海外小説作品一覧

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  • ジェイムズ
    4.5
    逃亡奴隷ジェイムズの過酷な旅路の果てに待つものとは──。「ハックルベリー・フィン」を過激な笑いと皮肉でくつがえした、前代未聞の衝撃作。全米図書賞&ピュリツァー賞受賞。 --------------------------- 全米図書賞&ピュリツァー賞、驚異のW受賞! ブリティッシュ・ブック・アワード、カーネギー賞、カーカス賞受賞! ニューヨーク・タイムス・ベストセラー1位、2024年ベストブック最多選出。 各賞を総なめにした、2024年アメリカ文学最大の話題作。 我が身を売られる運命を知り、生き延びるために逃げ出した黒人奴隷ジェイムズ。 しかし少年ハックをともないミシシッピ川をくだる彼を待ち受けるのは、あまりに過酷な旅路だった。 奴隷主たちを出し抜き、ペテン師を騙し返し、どこまでも逃げていくジェイムズの逃避行の果てに待つものとは──。 黒人奴隷ジムの目から「ハックルベリー・フィン」を語り、痛烈な笑いと皮肉で全世界に衝撃を与えた怪物的話題作。 物語は往々にして誰かの人生を破壊し、利用する。 だが、鮮やかなやり方で新たな命を与えることも出来る。この小説のように。 ───西加奈子 読み始めたが最後、『ハックルベリーの冒険』を愛する私がいかに「白人」であったか、 自分を笑い飛ばして痛快になる。 ───星野智幸 地獄の故郷を抜け出して、いっしょに生きよう。 この小説にそう誘われた気がした。 ───三宅香帆 米文学界の巨人、エヴェレット。 容赦なくも慈悲深く、美しくも残酷で、悲劇であり茶番劇でもあるこの見事な小説は、 文学史を書き換え、長らく抑圧されてきた声を私たちに聞かせてくれる。 ───エルナン・ディアズ 恐ろしくも抱腹絶倒、そして深く胸を打つ。 ──アン・パチェット この小説は読者の心をまっすぐに撃ち抜く。 ──ニューヨーク・タイムズ 恐ろしく、胸をえぐり、そして笑わせる小説。 ──ガーディアン 衝撃的でありながら爽快な結末。 ──ワシントン・ポスト
  • 人形のアルファベット
    3.4
    奪われし者たちの悲鳴がグロテスクに世界を覆う。GRANTA「若手作家ベスト20」選出、英語圏で最も注目を集める作家による、シャーリイ・ジャクスン賞受賞作を含む鮮烈のデビュー作! 肉片が、聞いている――。 ミシン、人形、缶詰、蜘蛛、そして女たち……。 ★シャーリイ・ジャクスン賞受賞(本書収録作「ワクシー」) ★GRANTA「若手作家ベスト20」選出(イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」が10年ごとに選出) 雑誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング刊/「アガタの機械」/柴田元幸訳)や「文藝」(河出書房新社刊/「ネズミの女王」/上田麻由子訳)で話題の著者による鮮烈デビュー作が、ついに刊行! ******** 「既成概念を覆す試み」 ――ウォール・ストリート・ジャーナル 「素晴らしい! 印象深く、しかし、すぐに消えてしまいそうなほど儚いイメージ。グルドーヴァは、美しさを描くための最も難しいテクニックを見事に駆使している」 ――デボラ・レヴィ(『ホットミルク』著者) 「ダークで知的で美しく、絶妙にグロテスクな、グルドーヴァの世界を読む喜び。 ――ヘレン・オイェイェミ(『あなたのものじゃないものは、あなたのものじゃない』著者) 裂けたストッキングと手縫いのベルベットのドレス。知的なバロック小説であり、完璧かつ大胆、巧妙かつ繊細な傑作。アンジェラ・カーターの正統な後継者であるカミラ・グルドーヴァの、飾り気がなく、それでいて魅惑的な文体を、ぜひ読んで、愛してほしい!真似ごとや作り物ではない、真に奇妙に輝く宝石のような作家だから」 ――ニコラ・バーカー(2007年ブッカー賞最終候補作『Darkmans』著者) 『人形のアルファベット』は、独自の世界を細部に至るまで創り上げている。初めて見る風景なのに、まるでずっとそこにあり、誰かに見つけられることを、そして魅了されることを待っていたかのよう。 ――シーラ・ヘティ(ニューヨーク・マガジン誌2018年ベストブック『Motherhood』著者) ******** 日常をグロテスクに彩る、珠玉の13編! 女たちが自分の身体を、果物の皮をむくようにほどき始めると、本当の身体が出てきて――。(「ほどく」) すべての女の人生の目標は、試験で賞金を稼ぎ子どもも欲しがる男を見つけること。(「ワクシー」) 薄暗い屋根裏のミシンが生み出す幻影たちに、どんどん魅せられてゆく、ふたりの少女。(「アガタの機械」) 女から求められ芸術のミューズである八本脚の男が、ある日美しいミシンと出会い――。(「蜘蛛の手記」)
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする
    3.7
    〈メタルギアソリッドV〉と一族の戦禍の歴史が解け合う魔術的冒険ほか、痛みと笑いに貫かれた新世代イスラム・マジックリアリズム短篇集。全米図書賞最終候補、O・ヘンリー賞受賞。 ビデオゲームのマップに入り込み、アフガニスタンの故郷で殺されようとしている叔父を救出に向かう少年(「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」)、配達され続ける息子の肉片を縫い合わせていく母親(「差出人に返送」)。パレスチナの囚人解放を求めてYouTubeでハンガー・ストライキを拡散する大学生たち(「ハラヘリー・リッキー・ダディ」)。いつまでも死ねない老女を見守る天使と地球(「ヤギの寓話」)。サルに変身し反乱軍を率いることになった青年の数奇な運命(「サルになったダリーの話」)⋯⋯。 9・11以後の数多の瓦礫をさまよう亡霊を、神話的な笑いで紡ぐ戦争文学の新地平。最注目作家による傑作短篇集。
  • 密やかな炎
    4.1
    全米370万部突破の文芸ミステリ! 平穏な家庭にひそむ嘘と秘密が一家を燃やす━━ リチャードソン家の邸宅が燃えた。厳格な母が管理する「完璧」な家だった。唯一の悩みは反抗的な末娘だが、今は姿を消していた。一家の貸家に住んでいた母娘ももういない。誰が、なぜ火をつけたのか。焼け跡で家族が見つけた真実とは? 胸に迫る文芸ミステリ
  • マット・スカダー わが探偵人生
    4.0
    スカダー・シリーズ終幕 父と母、幼い弟の死。警官時代の相棒との逸話。 はじめて犯罪者を射殺した日。 復讐者との因縁。 そして少女を死なせてしまったあの日――。 記憶を探りながら諦念を交え静かに語る最後のマット・スカダー。 ――死は、生きている者たちにどんな影響を及ぼすのか。弟の死は、スカダーの父と母を変えてしまったという。エストレリータの死はスカダーを破壊した。スカダー・シリーズの中核には「死」がつねにあった。スカダー・シリーズの題名のほとんどは「死者」や「墓場」といった「死」と直結する言葉を含んでいる。死という喪失は、このシリーズの最大のテーマだった。本書もまた例外ではない。 /霜月蒼(ミステリー評論家)
  • すばやい澄んだ叫び
    3.8
    1984年春。アイルランドの小さな村で、15歳の少女シェルは孤独な毎日を送っていた。母親を病気で亡くして以来、酒浸りの父と、反抗的な弟、幼い妹の世話に明け暮れていたのだ。気がまぎれるのは、幼なじみの少年デクランや親友のブライディと、くだらない話をしたりこっそり煙草を吸ったりしているときくらい。ところが、デクランにキスをされたことがきっかけで、深い関係になってしまう。やがて妊娠し、周囲に隠しているうちに、思いがけない事態に……。「助けて」と声をあげることができなかった少女の苦難や成長を、美しく切ない筆致で描く。カーネギー賞、ガーディアン賞、ドイツ児童文学賞など数々の賞にノミネートされ、ブランフォード・ボウズ賞とアイリーシュ・ディロン賞に輝いた、シヴォーン・ダウドの伝説的デビュー作!
