作品一覧

  • 両膝を怪我したわたしの聖女
    3.0
    1巻2,999円 (税込)
    決 壊 す る 文 体 ――圧倒的な感情がほとばしり、膨れ上がり自壊する言葉の群れが未熟な欲望を覆い尽くす。10歳の少女らを閉じ込めるひどく退屈な夏休み、早熟なふたりの過激で破滅的な友情。 スペイン最南カナリア諸島発、世界18カ国語に翻訳の問題作。  ◇ ◇ ◇ スペイン・カナリア諸島に暮らす、10歳の「わたし」と親友イソラ。 せっかくの夏休みは、憂鬱な曇天に覆われていた。薄暗い貧困の地区を抜け出して、陽光のふりそそぐサン・マルコス海岸に出かけたいのに、仕事に追われる大人たちは車を出してやる余裕がない。ふたりの少女は退屈しのぎのため、不潔にして乱暴、猥雑で危うい遊びにつぎつぎ手を染める。 親友というには過激すぎる、共依存的関係性。 「わたし」にとってイソラはまるで聖女のように絶対的な存在だった。イソラが両膝を怪我すれば、舌でその血をなめとった。イソラの飼い犬になりたかった。粗暴な物語に織り込まれた緻密な象徴の数々。子どもらしいイノセンスとは無縁の、深い悲しみに由来する頽廃と陶酔の日々。 イソラと共にある日常は永遠に続くかに思われた。しかし——  ◇ ◇ ◇ Andrea Abreu, Panza de burro (2020) 装丁:コバヤシタケシ 装画:さめほし「夜明けの海」

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  • 雌犬
    3.9
    1巻2,534円 (税込)
    これはわたしの犬《むすめ》。 もし何かしたら、殺してやる。 この世から忘れ去られた海辺の寒村。子どもをあきらめたひとりの女が、もらい受けた一匹の雌犬を娘の代わりに溺愛することから、奇妙で濃密な愛憎劇《トロピカル・ゴシック》が幕を開ける…… 人間と自然の愛と暴力を無駄のない文体で容赦なく描き切り、世界15か国以上で翻訳され物議をかもしたスペイン語圏屈指の実力派作家による問題作が、ついに邦訳!!

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  • ガラスの虎たち
    -
    1巻1,320円 (税込)
    ノスタルジックでやるせない傑作ミステリー。 1978年12月、バルセロナの貧困地区で一人の少年が殺された。それから37年後、二人の男は偶然再会した。一人は人生の成功者として、一人は人生の落伍者として。彼らは幼い頃に親友として同じ団地で過ごし、12歳の時に罪を犯して、まわりの大人の思惑で離ればなれとなっていた。そしてその再会から、全ての歯車が狂い始めた……。 『死んだ人形たちの季節』『ある自殺』のベストセラー作家が、友情とは? 贖罪とは? 家族とは? を問う、ノスタルジックでやるせない、スペイン発傑作ミステリー。
  • ラスト・ウェイ・アウト
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    自室で拳銃自殺を図ろうとしていたテッドの前に、突如リンチと名乗る見知らぬ人物が訪れる。彼は、ある“組織”にテッドを勧誘しようとするのだが……。アルゼンチン発、読者を幻惑の渦へと巻きこむ奇書登場!

ユーザーレビュー

  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    面白いとか心震えるとかじゃない、「私がいる」と思った。
    女であること以外に共通点のないダマリスが抱えるものを私は知っている。
    根源的な母性の暴力性と濃密な南米の自然の描写はあまりにも似ていて、自分が子供の頃から振りまわされ持て余し恐れていた「これ」はまさしくこのジャングルであり母性。

    0
    2022年11月12日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    動物好きな人はご用心かも。
    重たすぎる愛は憎しみに変わるとき、暴力を伴う。

    ダマリスはずっと子どもが欲しかったから夫のロヘリオと努力したけどとうとう子どもは出来なかった。
    ロヘリオも若い頃は協力的で薬草を一緒に摘んで薬を作ったり、怪しい民間療法をうけたりしていたけれど今はもうそんなことは遠い話になってしまっている。
    もう、40歳になってしまいロヘリオとは生活は共にしているが愛情はあるのかないのかよくわからない。
    家族になりきれなかったように、きっとふたりとも考えていそうと思った。
    海岸で死んでいたエロディアさんの犬の子を衝動的にもらい受ける。雌犬だ。
    雌犬に女の子が産まれたらつけようと思って

    0
    2022年07月20日
  • ラスト・ウェイ・アウト

    Posted by ブクログ

     あまりにも面白いので、最初の1/3は電車を乗り過ごすほど読みふけり、ラスト1/5を切ってからは、読み終えるのがもったいなくて少しずつ読み進めた。

     ある男が自殺を図ろうとしている。
     ノックの音が響く。無視しようとしたがずいぶんとしつこい。

     ドアを開くと、一人の美青年がいた。彼はとある男を殺すように提案してくる。
     なぜ? なんのために?
     自分はいま、死のうとしているというのに。

     物語はこんな風に始まるのだが、たぶん、この先は予測できる人は誰もいないだろう。というか、解説を読むと作者自らが理解できていないまま語りだしているらしい。どんな天才だよ!
     非常に映画的で読みやすく面白い

    0
    2016年11月27日
  • ラスト・ウェイ・アウト

    Posted by ブクログ

    過去と現在を縦軸に、記憶と人物を横軸にとって、縦と横とに揺さぶる揺さぶる。何が本当に起こったことで、誰が何を…?と、「12モンキーズ」や「メメント」に似た目眩を覚える。人物造型にもプロットにも手抜きや隙がない。
    読みであり。

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    2016年09月13日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    コロンビアの海辺の村で邸宅の管理人をしているダマリスは、近所からもらった雌の子犬を飼い始める。ダマリスは不妊治療の末に子どもを諦めた過去をもち、子犬の成長に慰めを感じて溺愛するが、いつしか思い通りにならない犬への愛が歪んでいく。トラウマを持つ中年女性と雌犬の愛憎関係を乾いた筆致で描く。


    なんだか雌犬づいている。女性と雌犬の奇妙な依存関係が印象的な物語を読むのは今年に入って3作目。レベッカ・ブラウンの『犬たち』、ホセ・ドノソの「散歩」、そしてこの『雌犬』だ。もちろん本書は最初からタイトルに引力を感じて手に取った。
    『犬たち』は幻想の雌犬が増殖し、深い孤独を抱えた主人公の心を苛む話。「散歩」は

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    2024年04月08日

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