新潮社作品一覧

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  • 焔(新潮文庫)
    3.5
    焔を囲んだ人達が、それぞれの身に起こったことを語り出す――。近隣諸国と武力衝突の危険性が高まるなか、人々が“あること”を始める「ピンク」。突然泣き出してしまう“謎の病”が大流行する「眼魚」。南米やアフリカなど各地から集まった力士が頂点をめざす「世界大角力共和国杯」。祈りや驚嘆、希望など様々な思いを込めて語られた九つの物語は、最後に大きく燃え上がる。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 「脱・自前」の日本成長戦略(新潮新書)
    3.5
    「失われた30年」と呼ばれて久しい日本の低成長。その根本原因は一体どこにあるのか? 変革を恐れ、外部との連携を妨げるタコツボ社会、その根底に宿る「自前主義」こそが問題だ。これからの日本に必要なのは「脱・自前」。デジタルを活かし、他と連携しながら、自らの強みを再発見し、それを磨き上げることで社会全体としての最適を目指す。豊富な具体例をもとに、日本を成長へと導く戦略と方法論を提言する。
  • 森をひらいて
    3.5
    1巻1,540円 (税込)
    手を繋ごう。この戦争を逃れて、私たちは生きる。生き延びる――。外界と隔絶された学園で寮生活を送る少女たちの間で流行する、「森を作る」という遊び。誰もが森を持つ中、揺は一人だけ森を作ることができない。思い悩む揺だったが、激化する戦争の影が学園にも忍び寄る。自らの生きる道を求めて、揺はある賭けに出る……。
  • 日本人の承認欲求―テレワークがさらした深層―(新潮新書)
    3.5
    ムダな出社を命じられる、在宅勤務なのに疲れる、新人が職場に馴染まない。コロナの感染拡大が落ち着くと、多くの企業は瞬く間に出社へと切り替えた。日本でリモート改革が進まない原因は、閉ざされた組織に巣くう特異な「承認欲求」にある。 誰もが持つ認められたい気持ちをコントロールし、満たされるにはどうすればいいのか――組織研究の第一人者が、日本的「見せびらかし」文化の挫折と希望を解き明かす。
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)
    3.5
    性愛と淫蕩のイメージで語られてきたイスラム世界の後宮・ハレム。奴隷として連れてこられた女官たちは、いかにして愛妾、夫人、母后へと昇りつめたのか。ハレムを支配する黒人宦官と、内廷を管理する白人宦官は、どのように権力を手にしたのか。600年にわたりオスマン帝国を支えたハイスペックな官僚組織の実態を描く。
  • 女子高生に殺されたい 新装版
    3.5
    主演・田中圭で映画化! それを記念した改訂新装版。女子高生に殺されたいがために高校教師になった男・東山春人。彼の標的は1年3組の美少女・佐々木真帆(16歳)。彼女による“理想的な殺され方”実現のため、密かに計画を練るのだった……! 古屋兎丸作品史上最も「リアルな心理描写」×「緻密に練られたプロット」で紡ぐ異常なる犯罪計画! 今回の新装版は巻末に書き下ろし漫画8ページも収録されています。※当電子書籍の本編は『女子高生に殺されたい 1巻』『女子高生に殺されたい 2巻(完)』全2巻分と同一の内容です。
  • 親鸞と道元(新潮新書)
    3.5
    今なお計三万七千の寺院数を誇る浄土真宗と曹洞宗。それぞれの宗祖である親鸞と道元は、ともに鎌倉仏教の旗手として斬新かつ独創的な思想を展開、日本仏教の行く末を大きく変えた。しかし両者を比較すると、「念仏(南無阿弥陀仏)と坐禅(只管打坐)」「救い(絶対他力)と悟り(修証一等)」など、極めて対照的。同じ仏教を掲げながら、なぜここまで違うのか――。多様で寛容な日本仏教の魅力に迫り、宗教の本質を問う。
  • 青銅の魔人―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    3.5
    月夜の晩、銀座の街に現れたのは、青銅の仮面をかぶり歯車の音をさせた不気味な男。貴重な時計を次々盗み出す彼が次に目を付けたのは、手塚邸の「皇帝の夜光の時計」だった。手塚氏は名探偵・明智小五郎に助けを求めるが、神出鬼没の怪盗は宝物を鮮やかに奪い去る。助手の小林少年は、浮浪少年を集めてチンピラ別働隊を組織、怪盗を追い詰めるも、逆に囚われて絶体絶命の危機に――。(解説・青柳碧人)
  • 歩道橋シネマ(新潮文庫)
    3.5
    1巻781円 (税込)
    それは他愛のない噂だった。その日、その時間にその場所に行けば、かつて大事にしていた記憶に出会えると――。郷愁と不思議に彩られた表題作。学園のおぞましい秘密「球根」。偶然出会った光景が物語を生成する「皇居前広場の回転」。ある青年の死をめぐる驚愕の真実が明かされる「降っても晴れても」。憧憬、恐怖、諧謔、戦慄、衝撃、恍惚……あらゆる感情が押し寄せる小説の奇跡、全18話。
  • 家康の女軍師(新潮文庫)
    3.5
    家康の側室於奈津は、鎧姿で関ヶ原の戦場に立った。将軍の女影武者・軍師として戦況を見極めつつ、「お屋形様の本気を」と鼓舞。小早川秀秋へ問い鉄砲を仕掛けさせる――。この女傑、元は商家の女番頭。持ち前の機転で家康の心を摑み、物事に動じぬ良き相談相手となった。大坂冬夏の陣にも参陣し、真田信繁とも対峙。今は徳川家の菩提寺に眠る波瀾の生涯を描く。『将軍家康の女影武者』改題。(解説・末國善己)
  • 僕は失くした恋しか歌えない
    3.5
    1巻1,925円 (税込)
    これは、「僕」でなければ見つけられなかった景色、紡げなかった言葉。同級生男子への片思い、出会い系サイトでの冒険、そして人生初の大失恋に家族へのカミングアウト……。胸に湧き起る想いを短歌にしながら、御曹司として生まれた少年が数々の出会いと別れを経て歌人になるまでを描く、瑞々しく切ない自伝的青春小説。
  • 中国「国恥地図」の謎を解く(新潮新書)
    3.5
    かつて中国が列強に奪われた領土、すなわち「中国の恥」を描いた地図があるという。その名も「国恥地図」。その実物を手にした筆者は啞然とした。国境線は近隣十八か国を呑み込み、日本をはじめ三か国を切り取り、南シナ海をほぼ囲い込んでいたのだ。こんな地図がなぜ教科書に? 誰がなぜ作らせた? なぜ図面に「日本語」が?――執念の調査と取材で数々の謎を解き、中国の領土的野望の起源を明らかにする。
  • アホか。(新潮新書)
    3.5
    日々のニュースを眺めていると、出るわ出るわ、アホのオンパレード。腹立たしいほど考えなしの国会議員、欲望がこじれて独自の進化を遂げた変態、動機と行動がズレすぎた理解できない犯人……。「アホちゃうか」と呆れ返るような事件から、「アホか!」と怒鳴りつけたくなるような事件、「アホ丸出しやで」と笑ってしまうような事件まで。面白さに命を懸ける人気作家が思わず唸って書き留めた、92のアホ事件簿。
  • 爪痕―それでも結婚、続けますか?― 分冊版第1巻
    完結
    3.5
    不倫サレる妻たち。知らなければ幸せでいられた――? 佐藤なつきと瀬川さやかは高校の同級生で今は2人とも既婚者。夫・コウヘイに異性の影を感じたなつきは、さやかに相談するが――。恋、家庭、仕事、奪われる痛みの先にあるものは? 分冊版第1巻!
