筒井清忠のレビュー一覧
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明治史を人物別に追っていくもの。
一人約15頁なので、当然、情報量としては十分ではなく、この本だけで理解しようとすると無理がある。(初心者にはお奨めできない)
ただ、面白いのは、最近の研究に基づき情報を整理しているので、新たな発見も期待できること。そして参照した文献が挙げられていること。(興味があれば、それらの文献で深堀り可能)
人物篇と共にテーマ篇と併せて読む方と更に頭の整理になる。
・幕末における井上の学問的実践は、政治の動態に即応しようとする点で柔軟であり、政治の判断にあくまで朱子学的正当性を追求する点で剛直であった。
西洋情報に触発されて自在に議論を展開する横井に対して、井上は様々な角度から疑問を差し挟んだが、疑問群の根底に流れていたのは西洋諸国の政治方法・法制度を日本に取り込むことによって生じ得る混乱への強い危惧であった。(井上毅)
・この点で佐賀という立地は幸運であった。佐賀藩は福岡藩と交替で長崎の警備にあたっており、海外の情報は入りやすかったのである。
・明治2年8月、官制改革によって大蔵省が発足すると、現在の次官にあたる大蔵大輔となった。
・・・その政治的な庇護者は、長州の実力者、木戸孝允であった。長州若手の伊藤博文、井上馨らは大隈の部下でもあり、友人でもあった。(大隈重信)
・台湾出兵で西郷従道が暴走したことをきっかけに大久保に用いられるようになり、木戸の参議辞任を受けた補充でついに参議となった。(山縣有朋)
・洋行体験を通じて、民権派を再評価し、それまで培ってきた儒教的素養や政治経験に引きつけて、西洋の慣習や立憲政治を深くかつ具体的に理解したのであった。
スイスを「開化世界の桃源」と述べ、日本とは異なる共和政治をとる国であっても、「自主自由の実」ある国として高い評価を与える。一方、ドイツ連邦のバイエルン王国に対して、専制的政府による圧政が王政への反逆をもたらす要因となることを確信した。(谷干城)
・しばしば誤解されるが、三菱は当初から政府の保護を受けていたわけではない。三菱の創業当時、政府から種々の優遇措置を受けていたのは、1872年に三井組など江戸時代以来の豪商によって設立された帝国郵便蒸気船会社であり、弥太郎は政府からの保護の枠外で、独力で三菱を成長させたのである。(岩崎弥太郎) -
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『昭和史講義』を各論に展開したもの。短編の小論であるため表面的になっているところが多いが、それでもそれぞれのテーマの入口としての機能を果たしている。また、それぞれの著者による切り口の違いも感じ取ることができる。細かい話になってしまうのはそれはそれでよく、興味深いのだが、ただ残念なのは、それぞれの話の足下にいた日本国民の息遣いがほぼまったく書かれていないことである。
評論のための評論、歴史遊び、このような評価になってしまう面がある。そのとき人々の生活はどうなったのか、どのような影響を受けていたのか、そのときの気持ちは、このようなところからも切り込んでほしかった。 -
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ネタバレ<目次>
まえがき 昭和陸軍の派閥抗争
第1章 東条英機~昭和の悲劇の体現者
第2章 梅津美治郎~「後始末」に尽力した陸軍大将
第3章 阿南惟幾~「徳義即戦力」を貫いた武将
第4章 鈴木貞一~背広を着た軍人
第5章 武藤章~「政治的軍人」の実像
第6章 石原莞爾~悲劇の鬼才か、鬼才による悲劇か
第7章 牟田口廉也~信念と狂信の間
第8章 今村均~「ラバウルの名将」から見る日本陸軍の悲劇
第9章 山本五十六~その避難構想と挫折
第10章 米内光政~終末点のない戦争指導
第11章 永野修身~海軍「主流派」の選択
第12章 高木惣吉~昭和期海軍の語り部
第13章 石川信吾~「日本海軍の最強硬論者」の実像
第14章 堀悌吉~海軍軍縮派の悲劇
<内容>
私的には詳しくない、戦前期の軍部の方々の評伝。まえがきにあるように、軍部研究はいろいろとタブー視されていたようで、現段階でも研究は少ないらしい。なので、突飛な絶賛か下劣な批判に終始しているが、いずれもきちんとした史料批判のないままに、また聞きや噂の類が根拠になっている。この本は簡単ではあるが、きちんとした史料を基に論評している。
