ひとでなし

ひとでなし

3,000円 (税込)

15pt

3.3

作家人生の集大成

嫌な気分は何もかもノートにぶちまけて、言葉の部屋に閉じ込めなさい。
尊敬するセミ先生からそう教えられたのは、鬼村樹(イツキ)が小学五年生の梅雨時だった――
「架空日記」を書きはじめた当初は、自分が書きつけたことばの持つ不思議な力に戸惑うばかりの樹だったが、やがて生きにくい現実にぶち当たるたびに、日記のなかに逃げ込み、日記のなかで生き延び、現実にあらがう術を身に着けていく。
そう、無力なイツキが、架空日記のなかでは、イッツキーにもなり、ニッキにもなり、イスキにもなり、タスキにもなり、さまざまな生を生き得るのだ。
より一層と酷薄さを増していく現実世界こそを、著者ならではのマジカルな言葉の力を駆使して「架空」に封じ込めようとする、文学的到達点。

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    Posted by ブクログ

    1965年生まれの鬼村樹(イツキ)の1976年から2022年までの人生を、彼の別のありえた人生ともいえる「架空日記」も交えて、追っていく。
    600ページを超える大作で、読み進めるのはたいへんだったが、一人称の悩みや性の悩みなど、自分にも重なる部分もあって、本当に生に苦悩するイツキの人生を追体験するよ

    0
    2025年02月23日

    Posted by ブクログ

    章が進むにつれパラレルワールドの立ち位置が変化しているような印象を持った。
    世界の現状を眺めてみると、ニッキやタツキの架空日記のシビアな苛烈さの方がリアルに近く、地の優しく穏やかな物語が嘘っぽく白々しく感じられて、むしろこちらの方が樹の逃げ場所の妄想に思えた。

    0
    2025年03月05日

    Posted by ブクログ

    昭和~令和にかけて世間を揺るがすような出来事を取り入れて、主人公が住む世界と主人公が書く架空日記なるパラレルワールドが進行していくお話。長かった。あまり内容は残っていない。

    0
    2024年12月24日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    イツキの架空日記の中では読者の私たちの生きる世界で実際に起こった事が起きている。イツキの生きる世界は私たちが生きる世界で、こうであったらと理想する架空日記のようだった。

    何者にもなれず、ならず、生きていくしかない自分には共感でき、これでいいんだと思わせてくれる部分もあった。

    0
    2024年12月01日

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