車輪の下で

車輪の下で

小説・文芸
682円 (税込)

3pt

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周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし、厳しい学校生活になじめず、次第に学業からも落ちこぼれていく。そして、友人のハイルナーが退校させられると、とうとうハンスは神経を病んでしまうのだった。療養のため故郷に戻り、そこで機械工として新たな人生を始めるが……。地方出身の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。【光文社古典新訳文庫】

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車輪の下で のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    簡単に言ってしまえば自伝的悲劇なんだとは思うが、ヘッセ自身の幼少期は悪いことばかりってわけではなかったのだろうなと思う。
    ハンスの育った町や神学校、工場といった舞台と、それらで関わってゆく人物たち。今作では彼らについては基本的には冷ややかな視線で描写されているが、そんな冷笑的な中にも田舎の素朴な美しさであったり、(結果的にハンスを追い込むきっかけとなったが)学問の奥深さや知識を得ることの喜び、一筋縄ではいかない同級生たちの個性や“ノリ”、労働者階級のガサツながらも誇らしい一面をもっている気風だったりと、どのステージでも魅力的な要素も忘れられていない。
    物語は悲劇を辿るが、これが創作でなかったら、どの場面においてもハンスはコミュニティに適応できて幸せになれる余地が残されていたように思う。

    だから、あらすじから伺える内容のわりに読んでてめちゃくちゃ楽しいし引き込まれるんだと思う。

    0
    2026年05月14日

    Posted by ブクログ

    少年の繊細な心は、まるで剥き出しの心臓を見ているかのようでした。受験、宗教、学校教育に対する批判や、後半に描かれる労働や初々しい恋といった要素も含め、心理描写が非常に細やかで、ハンスの葛藤や孤独が強烈に伝わってきます。彼のプライドや挫折、苦悩にも大いに共感しました。結末は悲しいですが、それ故に深く考えさせられる作品だと思います。高校生の頃に読んだ際はハンスと同じく学校への批判的な視点を持ちましたが、30代の今、再読してみると、もう少し器用に生きられなかったのか、不合理や葛藤とうまく付き合えたのではないかと、異なる視点が得られました。読み直して本当に良かったと思います。

    0
    2024年10月05日

    Posted by ブクログ

    確固たる理由を持っている場合よりも、なんとなく衝動に任せて行動してしまうケースの方が遥かに多い。

    主人公ハンスがなぜあのような最後を迎えたのか。私には明確な理由はないように見えた。精神を削られ、朦朧とした意識になっていたとはいえ、若さゆえになんとなく身を任せてしまったのだろうと。ただ、それが非常にリアルだなと思った。

    0
    2023年08月04日

    Posted by ブクログ

    優等生の少年ハンスの苦悩と破滅が描かれた小説だが、本筋以外にも様々な楽しみ方ができる。一粒で何度も美味しいタイプの本。

    第1,2章は神学校の試験に向けた勉強と受験本番、そして受験後の解放というハンスの心情の移り変わりが秀逸。情景や周辺人物の描写も、ともすれば必要以上なほどに詳細ですぐに作品世界に入り込めた。ぼく自身の受験時代を思い返し、これでもかと感情移入してしんどくなりつつ、それでも眩しかった。

    そして第3,4章は青春小説。同じくドイツの『飛ぶ教室』のごとき、少年たちの若さと美しさに目が潰れそうになる。特にハイルナーとハンスの友情はもはやブロマンスの域を超えており、かといって同性愛でもなく、異性への興味に目覚める前の少年だけに許された尊い関係性としか言いようがない。
    仲直りの際のハンスの言葉はグッと来た。「許してくれなきゃダメだよ、ハイルナー!こうやってきみの周りをうろうろするくらいなら、むしろ最下位になりたいんだ。きみさえよければまた友だちになろうよ。そして他の奴らに、他人はお呼びでないと見せつけてやろう」。名訳だと思う。

    そして第5,6,7章で、ハンスの苦悩が最高潮に達する。その過程もリアルで、挫折の後しばらくの放心状態を経て絶望に陥り、そして一時の小康状態、更に深い絶望というのを繰り返す。
    ここまで散々ハンスに感情移入してきた身としては救いのある終わり方を望んでしまうところだが、個人的には考えうる限り最悪のバッドエンドだった。それでいて悔しいほどに美しい。古代ギリシアやシェイクスピアにいう悲劇の魅力を垣間見たように思う。