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか
    3.8
    ピエロの父、曲芸師の母、踊り子のわたし。祖国を逃れ放浪生活を送る、サーカス一家末娘の無垢の物語。39歳で非業の死を遂げた伝説の作家による自伝的傑作。シャミッソー賞・ベルリン芸術賞受賞。 「地獄は天国の裏にある。」 祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったが――。 世界16カ国で翻訳、伝説の作家が唯一残した自伝的傑作が、ついに邦訳! ドイツ文学史上最も強烈な個性。ーー南ドイツ新聞 まさに綱渡り芸を、息をのんで下から見守っているかのよう。ーーペーター・ビクセル
  • 関心領域
    3.8
    おのれを「正常」だと信じ続ける強制収容所の司令官、司令官の妻と不倫する将校、死体処理班として生き延びるユダヤ人。おぞましい殺戮を前に露わになる人間の本質を、英国を代表する作家が皮肉とともに描いた傑作。2024年アカデミー賞国際長編映画賞受賞原作
  • シェフ
    3.3
    三つ星シェフ、ポール・ルノワールが猟銃自殺を遂げた。世界最優秀シェフに選出されたばかりだった彼がなぜ? ネットフリックスの番組製作のために取材を受けていたさなかに……。伝説的な料理人だった祖母のいた時代から三つ星シェフに上りつめた現在までの彼の人生と、華やかなフランス料理界の裏側。料理人たちの野心、苦悩、嫉妬、愛、孤独、闘い、そしてガイドブックの星の重圧……。ポール・ボキューズもアラン・デュカスも登場する、元『ミシュランガイド』編集部員にしか書けない傑作美食小説! カゼス文学賞、海辺の文学賞受賞作。*カゼス文学賞は、ヘミングウェイ、アンドレ・ジッド、アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー、ポンピドゥー大統領などが通ったサン=ジェルマン=デ=プレのブラッスリー・リップが創設した文学賞。海辺の文学賞はサーブル・ドロンヌ市と「フィガロ・マガジン」が主催の文学賞。
  • 逃げ道
    4.0
    母親と再婚相手がわかってくれないと嘆く夢見がちな男の子、新婚の妻の理解不能な一面を知ってしまった夫、悩みをまったく分かち合えない恋人たち。不器用な人々が抱くさみしさを、温かな眼差しと幻想的な表現で描く、イギリス文学界の新星による傑作短篇集!
  • 良妻の掟
    3.7
    女たるもの、したたかでなくては。 元バリキャリ・現小説家志望のアリスは不満だった。夫に伴い渋々引越した古い屋敷は、相当な手入れが必要な物件だったのだ。いざ掃除すると、古い料理本や1950年代の雑誌など、前の女主人ネリーの暮らしていた痕跡が見つかった。 庭と植物を愛する、良妻の鑑であったはずのネリーには、どうやら深い秘密がありそうで…。 ニューヨーク郊外の屋敷を舞台に、時代を超えたシスターフッドを描く。 北米ベストセラー・エンタテインメント小説! 【著者プロフィール】 カーマ・ブラウン(Karma Brown) カナダのオンタリオ州生まれ。ジャーナリスト、作家。ウエスタン・オンタリオ大学で心理学と英語を専攻し、その後ビジネスコンサルティング会社のマーケティング部門で働きながら、ライアソン大学大学院でジャーナリズムを学ぶ。 のちに小説やノンフィクションを執筆するようになり、本書は小説5作目にあたる。 現在はトロント郊外で夫、娘、犬と暮らしている。 【訳者プロフィール】 加藤洋子(かとう・ようこ) 文芸翻訳家。ハンナ・ケント『凍える墓』、デレク・B・ミラー『白夜の爺スナイパー』『砂漠の空から冷凍チキン』(以上集英社文庫)、クリスティン・ハナ『ナイチンゲール(上・下)』(小学館文庫)、ケイト・クイン『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』(以上ハーパーBOOKS)など訳書多数。 【原題】 Recipe for a Perfect Wife
  • もうやってらんない
    3.9
    ある日、アフリカ系アメリカ人のベビーシッター、エミラは、誘拐犯に間違えられてしまう。黒人差別だと怒る白人の雇い主アリックスは、抗議するようエミラを焚きつけるが、そのいっぽうで名誉黒人気取りの恋人がアリックスの元カレだと知ったエミラは――。
  • ホワイト・ティース(上下合本)
    -
    ロンドン下町出身の優柔不断な中年男・アーチーと、バングラデシュ出身の誇り高きムスリム・サマード。第二次大戦で親友になったふたりは、ロンドンで新たな人生を模索する。 成長したアーチーの娘・アイリーとサマードの双子の息子・ミラトとマジドは、遺伝子工学者のチャルフェン一家と関わり、生命倫理にふれる研究をめぐる問題の渦中へ……。 移民家族が直面する悲喜劇を知的でユーモラスに描く、ジャマイカ系イギリス人作家の衝撃作。カリブ海やインド亜大陸からヨーロッパにわたる壮大な家族の物語を背景に、歴史、信条、遺伝子などさまざまな差異を抱えて混沌の街ロンドンで生きる人々を描く。分断と混沌の深まる時代に希望の光を放つ、21世紀の必読書 ブレイディみかこさん推薦! 「この本、いちおう社会派で、すでに古典と呼ばれているんです。 こんなにヤバくて笑えてぶっ飛んでるのに。 繚乱と咲く、移民たちのサーガ! ストリートの歴史はなんと猥雑でカオスなことか。 多文化共生の諸問題をごった煮にしておおらかに笑い飛ばす、才気煥発な本である。」 西加奈子さん推薦! 「これはすべての呪われた、そして祝福された人間の物語だ。 きっと100年後も、200年後も読み継がれるだろう。 人間がどうしようもなく、抗い難く、救い難く、人間でしかないことを、こんなに面白おかしく、鮮やかに、完璧に書かれた小説がこの世界に存在することに感謝したい。 20年前に誕生したこの傑作を、これから初めて読むことが出来る人に嫉妬する。そう思っていたけれど、何度目だって衝撃は変わらなかった。いや、増した。著者が描いたこの世界に、私たちは近づけているのだろうか。」
  • 波〔新訳版〕
    4.0
    遠い太陽の光が海辺の一日に降り注ぎ、生まれては消える波のうねりを情感豊かに描きだす。男女六人の独白が物語るのは、幻想のように過ぎた半生の思い出。くり返す描写と語りが重なるとき、意識が風景に打ち解けていく。ウルフの傑作、四十五年ぶりの新訳!
  • 恋するアダム
    4.3
    独身男のチャーリーは、母親の遺産を使って最新型アンドロイドを購入した。名はアダム。どんな問題も瞬時に最適解を出すAI能力を利用して、チャーリーは上階に住む女子学生ミランダと恋仲になることに成功した。だが彼女は重大な過去を秘めており、アダムは彼女に恋心を抱きはじめる。人工知能時代の生命倫理を描く意欲作!
  • 透明性
    3.8
    2060年代後期。個人情報を企業に提供することにより収入を得られる世界で人々が「個」を失いかけていたさなか、データを管理するトランスパランス(透明性)社の元社長が、殺人の罪に問われる。 温暖化で存亡の危機が迫る人類に、彼女が用意した壮大な計画とは
  • パピヨン 上下合本版
    5.0
    無実の殺人罪で仏領ギアナ徒刑所の無期懲役囚となったやくざ者・パピヨン。自由への執念を燃やし脱獄を試みる彼は、度重なる挫折と過酷な懲罰に耐え、ついに命を賭けて海に身を投げる――。 脱獄冒険小説の金字塔であり、全世界に衝撃を与えた伝説的自伝。同名映画原作。 ※本電子書籍は、「パピヨン 上・下」の合本版です。
  • 民主主義の死に方―二極化する政治が招く独裁への道―
    4.0
    世界中を混乱させるアメリカのトランプ大統領を誕生させ、各国でポピュリスト政党を台頭させるものとは一体何なのか。欧州と南米の民主主義の崩壊を20年以上研究する米ハーバード大の権威が、世界で静かに進む「合法的な独裁化」の実態を暴き、我々が直面する危機を抉り出す。全米ベストセラー待望の邦訳。
  • 自叙伝 ジャン=リュック・ピカード
    5.0
    宇宙艦隊史上屈指の偉大な艦長であるジャン=リュック・ピカード氏による初の自叙伝! 今初めて、 ここに綴る。 家族との確執、軍法会議、報われぬ愛、 エンタープライズ艦長就任、そしてボーグによる同化、 宇宙で遭遇した数々の思い出を―― 〈U.S.S エンタープライズ〉元艦長・ジャン=リュック・ピカードの波乱の人生が語られる、初の自叙伝! ワイン農家に生まれ、宇宙にあこがれた少年は、いかにして“宇宙艦隊で最も偉大な艦長”として名を残したのか。 宇宙艦隊史上屈指の偉大な艦長であるジャン=リュック・ピカード氏の人生が、自身の言葉によってついに語られる。 著者の波瀾万丈の人生とキャリアは、読む者の心を強く突き動かす。 家族との確執、軍法会議、報われぬ愛、カーデシア軍による監禁と拷問、そしてボーグによる同化、宇宙で遭遇した数々の出来事が、ジャン=リュック・ピカードの物語を真に忘れがたいものにしている。 ピカードは、ご存知のように探検家、外交官、なかでも〈U.S.S.エンタープライズ NCC1701-D及びE〉艦長時代の功績により、銀河史にその名を永遠に刻んでいる。 本書では、幼少時代に宇宙に夢を馳せるようになったきっかけ、兄ロベール及び父親との長きに渡る確執、そして宇宙アカデミーへの入学に至る経緯が明らかにされている。 そして、〈U.S.S.リライアント〉での勤務から艦長として率いた初の船〈U.S.S.スターゲイザー〉での様々な冒険、惑星連邦宇宙艦隊の旗艦であるギャラクシー級戦艦〈U.S.S.エンタープライズ NCC1701-D〉艦長就任とその数々の任務についても触れている。 また幼少期やアカデミー卒業時など、彼の人生における決定的瞬間を切り抜いている貴重な写真も収録。 「法が絶対である限り、正義は存在しえない。 人生そのものでさえ例外でできている」 ――ジャン=リュック・ピカード 難破し、命の尽きた“老嬢”を振り返る。山ほどの思い出の源泉。ロートン、マザーラと彼の子どもたち……艦長に就任し、ウォーカーとジャックが船に乗り組み……ビバリー……。 感傷に浸っているひまはない。やるべきことがある。日誌を開いた。その時だった、日付に気づいたのは。 クイン艦長が「メイク・イット・ソー」というのを初めて聞いたときのことを思い出した。二三五五年七月十三日。 わたしの五十歳の誕生日。そして、すべてを失った日だ。 ――第七章 再び宇宙へ――五十歳の誕生日、老嬢との別れ(本文より) 著者について [著者プロフィール] ジャン=リュック・ピカード Jean-Luc Picard 2305年生まれ。地球・フランス出身の地球人。惑星連邦の宇宙艦隊大佐。 [編者プロフィール] デイヴィッド・A・グッドマン David A. Goodman メモリー・アルファの歴史家でもある。ジャン=リュック・ピカードの引退後、自叙伝の編集を依頼され、彼とともに本書を書きあげた。 作家・脚本家・プロデューサー。一九八八年、『ゴールデン・ガールズ』の脚本家としてキャリアをスタート。これまでに『スター・トレック エンタープライズ』『アメリカン・ダッド』『フューチュラマ』など、二〇作あまりのテレビシリーズを手がけてきた。『フューチュラマ』では、『スター・トレック』へのオマージュとなるエピソード「Where No Fan Has Gone Before」の脚本を執筆。 代表作『ファミリー・ガイ』では、エグゼクティブ・プロデューサー兼ヘッドライターを担当し、一〇〇本以上のエピソードを手がけている。 『スター・トレック』のパロディ版ともいえる『宇宙探査艦オーヴィル』ではエグゼクティヴ・プロデューサーを努めている。カリフォルニア州パシフィックパリセーズに家族と住んでいる。
  • 王様のためのホログラム
    3.0
    〈トム・ハンクス主演、トム・ティクヴァ監督の映画化原作〉起死回生の大口注文はとれるのか!? 中東の砂漠の都市に乗り込んだセールスマンを襲う悲喜劇を描いたアメリカ文学界の新鋭の話題作!
