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Posted by ブクログ
「悲しみとか怒りとかいう思いよりも、呆れかえった馬鹿々々しさに身悶えしました。」
感情を表す言葉はちゃんと出てくる。それなのに、読んでいると感情がきれいに整理されていく感じがしない。悲しい、怒っている、苦しい、という言葉では処理できないカオスを、家庭というかなり狭い場所の中でずっと見せられている。
しかも文章は読みやすい。だから混沌としているのに、どんどん先へ進んでしまう。この、処理できないものを処理しないまま読ませていく感じ。
「命は大事」「女性は強い」みたいに分かりやすい意味を置いて読もうとすると、どんどん作品から置いていかれる。今とは家庭環境や男女関係が違う。一方で、太宰作品に出てくる男には妙に共感する。
何かにつけて理由を無理やりこじつけて、結局は欲望のまま生きる。欲望を欲望のまま認めず、自分の行動にそれらしい理由や思想をつけてしまう。これはめちゃくちゃ男だと思った。
自分でも自分をうまく説明できない。つかみどころがない。どうしようもないと分かっていても、欲望や感情に引っ張られる。そういうところが自分と重なることが多い。ただ、それだけで大それた感想を言えるわけでもない。そこは太宰作品らしくて、あんまり好きじゃない部分でもある
太宰を「無頼派文学」と一言で名付けるのは嫌いだ。
文学史上の分類として必要なのかもしれない。でも「無頼派」という言葉を先に置くと、酒、女、破滅、自堕落みたいなイメージだけで作品を読めてしまう。そうすると、妻から見た男の馬鹿々々しさや、欲望を思想に変換してしまう滑稽さ、家庭の中にある処理不能な混沌が見えにくくなるし、読みが浅くなるとおもう。
この短編集は「無頼に生きる男たち」の話というより、どうしようもない人間がどうしようもない理由を抱えながら、それでも生活だけは続いていく、その混沌を見ないと勿体ない気がする。
Posted by ブクログ
太宰治晩年の短編集
戦中の疎開中の出来事としての話しが多い
そして晩年ということで
なかなか苦しい生活の家庭や
それをかえりみずに
家に寄りつかない男の姿
健気に子供を抱えながら支える
妻の大変さ
などなどまるで自分のことのようだけれど
はたして本当に
こんなふうだったのか
それとも自分の不甲斐なさを
嘆きつつそんな男ばかり
物語上に登場させているのか
「おさん」では
愛人と出かけたまま帰らず
妻は諏訪湖まで遺体を受け取りにいく
いつしか心の中は
こんな将来でなければならないと
思い込んでいったかのよう
軽快な楽しい、しかもオチがあったり
そんな文章からは
お茶目な一面をうかがわせるが
本当の太宰治は
はたしてどんな人物だったのか
会ってみたいものです
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