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なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。他人との違いが消えた100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説! 大江健三郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
俺俺って、そういうことか~。例の詐欺に絡んでのひと悶着かと思いきや、電話で完結する狭い世界に止まらず、もっと壮絶なディストピアに向け、物語はひたすら広がっていく。世界の均質性に疑義を突きつける、読んで楽しいエンタメだけど、考えさせられもする作品でした。
この本での「俺」ってなんだろう。 クローン?コピー? はじめは分からないまま読んでいた。 しかし、読み進めていくうちに、 「俺」には色んな一面があるんだと気がついた。 くだらないことも考える、 真面目なことも考える。 他者よりも優秀でありたい、 でも疲れた時にはだらけていたい。 そんな面を誰しも持ち...続きを読む合わせているから、 俺たちはみんな「俺」なんだ。 そう考えると、全く気が合わない人でも、案外自分に似ているのかもしれない、という気になる。 「自分」について考えるいい機会になった。 解説の、 「自分を演じながら他者とつながるのは疲れるが、1人でいるのは寂しい。 だから自分を演じなくてもよい他者とつながりたい。」 という言葉に共感した。 ここ数年感じている、具体的じゃないモヤモヤした寂しさは、この言葉に集約されるのだと思った。
1.著者;星野氏は小説家。大学を卒業後、産経新聞記者になったが、会社を退職し、メキシコに私費留学。ラテン文学の影響を受けた。現実と幻想を掛け合せた小説を書き続けている。植物・水をモチーフにした作品や社会問題を問う作品が多い。「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、「焔」で谷崎潤一郎賞などを多数受賞。...続きを読む 2.本書;永野均(主人公)は、些細な事で他人の携帯をポケットに入れオレオレ詐欺をする。それを契機に自分によく似た俺が大量発生。家電量販店で働く俺、公務員の俺、大学生の俺、・・自分だけの世界を作ってゆく。しかし、それは長く続かない。やがて俺同士の殺し合いへと発展。文庫あとがきより、「他人との違いが消えた、100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレス社会を笑う小説」。大江健三郎賞を受賞。 3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記); (1)『第二章 覚醒 』より、「お父さんもいぃつも、まだ大丈夫だ、休むわけいかないって言って、少しずつ悪くなって気が付いたら取り返しつかなくなってたんだから。ちりも積もれば山となる、だよ」「体が弱るとね、心も弱るんだよ。体だけなら休めば治るけど、心まで弱ると、そんなつもりはないのに、自分から人生諦めたりするんだ。人間は弱いんだよ」 ●感想⇒「体が弱るとね、心も弱るんだよ」という言葉には、身につまされます。私事です。会社に入った頃から働き盛りの頃まで、無茶をしていました。企画業務が長く、この仕事は時間軸で成果を出すのが難しい職種です。上司に、「スタッフ仕事は24時間勤務、有給休暇は万一の際の保険」と鼓舞されました。自分も、“自身と現場の人達”の為に、良い仕事をしなければならない、という使命感がありました。早朝出勤・遅くまでの勤務・ストレス解消の為の暴飲暴食・・が祟り、体を壊し精神的に落ち込む事が間々ありました。心と体の健康は車の両輪なのです。私は、ある事をキッカケに、生活態度を変えました。業務の生産性を上げ、休日は休養日と割切りました(=読書・散歩・家族団欒を楽しむ)。今は働き方改革で、私のような愚行はないと思います。しかし、“上司の労いに対する感動”や“仕事に役立つ勉強”は掛けがえのない財産になったのも事実です。 (2)『第二章 覚醒』より、「一人前の社会人になれなかった奴に、自力で切り開いていかなきゃならない仕事ができるかっていうの」「税理士だとか会計士だとか弁護士だとか、会社を辞めてから試験勉強始める人って、大抵が逃避なのよね、私の経験からすると。本当に受かる人って、仕事と勉強両立させてでも受かるもんよ」 ●感想⇒人生の節々には選択すべき岐路があります。進学・就職・結婚の選択は重要です。知人の中に一旦は企業に就職したものの、会社の風土が思い描いたものとは違った事もあり、学生時代の理想を実現すべく退社し、再勉強して目標達成した人がいます。名門企業に勤務していただけに、周囲の人は「働きながら勉強した方が良い」とアドバイスしました。しかし、当人曰く「仕事と勉強を両立した方が万一の際の保険になるが、自分を追い込まないと、良い結果にならない」と言い、勉強に専念し見事に成功しました。こういう人は稀かもしれませんが、何が何でも目指した事を成就したいという信念に感服です。