  • バージェス家の出来事
    4.4
    やり手の企業弁護士ジム。ばかにされながらもジムを慕う、温厚な弟ボブ。ニューヨークで暮らす二人のもとに、ある日、故郷のメイン州に残ったボブの双子スーザンから電話がかかってきた。スーザンは一人息子ザックが事件を起こしたと言い、助けを求める。久しぶりに生まれ育った町に帰ることになるジムとボブ。しかしそれをきっかけに、三人きょうだいの固まり切った関係は根底から揺るぎはじめる。/掲出の書影は底本のものです
  • 守備の極意(上)
    5.0
    ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札を―アメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。
  • 草の竪琴
    5.0
    1940年代アラバマ州の田舎町。母を亡くした少年コリンは遠縁にあたるドリーとヴェリーナの老姉妹に引き取られる。ドリーは妹との諍いを機に、コリンとメイドのキャサリンを連れてツリー・ハウスで暮らし始めるのだが……。初期の名作「草の竪琴」のほか、「最後のドアを閉めろ」「ミリアム」「夜の樹」の短篇3作を収録。
  • 水曜生まれの子
    3.6
    表題作ほか11の短編を収録。喪失、孤独、秘密、愛情……深みのあるテーマを扱っている小説だが、率直ゆえの辛辣さのなかにユーモアを感じる。唯一無二の作家による待望の一冊。
  • 星の時
    4.2
    地方からリオのスラム街にやってきた、コーラとホットドッグが好きなタイピストは、自分が不幸であることを知らなかった――。「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」による、ある女への大いなる祈りの物語。
  • 傷ついた世界の歩き方:イラン縦断記
    3.4
    フェミニズムを目撃する新しい紀行文学 「女性、命、自由!」デモの叫びが響くテヘランで、ニコラ・ブーヴィエの名著をたどり直す冒険が始まる──。 『世界の使い方』は〈僕〉にとって聖典のような存在だ。彼が旅した景色を自分で確かめるのが長年の夢だった。パリからテヘランに向かう飛行機では、一睡もできなかった。携帯電話にフランス外務省からの着信があり、イランで監禁される危険性を告げられていたからだ。 22歳のクルド人女性が、「不適切な服装」を理由に道徳警察に逮捕され殺害された……マフサ・アミニ事件をきっかけに、イラン全土で抗議運動が起きていた。そのデモ活動に参加した、同じくZ世代で16歳のニカ・シャカラミも被害に遭う。女性たちが髪を風になびかせながら抑圧に立ち向かう姿を目撃し、〈僕〉は、イランの過酷な現実を突きつけられる。砂漠が広がる大地の上、「死者の背後では千の心臓が鼓動する」。 テヘランからエスファハーン、ペルセポリスを経てザーヘダーン、サッゲズに至る縦断記は、傷ついた世界を生きる者のため「世界の傷口」に命がけでペンを差し入れる新しい紀行文学。アカデミー・フランセーズ賞受賞の作家の日本デビュー作。
  • オリーヴァ・デナーロ
    3.9
    理不尽と闘った一人の女性の勇気の物語。  1960年代、シチリアの保守的な小村。「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくもの」と母親に擦り込まれた少女オリーヴァは、初潮を迎えてからは「純潔を守るため」に、地元の風習と母の教えに従い男子との交流を避け、学校も辞め家のなかで過ごしていた。しかし裕福な菓子店の息子に目をつけられ、16歳の誕生日に誘拐され性暴力を受けてしまう。当時の刑法第544条により、加害者の男はオリーヴァと結婚することで罪が放免されることになる。結婚を迫る男や周囲からの圧力に追い詰められるオリーヴァ。やがて友人や支援者との励ましに自分の本心に気づき、法廷でこの理不尽に「ノー」を突きつけることを決意する。 『「幸せの列車」に乗せられた少年』のベストセラー作家が実話に想を得て描いた、一人の女性の勇気と尊厳の物語。
  • 目眩まし
    -
    1800年、アンリ・ベール(ことスタンダール)はナポレオン戦争に従軍し、後年このときの記憶を書きとどめた。第一次世界大戦が間近い、不穏の気配ただよう1913年には、ウィーンからヴェローナ、リーヴァに向かったドクター・K(ことカフカ)が日記をのこした。1980年、カフカの足跡を追って同じ旅をした語り手の〈私〉は、死と暴力の予感におののいてヴェローナから逃げ帰った。その7年後、当時の記憶を書き記そうとかつての道をたどり直し、最後に自分が捨てた故郷に立ち寄った。 〈私〉の旅、カフカの旅、スタンダールの旅―時を超えて重なり合う旅のどこにも、永遠の漂泊者「狩人グラフス」が影を落とす。さまざまなものや人が響き合い、時間と場所を越えて併存する。本書はゼーバルト初の散文作品であり、「ベール あるいは愛の面妖なことども」「異郷へ」「ドクター・Kのリーヴァ湯治旅」「帰郷」の4篇を収録。 「たえず動いている乗り物のなかの想念に似て、消えては結び、やってきてもつれ合い、断続して定めがたい。つまりはもっとも現代的な散文表現というものだ」。池内紀氏による巻末の解説「言葉の織物」から引用。
  • 小さな嘘つき
    3.7
    ゴンクール賞ノミネート作 社会の不公平を浮き彫りにする法廷小説 五年前の強姦事件の被害者リザは控訴審の弁護をアリスに依頼した。アリスが調査を進めると、当時十五歳のリザの嘘により誤審が下ったことが判明する。嘘をつかざるを得なかった少女の痛み、社会の偏見により歪む司法……法廷記者の著者が放つ繊細な倫理の物語
  • 影犬は時間の約束を破らない
    4.0
    ソウル、釜山、沖縄、旭川。治療としての〈冬眠〉が普及した世界の、眠る者と見守る者。やがて犬たちが、人々を外へと導いてーー。世界とはぐれた心を結び直す冬眠小説集。 すべての疲れた人たちへーー。 未踏の文学を切り拓く作家による、 韓国と日本を舞台にした冬眠小説集の誕生! ・冬眠は、健康診断とカウンセリングを経て開始する。 ・万一に備えて冬眠者を見守るガイドが必要になる。 ・ガイドは、信頼できる人にしか任せられない。 ・冬眠者の多くが、はっきり記憶に残る夢を見る。
  • 生き急ぐ
    3.7
    バイク事故で夫を亡くした作家は、20年後、思い出の家を手放す今、再び問いに向き合う。もしも、あのとき別の選択をしていたら事故は避けられたのか? 悲劇の日までの二十数年にわたる結婚生活の「あのとき」の数々を見つめ直す。ゴンクール賞受賞の感動作。
  • 救出の距離
    4.5
    シャーリイ・ジャクスン賞中長篇部門受賞作にして国際ブッカー賞最終候補作! Netflixで映画化もされた「まったく新らしい幻想譚」が本邦初上陸!!! アルゼンチンの片田舎の診察室で死にかけている女アマンダ、その横にたたずむ謎の少年ダビ。 彼女はなぜ死にかけているのか、ふたりは対話を通してその記憶を探っていく。 すべては熱に浮かされているアマンダの妄想なのか、ダビはそこにいるのかいないのか、そして愛する娘はどこに行ってしまったのか…… 〈スパニッシュ・ホラー文芸〉を牽引する作家による、めくるめく愛の悪夢がいまここに。 「虫が体に入り込む」 【2017年度国際ブッカー賞最終候補作】 【2017年度シャーリイ・ジャクスン賞中長篇部門受賞作】 【2015年度ティグレ・フアン賞受賞作】 【Netflix映画『悪夢は苛む』(クラウディア・リョサ監督、2021年)原作】 〈スパニッシュ・ホラー文芸〉とは マリアーナ・エンリケス、エルビラ・ナバロ、ピラール・キンタナ、フェルナンダ・メルチョール、モニカ・オヘーダ――今、スペイン語圏の女性作家が目覚ましい躍進を遂げている。作家によっては三十か国以上で翻訳され、世界中で好評を博すなど、現代文芸シーンにおける一大ブームとなっている。中でも、社会的なテーマを織り込みながら、現実と非現実の境界を揺るがす不安や恐怖を描いた作品群である〈スパニッシュ・ホラー文芸〉は、特に高く評価され、全米図書賞などの著名な賞の候補にも作品が上がるなど、今、最も注目すべき熱い文芸ジャンルの一つである。本書の著者サマンタ・シュウェブリンは、発表した作品の多くが国内外で高く評価され、現代スペイン語圏文学を牽引する作家である。 Distancia de rescate, Samanta Schweblin, 2014

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  • メトーデ 健康監視国家
    3.3
