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Posted by ブクログ
さよならクリストファー・ロビン
(和書)2012年09月06日 19:34
高橋 源一郎 新潮社 2012年4月27日
むかし高橋源一郎のファンだったことがある。かれのファンであったことで得たものと言えば柄谷行人を知ることができたことだろう。しかし柄谷行人を知ったことで高橋源一郎がなんだか嫌になった。
こんかい谷崎潤一郎賞を受賞したと聞いて久しぶりにこの小説を読んだのです。谷崎潤一郎賞がどういった賞か良くはしらない。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のイメージが強い。他では大西巨人が受賞の打診があったが拒否したという話を聞いたことがある。
イノセントな世界観など小説として無駄を省きうまく書かれている様に思う部分もあった。しかし世界を描こうとする姿勢とともに理念の欠如が顕れていて奇妙に無垢さばかりが強調されている。内容の無さを感じてしまうところもあった。
『汝自身に専念せよ』が根本的な信条だとすれば、このイノセントなレトリックには奇妙に嫌な後味も感じる。
読み物としては、それなりに新味もあって他との差異はできているから商品としてあがめる分には良いと思う。しかし人を癒すということにはこのイノセントなレトリックでは無理だしそんなこと考えてもいないように見えてしまう。
僕は昔ファンだったけど今はあまり好きではないと思っているので最初から誉める気はない。それだけのことでもある。
Posted by ブクログ
【星降る夜に】
『二十五年…わたしは、自分の口から出たことばに驚いた。二十五年も書きつづけていたのだ。誰も読まない小説を! その間に、もっとなにかできることがあったのではないだろうか? 山に登るとか、動物園に行って熊を写生するとか。もう少し、有益なことが。』
【お伽草子】
「『せっくす』というのは、人がわかりあうためにすることの中で、もっともいいもののひとつだ、同時に、もっとも、むずかしいもののひとつなんだ」
「どうして?」
「ことばをつかわないからだよ。ことばは、わかりあうために、人が使うものの中で、いちばん簡単なものだからね」
「簡単ないみのことばはないのかい?」
「あるよ。『アルランス』とか」
「どういういみなんだね」
「『一時間目の授業の時、先生に、頭が痛くて、熱があるみたいなので保健室に行っていいですか、ってきいて、保健室に行って熱をはかったら、三十六度ちょっとしかなくて、すぐ教室に戻りなさいって保健の先生にいわれること』だよ」
「そのことばのいみが、簡単なのかどうか、わたしには、わからんが、熱がないのに、すぐに保健室に行くのは、パパは感心しないね」
「わかった。ねえ、こういうことばって、使ってはいけないの?」
「きみは、どうして、そういうことばを作ったのかね。『ティーズィッテ・ナン!』とか」
「決まってるじゃないの。他に、ぴったりしたことばがなかったんだもの」
「オーケイ。『コネタキイ・イカンマクヤヒ』だと思うんだが、パパは」
「なに、それ?」
「『自分でことばを作るのは、おおいにけっこうだが、寝る前に、明日、学校に持っていくものを、ランドセルに、自分で入れてからにしてもらいたい』といういみだよ。それに、『フルエノウヨチ・ダシアタカ』でもあるしね」
「わかったよ。そういうことばを作ると、質問ばかりしなきゃならないから、めんどうくさいってことだね」
「その通りだ。でも、わたしがいったことばのいみは、『そろそろ、お昼ごはんにしようじゃないか』ってことさ」
『手で髪の毛を触る。それから、顔。目、鼻、唇を触る。ずっと触っていって、足の爪に、到着する。ぼくは、寝る前に、必ず、それをやるんだ。おまじない。
確かに、そこに、ぼくがいる、というおまじないだ。』
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