【感想・ネタバレ】車輪の下でのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月07日

バッドエンド、暗い話ウェルカムなので、最高なラストではあった。まぁ、夢オチ、とは言わないけど、ああいうラストはズルい感じもする。けど、わたしは、ああいう風に投げ出して解釈任せて想像させてくれるのも好きだから、良かった。
うーん、でも、ハンスは何一つ間違っていないからこそ、彼を死なせてしまうことにより...続きを読む、やっぱ変わらない世間の肯定になってしまう、彼が車輪の下に轢かれてしまったことを証明してしまうことになるので、それは悔しい。やっぱ絶対生きててほしかった。ハンスは死んではいけなかった。

全体も、試験前・試験後・神学校・地元に戻った後(過去の思い出・現在)、とにかくテンポが良くて、スラスラ読めた。
そのテンポで主人公の心持ちもコロコロ移り変わっていくけど、その様子もちゃんと一つずつ理解できて、1ページたりとも飽きることなく読み切れた感じでした。(学校に馴染めなかった時点で、この劣等感でずっと話続いていくのかな?と思いきや、ファルケン、女の子の話とハンスの気持ちもテーマも進行し続けてくれたおかげかな?あと読みやすさは翻訳の力もあるのかな?)
あの最後のお酒のシーンも、今まで友達とかのコミュニティーが自分の一番渇望していたものだからこそ、それに飲み込まれていってクラクラする感じ、自分にも共通する感覚で、本当に引き込まれた。

やっぱりわたしはハイルナーが大好きでした。
彼は元気にやっているだろうか…

名著と呼ばれる理由は理解できた、けど本当に名著かどうか、そして、ヘルマンヘッセが好きかどうかは、ちょっとまだ分からない。

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Posted by ブクログ 2023年08月04日

確固たる理由を持っている場合よりも、なんとなく衝動に任せて行動してしまうケースの方が遥かに多い。

主人公ハンスがなぜあのような最後を迎えたのか。私には明確な理由はないように見えた。精神を削られ、朦朧とした意識になっていたとはいえ、若さゆえになんとなく身を任せてしまったのだろうと。ただ、それが非常に...続きを読むリアルだなと思った。

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Posted by ブクログ 2023年04月09日

優等生の少年ハンスの苦悩と破滅が描かれた小説だが、本筋以外にも様々な楽しみ方ができる。私はなんだか、やたらと「オタク的」な読み方になった。

例えば第1,2章は神学校の試験に向けた勉強と受験本番、そして受験後の解放というハンスの心情の移り変わりが秀逸。情景や周辺人物の描写も、ともすれば必要以上なほど...続きを読むに詳細ですぐに作品世界に入り込める。そしてハンスの姿が私自身の受験生時代に重なり、しっかり感情移入してしんどくなりつつも眩しく映った。

そして第3,4章は青春小説。同じくドイツの『飛ぶ教室』のごとき、少年たちの若さと美しさに目が潰れそうになる。特にハイルナーとハンスの友情はもはやブロマンスの域を超えており、かといって同性愛でもなく、異性への興味に目覚める前の少年だけに許された尊い関係性としか言いようがない。
仲直りの際のハンスの言葉はグッと来た。「許してくれなきゃダメだよ、ハイルナー!こうやってきみの周りをうろうろするくらいなら、むしろ最下位になりたいんだ。きみさえよければまた友だちになろうよ。そして他の奴らに、他人はお呼びでないと見せつけてやろう」。名訳だと思う。

そして第5,6,7章で、ハンスの苦悩が最高潮に達する。その過程もリアルで、挫折の後しばらくの放心状態を経て絶望に陥り、そして一時の小康状態、更に深い絶望というのを繰り返す。
ここまで散々ハンスに感情移入してきた身としては救いのある終わり方を望んでしまうところだが、個人的には考えうる限り最悪のバッドエンドだった。それでいて悔しいほどに美しい。古代ギリシアやシェイクスピアにいう悲劇の魅力を垣間見たように思う。