    ドイツで110万部超のベストセラー! 健康が義務とされ、科学最優先の健康維持システム<メトーデ>が国民の生活を管理。体という究極の個人情報がすべて筒抜けの近未来ディストピア小説。
  • 夜、すべての血は黒い
    3.7
    ブッカー国際賞受賞!友よ、おまえの魂はどうすれば救われるのか?親友の凄惨な死に立ち会ったセネガル歩兵。やがて彼は夜ごと敵兵に復讐する“英雄”となるが……。第一次大戦の極限状況に迫る、戦争文学の新たな傑作
  • 若い男/もうひとりの娘
    4.0
    親子ほど年の離れた男との熱愛のさなか、脳裏をよぎる若い頃の記憶と死の想念を冷徹に描く「若い男」。自らの誕生につながった姉の死の秘密を緊密な文章でつづる「もうひとりの娘」。生と性と死を書き続けて半世紀となるノーベル賞作家の最新作を含む2篇所収
  • 地獄が口を開けている【上下合本版】
    -
    謎とスリルとサスペンス-- 三拍子そろった北欧発の警察小説 待望の第二弾がついに登場!! 二〇〇四年十一月、異国の少女娼婦が無残な姿で発見された。少女の名はダイナ。彼女はダクトテープで拘束され、全身をナイフとかなづちで傷つけられていた。その光景を目にした警察関係者は、誰もが呪われた過去の事件を思い出した。一九七八年からはじまった連続少女殺人事件。犠牲者は激しく乱暴されたあと、指一本と女性器を切り取られていた。だが、犯人のアンデシュ・ラスクは精神病院に強制収容されている。同一犯でないことは間違いない。 ラスクは自白と有力な状況証拠で有罪判決を受けたが、最近になってクリスティアンヌ・トーステンセンという少女殺しの自白を撤回し、再審請求がなされていた。そして、ダイナとクリスティアンヌの身体から検出されたDNAが一致したため、その請求が受理されてしまう。 一連の事件の捜査を命じられたトミー・バーグマンは、手がかりさえつかめないままダイナの葬儀に参列し、そこでクリスティアンヌの母親エリザベスを見かける。同時に、クリスティアンヌが遺体で発見されたあのとき、彼女が口にした言葉を思い出す。 「わたしのせい」
  • ようこそ、ヒュナム洞書店へ
    4.3
    【2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位】 完璧な人生なんてないけれど、「これでいい」と思える今日はある。 ネットで人気を博し韓国で累計25万部(2023年9月26日現在)を突破した、心温まるベストセラー小説! ソウル市内の住宅街にできた「ヒュナム洞書店」。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。 それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。 新米女性書店主と店に集う人々の、本とささやかな毎日を描く。
  • 狼の幸せ
    3.9
    人生に疲れた40歳のファウストは、長年暮らしたミラノを離れてイタリアンアルプス近くのレストランで働き始める。山に囲まれ次第に人間らしさをとりもどしていたとき、狼たちが山からおりてきていた――。ストレーガ賞受賞作家が描く、人生やり直し山岳小説。
  • ソクチョの冬
    3.5
    冬になると旅行客がほとんどやって来ない避暑地、ソクチョの小さな旅館でわたしは働いている。ある日、フランス人のバンドデシネ作家が旅館にやって来る。彼の中に、わたしは未だ見ぬフランス人の父と父の国への憧憬を重ねるが――。男女の一期一会を描く長篇
  • 凍りついた女
    3.8
    彼女は、恋愛で結ばれたエリート・ビジネスマンを夫に持つ高校教師。子供が二人いて、快適なアパルトマンに暮らしているが、結婚生活に失望している。いわゆる主婦の役割を期待されて、買い物、食事の支度、子供の世話、その他の家事に明け暮れるうち、生きる意欲や、外界への好奇心が、自分のなかで錆びついていくのを感じるしかない。自由と自立のなかの幸福を志向していたはずなのに、そういう状況にはまり込んでしまうとは。自らの軌跡をたどって、彼女は、幼少時、思春期、学生時代、恋愛の時期、結婚後を語る――「女の子」として、「女性」として、どう生きてきたかを語る。 フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自立への意欲と結婚生活への失望を描く、自伝的小説。
  • 京都に咲く一輪の薔薇
    3.3
    全世界で200万部超『優雅なハリネズミ』のフランス人著者が贈る、京都を舞台にした長篇小説 フランス人のローズは、一度も会ったことのない日本人の父が他界したという報せを受け、京都にやって来た。美術商だった父のアシスタント、ポールと出会い、恋に落ちるが――。ひとりぼっちだった女性が、古都に癒され自分を見つめ直し、人生の意味を見出す。
  • ペンギンの憂鬱
    4.1
    恋人に去られ孤独なヴィクトルは売れない短篇小説家。ソ連崩壊後、経営困難に陥った動物園から憂鬱症のペンギンを貰い受け、ミーシャと名づけて一緒に暮らしている。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたヴィクトルだが、身辺に不穏な影がちらつく。他人の死が自分自身に迫ってくる。ウクライナはキーウ在住のロシア語作家による傑作長編小説。
  • 雨の島
    4.3
    1巻2,640円 (税込)
    ごく近い未来を舞台に、ウイルスプログラム「裂け目」から送られる親しい人々の記憶と、台湾の自然、動植物をモチーフとして描かれる美しい6つの短篇集。著者自作のカラー博物画6点収録。
  • カッコーの巣の上で
    4.5
    1巻2,640円 (税込)
    体制に抵抗する者たちの鮮烈な冒険譚 精神病院にやってきた本書の主人公ランドル・パトリック・マックマーフィ。彼の性格は騒々しく、乱暴で、陽気で愛情のあふれる、反逆者である。そして、女好きで人生に前向きな戦士でもある。 看護師長ラチェッドの独裁にうんざりしていたマックマーフィは、ラチェッドに反旗を翻した。周りの患者たちも同意し結集していった。 病院の規律を破り、病棟でのギャンブルを盛り上げ、ひそかに女性たちを連れ込みワインを調達するなど、あらゆる場面で自由に振舞った。 最初は戯れとして始まったこの反抗は、すぐに厳しい闘争へと発展する。絶対的権威を背景とする師長ラチェッドと、自身の不屈の意志に従って行動するマックマーフィ。 ラチェッド師長がマックマーフィに対して究極の攻撃を行ったとき、何が起きたか。物語は衝撃的なクライマックスを迎える。 [原題]ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST
  • 石を放つとき
    4.5
    探偵マット・スカダー・シリーズ 待望の新作+傑作短篇集 エレインの知り合いが名前も知らぬ男から脅迫を受けていた。 老スカダーは単独で調査を始める…… 堂場瞬一・解説 凝った構成も、あっと驚くどんでん返しもない。 しかし本作品は、何とも言えない味わいを残す。 【 本書収録作品 】 夜と音楽と  窓から外へ  バッグ・レディの死  夜明けの光の中に  バットマンを救え  慈悲深い死の天使  夜と音楽と  ダヴィデを探して  レッツ・ゲット・ロスト  おかしな考えを抱くとき  ミック・バルー、何も映っていない画面を見る  グローガンの店、最後の夜 石を放つとき 原題: A Time to Scatter Stones  The Night and The Music A Matthew Scudder Novella
  • 短編回廊 アートから生まれた17の物語
    4.1
