バウムガートナー

バウムガートナー

小説・文芸
2,530円 (税込)

12pt

S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • タイトル
    :
    バウムガートナー
  • タイトルID
    :
    2066371
  • 電子版発売日
    :
    2025年12月17日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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バウムガートナー のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    オースター遺作。巻末の作品リストを見たら、日本語で読めるものは全部読んでた。未訳が2冊あるみたい (柴田元幸さん待ってます翻訳よろしく頼みます)
    大好きなコーマックマッカーシーもオースターも鬼籍に入ってしまい彼らの本をもう読めない今、あと存命の好きな米作家はジョンアーヴィングくらいだけどアーヴィングは恐ろしく遅筆だから新作まであと何年待てばいいのかもわからないんだよなあああ

    0
    2026年08月16日

    Posted by ブクログ

    ポール・オースター最後の小説、と身構えて読み始めてしまったが、4321に続く希望と瑞々しさが感じられて爽やかな読後感。もう新作が読めないのは本当に残念だけれど、ありがとうと心から言いたい。

    0
    2026年07月29日

    Posted by ブクログ

    いや、最後まで心地良いな。。いつでも、人生捨てたものではないかもと希望を持たせてくれる。そんなことないはずなのに。優しい人。

    0
    2026年07月19日

    Posted by ブクログ

    作品紹介・あらすじ

    ここではない、どこかから電話が鳴る。ポール・オースター最後の長篇小説。S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作

    *****

    ポール・オースターの遺作。
    本当は「4321」を読んでから本書に取り掛かろうとしたのだけれど、「4321」の分厚さに慄いてしまい、半分以下の分量の本書に手を付けた次第。

    主人公は、哲学者で大学教授でもある男性で、詩人で翻訳者であった妻のアンナとの出会いから死別、妻の死をきちんと受け入れることができず、かつ自身の老いや死についても見つめざるを得ない状態にいる70歳になるS・T・バウムガートナー。
    作品中にはアンナの詩やバウムガートナー著による短篇作品などが挿入されている。
    ドラマティックな出来事が起きる訳でもなく、謎解きやストーリーの面白さを味わうような作品でもないのに、一度読み始めるとやめることができなくなる。それは僕が(まだ70歳にはなっていないけれど)既に人生の3分の2を費やしてしまったことで、バウムガートナーに感情移入しやすくなっているのかもしれないし、ポールの文章、あるいは翻訳者の柴田元幸氏の訳文に人を惹きつける何かがあるからかもしれない。元々大好きな作家だったポールの遺作、ということも要素として挙げてもいいのかもしれない。

    最後をどう受け取るべきなのだろう。バウムガートナーに対する皮肉ともとれるし、どこか不穏な気配の始まりのようにも感じられる。あるいはバウムガートナーとポール・オースターを重ね合わせることによってポール自身のことを言っているのかもしれない。もっと最新作を読みたかった作家だけに、彼の死は本当に残念でならない。幸いにも未読の彼の作品があるので、少しずつ読んでいこうと思っている。

    0
    2026年03月20日

    Posted by ブクログ

    『ペンを手に、キェルケゴールの一連の筆名を論じた著書の第三章の一文を途中まで書いたところで、文を終えるにはある本を引用する必要があり、その本を昨夜寝る前リビングルームに置いてきたことに思いあたる。取りに行こうと階段を降りていく最中、今朝十時に妹に電話する約束をしたことに今度は思いあたり、もうほぼ十時なので、本を取りにリビングルームへ行く前にキッチンに行って電話をかけることにする。ところがキッチンに入っていくと、鋭い、刺すような匂いがして彼は思わず立ち止まる』

    思わずニコルソン・ベイカーの「中二階」を思い出してしまうような書き出しのポール・オースターの遺作は、予約の順番待ちで長く待たされることもほぼなく手許に届く。この後の予約も一件入っているのみ。どうやらこの界隈ではオースター読みはそれ程多くないのかも知れない。

    ポール・オースターの小説はほぼ全て読んできているけれど、「写字室の旅」辺りからの小説では少し息苦しくなるような思いを強いられていた気がする。そんな思いが払拭されたのが「4・3・2・1」であったし、翻訳の柴田さんがオースターは常に新境地を切り開いていると言っていたので、この遺作はどんな小説なのだろうと読む前から期待していた。

    個人的には(そして多くのオースター読みの人々もそうだと思うが)ポール・オースターと言えばニュー・ヨーク三部作に尽きるような気がする。それは正に稀代のストーリーテラーという修辞が相応しい、ある意味オースターらしい作品群だと思う。そこに登場する主人公が時折オースター自身を思わせることもあるにはあるけれど、自伝的という物語では決してなかった。それに比して2000年代以降の作品は主人公が老人ということもあり自省的な物語という雰囲気だったし、「4・3・2・1」もやや自伝的な物語であると読みながら思ってしまった。それに増して本書「バウムガートナー」は自伝的な雰囲気の強い小説だと思う。それはどういうことかというと、小説を読んでいるような気分に中々浸れない、作家の言葉として聞いてしまいがち、ということでもある。

    主人公は老境に達した作家。妻を事故で失くしている(という点はオースターの私生活とは異なる)。しかし、若い頃のフランスでの恋人との生活の下りや活発な人物像はともすると最初の妻であるリディア・デイヴィスを彷彿とさせるし、翻訳などで生活を支えていた若い頃の話や詩作をこの妻の話として語っているようにも見える。そして終盤に出て来る父や母の話や移民としての来し方を語る下りは、ほとんど自伝とも言える口ぶりだ。父に関して言うなら、作家として世に出した一作目「孤独の発明」は父の死に触れて書いたものだという。その死により遺産を得て作家として専念するという辺りの話は「4・3・2・1」で散々聞いた話。本作でも同じような話の展開が披露される。