  • 炎舞館の殺人(新潮文庫nex)
    3.5
    欠落を抱える者たちが陶芸で身を立てる山奥の函型の館。師匠が行方不明となり、弟子たちの間で後継者をめぐる確執が生じる。諍いが決定的になったとき、窯のなかでばらばら死体が発見された。奇怪なことに、なぜか胴体だけが持ち去られていた。炎の完全犯罪は何を必要とし、何を消したのか。過去の猟奇事件と残酷な宿命が絡み、美しく哀しい罪と罰が残される。本格ミステリーの傑作。
  • 不要不急―苦境と向き合う仏教の智慧―(新潮新書)
    3.5
    コロナ禍で突如我々の行動や存在を縛ることになった「不要不急」の四文字。「何が“要”で“急”なのか」、今も多くの人が頭を悩ませている。この難題に、十人の仏教者が挑む。「不要不急」を切り捨てて何のための人生か? 大切なものを他人に決めさせてもいいのか? 「生死事大」「無常迅速」「自利利他」など、仏教の智慧を駆使して、苦境と向き合うヒントを提示する。混迷の時代を生き抜くために必読の十人十色の不要不急論。
  • ハレルヤ!(新潮文庫)
    3.5
    1巻737円 (税込)
    アカネたち五人は、学生時代のバンド仲間。社会人になって解散した後は、それぞれ子育てや仕事、恋愛に奮闘をつづけ、気がつくと、もう四十六歳になった。音楽さえあればゴキゲンだった青春時代とは違う「人生の後半戦」に鬱々としていたある日、あのキヨシローが遠くへ旅立った。伝説の男の啓示に導かれ、五人は再会を果たすのだが――。「ベイビー、生きるんだ」。勇気わきあがる感動長編。
  • クラスにいじめはありません 1巻
    3.5
    1~2巻770~792円 (税込)
    中学教師・西島匠が担任する3-Bの生徒・太田真里奈が自殺した。それは西島にとって「面倒くさい」事だった。真実を究明したいと思う者、覆い隠そうとする者、子供と大人、家庭と学校、それぞれの思惑が入り混じり、事態は思わぬ方向に!?  泥沼の揉み消しサスペンス!!
  • 蒼猫のいる家(新潮文庫)
    3.5
    家庭で居場所を失ったキャリアウーマンが年下の男と出会って……。意外な成り行きに大人の孤独がにじむ表題作の他、未体験の快感と美容効果を保証する、謎の無脊椎動物が巻き起こす騒動を描く「ヒーラー」、借金まみれのカメラマンが山奥で雌犬の“ヒモ”となる「クラウディア」など。濃厚な物語世界に、動物たちの凜々しさや人間の愚かさを凝縮した絶品の五篇。『となりのセレブたち』改題。(解説・田中兆子)
  • ブルーインク・ストーリー―父・安西水丸のこと―
    3.5
    カレー、日本酒、フォークアート。海辺、灯台、スノードーム。マティス、こけし、濱田庄司。幼少期を過ごした南房総・千倉の浜辺、若き日のニューヨークの街角、鎌倉山にある書斎。父・安西水丸の好きなもの、お気に入りの品々を眺めながら、大切な記憶を辿る清新な筆致のエッセイに、青インクの万年筆による父の絵を添えて。
  • からくり写楽―蔦屋重三郎、最後の賭け―(新潮文庫)
    3.5
    1巻880円 (税込)
    謎の絵師を、さらなる謎で包んでしまえ――。前代未聞の密談から、「写楽」売出しの大仕掛けは始まった……。一ツ、正体は決して知られてはならない。二ツ、噂を流し影武者を作れ。三ツ、御公儀に一泡吹かせるべし。江戸っ子の意地を賭け、蔦屋重三郎が動く。かくして「写楽」はデビューした。だが感づいた者がいた。危機一髪の尾行、想定外の事態、「写楽」はどうなる……。痛快時代小説。(解説・細谷正充)
  • 象牛
    3.5
    1巻1,925円 (税込)
    自分を弄んだ男性教師を追ってたどり着いたインド・ガンジス河岸の聖地。傷心の女子大生は、ここでも「象牛」なる謎の存在に翻弄される。果たして彼女はこの懊悩から解脱できるのか――表題作の他、大阪「比ラカ駄(ひらかた)」を流れる淀川河岸を舞台に、恋に似た短く激しい熱情を描く「星曝し」を収める、芥川賞受賞後初の作品集。※「ラ」は手偏に「羅」、「カ」は「加」の下に「可」
  • 残業のあと、朝焼けに佇む彼女と(新潮文庫nex)
    3.5
    友利晴朝、22歳。大学を卒業し、就職活動をして、たくさんの企業に落ちた結果、「僕」が飛び込んだのはソーシャルゲーム業界。そこは8000万人がスマホを使う現代日本にあって、急成長を遂げる新興市場だった。ゲーム作り、つまり遊びの仕事? とんでもない。「楽しい」を生み出すため、僕は「彼女」と全力を尽くす。働くとは。モノ作りとは。熱き想いが心を揺さぶる青春お仕事小説。
  • ふたりぐらし(新潮文庫)
    3.5
    元映写技師の夫・信好は、看護師の妻・紗弓と二人暮らし。映画脚本家の夢を追い続けて定職はなく、ほぼ妻の稼ぎで食べている。当の妻は、余裕のない生活で子供を望むこと、義母との距離、実母との確執など、家族の形に悩む日々だ。幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、夫婦とは、結婚とは、一体何だろう。夫婦が夫婦になっていく“家族のはじまり”を、夫と妻交互の視点で描く連作短編集。(解説・友近)
  • 編集長の条件―醍醐真司の博覧推理ファイル―(新潮文庫)
    3.5