    その芸術はいま、語りはじめる――。 ゴッホ、ルノワール、葛飾北斎ら 美の巨匠に捧げる短編集。 名だたる作家17人による文豪ギャラリー第2弾! 作家ローレンス・ブロックは頭を悩ませていた――エドワード・ホッパーの絵から紡いだアンソロジー『短編画廊』の第2弾を計画しているのだが、いったい今度は誰の絵をモチーフにするべきか。思い悩んだ末、ブロックはある考えにたどり着く。何もひとりの画家でなくていい。今度は作家たちに、好きに名画を選んでもらおう。かくして、ジェフリー・ディーヴァーはラスコー洞窟壁画を。S・J・ローザンは葛飾北斎を。リー・チャイルドはルノワール、ジョイス・キャロル・オーツはバルテュス……といった具合に、今回も個性豊かなアートから物語が生まれ、新たなる〈芸術×文学〉の短編集が完成する。ここに文豪ギャラリー第2弾が幕を開けた――。 ○収録作品 「安全のためのルール」ジル・D・ブロック/田口俊樹 訳 「ピエール、ルシアン、そしてわたし」リー・チャイルド/小林宏明 訳 「扇を持つ娘」ニコラス・クリストファー/芹澤 恵 訳 「第三のパネル」マイクル・コナリー/古沢嘉通 訳 「意味深い発見」ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子 訳 「理髪師チャーリー」ジョー・R・ランズデール/鎌田三平 訳 「ジョージア・オキーフの花のあと」ゲイル・レヴィン/田口俊樹 訳 「アンプルダン」ウォーレン・ムーア/芹澤 恵 訳 「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」デイヴィッド・マレル/浅倉久志 訳 「美しい日々」ジョイス・キャロル・オーツ/芹澤 恵 訳 「真実は井戸よりいでて人類を恥じ入らせる」トマス・プラック/田口俊樹 訳 「グレートウェーブ」S・J・ローザン/直良和美 訳 「考える人たち」クリスティン・K・ラッシュ/田口俊樹 訳 「ガス燈」ジョナサン・サントロファー/芹澤 恵 訳 「陽だまりの中の血」ジャスティン・スコット/田口俊樹 訳 「ビッグタウン」サラ・ワインマン/芹澤 恵 訳 「ダヴィデを探して」ローレンス・ブロック/田口俊樹 訳 ○収録アート一例 ※全18点をフルカラーで挿入 Cypresses―「糸杉」フィンセント・ファン・ゴッホ The Empire of Light―「光の帝国」ルネ・マグリット Greatwave―「神奈川沖浪裏」葛飾北斎 Bouquet of Chrysanthemums―「菊の花束」ピエール=オーギュスト・ルノワール The Thinker―「考える人」オーギュスト・ロダン David―「ダヴィデ像」ミケランジェロ・ブオナローティ
  • 女たちのニューヨーク
    4.1
    1940年、アメリカ。小さな町のお嬢様ヴィヴィアンは、大学を辞め、NYのショーの世界に飛び込んだ。華やかで刺激的な毎日。だが、それは突然終わる。彼女の過ちが、街中を騒がす醜聞になったのだ。恋人も友達も居場所も失い、彼女は初めて自分と向き合う
  • 狂女たちの舞踏会
    4.0
    19世紀末、パリ。少女ウジェニーは「霊が見える」と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが「狂気」と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。
  • ダリウスは今日も生きづらい
    4.3
    イラン出身の母と白人の父をもつ、ペルシア系アメリカ人のダリウス。家でも学校でも疎外感を覚える彼は、母の故郷ヤズドを家族で訪れることに。そこではじめての友達を見つけ……。アメリカの様々な年間ベストブックスに次々と選出されたベストセラー! 民族、人種、性的指向、うつ病、多重のアイデンティティに悩む16歳の青春物語。
  • 最後の巡礼者 【上下合本版】
    -
    「ガラスの鍵賞」「リヴァートン賞」「マウリッツ・ハンセン新人賞」受賞 ――北欧のミステリ賞で三冠を成し遂げた警察小説の傑作、日本上陸!! 二〇〇三年六月八日、第二次世界大戦の英雄カール・オスカー・クローグの死体が自宅で発見された。ノルウェー貿易相まで登り詰めた老人は鳥のくちばしにつつかれたように切り刻まれ、犯人に強い殺意があったのは明らかだ。だが、手掛かりは凶器――ナチスの鉤十字が刻まれたナイフしかない。警察本部では犯人像を見いだせず、捜査は行き詰まってしまう。 そんな中、トミー・バーグマン刑事は二週間前に発見された三体の白骨死体との関連性を見出す。戦時中に殺された三人は、親ナチ派のノルウェー人実業家グスタフ・ランデの娘のセシリア、婚約者のアグネス・ガーナーとメイドだった。彼女たちはグスタフの近親者ゆえにクローグらレジスタンスの標的にされ、粛清された三人の縁者が復讐のためにクローグを殺した。そう推理したバーグマンは、六十余年前の事件の真相に挑む決意を固める。 一九三九年八月、アグネス・ガーナーは自らの手で愛犬を殺した。それがイギリス諜報部の最後の試験だったからだ。どうしてこんなことができるのか、自分でもわからない。確かなことは、ナチスを倒さねばならないということだけだ。その決意を胸にアグネスは故郷ノルウェーへ帰還する。人生を狂わせる運命の出会いが待ち構えていることも知らずに……。
  • 湖

    3.3
    まだ、いけにえが足りないんだよ――湖から戻らなくなった祖父。そして少年ナミは母を探し旅立つ。気鋭のチェコ女性作家が描く現代の黙示録!マグネジア・リテラ賞、EU文学賞受賞。
  • いちばんここに似合う人
    3.8
    水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教える娘。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で、頭がはちきれそうな中年女。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人――。強烈な個性と奇妙な優しさに満ちた16の短篇を、物語の声にぴったりと寄り添う岸本佐知子訳で。フランク・オコナー国際短篇賞受賞。
  • 変わったタイプ
    3.6
    月旅行を目指す高校からの四人組。西部戦線帰還兵のクリスマス。変わり者の億万長者とその忠実な秘書。男と別れたばかりの女がつい買ったタイプライター。ボウリングでセレブに上り詰めた男――。「良きアメリカの優しさとユーモアにあふれる短篇集」と各紙で賞賛された、人生のひとコマをオムニバス映画のように紡ぐ17の物語。
  • ノーラ・ウェブスター
    4.3
    夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
  • いつかぼくが帰る場所
    3.8
    メーデー、メーデー、こちらセスナ6333A、寂しくてたまらない……謎の疫病により、妻や友人知人のすべてを失った男ヒッグ。一変した世界で暮らす彼の仲間は、愛犬ジャスパーと、ガンマニアの隣人バングリーだけだ。しかしヒッグは、数年前に無線から聞こえてきた声が忘れられない。もしかしてどこかに元の世界が残っているのではないか? ある日ついに思い立った彼は、セスナ機で外の世界に飛び立つが……。人類がほぼ壊滅した後の世界の、絶望と祈りを描く傑作長篇。
  • 11日間
    4.3
    同時多発テロをきっかけに兵士になることを決めたサラの一人息子、ジェイソン。優秀な特殊部隊員となった彼は、最後と決めた任務のさなか、行方不明になってしまう。 息子の安否の情報をひたすら待つ母のサラ。彼女が年の離れた謎めいた男デイビッドと恋におち、若くして生んだのがジェイソンだった。物静かで強い青年に育った彼はいま、どこにいるのだろうか。アメリカが生み出した戦争文学の新しい傑作。
  • パリ 上
    5.0
    政治は腐敗、ブルジョワが隆盛を極め、労働者は貧困に喘ぐ19世紀末パリ。建設中のサクレ・クール寺院が見下ろす悪徳と矛盾の町で、信仰を失い魂を彷徨わせる一人の神父がいた――。

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  • ダーウィン・ヤング 悪の起源
    4.0
    末満健一氏による舞台化で話題! 真実と嘘、愛と像、自由と孤独、罪と罰、善と悪、滅亡と繁栄……人間の究極の葛藤を描いた、壮大にして濃密な人間ドラマ。罪を犯さずして、大人になどなれるだろうか――。 1~9地区まで区分けされた階級社会に生きる16歳のダーウィン・ヤングは、最上位の1区に育ち、トップ校に通う。ダーウィンは官僚の父・ニースに連れられ、ジェイの追悼式に毎年参列している。父の親友であったジェイは、30年前に16 歳で死亡。9地区の人間が起こした強盗被害に遭ったとされているが、犯人は不明のまま。唯一、犯人探しに執念を燃やすのはジェイの姪・ルミだ。ダーウィンは恋心を寄せるルミから、ジェイのアルバムから不自然に消えている写真があり、それが事件の鍵を握ると打ち明けられる。ダーウィンはルミと一緒に謎を解く旅に出るが、そこで明かされたのは、ひた隠しにされていた世界の光景と自身のルーツだった…。
  • 血を分けた子ども
    4.1