    枝葉の話にはなるが、既訳の多くはタイトルを『車輪の下』としている。そもそも「車輪の下」とはドイツ語の表現で落ちぶれる、といった意味らしいが、本作で描かれているのは車輪の下「で」どう振る舞うかであり、光文社古典新訳文庫版のタイトルの方が内容に適切な気がする。

    0
    2023年04月09日

    Posted by ブクログ

    ノーベル賞作家ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ。大人たちの期待と詰め込み教育に押しつぶされる少年の軌跡。

    悲痛な話だ。日本人に特に人気があるというのも、少年ハンスにはどこかしら共感するものが多いからだろう。繊細な感性と周囲の視線。友情と恋愛における齟齬。思春期における様々な問題のすべてが、何かをかけ違えたようにうまくいかなかったら、誰もが同じような苦悩に埋没してしまうかもしれない。そのリアリティと、教育のあり方に対する糾弾は、今の日本人にとっても他人事ではないと思えた。泣ける体力のあるときに読んでおきたい名作。

    0
    2022年07月07日

    Posted by ブクログ

    日本語訳が非常にわかりやすく、文学初心者の私でも読み終えることができた。

    主人公ハンスに性格や思考に共感できるところは少なからずあったので、飽きなく読めた。主人公の最終的な結末をみて、少なからず同情の念はわいた。本当の意味で主人公ハンスを理解し支えてくれる大人がいれば、こんなことにはならなかったのではないかと思う(母がまだ存命で、友人も退学したければ、こんなことにならなかった?)。

    ドイツの田舎の美しい自然描写や街の暮らしなどが細かく表現されていて読んでて楽しかった

    0
    2022年04月08日

    Posted by ブクログ

    主人公の苦悩 車輪の下という題の意味は落ちぶれるという意味合いを持つらしい。
    日本の受験生なら感じたことのあるであろう苦悩、挫折、足掻きを少年は孤独に向き合っているように感じた。

    0
    2025年12月06日

    Posted by ブクログ

    昔大学生のころだったと思いますが。。
    そのころに付き合っていた人に紹介してもらった
    と思う本。
    そのころは読まなかったのですが。
    その時にこの本を読んでいれば、どう思って
    どうなっていたのか?
    もういまとなっては、そんなに重くは受け止めることは
    ないですが。
    やはり、自分のことを考えてしまう内容だったと思います。
    だれでもある感情だとは思いますが。

    0
    2018年08月29日

    Posted by ブクログ

    私も高校生で上京し、男子寮生活に入った。地元ではそこそこ優秀だったのだが、全国から集まってくる秀才たちに圧倒され、勉強する意味がわからなくなった経験がある。ハンスの気持ちもよくわかった。レール自体に気づかず、疑問を持たない人生の方がラクに生きれるのではないか?と物思いに耽ってた自分を思いだした。自分の子供には、自由奔放さと社会のルールを両立できる人間に育ってほしいと思う。

    0
    2026年07月29日

    Posted by ブクログ

    ハンス。少年。繊細。秀才。小さな町で一番の神童。神学校に入り、自由奔放で怠け者の友人(ヘルマン)ができると、次第に勉学から遠ざかっていく。将来を期待され、ちやほやされてきたハンスだったが、徐々に周囲の態度は冷たくなる。ハンスはしだいに精神を病み、学校を退学。父親の紹介で機械工の仕事につく。ハンスは機械工の仲間と酒を飲んだ帰りに川に落ち、人知れず闇の中を流れていく。ヘルマン・ヘッセHesse『車輪の下』1906
    〇ヘルマン・ハイルナー。ハンスの同級生。詩を作る。自由奔放。
    〇エンマ。ハンスが想いを寄せる女の子。
    〇フライク。靴屋の男。親方。信心深い。勉強ばかりするなとハンスをさとす。

    2人の罪人のうち、1人は墓場の前で悔い改め、もう1人はそうしなかった。友人に選ぶなら、悔い改めなかった方だ。彼は自分の道を最後まで歩み、最後になって、それまで彼を助けて来た悪魔と手を切ったりしない▼ある人間を憎むとき、私たちは自分自身の中に巣くっている何かをその人間の像の中で憎んでいる。自分自身の中にないものは、私たちを興奮させはしない▼鳥は卵から無理に出ようとする。卵は世界だ。生まれようとする者は、ひとつの世界を破壊しなければならない。ヘルマン・ヘッセHesse『デミアン』1919
    〇マックス・デミアン。救済者。善と悪の両極。アプラクサス(古代の神・神的なものと悪魔的なものの結合)。男性的であり女性的。
    ●フランツ・クローマー。悪。
    〇ベアトリーチェ。清楚な乙女。
    〇エヴァ。母性。
    〇エミール・シンクレア。10歳。