    転落死を遂げたマンガ雑誌編集長、南部正春。悪名は高かったがマンガを深く愛していた。フリーの凄腕編集者・醍醐真司は彼の死に疑問を抱きつつ、後継編集長に就任する。一方、“出版専門の探偵”水野優希も南部の調査を依頼される。やがて昭和史最大の謎「下山事件」が見え隠れし始めて。『20世紀少年』などのヒット作を手がけた元編集者が創作の原点と現場のリアルを描く、傑作エンターテインメント。(解説・澤田康彦)
  • 変見自在 コロナが教えてくれた大悪党
    3.5
    1巻1,595円 (税込)
    世界中をパニックに陥れる菌をばら撒いておきながら、WHOを誑し込み事実を隠蔽した中国。それに呼応して真実を報道せず、国内感染者第一号を日本人に仕立てる朝日新聞。さらに中国経由で私腹を肥やす米国の新大統領――コロナ禍が炙り出した、世界中の悪いヤツらの素性を暴き、正しい歴史とモノの見方・考え方を教えます。
  • あなたはなぜ誤解されるのか―「私」を演出する技術―(新潮新書)
    3.5
    「あの人、一言多いんだよな」「あの癖、イライラする」等々、他人の「残念な面」に私たちは敏感だ。あの振る舞いを直せばもっと良くなるだろうに――しかしここで我が身を振り返ってふと気づく。あれ? 私もそんな風に見られ、誤解されているんじゃないか……自分の「残念な面」をどう変えていくか。不可欠なのは「私」を演出する技術なのだ。『人は見た目が9割』の著者が自己プロデュースの極意を伝授する。
  • 冬の朝、そっと担任を突き落とす(新潮文庫nex)
    3.5
    校舎の窓から飛び降りた担任教師。遺書は無かったが、自殺の原因はこのクラスの全員が知っている。それぞれの思惑が渦巻き、秘密と後悔を胸の内に抱えながらも奇妙な平穏が続く理系特進クラス。ひとりの転校生の出現によって、教室の贖罪がいま始まる――。すれ違いの連続が生む悪意なき残酷さ、章を追うごとに明らかになる真実。痛みを越えて成長する高校生たちの罪と贖罪の物語。
  • ベートーヴェンと日本人(新潮新書)
    3.5
    幕末から明治にかけての日本人には「耳障り」だったクラシック音楽は、「軍事制度」の一環として社会に浸透し、ドイツ教養主義の風潮とともに「文化」として根付いていった。そして日本は、ベートーヴェンが「楽聖」となり、世界のどこよりも「第九」が演奏される国となっていく――。明治・大正のクラシック音楽受容の進展を描きながら、西欧文明と出会った日本の「文化的変容」を描き出す。
  • お義母さん、ちょっと黙ってください―くそばばあと私の泥仕合な日々―
    3.5
    1巻1,320円 (税込)
    大阪在住、トンデモ「くそばばあ」を義母に持つ嫁・ばたこさんの驚愕と悲哀を、テンポのいい関西弁でユーモアたっぷりに綴った一冊。デリカシーは大和川に捨てたと豪語する義母は、嫁の家に合鍵で押し入って冷蔵庫を漁り、市役所ではマイナンバーを7の連番にしてくれと要求する。義実家との終わりなき泥仕合は今日も続く!!
  • 玉電松原物語
    3.5
    幼少期を過ごしたかつての世田谷では、チンチン電車が走り、牧場には牛が群れ、神社は奉納相撲で盛り上がる。そして駅前の商店街には、様々な人びとがいた。自らを育んだ街と文化を卓越した記憶力で再構築し、令和が喪ったものを鮮やかに甦らせる。昭和カルチャーの申し子たる著者の、集大成とも言うべきラストメッセージ。
  • キャプテンサンダーボルト 新装版(新潮文庫nex)
    3.5
    発端は山形のホテルだった。借金返済のため一攫千金を狙う相葉時之は、手違いからテロリストに命を狙われる羽目に。絶体絶命の中、かつての級友・井ノ原悠と再会したことで、物語が動き出す――。蔵王・御釜が発生源とされる感染症「村上病」。同地に墜落したB29。そして、公開中止になった特撮映画。深まる謎と追走劇の果て、明かされる真相とは?書き下ろし短編を収録した新装版。
  • 王都の落伍者―ソナンと空人1―(新潮文庫)
    3.5
    1巻649円 (税込)
    名将軍のひとり息子として生を享けながら、退廃した生活に甘んじる青年・ソナン。自らの悪事が発端で死に瀕するが、朱く長い髪をもつ神・空鬼(そらんき)のたった一度の気まぐれで、名も知らぬ異国へと落とされる。しかし、その地・弓貴(ゆんたか)では古来からの統治者が反逆者に追いつめられ、全員で討ち死にしようとしていた――。終わったはずの人生から物語が動き出す。執筆4年、1800枚の傑作ファンタジー。
  • 絶対に挫折しない日本史(新潮新書)
    3.5
    大河ドラマや歴史小説は好きだけど、古代から現代までの日本の通史となるとちょっと自信がない……そんな人は少なくない。覚える用語が多すぎるうえ、ヤマもオチもない歴史教科書に挫折してしまうのだ。だが、思い切って固有名詞を減らしてしまい、流れを超俯瞰で捉えれば、日本史は、ここまでわかりやすくて面白くなる! 歴史学者ではない著者だからこそ書けた、全く新しい日本史入門。
  • 予測学―未来はどこまで読めるのか―(新潮選書)
    3.5