枝葉の話にはなるが、既訳の多くはタイトルを『車輪の下』としている。そもそも「車輪の下」とはドイツ語の表現で落ちぶれる、といった意味らしいが、本作で描かれているのは車輪の下「で」どう振る舞うかであり、光文社古典新訳文庫版のタイトルの方が内容に適切な気がする。

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Posted by ブクログ 2022年07月07日

ノーベル賞作家ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ。大人たちの期待と詰め込み教育に押しつぶされる少年の軌跡。

悲痛な話だ。日本人に特に人気があるというのも、少年ハンスにはどこかしら共感するものが多いからだろう。繊細な感性と周囲の視線。友情と恋愛における齟齬。思春期における様々な問題のすべてが、何かをか...続きを読むけ違えたようにうまくいかなかったら、誰もが同じような苦悩に埋没してしまうかもしれない。そのリアリティと、教育のあり方に対する糾弾は、今の日本人にとっても他人事ではないと思えた。泣ける体力のあるときに読んでおきたい名作。

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Posted by ブクログ 2022年04月08日

日本語訳が非常にわかりやすく、文学初心者の私でも読み終えることができた。

主人公ハンスに性格や思考に共感できるところは少なからずあったので、飽きなく読めた。主人公の最終的な結末をみて、少なからず同情の念はわいた。本当の意味で主人公ハンスを理解し支えてくれる大人がいれば、こんなことにはならなかったの...続きを読むではないかと思う(母がまだ存命で、友人も退学したければ、こんなことにならなかった?)。

ドイツの田舎の美しい自然描写や街の暮らしなどが細かく表現されていて読んでて楽しかった

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月06日

ヘッセの2作目。自伝的小説。
日本で第1作目の「ペーター・カーメンツィント」より売れている理由は、鬱屈した締め付け型の学校教育・競争受験社会への共感かららしい。

純粋で繊細で不器用な少年ハンスが周囲の期待=圧力からどんどん身のうちに虚栄心を育てていき、虚栄心が自分のエネルギーを食い尽くして、最後は...続きを読む干からびた身体と魂ですっと消えていく。ハンスを見守ってくれていた親方が埋葬時に父親に語る言葉でハンスが少しでも救われてほしい。「あそこに行く紳士方も」「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」「いえ、これ以上はやめましょう。あなたとわたし、我々も、あの子に色々としてやれたことを怠ったのではありませんかな?」

豊かな森、素朴な生活の情景描写にうっとりする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年07月05日

ハンスが死を支えに生きるとき、そして冷たい水の中で帰らぬ人となったとき、安堵した。無慈悲に回る車輪の轟音のふもとで生きるには、彼の心は小鳥の雛のように柔らかくはかなすぎた。人生にピリオドをあっさりと打てる人もいるけれど、そうでない人もたくさんいる。小鳥の心の周りを頑丈な鎧で固めたり、小鳥の心に知らん...続きを読む顔して、新たな大人の理性をインストールしたりして生きてる人をたくさんしっている。私の中のハンスは、ぼんやり遠いうつろな目をして日曜日の終焉に絶望している。

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Posted by ブクログ 2018年08月29日

昔大学生のころだったと思いますが。。
そのころに付き合っていた人に紹介してもらった
と思う本。
そのころは読まなかったのですが。
その時にこの本を読んでいれば、どう思って
どうなっていたのか?
もういまとなっては、そんなに重くは受け止めることは
ないですが。
やはり、自分のことを考えてしまう内容だっ...続きを読むたと思います。
だれでもある感情だとは思いますが。