    ジャネル・モネイやN・K・ジェミシンらが崇拝するブラックフェミニズムの伝説的SF作家による、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた表題作を含む唯一の作品集。 知っているでしょう? 人類は、私たちの卵を宿すことで、生き延びたの―― 強大な力と知性を持つ節足動物「トリク」が支配する地で、トリクの保護を受けて暮らす人間たち。人間は、トリクの卵を男性の体内に宿し、育て上げるという役割を担っていた。 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた究極の「男性妊娠小説」である「血を分けた子ども」。 言語を失い、文明が荒廃し人々が憎しみ合う世界の愛を描き、ヒューゴー賞を受賞した「話す音」。 ある日突然神が現れ、人類を救うという務めを任された女性をめぐる、著者の集大成的短篇「マーサ記」。 7つの小説と2つのエッセイを収録する、著者唯一の作品集が待望の邦訳。
  • ドーキングの戦い
    -
    『宇宙戦争』(H.G.ウェルズ)を生んだ、元祖・架空戦記、待望の翻訳! 1870年代、急速に勢力を拡大するプロイセンに危機感を抱いた英国軍人ジョージ・チェスニーは、国家改革の必要性を訴え『ドーキングの戦い』を発表。架空のシナリオで戦争のリアリズムを描き、政府の無策と防衛体制不備を鋭く告発した本作は、当時の英国社会に大きな衝撃を与えた。さらに、この作品は後のスパイ小説やH.G.ウェルズ『宇宙戦争』などのSF小説に影響を与え、「架空戦記」や「侵攻小説」の先駆けとなった。文学史上の重要な作品として、またミリタリーファンからライトノベル読者まで広く楽しめる、必読の一冊! 【ストーリー】 「あの悲劇は容易に避けられたはずだった。 ああ、すべてが遅すぎたのだ!」 ヨーロッパで勢力を拡大する隣国の大軍が、ついに英国本土へ侵攻。 英国軍は兵士をかき集め決死の抵抗を試みるも、敵軍の猛攻に崩壊していく。 静かな田園地帯ドーキングは、祖国の命運を賭けた決戦の地と化した—— 50年後、生き残った兵士が孫たちに語る、祖国崩壊の回想録。 未来を託す者たちに伝えたい「敗戦の真実」とは?

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  • 止まった時計(ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション1)
    -
    ◆法月綸太郎氏推薦!! 「探偵役の顕現とともに眠っていた物語が覚醒し、意外すぎる犯人が名指された後もさらなる驚異が読者を翻弄する……。時間と視点を手玉に取る《叙述の曲芸師(パルプ・ジャグラー)》が技巧の限りを尽くしたワイドスクリーン走馬灯ミステリ。」 *** 舞台はワシントンDCの閑静な住宅街。かつて絶世の美人女優として一世を風靡した人妻ニーナ・ワンドレイが自宅で命を狙われ、瀕死の重傷を負った。薄れゆく意識のなか、ニーナは、自分がまだ生きていることに気づいた正体不明の犯人がとどめを刺しに戻ってくるのではないか?と恐怖する。ときあたかも、ニーナに再会すべく偶然にも同時期に訪問しようとする複数の元夫たちがいた。物語は彼らとの波乱万丈の結婚生活を往還し、驚愕の真相へと向かう。稀代の異才J・T・ロジャーズによる、過去と現在が入り乱れる眩惑的サスペンス。世紀の怪作『赤い右手』をも凌ぐ、知られざる最高傑作! ★《ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション》(全3巻)続刊 第2回配本『赤い月の夜に』(2025年刊行予定) 第3回配本『骰を振る女神』(2026年刊行予定)

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  • スウープ!
    4.0
    ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来(スウープ)! 同日同時刻に諸外国から侵攻されて、足の踏み場もなくなった絶体絶命のイギリス。 祖国の命運を賭けて、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスが反撃を挑む―― 〈ジーヴス〉シリーズのウッドハウスが戦争と世相を笑い飛ばす、幻の快作。本邦初訳! 【ストーリー】 ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来! 偶然にも、同日同時刻に(・・・前段参照!)そうしたなか、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスは仲間とともに祖国を救うべく奔走する。 徒党を組んでイギリス包囲網を作る各国の将官を、偽情報を用いたり、劇場で騒ぎを起こさせるなどして、彼らを仲たがいさせ、軍隊を同士討ちさせる。 そうしてまんまと侵略者たちをイギリスから追い出そうとする―― 戦争小説の一種なのに「人が死なない」という点でも本作は異色。 戦争が起きて、爆弾が落ちても街では誰も死なず(なぜならみな、夏のバカンスに出かけていたから!)、侵略軍の将軍に人気が集まる(なぜなら彼らはミュージック・ホールの舞台に立ち、拍手喝采を集める人気芸人になったから!)。 世界観も設定も、いつもの「ウッドハウス・ワールド」。ウッドハウス作品を読み慣れた読者には、安心安全桃源郷として楽しめる、今こそ読みたい戦争コメディ小説。

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  • アーチー若気の至り
    3.5
    舞台は第一次大戦終結後のニューヨーク。オックスフォード大学出身、心やさしくなにもできない青年紳士のアーチーは、大戦に従軍ののち、一族郎党から新大陸での成功を祈願されて米国ニューヨークに到着する。滞在の初日、アーチーはホテルで支配人とおぼしき人間とひと揉めして相手を大激怒させたが、向かった先のフロリダでは美女と恋におちて超スピード結婚。花嫁は、なんとそのホテル王の娘だった……。波瀾万丈抱腹絶倒の事件が連鎖する、笑いの巨匠ウッドハウス初期の傑作連作長編。本邦初訳。

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  • 雌犬
    3.9
    これはわたしの犬《むすめ》。 もし何かしたら、殺してやる。 この世から忘れ去られた海辺の寒村。子どもをあきらめたひとりの女が、もらい受けた一匹の雌犬を娘の代わりに溺愛することから、奇妙で濃密な愛憎劇《トロピカル・ゴシック》が幕を開ける…… 人間と自然の愛と暴力を無駄のない文体で容赦なく描き切り、世界15か国以上で翻訳され物議をかもしたスペイン語圏屈指の実力派作家による問題作が、ついに邦訳!!

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  • 氷の城
    3.5
    私はこの誓いを絶対に忘れない。 雪に閉ざされたノルウェーの田舎町。11歳の少女シスの通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ためらいがちに距離を詰め、運命の絆で結ばれたふたりの少女が、それぞれの思いを胸に、森深くの滝の麓につくられた神秘的な〈氷の城〉を目指す……類稀な研ぎ澄まされた文体により、魂の交歓、孤独、喪失からの再生を、幻想的・象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。 凛とした切なさを湛えた、出会いと別れの物語。 【英ペンギン・クラシックス収録の20世紀世界文学の名作】 【1965年度北欧理事会文学賞受賞作】 記憶に残る〈映画の名セリフ〉をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。

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  • 春どきのフレッド伯父さん
    4.3
    ウッドハウスの全小説中、否、世界文学史上、もっともイカれていて、ハチャメチャで、ナイスなキャラの持ち主といわれたフレッド伯父さんが、あのブランディングズ城で大暴れ。英国ウッドハウス協会の「一番好きな短編」投票でも堂々のトップを獲得した「ゆけゆけ、フレッド伯父さん」もあわせて収録。

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  • 屋根の上のソフィー
    3.7
    19世紀末.赤ん坊のころに難破船から助け出されたソフィーは,学者のチャールズに育てられた.ロンドンで12歳になった彼女は,母の記憶と形見のチェロケースを手がかりに,パリへ.そこで屋根の上を住処とする子どもたちと出会って…….仏ソルシエール賞ほか受賞多数.切ないほどの愛と勇気を,音楽がいろどる冒険物語.