    ウイルスの感染率、天気予報、地震・噴火、エスカレーター乗降時の無意識な動き、文字変換、カーナビや自動運転、株式市場、開票結果、世論調査、平均寿命、ガン患者の余命――社会は「予測」に満ち満ちている。スーパーコンピュータなど科学技術の進歩により、この傾向はどこまで進むのか。自然現象、社会現象など、あまたの「予測」を数理学者が読み解く。
  • ちあきなおみ 沈黙の理由
    3.5
    最愛の夫であり、プロデューサーでもあった郷鍈治の死を機に、ちあきなおみは芸能界から姿を消した。しかし、彼女の歌声を懐かしみ、永遠の歌姫の復活を願う声は絶えない。なぜ彼女は歌を封印してしまったのか。28年間にも及ぶ沈黙の理由と彼女の意外な素顔を、郷の死去を挟み8年間、側で支えた元マネージャーが初めて明かす。
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)
    3.5
    少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由をいまも奪う幻の手首の紐、母の乳房から情欲を吸いだす貪欲な嬰児と、はるか千年を越えて女を口説く男たち。やがて洪水は現実から非現実へとあふれだし、「それ」を宿す人々を呑み込んでいく……。水/土/空気/火の四つの元素、そして世界の名をもつ魅惑的な物語がときはなつ生命の迸りと、愛し、産み、老いていく女たちの愛おしい人生。
  • 人とつき合う法(新潮文庫)
    3.5
    誰しも苦手な人がいる。酒癖の悪い人もいる。一方で、ウマの合う人がいる。社会で生きるということは、様々な人たちと、時には自分を殺して、時には少し遠ざけて、上手にやっていくことかも知れない。博覧強記の教養人河盛好蔵が古今東西の偉人先賢先哲の名言やエピソードとともに人づき合いの極意を開陳した本書は人生のバイブルとして昭和の大ベストセラーとなった。待望の注釈付新装復刊。(解説・岸見一郎)
  • 消えた警官(新潮文庫)
    3.5
    小幡弘海巡査部長は、二年前に忽然と姿を消した。生活安全課に異動した矢先のことだ。綾瀬署に所属する、柴崎令司警務課長代理、上河内博人警部、高野朋美巡査の三人は、小幡についての捜査を始める。ひき逃げ。老女の不審死。女子高生絞殺。足と頭脳で難事件を解決しながら、三人は底知れぬ謎へと迫ってゆく。警視庁が放棄した失踪事件に果てはあるのか。あなたの胸を貫く本格警察小説。
  • 偽善者たちへ(新潮新書)
    3.5
    彼らはどこまで本気なのだろうか。都合のいい正義を振りかざし自省しないマスコミ、犯罪者をやたら擁護したがる人権派、隣国の横暴には見て見ぬふりをする輩たち、無責任な発言ばかり繰り返す野党議員……。この国に蔓延する数多の「偽善」をぶった斬り! ベストセラー作家が日々のニュースに潜む「薄っぺらい正義」を笑い飛ばす、言論の銃弾109連射!
  • ハンニバル・ライジング(上)(新潮文庫)
    3.5
    1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!
  • ほぼほぼほろびまして 1巻
    完結
    3.5
    全2巻792~836円 (税込)
    人類は敗北した。人間を襲う異形の化物へと変異した人々は街をさまよい、文明は崩壊寸前、逆転は望み薄。人類は、ほぼほぼ滅んだ。そんな世界で生きる、1組の親子がいた――。奇才、吉沢緑時が描く、新たなディストピアの世界へようこそ!
  • パワースポットはここですね
    3.5
    多くの人が心のよりどころとする理由って何? 井戸、山、岩、温泉、神社等の「そこ」にはいったい何がある? 疑い深いノンフィクション作家が、各地の「そこ」を訪ね感じたこと――誰かが「ここはパワースポットです」と言えば、そこはパワースポットになる! 日本人のココロの深層にせまる摩訶不思議なルポ。
  • ショパンゾンビ・コンテスタント
    3.5
    1巻1,595円 (税込)
    音大を中退した小説家志望の「ぼく」、同級生は魔法のような音を奏でるピアニストの卵。その彼女の潮里に、ぼくは片想いしている。才能をもつ者ともたない者。それぞれが生身のからだをもって何百年という時間をこえ体現する、古典を現代に生き継ぐことの苦悩と歓び。才能と絶望と恋と友情と芸術をめぐる新・青春音楽小説!
  • 娘を奪われたあの日から―名古屋闇サイト殺人事件・遺族の12年―
    3.5
    2007年夏、「闇サイト」に金目的で集まった3人の男達に惨殺された、大切な一人娘――。残された母は、交際を始めたばかりの恋人や、大切な友人を残して逝った娘の無念を晴らすため、2019年7月の死刑確定まで戦い続けた。初めて明かされる獄中から届いた犯人の驚愕の手紙とは? 12年間の深い悲しみと、戦いの記録。
  • 彼女は弊社の泥酔ヒロイン―三友商事怪魔企画室―(新潮文庫nex)
    3.5
    三友商事の新入社員、中田栄子は、酒を飲むと超人的な能力を発揮する特異体質の持ち主。だが飲酒により異界から「怪魔」と呼ばれる化け物をも呼び寄せる、というジレンマがあった。その力に注目した従姉の美宇と上司の友田は、戸惑う栄子を「Aクライ・プリンセス」というスーパーヒロインに仕立て、会員制護衛ビジネスを立ち上げる――。新人OLの成長を見守るSF的お仕事小説!
