その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

ピエロの父、曲芸師の母、踊り子のわたし。祖国を逃れ放浪生活を送る、サーカス一家末娘の無垢の物語。39歳で非業の死を遂げた伝説の作家による自伝的傑作。シャミッソー賞・ベルリン芸術賞受賞。

「地獄は天国の裏にある。」
祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったが――。
世界16カ国で翻訳、伝説の作家が唯一残した自伝的傑作が、ついに邦訳!

ドイツ文学史上最も強烈な個性。ーー南ドイツ新聞
まさに綱渡り芸を、息をのんで下から見守っているかのよう。ーーペーター・ビクセル

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その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    独裁者によって生活ができなくなった主人公の家族が、国外へ脱出しサーカスの団員として生活をする半生を書いたもの。
    社会的な弾圧と家族の中での個々との共存、サーカスという世界、信仰によって造らせた精神がとても危ういと感じる。
    子どもという狭い世界での知識による外と内との折り合いの付け方がアンバランスすぎ

    0
    2025年01月06日

    Posted by ブクログ

    するすると読める。その読み心地とは裏腹に、文章が心に絡みついて離れない。
    余白が、「わたし」の叫びを表す太字が。
    「わたし」は幼年期を過ぎ、少女になり、思春期を迎える。とても危うい時代。「わたし」の周りの世界は残酷で、不確かで、風が吹けば飛んでいってしまいそうだ。
    少女の語り口は明るくて、それでいて

    0
    2025年12月04日

    Posted by ブクログ

    残酷な環境を少女の純粋で明るい語りで伝えられるので心をグサグサ刺される。

    物語の終わはあまりすっきりしない。何故かというと、本当のラストはあとがきで伝えられる作者の早すぎる最期だから。

    「地獄の裏に天国がある」

    生まれる国が違うだけでここまで境遇の違いがあっていいのだろうか。

    文字数も少なく

    0
    2025年11月23日

    Posted by ブクログ

    ふしぎな書物。まるでわたしが主人公になったみたい。
    父さんと母さんと姉さんと、ほかの人たち。
    ところどころ、絶叫したり、余白をもたせたり、繰り返したり。
    少女の肉声が絶えず語りかけてくるようだった。

    0
    2025年11月12日

    Posted by ブクログ

    どれが実体験でどれが小説なのかは分からないけれど、小説であって欲しいところが全て実体験のような気がする。両親がルーマニアを出たことは良かったのかも知れない。ずっと不幸の霧の中を生き抜いていくわけだけど、一度も食べるものがないとか衣服靴がないなどの描写はない。とはいえ食料や衣服があれば幸せかといえば、

    0
    2025年10月26日

    Posted by ブクログ

    サーカス団に入って移動している移民家族。その娘のどこか危うい成長。ゆるやかに、あるいは突然に崩れる文体が彼女の精神状態のようで目が離せなせずひりひりする。

    0
    2025年07月19日

    Posted by ブクログ

    どこまでが自伝で、どこまで妄想なのか創作なのか、よくわからない不思議な世界に連れ込まれる。
    元靴職人と揶揄されるチャウシェスク政権下のルーマニアでの悲惨な生活は繰り返し語られ、豊かな生活を求めて西側に脱出しても旅回りサーカスの一員であるロマでは難民の暮らししかできない。
    にもかかわらずルーマニアに残

    0
    2025年01月09日

    Posted by ブクログ

    ひと目見ていま読むべき作品だと手に取って読んだものの、衝撃すぎてなかなか感想がまとまらなかった。

    抽象画を言葉にしたらこうなるのではないかという、散文詩のような形式でつづられていくのは、時代と、場所と、家族に翻弄された一人の少女の内側からの視点。
    読んでいる方が、おかゆの中で煮られているような感覚

    0
    2024年11月03日

    Posted by ブクログ

    社会主義国ルーマニアから亡命してきた一家。
    ロクデナシでピエロの父。曲芸師の母。父に溺愛され、その関係は家族を超えている姉。そして踊り子の私の一家が、放浪生活をしながらサーカスで何とかお金を稼いでいく。

    作者のアグラヤ・ヴァテラニーは39歳で亡くなっており、本作は37歳のときに出版された作品。

    0
    2024年10月25日

    Posted by ブクログ

    もっと小説ではなく散文詩として捉えて、そういう製本をするべきだったのでは?ソローキンじゃないんだから。

    内容自体は評価できる。太字はチープだ。

    最後を描きたかったんだな。良い本は光り輝く(本当に目が潰れるくらいの光が)瞬間が一つある。もっと薄い本になれば、その時また読み返したい。

    0
    2025年07月19日

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