
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興味の持てた論考
5 対東南アジアの外交
11 日韓基本条約
13 沖縄返還
19 歴史認識問題
特に、「日韓基本条約」は、今日まで解消されていない日韓問題の寄って来る来る所以、両国の共有できない歴史認識の根本的な問題の所在を明確に整理してくれていて、大変参考になった。
(上)、(下)を通して
戦後の歩みをコンパクトにまとめていて、まずはこの一冊というときに参照できる新書らしい新書である。
ただ、戦後を通史的に押さえていこうとして各講を配列しているのは理解できるのだが、首相に着目してその内閣の課題や実績を説明した政治史的なものは、それ自体としてまとめ