    マルテ。男。28歳。作家。病弱。神経過敏。孤独。パリの街での経験、幼少時代の回想を通じて、死と愛について考える▼パリでの経験。鉛筆を差し出す白髪の老女。神経疾患の老人。車を引き野菜を売る盲目の男。病んだ医学生。表情がない丸顔の娘。包帯ぐるぐるの人▼幼少時代。苦しんで死んだ祖父と父。机の下の赤鉛筆をおうとしゃがむと向かいの壁から痩せた大きな手がのびてくる。取れなくなった仮面▼愛されるとは亡びること、愛するとは亡びないこと。ライナー・リルケ『マルテの手記』1910 ※オーストリア

    ++++++++

    トニオ。内気。詩が好き。夢見がち。芸術家になるべく、修行を積むが、卑俗なものへの憧れを捨てきれない。トマス・マンMann『トニオ・クレーゲル』1903

    アシェンバッハ。男。50代。理性と禁欲を重んずる芸術家。ドイツの田舎の別荘に閉じこもって仕事。人生に疲れ、仕事にも行き詰まったため、異国の地ヴェネツィアで過ごすことに。そこでタドゥツィオ(=タッジオ)という少年(14歳)に出会い、ギリシア彫刻のように美しい少年の姿に陶酔していく。少年の美しい姿を精神的なものに移し替えたいと願う▼ヴェネツィアにコレラが蔓延しはじめる。アシェンバッハは酒池肉林の夢を見る。老いて醜いの自らの姿(肉体)に吐き気を催す。アシェンバッハは少年に気に入られようと若作りの化粧をする。空気は湿って重く、腐敗の臭いに満ちている。アシェンバッハは美しい少年を追い求めながら海辺で息絶える。トマス・マンMann『ヴェニスに死す』1912
    ※プラトン「パイドロス」。美は魂が真実の世界(イデア界)を思い出すきっかけになる。
    ※理性と衝動の緊張関係が人間

    ハンス・カストルプ。23歳。ハンブルク出身。大学を卒業したばかり。病気のいとこを見舞いに、スイスの山にある療養所にやって来た。死と病気の空気が支配する「魔の山」。3週間後、ハンスは体調を崩し、肺浸潤と診断され、「魔の山」の客ではなく、住人になってしまう。時間のない生活、心配も希望もない生活、停滞していながら、うわべだけは活発に見える放縦な生活、死んだ生活。「悪魔が権力を掌握して、支配権を宣言した、悪魔の名は鈍感だった」。気づけば7年が過ぎている。しかし、ある日、第1次大戦がはじまり、ハンスは目が覚め、熱狂に身を投じる。「死は自由・冒険・無形式・快楽、理性は死の前に立つと滑稽に見える、死を克服するのは愛だけ、理性ではなく愛が善良な思想を生み出す」。トマス・マンMann『魔の山』1924
    ※ベルクホーフ。スイスの山にある療養所(サナトリウム)の名前。保養地ダヴォス(毎年ダヴォス会議が開かれる場所)。
    〇ヨアヒム。ハンスのいとこ。スイスの山の療養所で静養。生真面目。退所して軍人になるも、再び入所。病死。
    〇クロコフスキー。医者。
    〇セテムブリーニ。イタリアの文学者。人文主義。人間の尊厳。啓蒙。理性。真理。
    〇ナフタ。教授。冷笑。共産主義。神秘主義。自然は人間のためにある。セテムブリーニと思想的に対立。セテムブリーニと決闘の末、自分の頭を銃で撃って自殺。
    〇ショーシャ。女。妖艶。だらしない。ハンスが恋を打ち明ける。
    〇ベーベルコーン。ショーシャの愛人。楽観。理想。富豪。豪快。本能。酒飲み。自殺。
    ◆死・病気への興味は、生への興味の一形態にほかならない。
    ◆馬鹿にも様々な種類があって、利口は馬鹿のうちのあまり感心しない一種である。
    ※シューベルト「菩提樹」