  • 怪獣列島少女隊 1巻
    3.5
    1~2巻792~836円 (税込)
    “外来獣”と名付けられた怪獣が街を荒らしまわる世界。転校してきた女子高生のナユナは、ある日の放課後、地底怪獣に遭遇してしまう。ガタガタと震えるナユナ。だけど次の瞬間、怪獣は倒れてそのお腹の中から、ちっちゃくて細い女の子が現れた。その名はサラ、UBH所属のハンター。サラとの運命の出会いから数日後、ナユナは“怪獣撃退部”に入部する決心をして――。
  • リア家の人々(新潮文庫)
    3.5
    1巻605円 (税込)
    帝大出の文部官僚である砺波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。
  • ピアニストだって冒険する(新潮文庫)
    3.5
    華やかで力強いピアノの魂とともに――。何も知らず母に連れられて行った三歳のレッスン。十五歳でソリストを務めたN響世界一周演奏旅行。十八歳でジュリアード音楽院に留学して味わった挫折感。自らの人生をユーモラスに描き、国際コンクールの舞台裏、かけがえのない友人や恩師、そして日本の未来への想いを綴った文章の数々……。亡くなるひと月前まで書き継がれた最後のエッセイ集。
  • ほのぼのお徒歩日記(新潮文庫)
    3.5
    わたくし宮部みゆきの初めての小説以外の本であります――。著者初の散文集は、江戸を、日本を「歩く」ことから始まった。赤穂浪士討ち入り後の道のり。市中引廻しのルート。そして、島流しの行き着く先。担当編集とともに歩き、食べ、語り尽くした珍道中。ひとたび読み始めれば、あなたもきっと、ミヤベと「町」を歩いてみたくなる。『平成お徒歩日記』に書き下ろし一編を加えた新装完全版。
  • 衰退産業でも稼げます―「代替わりイノベーション」のセオリー―
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    地方だから、中小企業だから、お金がないから……。商売の不振を、そんな言い訳で正当化していませんか? 地方の商店・日本旅館・農業・伝統産業という「衰退産業」のまっただ中にありながら、「代替わり」によって蘇った16のケースを徹底研究。東大卒、ハーバードMBAの起業家が、移住した長野で見出した経営の骨法。
  • 太陽のシズク~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~(新潮文庫nex)
    3.5
    死に至る「宝石病」を患う理奈は海の見える高校に転校してきた。不安と焦燥を抱えながらも、残された時間で「素晴らしい青春」を送らなければと頑張る彼女は、運命の恋人と無二の親友と出会う。一緒に過ごした最後の12ヶ月は、大切なことに気付いたかけがえのない日々だった……そして結末(ラスト)、秘密がすべて明かされるとき、物語は究極のハッピーエンドへ。2度読み必至の泣ける恋愛小説。
  • 犬神館の殺人(新潮文庫nex)
    3.5
    その死体は、三重の密室の最奥に立っていた。異様な形で凍りついたまま……。そのとき犬神館では、奇怪な《犬の儀式》が行われていた。密室のすべての戸に、ギロチンが仕込まれ、儀式の参加者は自分の首を賭けて、“人間鍵”となる。鍵を開けるには、殺さねばならない。究極の密室論理(ロジック)。これは三年前に発生した事件の再現なのか。犯人からの不敵な挑戦状なのか。瞠目のミステリー。
  • 犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー―探偵AI 2―(新潮文庫nex)
    3.5
    人工知能探偵・相以(あい)の驚異的な推理力に大敗を喫した以相(いあ)。復讐に燃える彼女は、人間の知能を増幅させ(Intelligence Amplification)完璧な共犯者を造り、相以に挑戦状を叩きつけた。ゴムボートで漂着した死体、密室で殺された漁協長、首相公邸内殺人事件。連鎖する不可解な事象を読み解く一筋の推理の紐は、なんと以相の仕掛けた恐るべきトリックの導火線だった!? 奇想とロジックが宙を舞う超絶推理バトル再燃。
  • 藁の王
    3.5
    1巻1,980円 (税込)
    小説家としてデビューしたが著書は一冊だけ、しかも絶版。そんな私が巨大私立大学で創作を教えることになった。だが自身の執筆は行き詰まり、教え子たちも苦悩し隘路へとはまり込んでいく。なぜ私たちは小説を志すのか――自身の経験を元に、文学の迷宮、小説の樹海を彷徨う人々を描いた表題作を初めとした渾身の作品集。
  • 東京湾の向こうにある世界は、すべて造り物だと思う(新潮文庫nex)
    3.5
    軽音部室で殺された女の子、ミズ。それから五年、抜け殻のような日々を過ごしていた僕の前に、彼女は突然現れた。「同窓会を開きなよ」高校生の姿のまま、僕にしか見えない彼女に振り回されて、あの日から止まったままの時間が再び動き始める。痛みも後悔も乗り越えて、燦(きら)めく彼女の笑顔の側で、僕はその死の真相に辿り着く。大人になりきれないすべての人に贈る、恋と青春の物語。
  • ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後―(新潮文庫)
    3.5
    終戦からほどなく、東京の真ん中に827戸を擁する米軍家族住宅エリアが出現した。その名も「ワシントンハイツ」。「日本の中のアメリカ」の華やかで近代的な生活は、焼け野原の日本人にアメリカ的豊かさへの憧れを強烈に植え付けた。現代日本の「原点」ともいうべき占領期を、日米双方の新資料と貴重な証言から洗いなおした傑作ノンフィクション。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
  • 国家を食べる(新潮新書)
    3.5
    【メニュー】――イラク戦争の取材中に食べた世界一うまい羊肉。チグリス川の鯉の塩焼き。パパイヤだけだった内戦下ソマリアの昼食。カラシニコフ銃の開発者の冷凍ピロシキ――中東・アフリカの戦場や紛争地帯、アフガニスタン、チェルノブイリなど、世界中を駆け巡ったジャーナリストが口にした食の数々は、はからずも「国家」の本質を示していた。実践的文明論の最高峰。
  • 神獣の都―京都四神異譚録―(新潮文庫nex)
    3.5
    失恋旅行で訪れた京都。そこで滝沢陽翔は本気の殺し合いをはじめた謎の異能集団に遭遇してしまう。彼らは青竜、朱雀、白虎、玄武、そして麒麟という神獣の眷属として人知れず生きる者達だった。ある裏切りによって引き起こされる未曾有の災害から日本を救うため、青年は問答無用で非日常へ巻き込まれていく。現代京都の裏側を縦横無尽に駆け回る、空前絶後の異能力ファンタジー。
  • 血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀―(新潮文庫)