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  • 私たちのテラスで、終わりを迎えようとする世界に乾杯
    3.6
    1巻2,530円 (税込)
    仕事はぼちぼちで、海外旅行なんて行けないけれど、ルームメイトと乾杯する小さなテラスはある──『フィフティ・ピープル』のチョン・セランが、明るい未来が見えない世界だからこそ、ささやかな希望を失わずに生きる人々をおかしみをもって描く、掌篇小説集。
  • 危険なトランスガールのおしゃべりメモワール
    4.5
    蟷螂拳(とうろうけん)を繰り出すトランスガール! こんな小説をずっと待っていました!――三木那由他 カンフーの達人で、病的な嘘つきのあたしは、生まれ育った町と家族から逃げ出した。 誰かが描いた物語に、閉じ込められないために。 行き着いた「奇跡通り」では、面倒を見てくれるディーヴァ、不思議な力を持つ魔女、鼻もちならない「お姫様」ら、様々なトランスたちに会う。やがて、殺されたトランスジェンダー女性たちの仇を討つことを使命とするガールギャングに入り、ストリートで暴れまわる。 待ち受ける数々の困難を前に、彼女は新しい家族を守り、痛みを癒し、 自分の中にある真実を見つけることができるのだろうか? エマ・ワトソンのブッククラブの課題図書となり話題を呼んだ小説、ついに邦訳。 創刊たちまち大好評の海外文学シリーズ「I am I am I am」、第二弾!
  • REBEL MOON パート1 : 炎の子 [1]
    -
    これはヒーローではない、〈反乱者(レベルズ)たち〉の物語 神話は滅びることはない、伝説の少女が世界を救う── 2023年12月22日配信開始! 『ジャスティス・リーグ』のザック・スナイダー監督! NETFLIX超大作SF映画 公式小説 2023年12月22日よりNETFLIXにて全世界一斉配信される壮大なSFファンタジー超大作「REBEL MOON  炎の子」を完全小説化。 製作・監督・脚本を務めるのは『300』『マン・オブ・スティール』『ウォッチメン』『アーミー・オブ・ザ・デッド』などで知られるザック・スナイダー監督。 同監督が数十年に亘って温めてきた企画が遂に映像化。黒澤明監督の名作『七人の侍』とジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』を彷彿とさせる世界観に全世界が注目している。 映像では描かれきれなかった、登場人物の内面や世界観を是非〈小説版〉で体験していただきたい。 〈あらすじ〉 宇宙の最果てにある小さな星。その片隅には人々が平和に暮らす集落があった。ある日、暴君バリサリウス率いる軍隊が侵攻し、人々を恐怖のどん底に落とし込む。この危機を救える唯一の希望は、村人たちにまぎれ秘かに暮らすある女性。彼女の名はコラ──謎の異邦人である。コラは圧政に立ち向かうべく共に戦う戦士を集めるため未知なる星へ旅立つ──。そこで出会ったのは、〝悲しい過去を持つ燃え上がる剣を振るう剣士〟〝巨大な獣を手懐ける戦士〟〝絶望を胸に闘技場に立つ荒くれ将軍〟などなど、〈団結〉とは無縁のクセだらけの問題児たち。果たして彼らは、それぞれの暗い過去を払拭し、銀河の自由を勝ち取れるのか?
  • 遠い声、遠い部屋
    4.0
    新鮮な言語感覚と幻想に満ちた華麗な文体で構成された本作は、1948年に刊行されるやいなや、アメリカ中で大きな波紋を呼び起こした。父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエル少年の、近づきつつある大人の世界に怯え屈折する心理と、脆くもうつろいやすい感情とを描いた半自伝的なデビュー長編。
  • 無垢なる聖人
    3.0
    農園主とその労働者たちの生きる姿を圧倒的な筆致で描き出す名作! 舞台は1960年代スペイン。荘園制の残り香かおるスペイン南西エストレマドゥーラの大農園で、還暦を過ぎ、認知症を患ったアサリアスは暇を出され、義弟の家へやっかいになる。 義弟はすぐれた嗅覚をもち、主人の狩りのお供にと重宝されていたが、ある日、事故で足を骨折してしまう。義弟のかわりにアサリアスがお供をするも、いつもどおりとはいかない。 狩りの調子は振るわず、苛立った主人が怒りをぶつけた先は……
  • ブラッディ・カンザス
    -
    グルリエ、フリーマントル、シャーペンの三家族がカンザスのコー・ヴァレーにやってきたのは、1855年のことだった。それ以来、三つの一族は隣人として生活してきた。ある時は奴隷解放に抗う者たちの襲撃を受け、またある時は疫病や旱魃といった大自然の猛威にさらされながらも、大地とともに、愛憎を紡ぎながら。歳月が過ぎ、フリーマントル家の屋敷は当主を失って無人になった。シャーペン、グルリエの両家は信教をめぐって対立を続ける。そして、激動の現代において、農場を営む人々といえども、世界と無縁ではいられない。親子の断絶、男女平等、イラク戦争、マスコミ、インターネット……フリーマントル屋敷にニューヨークから新しい住人が引っ越してきたことをきっかけに、人びとの生活に巨大な波紋が起きてゆく……。V・I・ウォーショースキー・シリーズの著者が自らの故郷を舞台に、現代社会でのさまざまな問題を折りこみ、大地に生きようとする人々を重厚かつ華麗に描く野心作。
  • 天国への電話
    3.0
    イタリア人作家が、東日本大震災の喪失の傷から立ち直る人々を描く感動作! もうこの世にいない大切な人と心が通じ合えるという「風の電話」。東日本大震災で母と娘を失ったゆいは、最愛の人に話しかけるため電話ボックスを訪れるが言葉が見つからない。そこで、妻を亡くした男性と出会い、親交を深めていくが――。希望と奇跡の感動作
  • カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ
    3.6
    フランシスは作家志望の21歳の大学生。かつての恋人のボビーと共にダブリンでポエトリー・パフォーマンスを行っている。二人の才能に目をつけたジャーナリストのメリッサと親しくなるが、フランシスはメリッサの俳優の夫に惹かれていく……。BBCドラマ化決定
  • レイラの最後の10分38秒
    4.1
    1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏にあるごみ箱の中で、娼婦が息絶えようとしていた。死後も続く10分38秒間の意識の中で、彼女は、5人の友人とひとりの最愛の人と過ごした日々を思い出す。居場所のない街の片隅でみつけた、汚れなき瞬間を映し出した物語
  • 余生と厭世
    3.5
    七十二歳の誕生日で引退することを決めた精神科医のもとに、最後の新患が現れる。希死念慮と自殺の衝動に苦しむ彼女とカウンセリングを重ねるなかで、精神科医は自らの人生と老いや死へのおそれを見つめなおす。デンマーク人心理学者が静謐な筆致で描く小説
  • イエスの学校時代
    3.3
    少年ダビードはシモンとイネスの庇護のもと、言葉を学び、友を作った。犬のボリバルも健在だ。やがて少年は七歳になり、バレエスクールへ入学する。ダンスシューズを履いた彼は、徐々に大人の世界の裏を知る――成長とは? 親とは? クッツェーの新境地!
  • 何があってもおかしくない
    4.3
    生まれ育った田舎町を離れて、都会で作家として名をなしたルーシー・バートン。17年ぶりに帰郷することになった彼女と、その周囲の人々を描いた短篇9篇を収録。卓越した短篇集に与えられるストーリー賞を受賞した、ピュリッツァー賞作家ストラウトの最新作!
