筒井清忠のレビュー一覧

  • 明治史講義【人物篇】

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    明治史を人物別に追っていくもの。
    一人約15頁なので、当然、情報量としては十分ではなく、この本だけで理解しようとすると無理がある。(初心者にはお奨めできない)
    ただ、面白いのは、最近の研究に基づき情報を整理しているので、新たな発見も期待できること。そして参照した文献が挙げられていること。(興味があれば、それらの文献で深堀り可能)
    人物篇と共にテーマ篇と併せて読む方と更に頭の整理になる。

    ・幕末における井上の学問的実践は、政治の動態に即応しようとする点で柔軟であり、政治の判断にあくまで朱子学的正当性を追求する点で剛直であった。
    西洋情報に触発されて自在に議論を展開する横井に対して、井上は様々な

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    2020年03月29日
  • 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道

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    『昭和史講義』を各論に展開したもの。短編の小論であるため表面的になっているところが多いが、それでもそれぞれのテーマの入口としての機能を果たしている。また、それぞれの著者による切り口の違いも感じ取ることができる。細かい話になってしまうのはそれはそれでよく、興味深いのだが、ただ残念なのは、それぞれの話の足下にいた日本国民の息遣いがほぼまったく書かれていないことである。
     評論のための評論、歴史遊び、このような評価になってしまう面がある。そのとき人々の生活はどうなったのか、どのような影響を受けていたのか、そのときの気持ちは、このようなところからも切り込んでほしかった。

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    2019年10月27日
  • 昭和史講義【戦前文化人篇】

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    <内容>
    戦前の文化人を読み解く、あまり前例のない歴史本。一つ一つは短いが、戦争にどう向き合ったか、どちらかというと協力した系の人が多く載る。また、山田耕筰や西条八十のように、評伝的にあまり知らなかった人が面白かった。

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    2019年08月07日
  • 昭和史講義【軍人篇】

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    重要な局面で鍵を握っていたとされる14人の軍人の最新研究ということらしい。一人ひとりの行動や背景を掘り下げたところで「木を見て森を見ず」ってことに陥りやすいかも。そこは読者のリテラシーに委ねられるのだろうけど。
    どうしても各々はちゃんと考えていたし、それなりに評価できるという方向に引きずられそうで気持ちが悪い。
    それでも牟田口司令官は全面的に非難されることになる。一番の問題は、そんな牟田口を司令官にした体制であり、しかもインパール作戦の責任も問わなかった軍のシステムなんだけどな。

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    2018年10月14日
  • 昭和史講義【軍人篇】

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    ネタバレ

    <目次>
    まえがき 昭和陸軍の派閥抗争
    第1章  東条英機~昭和の悲劇の体現者
    第2章  梅津美治郎~「後始末」に尽力した陸軍大将
    第3章  阿南惟幾~「徳義即戦力」を貫いた武将
    第4章  鈴木貞一~背広を着た軍人
    第5章  武藤章~「政治的軍人」の実像
    第6章  石原莞爾~悲劇の鬼才か、鬼才による悲劇か
    第7章  牟田口廉也~信念と狂信の間
    第8章  今村均~「ラバウルの名将」から見る日本陸軍の悲劇
    第9章  山本五十六~その避難構想と挫折
    第10章  米内光政~終末点のない戦争指導
    第11章  永野修身~海軍「主流派」の選択
    第12章  高木惣吉~昭和期海軍の語り部
    第13章  石川信吾~

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    2018年08月17日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日本の大衆は、日比谷焼き討ち事件から始まった。日露戦争の講和条約ポーツマス条約に反対する国民大会。
    徳富蘇峰の国民新聞だけが、講和条約に賛成した。

    日比谷焼き討ち事件は、討幕派から226事件までの中間的な思想事件。

    排日移民法排撃運動ではアメリカ大使館の前で切腹。

    初の普通選挙では2大政党時代が訪れた。政策より大衆人気が勝利する。

    ロンドン海軍軍縮条約では国際協調主義の世論が、わずか3年後の国際連盟脱退では、松岡全権を大歓迎した。新聞の誘導が原因。

    515事件は、国民の減刑運動によって海軍による刑は軽いものとなった。

    満州国はフランスでは、不戦条約などに違反していないという論もあっ

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    2018年08月15日
  • 明治史講義【人物篇】