    3.5
    米相場で破産、没落した家名を再興すべく、松下幸之助は九歳で大阪へ丁稚奉公に出た。事業拡大への飽くなき執念は、妻と始めた家内工業を従業員38万人の一大家電王国へと成長させた。されど、好事魔多し。盟友だった義弟との訣別、GHQの圧力、後継者問題、スキャンダル……。激動の時代を背景に、数々の神話に彩られた「経営の神様」を、新資料と徹底取材で丸裸にした評伝決定版。
  • 百の夜は跳ねて
    3.5
    1巻1,540円 (税込)
    「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。頭の中で響く声を聞きながら。ある日、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切々と描き切った、まったく新しい青春小説。
  • フィンランドの教育はなぜ世界一なのか(新潮新書)
    3.5
    人口約五五〇万人、小国ながらもPISA(一五歳児童の学習到達度国際比較)で、多分野において一位を獲得、近年は幸福度も世界一となったフィンランド。その教育を我が子に受けさせてみたら、入学式も、運動会も、テストも、制服も、部活も、偏差値もなかった。小学校から大学まで無償、シンプルで合理的な制度、人生観を育む独特の授業……AI時代に対応した理想的な教育の姿を示す。
  • 私の裸(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身も――。未知の私が現れる5編。『幸福なハダカ』改題。(解説・寺地はるな)
  • ニセモノの妻(新潮文庫)
    3.5
    「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は――(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。(解説・中江有里)
  • ほんとうの診断学―「死因不明社会」を許さない―(新潮選書)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    正しい診断を知ること、それは「いのち」と向き合うことである。Ai(死亡時画像診断)を提唱して医学界の改革を図る著者が、「検査」と「診断」の本質を徹底究明。正しい医療を受けるために必要な知識を解説しながら、市民社会への視点を見失い不毛な議論に終始する昨今の日本の医学研究を解剖、その欠陥を抉り出す問題作。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • スカラムーシュ・ムーン(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    新型インフルエンザ騒動で激震した浪速の街を、新たな危機が襲う。今度は「ワクチン戦争」が勃発しようとしていた――霞が関の陰謀を察知した異端の医師・彦根新吾は、ワクチン製造に必要な鶏卵を求めて加賀へ飛び、さらに資金調達のために欧州へと旅立つ。果たして、彦根が挑む大勝負は功を奏するのか? 浪速の、そして日本の医療の危機を救えるのか。メディカル・エンタメの最高傑作! ※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • ナニワ・モンスター(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    浪速府で発生した新型インフルエンザ「キャメル」。致死率の低いウイルスにもかかわらず、報道は過熱の一途を辿り、政府はナニワの経済封鎖を決定する。壊滅的な打撃を受ける関西圏。その裏には霞が関が仕掛けた巨大な陰謀が蠢いていた――。風雲児・村雨弘毅(ドラゴン)府知事、特捜部のエース・鎌形雅史(カマイタチ)、大法螺吹き(スカラムーシュ)・彦根新吾。怪物達は、この事態にどう動く……。海堂サーガ、新章開幕。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • 周五郎少年文庫 木乃伊屋敷の秘密―怪奇小説集―(新潮文庫)
    3.5
    古代蒙古の王族の棺を持ち帰った考古学の権威厩川博士だが、木乃伊(ミイラ)が夜毎棺から出て、枕元の水差しの水を飲むことに気づいた。博士は恐怖のあまり……(表題作)。かの名探偵ホームズが来日し、財宝をめぐって悪漢たちと壮絶な戦いを繰り広げる「シャーロック・ホームズ」等、痛快探偵小説の内、怪奇性の強い名品珍品13編を精選。(解説・末國善己)
  • 流星の下で、君は二度死ぬ(新潮文庫nex)
    3.5
    父を火事で亡くした心的外傷(トラウマ)から、身近な人の死を予知夢に見るようになってしまったみちるは、誰にも言い出せずに怯えふさぎこんでいた。手を差しのべてくれたのは従兄の一美(かずみ)兄ちゃんだった。「信じるよ。一緒に予知を覆そう」そして高校生になった彼女は再び夢を見る。校舎屋上、血塗れの刃、最後に見えたのは……一美兄ちゃん!? 後悔と痛みを乗り越え前を向く、学園青春ミステリー。
  • 不良老人の文学論
    3.5
    老人よ、すべからく不良たるべし――。筒井康隆84歳、大江健三郎、ウンベルト・エーコ、蓮實重彦など世界文学最前線から現代日本の気鋭作家までを縦横に論じ来り、小松左京や井上ひさしや丸谷才一を追悼し、自作の創作裏話を打ち明け、宗教や老いをも論じ去る。巻末にロング・インタビューも附す、巨匠14年ぶりのエッセイ集。
  • ギンイロノウタ(新潮文庫)
    3.5
    極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
  • ドラマへの遺言(新潮新書)
    3.5
    「やすらぎの郷」、「北の国から」、「前略おふくろ様」……テレビドラマ界に数々の金字塔を打ち立てた巨人、脚本家・倉本聰が83歳で書き上げた最新作「やすらぎの刻~道」まですべてを語り尽くす。大河ドラマ降板の真相は? あの大物俳優たちとの関係は? テレビ局内の生々しいエピソード、骨太なドラマ論、人生観――愛弟子だからこそ聞き出せた破天荒な15の「遺言」。
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)
    3.5
    最期ののちはきみのそばで眠りにつきたい――。亡父が残した愛人への手紙。それは砂上の出会いから続く「運命」の結実だった。愛を失った夫。心を病む元婚約者。愛人の息子を名乗る男。35歳の主婦・美砂子は、自らを取り巻く人間関係の根源に、父の妄執と、千億の愛すら呑み込む「超越」をみる。生きるとは何か。人はなぜ、子を成すのか。果てなき愛への答えを示す、圧倒的長篇小説。
  • 田嶋春にはなりたくない(新潮文庫nex)
