井上薫の作品一覧
「井上薫」の「原発賠償の行方」「裁判官の正体 最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
著者は執筆当時は現役判事でしたが、本書での主張を貫いて退官された元判事の方。裁判による判決の中で、判決の理由には直接関係のない「蛇足」が含まれることを徹底的に批判しています。英米法では、判決の中でも先例拘束性のある「レシオ・デシデンダイ(ratio decidendi)」と傍論である「オビタ・ディクタ(obiter dictum)」が峻別されていますが、日本の法体系でここまで徹底した議論を展開するのを読んだのは初めてです。ただ、「蛇足」は単なる「蛇足」にとどまらず、裁判の迅速化に反するのみならず、一人歩きをして訴訟制度の歪みを産み出し、民主的コントロールが弱い司法が立法権まで手を出してしまう危惧があるという主張は、ラディカルながらも考えさせられました。惜しむらくは、結論をあまりにも早い段階で提示してしまい、その後は論証を補足していくという構成なので、法曹の書く文章に慣れていない方は、最後まで完読するまでに飽きてしまうかもしれませんね。