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Posted by ブクログ
作品字体だけでなく、太宰治自身についても掲載されている興味深い資料となる一冊 旧字体で綴られた日本文学を読みやすく新字体に改められた版なので、非常に読みやすい。また古屋氏のマンガを読んでからというのもあるため、ストーリーがすっと入って来やすかった。実際、古屋氏のマンガの展開とその原材となった太宰治の作品とでは内容や結末が異なることを知っていて読んでいたので、どのような展開になるか楽しみながら読めた。
また桜桃、という作品も合わせて掲載されているので、人間失格以外の太宰作品を読めるのも嬉しい。
最後に寄稿されている解説は、実際の太宰治そして作品に対しての解説および太宰自身の年表も掲載されており、これがまた太宰をより知る上で貴重な情報となっている。
Posted by ブクログ
中学生に読んで以来で、久々に読みました。
中学の時は、人間失格も、桜桃も、正直あまりわかっていなかったように感じます。けれど成人してから読み直すと、やはり全然感じるものが違うのを実感しました。
ご興味のある方は是非呼んでください。文学作品ですので、ライトノベルや最近の作品に比べると、耳慣れない言葉もいくつかありますが、文体としては比較的読みやすいかと思います。文学作品デビューしたい方にもオススメです。
※以下、ネタバレありの感想です。
【人間失格について】
葉蔵という男の人生を通して、太宰の人生の一部を見られる作品。私がこの話を読んで一番最初に感じたのは、葉蔵への哀れみであり、同情でした。作品に描かれた葉蔵の心はとても生々しくて、私にとっても、身に覚えのあるものが多かったからです。
葉蔵が幼い頃から抱えていた、人間に対する恐怖は、理解できないものへの恐れであり、もしかしたら同じような人間になりたくない、世間という色に染まりたくないという反発心のようなものでもあったのかもしれないと感じます。葉蔵が周りの人間や世間に感じていた薄気味悪さというのは、現代日本にもまだ色濃く残っているものもあり、誰しもが一度は感じたことのあるもののはずです。
しかし多くの人は、本人の前では「大成功」と笑い、後から「つまらなかった」と愚痴を言う人たちを見て不快に感じても、だからと言って自分にはどうしようもないのだとすぐに諦めて、忘れてしまうのだと思います。そして周りにそういう人が多ければ、徐々に染まっていく。染まらなくても徐々に慣れて、そういう人への不快感に鈍くなっていく。そういう日本の社会・世間の闇を、葉蔵は受け入れられ流すことができず、恐れ、道化に走った。葉蔵はそういう意味で、幼い頃からとても鋭く、敏感で、繊細な人物だったのだろうなと思います。
【桜桃について】
人間失格同様に、こちらもとても生々しく、夢などひとつもないリアルな人間関係の闇を感じる作品でした。家族というのは、幸せばかりではなく、喧嘩をしない夫婦だからと言って、不幸も悩みもない訳では無いのだということを眼前に突きつけられたような気持ちになりました。
子供のために尽くすことで、自分のことが疎かになっていき、子供を愛し大切にしたいという気持ちの裏で、自分ですら無意識に、自分の願望を潰し、妻の願望が潰れる音を聞き、しかしどうしようもなく、ぶつける先もなく、薄氷の上の平穏を守り続ける。
現代においても、存外ありふれている現実的な夫婦の姿なのではないかと感じます。
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