    3.5
    田嶋春(たじまはる)、通称タージ。サークルの新入生歓迎会で未成年者の飲酒を許さず学生証の提示を求めるような、鬱陶しく、空気読めない、まさに正論モンスター。近付きたくないけど、目が離せない。だって彼女は誰よりも正しく、公平で、そして優しいから。キャンパスに巻き起こる日常の謎を、超人的な観察眼で鮮やかに解き明かす彼女に、翻弄され、笑わされ、そして泣かされる青春ミステリ。
  • この血の流れ着くところ
    3.5
    1巻1,496円 (税込)
    母のようにだけはなるまい、と心に決めて生きてきた。なのに、気付けば母と同じことをしている自分がいる。この娘も、母や私のようになってしまうのだろうか――。貧困、いじめ、シェアハウス、シングルマザー、そして信仰。我が子の幸せを願うとは、いかなることか? 世の毒親物とは一線を画し、ここに母娘小説は極限を見る。
  • 咲見庵三姉妹の失恋(新潮文庫)
    3.5
    蔵の町、川越。くず餅が人気の和カフェ・咲見庵を営む美人の長女、花緒。ボーイッシュで夢見がちな次女、六花。そして、二人の姉とは母親の違う十六歳の三女、若葉。そんな高咲三姉妹が暮らす家に、父を亡くした少年、薫が居候することに。姉たちはそれぞれに恋の甘さと苦しみを味わい、同い年の若葉と薫は次第に心を通わせていくが――。めぐる季節の中、姉妹が織りなす優しく切ない恋愛模様。(解説・吉田伸子)
  • イスラエルがすごい―マネーを呼ぶイノベーション大国―(新潮新書)
    3.5
    世界の目がイスラエルに集中している。軍事技術、サイバー・セキュリティ、自動運転技術関連の開発力から「第二のシリコンバレー」と呼ばれ、毎年1000社を超すベンチャーが起業。巨額のマネーが流れ込んで、いまや米国に次ぐイノベーション大国なのだ。とりわけドイツと中国が急接近、日本は取り残されるばかりだが……。欧州から取材し続けてきた著者だからこそ見えてくる日本の危機とビジネスチャンスとは。
  • 不明解日本語辞典(新潮文庫)
    3.5
    「普通」って何? 「ちょっと」って何? 「っていうか」って何?……。毎日何気なく使っている日本語の意味を深くマジメに掘り進むと、摩訶不思議な言葉の作用に行き当たる。あまたの辞典類の頁をめくり、日本語の持つあいまいさ、難解さに真正面から果敢に挑む著者――時に茫然と立ち尽くしながらも、自ら選んだ32語を手掛かりに、言葉の海へと漕ぎ出して行く。ユニークな辞典風エッセイ。
  • 払ってはいけない―資産を減らす50の悪習慣―(新潮新書)
    3.5
    お金が不安な人ほど、進んで財布を開いている。スーパー、病院、薬局、銀行――やってはいけない無駄遣いを、経済ジャーナリストが次々指摘、甘い宣伝文句を一刀両断! 「まとめ買いを、してはいけない」「持病があっても入れる保険に、飛びついてはいけない」「日本一売れている投資信託は、買ってはいけない」など50篇で、お金の常識を更新する。投資礼賛時代にバカを見ないために、家族で読みたい資産防衛術・決定版。
  • 墓が語る江戸の真実(新潮新書)
    3.5
    なぜそこにあるのか、誰が建てたのか、並び方の意味は……。墓は歴史を知り、その真実を浮かび上がらせる。悪女と恨まれた側室と藩主の絆(鹿児島・福昌寺)、後継ぎの兄よりも弟の自分を愛してくれた母への強い思い(高野山奥の院)、死後も将軍家を見守ろうとした乳母の執念(湯島麟祥院)、百万石の安泰をもたらした不遇の兄への気配り(金沢・野田山墓地)……。墓が語る、江戸時代の愛憎と恩讐の物語十話。
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)
    3.5
    これが、トリックです。本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、超豪華作家陣が挑戦! 鍵と糸――同じトリックから誕生したのは、びっくりするほど多彩多様な作品たち。日常の謎あり、驚愕のどんでん返しあり、あたたかな感涙あり、胸を締め付ける切なさあり……。5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの“秘密”を解き明かす、競作アンソロジー。
  • 日本人とドイツ人―比べてみたらどっちもどっち―(新潮新書)
    3.5
    「日本人とドイツ人は似ている」――何となく日本人は勝手に思っているけれど、実際にドイツに住んでみるとまったくのウソでした! 電車で「座りたいから席を譲ってほしい」と堂々と言ったり、簡単には非を認めなかったりするメンタル。安易にマネしないほうがいい「働き方」や教育制度。比べるうちに見えてくる日本の強みと弱点とは? 20代の若き感性が現地で驚き戸惑い怒り笑いながら綴る、等身大の比較文化論。
  • あぶない叔父さん(新潮文庫)
    3.5
    寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。
  • 他者という病(新潮文庫)
    3.5
    原因不明の難病で入院中、三度も死にかけた私。さらに薬の副作用で人格まで変容し、自分を見失ってしまう。やがて仕事もなくし、鬱状態に陥り、ついに自殺未遂を起こすまでに……。激動の渦中に文章をつづり、当時の自分を客観的な目で振り返って考えた、「生」とは、「言葉」とは、そして「私」とは。極限体験に際した人間の脆さを凝視し、思いがけない強さを発見する、特異で壮絶な魂の手記。
  • 男たちのかいた絵(新潮文庫)
    3.5
    おくびょうで意気地なしでも、拳銃片手に怖いものなし――チンピラやくざの、カッコいい兄貴分へのあこがれが、屈折した心情に映し出される時、オナニズム、同性愛、エディプス・コンプレックス、多重人格などの持主を主人公にした、筒井康隆の強烈な世界が展開される。『夜も昼も』『星屑』『二人でお茶を』など、ジャズのスタンダード・ナンバーにのせておくる奇妙な味の連作小説集。
  • 憂鬱な10か月
    3.5
    誕生の日を待ちながら、母親のお腹のなかにいる「わたし」。その耳に届く、愛の囁き、ラジオの音、そして犯罪の気配――。胎内から窺い知る、まだ見ぬ外の世界。美しい母、詩を愛する父、父の強欲な弟が繰り広げる、まったく新しい『ハムレット』。サスペンスと鋭い洞察、苦い笑いに満ちた、英国の名匠による極上の最新作。
  • ポスドク!(新潮文庫)
    3.5
    1巻737円 (税込)
    瓶子貴宣(へいしたかのぶ)は、月収10万円の私大非常勤講師。博士号を持ち実力も抜群なのに、指導教官の不祥事で出世の道を閉ざされた。しかも姉が育児放棄した甥、誉(ほまれ)を養ってもいる。貧乏でも正規雇用を諦めない貴宣の前に、千載一遇のチャンスが。だが誉を引き取りに姉が現れ、家庭問題まで勃発――。奮闘するポスドクの未来はどうなる!? 痛快かつ心温まる、極上のエンタテインメント。『マル合の下僕』改題。