読んだ感想だが、軍人は何をしていたのかな?という素直な気持ち。常識化している陸軍内部の「皇道派」「統制派」の対立はもちろん、自分の立場や思惑を根拠とする戦争肯定の考え方(背景に、大戦間の「軍縮」による軍人不要論があるにせよ)があって、巨視的な視点や対立していた国の様子などの分析がされていないことがよくわかった。やはり国際的な政治というのは、「理念」とか「信念」から始めちゃいけないのかな? -
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日本の大衆は、日比谷焼き討ち事件から始まった。日露戦争の講和条約ポーツマス条約に反対する国民大会。
徳富蘇峰の国民新聞だけが、講和条約に賛成した。
日比谷焼き討ち事件は、討幕派から226事件までの中間的な思想事件。
排日移民法排撃運動ではアメリカ大使館の前で切腹。
初の普通選挙では2大政党時代が訪れた。政策より大衆人気が勝利する。
ロンドン海軍軍縮条約では国際協調主義の世論が、わずか3年後の国際連盟脱退では、松岡全権を大歓迎した。新聞の誘導が原因。
515事件は、国民の減刑運動によって海軍による刑は軽いものとなった。
満州国はフランスでは、不戦条約などに違反していないという論もあった。アメリカの一部にもあった。
リットン報告は、日本にも配慮した者であった。
国際連盟には制裁がないのだから、無視してそのままいつづければよかった=頬かぶり論。
ポーツマス条約では、国民の意向に逆らっても断固たる決断があったが、国際連盟脱退では、日本国中が大衆世論に埋め尽くされていた。
1937年近衛内閣が成立。空前の人気。進歩的な青年公家。
第二次近衛内閣のときに、ドイツの一時的な成功に幻惑され、枢軸の道へ走った。
バスに乗り遅れるな=政党は解党し、大政翼賛会へ合流。 -
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ネタバレ<目次>
第1講 木戸孝允~「条理」を貫いた革命政治家
第2講 西郷隆盛~謎に包まれた超人気者
第3講 大久保利通~維新の元勲、明治政府の建設者
第4講 福沢諭吉~「文明」と「自由」
第5講 板垣退助~自らの足りなさを知る指導者
第6講 伊藤博文~日本型立憲主義の造形者
第7講 井上毅~明治維新を落ち着かせようとした官僚
第8講 大隈重信~政治対立の演出者
第9講 金玉均~近代朝鮮における「志士」たちの時代
第10講 陸奥宗光~「蹇蹇録」で読む日清戦争と朝鮮
第11講 李鴻章~東洋のビスマルク?
第12講 山県有朋~出ては将軍、入ては首相
第13講 谷干城~国民本位、立憲政治の確立を目指して
第14講 榎本武揚~日本と世界を結びつけた政治家
第15講 小村寿太郎~明治外交の成熟とは何か
第16講 桂太郎~「立憲統一党」とは何か
第17講 明治天皇~立憲君主としての自覚
第18講 岩崎弥太郎~三菱と日本海運業の自立
第19講 松浦武四郎~時代を見つめ、集めて、伝えた、希代の旅人
第20講 福田英子~女が自伝を紡ぐとき
第21講 嘉納治五郎~柔道と日本の近代化
第22講 乃木希典~旅順戦・殉死・「昭和軍閥」
<内容>
ちくま新書の新書で読む日本史シリーズの近代人物篇。意外と誤解していた人物がいたり、やはり評伝は押さえておく必要があるかな?これは短いものだけど、章末に必ず添えてある必読書の中に、中公新書のものが多い。そのあたりから手を付けるといいかな? -
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<目次>
第1講 加藤高明~二大政党政治の扉
第2講 若槻礼次郎~世論を説得しようとした政治家の悲劇
第3講 田中義一~政党内閣期の軍人宰相
第4講 幣原喜重郎~戦前期日本の国際協調外交の象徴
第5講 浜口雄幸~調整型指導者と立憲民政党
第6講 犬養毅~野党指導者の奇遇
第7講 岡田啓介~「国を思う狸」の功罪
第8講 広田弘毅~「協和外交」の破綻から日中戦争まで
第9講 宇垣一成~「大正デモクラシー」が生んだ軍人
第10講 近衛文麿~アメリカという「幻」に賭けた政治家
第11講 米内光政~天皇の絶対的な信頼を得た海軍軍人
第12講 松岡洋右~ポピュリストの誤算
第13講 東条英機~ヴィジョンなき戦争指導者
第14講 鈴木貫太郎~選択としての「聖断」
第15講 重光葵~対中外交の可能性とその限界
<内容>
筒井氏監修の昭和史講義シリーズの第3弾(第2弾は読んでいません