「本当に受かる人って、仕事と勉強両立させてでも受かるもんよ」は決め付けだと思います。 (3)『第四章 崩壊』より、「おふくろは一人で働き続けて、俺と姉貴を育ててくれた。・・・自分はもう諦めた、その分、あんたが写真の道を極めなさいとハッパを掛けてくれた。でもカメラマンとしての就活に失敗してフリーターを始めたら、あんたは自分の夢どころか人の夢まで壊したと罵られた。何のために、あれだけ無理して働いてきたんだ、息子をフリーターにする為なんかじゃない、だったらお姉ちゃんみたいに地道に大学目指せばよかったんだ、まったく情けない、恥だ、と言われ続け、俺はいたたまれなくなって家を出た・・・」 ●感想⇒親の責務は、“世の為人の為”に少しでも貢献できる子供を育て、社会に出してあげる事です。片親家庭が大変な事は十分理解出来ます。子育ての過程では、人に言われぬ悩みもあると思いますが、人格を否定するような言葉だけは慎むべきです。所で、社会問題となっている“引き籠り”を持つ家庭は大変でしょう。色々事情があると思いますが、一つには親の子への接し方に問題があったのかも知れません。人格は2~3歳で基礎が出来るそうです。子育ては片親に任せる(特に精神面)のではなく、父母両方で愛情を注ぐ事が基本と考えます。自責の念を込めて。 4.まとめ;オレオレ詐欺から始まり、自分にそっくりな俺が至る所に増殖する、という話の展開は奇想天外で、理解するのに一苦労です。人は様々な顔を持って生活しています。親、子、夫、妻、上司、部下・・・という顔で、様々な役割を演じています。人は他人と関係を持ちながら生きているのです。良きも悪しきも一人では生きてゆけません。そうした時に、本書の様に周囲がみんな“俺”だったら生き易く、心地よいでしょう。しかし、現代人はマスコミに踊らされ、個性が埋没。お互いを排除しようとする人もいます。本書は、奇抜な発想で青年の心の葛藤を描き、現代社会に警鐘を鳴らす秀作だ、と思います。(以上)
最初の日常の一場面からまさかまさかの展開。 想像だにしないストーリーに、とにかくこの混乱を早く治めたくて、ページをめくればめくるほど更なる混沌が待ちかまえていて。 凄かったです。なんでしょう。非現実なホラーな世界なんだけど、明瞭にイメージできる世界に圧されて震えちゃいました。 ラストの意外性も良かっ...続きを読むたです。手放しでホイホイと人に勧められないのですが、是非読んで体感してみてほしいと思える強烈な一冊。 できれば前知識無しに手にとることをお勧めします。ようこそ俺俺ワールドへ。
安易にオレオレ詐欺に手を出していとも簡単に成功してしまう冒頭、道徳的に過ぎるラストはどうかと思った チンケなオレオレ詐欺こら人類創世、個の誕生まで読ませる
映画をみてから興味を持って読んでみました。主人公のおれおれぶりが活字の場合、また違った勢いを伴っていて面白かったです。
ありえない、と一蹴することもできる反面、いままさに、そんな現実に直面しているとも言えるのではないか。
ファーストフード店で、たまたま隣り合った男が携帯を「俺」のトレイに置き忘れていった。なんとはなしに、その携帯の持ち主になりすまして、その携帯の持ち主の親からお金の振込もしてもらい、俺俺詐欺のような話になったところで異変が起きる。金を振り込んでくれた「親」がアパートにやって来て、まるで最初から「俺」が...続きを読む息子だったかのように振る舞う。自分の実家に帰ると、同じ顔をした「俺」が応対に出て、この頃似たような「俺」が訪ねてきてトラブルになったという… 「世にも奇妙な物語」風味に話が進んでいく。途中から「自分と他者の違い」「自分の中に潜む凶暴性、凶悪性」が引き出され、職場でのいじめや、多数の「俺」が互いの腹の内を知りながら互いを「削除」していき、輪廻転生(?)とでもいうか手塚治虫の「ブッダ」のような世界観も挟みつつ「自分とは何か」を考えさせられる。どんなに嫌な奴に見えてもそのどこかに自分と同じような部分があって世の中は反面教師だらけ、と言いたいのかなと感じた。
出来心で詐欺を働いた日から増殖していく俺。始めは元の自分が何者であるか分かっていたのに、次第に記憶も曖昧になり、いつの間にか別人の名前を語り、別人の記憶と境遇を生きている主人公俺がとても不気味だ。 他者を心の中で疑いながら自らの役割を演じているというのは怖いけど、同じようなことを日常的に行ってい...続きを読むるのは自分だということに改めて気付かされる。物語のラストは、自分とは違う他者と完璧に理解し合うことは無理だけど、相手の立場を想像する力が大切だと考えていた最近の自分とシンクロしていて、腑に落ちた気分。
パラレルワールド系の話かと思ったら全然違った…あんまりSFを楽しむって感じじゃなくてちょっとお説教臭い感じ。大人になったらまた読みたい。
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俺俺
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星野智幸
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