  • 探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫nex)
    3.5
    人工知能の研究者だった父が、密室で謎の死を遂げた。「探偵」と「犯人」、双子のAIを遺して――。高校生の息子・輔(たすく)は、探偵のAI・相以(あい)とともに父を殺した真犯人を追う過程で、犯人のAI・以相(いあ)を奪い悪用するテロリスト集団「オクタコア」の陰謀を知る。次々と襲いかかる難事件、母の死の真相、そして以相の真の目的とは!? 大胆な奇想と緻密なロジックが発火する新感覚・推理バトル。
  • 道の向こうの道
    3.5
    1巻1,760円 (税込)
    一九五六年、大阪から上京し、早稲田大学露文科に入学。最初の授業でこう言われる。「露文科の学生になったからには、もはや就職はあきらめたまえ」。米川正夫ら教授陣、李恢成など個性豊かな級友たち、著名な学者のコケティッシュな娘、親戚のような大家一家や愛情深い両親の姿……。自在なスタイルで描く自伝的連作集。
  • 日本の聖域 クライシス(新潮文庫)
    3.5
    世界中でその効果と安全性の認められている子宮頸癌ワクチンの接種が、日本ではほぼ止まったままなのはなぜか。宗教法人への課税を阻む勢力の正体は? 新国立競技場問題を迷走させた文科省の作為とは――。事実を歪曲し、権力にとって不都合な真実には沈黙する大メディアの報道では分からない諸問題の実相を明らかにする。書店では買えない会員制情報誌の名物連載第四弾。
  • 随想 春夏秋冬(新潮文庫)
    3.5
    音楽の道をあきらめ、文学を志した十代。大学では英文科に籍を置くもののフランスの詩に心惹かれた。稲垣達郎、小沼丹、新庄嘉章……錚々たる師の学恩に導かれるも道は険しく遠い。雑誌記者を経て、競馬で食いつなぎ、結婚後は、英語の私塾で糊口をしのぐ。クラシック音楽、古典文学、写真、陶器、書と様々な学びを得て二十数年、曙光が漸く身を照らし出した。著者の文学的軌跡を刻む傑作随想。
  • 美酒一代―鳥井信治郎伝―(新潮文庫)
    3.5
    世界に冠たる洋酒メーカー“サントリー”創業者・鳥井信治郎。優れた経営感覚と湧き出るアイディア、それらを実行する行動力と、「スコッチに負けないウイスキーを」という執念が数々の銘酒を生み出した。赤玉ポートワインから、サントリー・オールドへ、現代に通じる鳥井イズムを伝記文学の第一人者が生き生きと描き出す。大阪に生まれ、一介の奉公人から身を起こした男の物語。
  • 邪馬台国と黄泉の森―醍醐真司の博覧推理ファイル―(新潮文庫)
    3.5
    創作中に姿を消したホラーの鬼才を捜してほしい。その依頼が全ての始まりだった。邪馬台国最大の謎に挑み、最後の“女帝”漫画家を復活させる。映画マニアの少年を救い、忌まわしき過去の事件を陽光のもとに――。傍若無人にして博覧強記、編集者醍醐真司が迫りくる難題を知識と推理で怒濤のように解決してゆく。漫画界のカリスマにしか描けない、唯一無二のミステリ。『黄泉眠る森』改題。
  • 冷蔵庫を抱きしめて(新潮文庫)
    3.5
    1巻693円 (税込)
    幸せなはずの新婚生活で摂食障害がぶり返した。原因不明の病に、たった一人で向き合う直子を照らすのは(表題作)。DV男から幼い娘を守るため、平凡な母親がボクサーに。生きる力湧き上る大人のスポ根小説(「ヒット・アンド・アウェイ」)。短編小説の名手が、ありふれた日常に訪れる奇跡のような一瞬を描く。名付けようのない苦しみを抱えた現代人の心を解き放つ、花も実もある8つのエール。
  • 昏い水
    3.5
    知的で辛辣、自由を重んじ、七十代のいまも仕事のため遠方まで車を走らせるフランチェスカ、病床にあるどこか憎めない元夫、高級老人ホームで悠々自適の女友だち、恋人を突然亡くした息子が身を寄せるカナリア諸島のゲイの老カップル……。いかにも英国的なユーモアをちりばめながら、人生の終盤を生きる人々を描く長篇小説。
  • 日本のすごい味―おいしさは進化する―
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人びとが知恵と情熱を傾けてつくるから、伝統はつねに新しい。北海道のアスパラガス。六花亭のマルセイバターサンド。三陸のうに弁当。秋田の短角種かづの牛。栃尾のあぶらげ。能登のくちこ。加賀の鴨鍋。江戸前の鮨。鰻蒲焼き。ショートケーキ。――北海道から東京まで、食エッセイの名手をうならせた15の探訪記。
  • 私と彼女のお泊まり映画 1巻
    完結
    3.5
    全3巻704~770円 (税込)
    女子大生の佐藤小春と黒澤麻由美は、毎週末「お泊まりの映画鑑賞会」を開催中。さて、今週はふたりでどんな映画を観るのやら――。収録映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『インサイド・ヘッド』『呪怨 劇場版』『プリティ・ウーマン』『グランド・イリュージョン』『ムトゥ 踊るマハラジャ』『トレマーズ』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『ドーン・オブ・ザ・デッド』『幸せのレシピ』
  • ゼロからわかる「世界の読み方」―プーチン・トランプ・金正恩―
    3.5
    北方領土交渉は2018年のプーチンの動向に注目せよ。トランプの抱く反・アジア人思想とは。金正男殺害の引き金はツイッターだった?――世界を翻弄する三人の思考回路は誰もがアクセス可能な「公開情報」で全て読み解ける。最新の情勢分析に今後の考察も加えた熱血講義を完全収録。二時間であなたもインテリジェンスの有段者!
  • 日本の聖域 アンタッチャブル(新潮文庫)
    3.5
    弱者のために、病める人のために、子どもたちのために、正義のために――。この国には、メディアが口をつぐみ、触れることが許されない黒々とした聖域が至る所に存在する。美名を隠れ蓑にして肥え太る者たちの正体とは? 25の組織や制度のタブーに挑む。新聞テレビのニュースだけでは飽き足らない読者に贈る、会員制情報誌の名物連載第二弾。『日本の聖域 偽装の国』改題。
  • 日本の聖域(新潮文庫)
    3.5
    国民は知らない。自分たちの財産を食いつぶす輩がいることを。新聞やテレビには報じられない闇があることを。しがらみにまみれ、権力、利権、欲望渦巻く日本の病巣──。中央官庁、司法、医療、教育など、国民生活に密接するこの国の中枢で何が行われているのか? 26の組織や制度のアンタッチャブルな裏面に迫り、その知られざる素顔を暴く。会員制情報誌「選択」の長期名物連載。

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