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    ネタバレ

    <目次>
    第1講  木戸孝允~「条理」を貫いた革命政治家
    第2講  西郷隆盛~謎に包まれた超人気者
    第3講  大久保利通~維新の元勲、明治政府の建設者
    第4講  福沢諭吉~「文明」と「自由」
    第5講  板垣退助~自らの足りなさを知る指導者
    第6講  伊藤博文~日本型立憲主義の造形者
    第7講  井上毅~明治維新を落ち着かせようとした官僚
    第8講  大隈重信~政治対立の演出者
    第9講  金玉均~近代朝鮮における「志士」たちの時代
    第10講  陸奥宗光~「蹇蹇録」で読む日清戦争と朝鮮
    第11講  李鴻章~東洋のビスマルク?
    第12講  山県有朋~出ては将軍、入ては首相
    第13講  谷干城~国民本位、

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    2018年06月13日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    ちょっと長い。
    つまみ読みになってしまった。
    日本のこれまでの民主主義は、マスコミの報道によって出来上がったもの、と紹介されていると受け止めた。
    ポピュリズムと民主的手続きとメディア。
    もう少し考えてみようと思う。

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    2018年06月16日
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道

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    日比谷焼き討ち事件から近衛内閣による日米開戦まで。
    日本史の教科書を読んでいるようだ。
    ポピュリズムが大きく反映された世相、政治経済。
    大きな事件には必ず世論が動く。
    それは今でも同じだがネットが無い時代、やたらと人が集まる時代だった。なかなか面白く読めた。
    戦後編は無いのかな?

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    2018年05月22日
  • 昭和史講義3 ──リーダーを通して見る戦争への道

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    <目次>
    第1講  加藤高明~二大政党政治の扉
    第2講  若槻礼次郎~世論を説得しようとした政治家の悲劇
    第3講  田中義一~政党内閣期の軍人宰相
    第4講  幣原喜重郎~戦前期日本の国際協調外交の象徴
    第5講  浜口雄幸~調整型指導者と立憲民政党
    第6講  犬養毅~野党指導者の奇遇
    第7講  岡田啓介~「国を思う狸」の功罪
    第8講  広田弘毅~「協和外交」の破綻から日中戦争まで
    第9講  宇垣一成~「大正デモクラシー」が生んだ軍人
    第10講  近衛文麿~アメリカという「幻」に賭けた政治家
    第11講  米内光政~天皇の絶対的な信頼を得た海軍軍人
    第12講  松岡洋右~ポピュリストの誤算
    第13講

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    2018年01月27日
  • 昭和史講義3 ──リーダーを通して見る戦争への道

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    学者が人物史を書くとつまらない。歴史小説がいかに良くできているかがよく分かる。とは言え、史実に則るとこうとしか書けないんだろうなぁ。敗戦までの首相経験者を中心に人物から「なぜ戦争に突入していったのか」を探っているけど、読めば読むほど情けなくなる。近衛首相と松岡大臣なんて最低としか言いようがないけど、当時の国民からは絶大な人気があったという。情報が開示されない恐ろしさってこういうことなんだな。

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    2017年12月06日
  • 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道

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    ちょっと重箱の隅をつついている感があるけど、開戦から終戦までの政府と軍部の動きが分かる。資料が揃わないから難しいのだろうけど、民衆は開戦に向けての動きを、どうとらえていたのだろう。
    それにしても敗戦を認識しながら降伏できなかった日本政府は、無策無能であったとしか言いようがなく、そんな政府を選択したのには、どんな理由があったのだろう。

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    2021年01月31日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    昭和史を考えるポイントは2つ。
    なぜ戦争を選択したのかと、どうしてもっと早く終戦に持ち込めなかったのかだ。目からウロコほどの新事実が語られているわけじゃないけど、ロンドン軍縮条約に対する評価は興味深い。もっと勉強できるぞ。

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    2017年11月13日
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道

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    保育士だった祖母?が子供の育て方の本を読んでいて「プロだったのになんで今も勉強してんの?」て聞いたら「プロだったから考え方が変わるの知ってるし、プロだから常に勉強してる」って答えた。(超訳)

    みたいなのTwitterで昔流れていましたが、まさしくどの分野でもこれは言えるのだなぁと、昭和史においてそんな1冊です。

    現状、研究の細分化とか知りませんでした。

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    2015年12月04日
  • 満州事変はなぜ起きたのか

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    ネタバレ

    日本はワシントン条約に忠実に行動したが、中国の不平等条約への反発は、英米との融和によって、日本の孤立化を導いた。中国の急進的な不平等条約解消運動は日本を追い詰める形となった。中国の強硬論に業を煮やしたイギリスの提案を日本がそれに応じるより早く、日本の内部の急進主義者が軍事行動を起こしてしまったのである。その間の様々な事件や出来事を簡潔に示していた。

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    2015年09月22日