    『高校時代から始まって、溺死する三週間前までに至る詩の分厚い束。未完に終わった二つの長篇小説、何篇かの短篇、十あまりの書評等々の、手書きで直しが入ったタイプ原稿。そして、一番下の引出しにぽつんと一つ、自伝的な文章を集めた中くらいの大きさの箱。バウムガートナーはその箱を手にとり、彼女の机に持っていって、彼女の椅子に座り、蓋を開けてみた。山の一番上に置いた束は錆びかけたクリップで留めてあった。つまり古いということだ。もう何年も前、ひょっとすると結婚当初、いやもっと前かもしれない。彼はそれを両手で持って、読みはじめた。

    フランキー・ボイル

    夜明け前の幼い日々、五、六、七、八歳の嘴の黄色い年月、野球こそ私のスポーツだった』

    ああ、こういう展開の仕方はポール・オースター的だな、と思う。むしろ、本書の中に挿入された、劇中劇とも言える文章はストリーテラーとしてのオースターの魅力を素直に感じられる。もちろん、作家として一つのやり方に拘泥してしまうのを良しとしなかったことは理解できるけれど、こういう物語もまた読みたかったなと思ってしまうのも、正直なところ。それが読めないのは残念だけれど、最初に読んだ「ムーン・パレス」の衝撃を自分はいつまでも忘れられない気がする。

    0
    2026年03月16日

    Posted by ブクログ

    晩年の作品には、正しく晩年であることを表して(オースター作品らしからず)穏やかな場面が多いが、通底して、「人から見える世界は全てその個人の脳内にある」という世界観なので助かる。
    誰かから見える世界は、親しい人の死や社会を揺るがす事件と同様に、それに対して反応する個人の脳内のイベントに支配される。
    内面に閉じた世界観を描くということについて圧倒的な信頼があるため、オースターを好きで居続けてきた。
    そしてここまで期待を裏切らずに居続けてくれた作家は他にいなかった。

    本作でも、バウムガートナー氏の他に登場する人物はいるが、全て氏の脳のフィルターを通した描写のみで進む。
    重要に見えない細かい風景描写が何ページも続いたり、重要そうな事件の描写が一行で終わるのも、個人毎にフィルターを通した物事の見え方がそれだけ異なる事を意味する。
    読んでいると、人が脳内で孤独である事を肯定されているような静かな気分になれる。

    0
    2026年06月16日

    Posted by ブクログ

    アメリカの70歳の大学教授が主人公。
    妻を亡くした喪失感の中、身体も精神も衰えてくる。
    悲しみに沈んでばかりもいられず、日々の暮らしを送っていると、希望の光も見えてくる。
    若い頃のキラキラな回想や自分のルーツを巡る話も展開される。
    少し混沌としてるけど、これが生きてきた証のようだ。

    0
    2026年06月07日

    Posted by ブクログ

    なかなか読む覚悟を決められずに購入して5ヶ月くらい積読していたけれども意を決して読みました。

    第1章は読むのに少し根気を要したけれども、その後バウムガートナーとアンナそれぞれの過去や家族のルーツを遡っていく様はまさに自分が好きななオースターでした。



    0
    2026年05月19日

    Posted by ブクログ

    これが最後の長編小説という先入観があるせいか、喪失の悲しみと、老いやその先にある死への諦念が色濃く感じられました。再生とか、ここからもう一花、みたいな明るさを見出した人もいるようなのだけれど、わたしには人生の最終章という印象のほうが強かった。なんかずっと寂しかったです。たとえば秋の景色に対して、きらきらと日の光を受けて輝く紅葉や落ち葉のじゅうたんが美しくて好ましいと感じる人がいる一方で、冷たい風を受けて散っていく葉や道路をカラカラと駆けてゆく枯葉に心がざわついてうら寂しさを感じる人もいますよね。この本はわたしにとっては後者の景色。オースターはどんな思いで書いていたのだろう。

    0
    2026年05月07日

    Posted by ブクログ

    笑えるのに笑えない。泣けるのに泣けない。
    枯淡の境地なんてどこ吹く風の、初老の男を巡る物語。

    思い通りにいかない老いた体への諧謔と、縦横無尽に展開される思考の渦と、あたふたとした日常の瑣末時のごった煮の中に、失った人生の伴侶への愛、若き日々の一コマ、奇跡のような喜びの瞬間が、突然一筋の光として差し込まれる。

    そして、オースターが最後の一行に込めた力強い宣言は、逃れがたい現実に満ちた人生を、煌めくジョークとスリリングな冒険へと変えてくれる。


     “生きるとは痛みを感じることであり、痛みを恐れて生きるのは生きるのを拒むことなのだ。”

     “ある出来事が真実として受け容れられるためには、それが真実でなければならないだろうか、それとも真実だと信じる気持ちがあれば、たとえ起きたとされることが本当には起きていなくても、それだけで真実になるものだろうか”

    引用した二つの文章があらわすとおり、リアルな痛みに目を凝らすこと、そしてリアルを超えた真実に目を向けることのどちらをも、オースターはいつだって飄々と自在に行ききする。
    老いも、病も、死の予感も、自由な精神を阻むことはない。

    0
    2026年05月03日

バウムガートナー の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • タイトル
    :
    バウムガートナー
  • タイトルID
    :
    2066371
  • 電子版発売日
    :
    2025年12月17日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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