  • 昏い水
    3.5
    知的で辛辣、自由を重んじ、七十代のいまも仕事のため遠方まで車を走らせるフランチェスカ、病床にあるどこか憎めない元夫、高級老人ホームで悠々自適の女友だち、恋人を突然亡くした息子が身を寄せるカナリア諸島のゲイの老カップル……。いかにも英国的なユーモアをちりばめながら、人生の終盤を生きる人々を描く長篇小説。
  • ぼくらが漁師だったころ
    4.0
    ロサンゼルス・タイムズ文学賞受賞。デビュー作にしてブッカー賞最終候補に選出された傑作長篇。ナイジェリアの小さい町に暮らす四人兄弟。厳しい父が不在の隙に兄弟は学校をさぼって魚を釣りに行く。しかし川のほとりで出会った狂人は、長男が兄弟の誰かによって殺されると予言した――九歳の少年の視点で生き生きと語られる、闇と笑いに満ちた悲劇の物語
  • 神秘大通り(上)
    3.5
    メキシコ・オアハカのゴミ捨て場育ちの作家が、雪のNYからマニラへと、古い約束を果たす旅に出た。いつしかそれが過去への旅に。娼婦にして教会の掃除婦だった母。サーカスのライオンに殺された妹。宣教師とトランスヴェスタイトの愛情深い養父母。怪しい美人母娘を道連れに、作家の感傷旅行はどこへ向かうのか。上巻。
  • ビリー・リンの永遠の一日
    3.5
    イラク戦争のさなか、一時帰国して戦意昂揚のためのショーに駆り出された兵士たち。過酷な戦場の現実と、政治やメディアの滑稽な狂騒の、その途方もない隔絶。テロや戦争の絶えない現代アメリカの姿を、若き兵士の視点から描く傑作長篇。全米批評家協会賞受賞。
  • 日陰者ジュード
    4.0
    学問の道を志す貧しいジュードは、本を取り寄せて自学しつつ、生活のために石工の見習いとなる。進学の見込みもないうちに、奔放なアラベラと結婚するものの、その関係はすぐに破綻してしまう。そして今度は知的で進歩的な考えを持つ従妹スーに惹かれ、ふたりは同棲を始めるが……。近代人の悲劇的運命を描いたハーディの代表作。
  • 恐るべき緑
    4.0
    人類と自然界の「過剰さ」への傾向に関する考察 世界33か国で刊行、オランダ生まれのチリの新鋭による、科学史に着想を得た斬新なフィクション。 「プルシアン・ブルー」 第二次世界大戦末期、ナチの高官らが所持した青酸カリと、西欧近代における青色顔料をめぐる歴史、第一次世界大戦の塹壕戦で用いられた毒ガス兵器の開発者フリッツ・ハーバーの物語。 「シュヴァルツシルトの特異点」 科学史上初めてブラックホールの存在を示唆した天文学者シュヴァルツシルトの知られざる人生。 「核心中の核心」 不世出の数学者グロタンディークの数奇な生涯と、日本人数学者、望月新一の人生の交錯を空想する。 「私たちが世界を理解しなくなったとき」 黎明期の量子力学の発展に寄与した三人の理論物理学者、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーと、それぞれに訪れた発見/啓示の瞬間。 「エピローグ 夜の庭師」 作者と思しきチリ人の語り手が、散歩の途中に出会った元数学者の庭師との会話や思索を綴る。 科学のなかに詩を見出し、宇宙の背後にある論理や数式が、天才たちの前におのずと姿を現わすかのような比喩が随所に光る。既存のジャンルを軽々と飛び越える国際的な話題作。
  • エドワードへの手紙
    4.0
    旅客機墜落事故の唯一の生存者である12歳の少年エドワード。両親と兄を失い、生きる気力を失っていた少年の6年に及ぶ成長の日々が、事故が起きる直前の機内の状況と交互に語られる。
  • 罪悪の王子たち 呪われし玉座 [上]
    -
    愛か、破滅か――。 世界を魅了したロマンタジー、待望の邦訳化! 運命に翻弄されるふたりの恋と、宮廷を揺るがす陰謀の渦。 すべてを懸けた闘いがここに始まる。 【あらすじ】 〈七つの大罪〉をつかさどる王子たちが潜むとひそかに囁かれる街、ウェイヴァリー・グリーン。 魔法の存在が噂され、呪われた物体に関われば破滅するとも言われるこの街で、 有名女性画家カミラは過去に描いた贋作を盾に脅されていた。 そんなある日、彼女のもとを訪れたのは、謎めいた美貌の男性エンヴィ。 彼はカミラに、呪われた物体のうちでももっとも危険とされる「呪われし玉座」の絵を依頼する。 カミラは依頼を断り、この危険な香りのする彼に惹かれまいとするのだが…。 エンヴィは魔界で崩壊寸前の宮廷を救うべく、過酷なゲームに身を投じていた。 やがてふたりは、魔界と人間界の運命を揺るがす危険な陰謀へと巻き込まれていく――。
  • ザ・ルーム・ネクスト・ドア
    3.6
    若い頃の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは──。全米図書賞受賞作家による感動作。ペドロ・アルモドバル監督映画原作。
  • フィフティ・ピープル[新版]
    4.2
    〈この50人の中に、きっとあなたの味方がいる〉 多くの読者に愛され、読み継がれてきた韓国文学の必読の名作が、細部にさらなる磨きをかけて再登場。 50人の登場人物が、あやとりのようにすれ違い、重なりあい、結び合う。 一度読んだ人も、初めましての人も。読めばだれかと話したくなる、悲しくて、おかしくて、痛くて、愛おしい物語。
  • ほんのささやかなこと
    4.2
    1985年、アイルランドの小さな町。寒さが厳しくなり石炭の販売に忙しいビル・ファーロングは、町が見て見ぬふりをしていた女子修道院の〝秘密″を目撃し――優しく静謐な文体で多くの読者に愛される現代アイルランド文学の旗手が贈る、史実に基づいた傑作中篇
  • 哀しいカフェのバラード
    4.0
    さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方は――。
  • 僕たちは星屑でできている
    4.0
    高校生のナタリーは,ドーバー海峡横断泳への挑戦を決心する.難民支援の募金活動のためだ.そのときサミーは,アフリカの独裁国家エリトリアを逃れ,命がけではるかイギリスをめざしていた.運命のいたずらが痛みを抱えたふたりを結びつける.そこに希望は生まれるのか――.カーネギー賞最終候補に選ばれた力強い詩物語.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー
    4.4
    セイディはMITの学生。ある冬、彼女は幼い頃一緒にマリオで遊んだ仲のサムに再会する。二人はゲームを共同開発し、成功を収め一躍ゲーム界の寵児となる。だが行き違いでゲーム制作でも友情でも次第に溝が深まっていき――。本屋大賞受賞作家による最新長篇
  • 滅ぼす 上
    3.7
    謎の国際テロが多発するなか、2027年フランス大統領選が行われ、経済大臣ブリュノと秘書官ポールはテレビタレントを擁立する。社会の分断と個人の幸福。フランス発の大ベストセラー。
  • インヴェンション・オブ・サウンド
    3.8
    「全世界の人々が同時に発する悲鳴」の録音を目指すハリウッドの音響技師ミッツィ、児童ポルノサイトで行方不明の娘を探し続けるフォスター。2人の狂妄が陰謀の国アメリカに最悪の事件を起こす――『ファイト・クラブ』の著者が2020年代の世界へと捧げる爆弾
  • 場所
    4.3
    父は労働者階級出身だった。 十二歳で学校を辞めさせられてから、農場で雇われ、その後は工場に勤務、母と結婚してからは小さな町で店をもった。フランス語の綴りもままならず、ずっと知識階級に引け目を感じていた人生だった。一人娘が学校で優秀な成績を収め、特に国語に秀でていることが分かってからも、娘が図書館に行ったり、家で本を読むのを嫌がった。そんな父も、娘がエリート出身の男と結婚して孫が産まれてからは、少しずつ娘が仲間入りを果たした知識階級へのコンプレックスとうまく折り合いをつけていったが――。 フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自分よりも上の階級に行こうとする娘へのわだかまりを抱える父を見つめる自伝的小説。1984年、ルノードー賞受賞。
  • タワー
    3.8
    674階建巨大タワー国家――。地上からの脅威が迫り、下層階を軍隊、上層階を富裕層が占める〈ビーンスターク〉の人々は、不完全で、優しい。 犬の俳優Pの謎、愛国の低所恐怖症、デモ隊vs.インド象、大陸間弾道ミサイル、テロリストの葛藤…… チョン・セラン、パク・チャヌク激賞!! 韓国SFの金字塔にして、笑いと涙の摩天楼エンタテインメントが、ついに日本上陸!
  • 「幸せの列車」に乗せられた少年
    4.1
    南部の困窮家庭の子を、一時受入れ先の北部の裕福な家庭へと連れていく列車。故郷の母への思いと新しい家族との生活で揺れ動く7歳の少年時代の物語と大人になってからの視点が心を打つ。
  • 足に敷かれた花
    -
    まだまだ重厚な小説の受けがよかった二十世紀前半において薄っぺらい登場人物たちを活躍させ、軽薄な文体を用い、ちょっぴりグロテスクでコミカルなコメディを描いた異色の作家ロナルド・ファーバンク。 代表作「足に敷かれた花」(“The Flower Beneath the Foot”)を、同じくファーバンクの世界観が魅力たっぷりに描かれた「見かけ倒しのお姫さま」(“The Artificial Princess”)とともに収録。 ファーバンクは戦前の日本で西脇順三郎や春山行夫、近藤東らによって初めて紹介され、堀辰雄、伊藤整、瀧口修造、田村泰次郎らの著作集に名前を見出すことが出来、戦後には塚本邦雄、由良君美、生田耕作、柳瀬尚紀らもファーバンクについて記し、中でも由良と柳瀬は短編を訳出するなど、かねてより国内で関心を持たれつづけた作家である。 その作風は難解でありながらも、本国においてファーバンクを追慕する作家はあとを絶たず、同時代のE・M・フォースター、アーサー・ウェイリーを始め、イヴリン・ウォー、オルダス・ハックスリーなどなど、ファーバンクを賞賛、影響を広言する英国の小説家・文筆家は多い。 【表題作「足に敷かれた花」のあらすじ】 架空の王国ピスエルガに仕えるラウラ・デ・ナジアンジは疲倦宮(つかれうみのみや)ユーセフ親王と恋仲だった。宮中ではさまざまな悪謀が渦巻き、ゴシップが囁かれる。そこにユーセフとエルジー姫の結婚の話が持ち上がってくる。同時にユーセフの女ったらしぶりも明らかとなり、ラウラは遊ばれていただけであることがはっきりする。裏切られたと感じたローラは、宮廷から身を引き、修道院へ向かうことになるが……。
  • ラヴ
    4.0
    貧しい生まれのヒードとホテル王の孫クリスティンは幼なじみ。ヒードがホテル王の妻となった時から、二人の運命は狂い出し、やがて遺産をめぐって争うが......ノーベル文学賞受賞作家の新たな傑作。

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