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子育てが困難な現代社会。何のために子育てをしているのか、自分がやっていることは子どものためになっているのかと悩む親も多いでしょう。本書は哲学や心理学、とりわけ現象学と呼ばれる学問的観点から、育児の本質を問い直します。子どもにとって本当に大事なのは「自由」と「主体性」。子どもが自分で生きていくための力を引き出すにはどうすればいいのか、その方法から、子育ての実存的意味までを、できる限りわかりやすく考察する、これまでにない子育て入門書です。
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Posted by ブクログ
「子育ての哲学」山竹伸二 教育論。ベビーピンク。 一言で言うとよい子育てとは、「子供が自由に生きられるようにする」ということ。 この要旨を導くためにわれわれ自身が子育てに対して感じている不安、願望、現実を考察しながら、かつわれわれ自身が通って来た道である子供の心を洞察し、社会における子育てへの期待...続きを読むを検討して論を進める。 子育てというと多分に感情を挟んでしまうことが多く(理性で検討することそのものを感情で一律に排除してしまうきらいすらある)、「子供のため」という盲目的な没論理で自分も子供も追い詰めてしまうイメージがある。 本書ではそのような感情の存在自体を認めつつ、冷静に、現象として見たときの子育てから、現代の親はどう子供に向き合えばいいのかを明らかにする。 良書。(5)
タイトルほど衒学的な内容ではなく、哲学的な考察の仕方を採用しているだけで案外に実践的な子育て本。 幸せな子育てとは何かという問いに対し、 育児の目的は「子供の自由な生の実現」であると置く。 そのためには、子供には自分の感情に気付く力(「感情の主体」)、自分の欲望に気付く力(「欲望の主体」)、そのう...続きを読むえで、理性的に行動を選び取る力(「理性の主体」)を育む必要があると整理する。 この感情の自覚、欲望の自覚、理性の獲得は、通常子供の発達段階に沿っているため、親は各段階で適切にこれを伸ばすよう手助けしていくことが望ましいと説く。 そのためには何より、子供の心に寄り添い、子供の行動の奥に潜む心理を感じ取り、自分の言動を選んでいくことが大事であるようだ。 具体的なエピソードや、子供の行動の「なぜ?」も豊富に書いてあり、色々と気づきやためになることが多く書いてある。 きわめて真っ当な主張でもあるし、一読して損はないかも。
子どもが「よく」育つためには、感情の主体、欲望の主体、理性の主体であることが望ましい、というところは新鮮というか、説得力があった。 そのために、子どもに共感すること、行為をほめてあげること、価値の普遍性を考えさせること。 親が子どもにしてあげるべきことについて、筆者の言っていることは簡単そうで、とて...続きを読むもむずかしいことであるはず。 子どもが育っていくこと、それは尊いことやねんなぁと思った。
P.32に「考察にあたっては、ドイツの哲学者エトムント・フッサールの〈現象学〉という考え方を使います。」とあるから楽しみにして読んだ。しかし、自分の現象学の理解が甘いからなのか、別に現象学を持ち出さなくても良いような気がする。子育てのそれぞれの場面について深い考察をしていき、最終的によい子育ての条件...続きを読むを提示する本書であるが、随所に哲学的ワードは出てくるもののことさらにそれを気にする必要もなく、別の言葉に置き換えてもよいような気がする。少し言葉が難しいだけで、言っていることはそんなに難しくはない。 哲学、というワードに期待しすぎたのかも知れない。
すぐそこに答えが書いてある育児本とは一線を画する本です。 子育てについてしっかり考え自分なりの子育てをしたいものです。
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子育ての哲学 ――主体的に生きる力を育む
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山竹伸二
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