    他人の感情生活に想像力を働かせる。察知する。トマス・マンMann『若いヨゼフ』

    *****************

    ピーチャム。男。ロンドンの裏町ソーホー区で、ホームレスたちを利用して商売をしている。ピーチャムの愛娘ポリーが、窃盗団の男メッキーと結婚してしまう。ピーチャムは怒り心頭、娘を奪った男メッキーを逮捕・処刑に追い込もうとするが、張りぼての馬に乗った女王の使者が現れ、メッキーに恩赦を与え、メッキーを貴族に列する。ベルトルト・ブレヒトBrecht『三文オペラ』1928 ※ジョン・ゲイ「乞食オペラ」(1728)が元。
    ※銀行の設立に比べれば、銀行強盗なんぞ大したことはない▼街角に立ってる腕のない人を見ると、えらく心を動かされて、10ペンスを恵んでやる気持ちになる。しかし、二度目に見ると、5ペンスに減り、三度目には警察に引き渡してしまう。

    アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」、ガリレオ「英雄を必要とする国が不幸なのだ」。ベルトルト・ブレヒトBrecht『ガリレイの生涯』1939

    純粋な信念の人、宗教に夢中になる人、世界を変革・改善しようとする人。高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのはこういう人たちである。シュテファン・ツヴァイクZweig『ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像』1930

    ヨーゼフ・ロートRoth『聖なる酔っぱらいの伝説』1939

    第二次世界大戦の前夜。ナチスからパリへと逃れてきた避難民たちの生活。エーリッヒ・レマルク『凱旋門』1946

    オスカル。3歳のとき転落事故を起こして成長を止める。言葉を一切しゃべらず、ブリキの太鼓をたたくのが日課。特技はかん高い声で声でガラスを粉砕すること。第二次大戦では、小人の前線慰問団の一員として戦地をまわる。父がソ連兵に射殺され、再び成長することを決意。その後、殺人事件の容疑者として逮捕され、精神病院に収容されるが、2年後、真犯人が見つかり釈放。ギュンター・グラスGrass『ブリキの太鼓』1959

    灰色の紳士。時間貯蓄銀行の外交員。人々に時間の無駄になることを止めさせ、時間を貯蓄するよう勧める。行きつけの飲み屋に行くのは時間の無駄。インコを世話するのも時間の無駄。本を読むのも無駄。友人に会ったり、母親とおしゃべりしたり、恋人に会いに行くのも時間の無駄。時間を1分でも節約。ただ節約・貯蓄した時間はその人の手元には残らず、奪われてしまう。時間を節約をしているつもりで、時間を失っている。時間どろぼう▼時間の節約に取り憑かれた人々はあくせく生きるようになり、人間らしさを失っていく。くたびれて、不機嫌、怒りっぽく、落ち着きがない。とげとげしい目つき。生活は画一的で冷たい▼モモは時間が貯蔵されている倉庫を見つけ出し、時間どろぼうを退治。人々に心豊かな生活が戻る。ミヒャエル・エンデEnde『モモ』1973
    〇モモ。女の子。黒髪。巻き毛。特技は人の話を聞くこと。犬や猫、コオロギ、ヒキガエルにも耳を傾ける。木々のざわめく風にも耳をかたむける。自然体。廃墟になった小さな円形劇場に住んでいる。
    〇カシオペイア。カメ。歩みが遅い。せかせかしない。灰色の男たちからモモを助ける。予知能力。
    〇マイスター・ホラ。時をつかさどる。時間の国。
    ※現代社会と人間

    ミヒャエル。15歳。少年。36歳の女ハンナと恋仲。文盲のハンナはミヒャエルに会うたびに「本を朗読してほしい」と言う。朗読し、シャワーを浴び、愛し合う。しかし、ある日、ハンナは突然、姿を消す▼数年後、大学(法学部)に進学したミヒャエル。大学の授業でアウシュヴィッツ強制収容所の裁判を聴講。なんと、そこには被告人として法廷に立つハンナの姿。ハンナは強制収容所の看守をしていた過去があり、罪に問われていた。ハンナに無期懲役の判決が下り、刑務所に収監される▼ミヒャエルは文盲のハンナのために文学作品を朗読した声をカセットテープに録音し、ハンナに送り続ける。18年が経過、ハンナは恩赦が認められ、出所することに。ミヒャエルは出所後に住む家などを準備。出所日の前日、刑務所を訪問して、ハンナに再会。ハンナは老人のような外見で、老人のような匂いがする。声は若いときのままだ。出所日の朝、ハンナは首を吊って死ぬ。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』1995

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    2025年04月20日

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