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Posted by ブクログ 2014年07月12日

読んでいて、すごくやりきれない気持ちになった。牧歌的な生活の描写と主人公の悲惨な生活の対比が、素晴らしかった。

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Posted by ブクログ 2022年05月24日

キスシーンが幻想的で、ザ・耽美でもう最高
美しい自然の描写は、煌びやかな川の流れが目の前に浮かぶようだった

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Posted by ブクログ 2021年05月08日

要所要所での人間に対する分析が非常に鋭く、登場人物それぞれの人生もどこか見過ごせないような感じがして、とても面白かった。ハッピーエンドと捉えるか、バッドエンドと捉えるかは人によりそう。主人公のような人生を歩む人は多いと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月12日

ヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身...続きを読む的存在であると解説で知り、面白い。
レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで感触が変わるだろうな。

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Posted by ブクログ 2020年01月12日

思春期の少年の、細かな心の動きをしつこく客観的に描いた作品。
10代の頃に出会っていたら、すごく救われるか図星すぎて直視できなかったか。
思春期って命がけなことを思い出した。
それとは別に季節と風景の捉え方が秀逸。

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Posted by ブクログ 2016年07月04日

小学生の時、母親から、読むようにと無理やり押し付けられた本の中に「車輪の下」があった。たしかポプラ社から出てた小学生用に易しく翻訳された「車輪の下」である。当時、どうしてもその本を読む気になれず、そのまま年月は過ぎてたんだが、今回、新訳という事で「車輪の下」に初挑戦してみた。
読んでみる気になったの...続きを読むは、あるラジオ番組で、新訳で出された本書のことを褒めていたからだ。非常に読みやすい訳って聞いて、読んでみようと思ったわけだ。もっとも本書を購入してから半年近く積読状態だったんだが・・・。

ヘッセの自伝的小説とも言われる本書。おおまかな流れは、ドイツのある田舎町。町で一番の優等生ハンスは、神学校に入学するため友だちとの交流や遊びも犠牲にして勉強に打ち込む。ハンスは、まわりの同級生や労働者を見下していた。自分は彼らとは違うんだ、と・・・。
やがて2番の成績で合格したハンスは、神学校で型破りな少年ハイルナーと出会う。彼との友情を育みながら、ハンスは勉強以外にも楽しみを見つけるのだが、ハイルナーが退校処分になった後から、精神を病みはじめ、とうとう授業中に倒れてしまう。
故郷に戻ってたハンスは、エンマに恋愛感情を抱くが、その感情をコントロールする術もわからず、悶々とするうちにエンマは町から姿をけしてしまう。
職人の見習いとして働き始めたハンスは、それまで自分が見下していた人たちの生活の中にも、確かな喜びが存在することを知る・・・。

この本のテーマは、教育制度や子供を理解しようとしない大人への批判なのかなぁ。ただ、それだけでもないような気もする。読む人によって、それぞれの受け止め方が分かれるような作品だと思う。

神学校でのハイルナーとの口づけのシーンは、BL要素が満点だな。不安定な思春期の心の揺れをうまく表現してるんじゃないか?エンマとのシーンもなかなかエロティックである。自分の感情と欲望を上手くコントロール出来ない思春期特有のもどかしさ・・・。
また、全編を通して自然の描写が多い(くどいほどだ)だが、ドイツの風景が目の前に広がるようだった。

神学校の校長の言葉で、
「手を抜いちゃいかんよ、さもないと車輪の下敷きになってしまうからね」
と述べられている部分があるのだが、運命という車輪の下敷きになったハンスの人生を読んで、自分のこれまでの人生も想い返していた。

最後の場面、フライク親方の台詞が印象的だ。
「あそこに行く紳士方も」と彼は小声で言った。「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」
「あなたとわたし、我々も、あの子にいろいろとしてやれたことを怠ったのではありませんかな?」

この話を小学生に読ませるのは無理だろ!いくら易しく書き直してるとはいえ、この本の持つ批判精神までは理解できないだろうな。と、自分の母親に呆れた・・・。

背表紙~

周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

訳者のあとがきで触れられているのだが、この「車輪の下」、本国のドイツよりも日本の方が、毎年10倍売れているそうだ。わかる気がする・・・。

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Posted by ブクログ 2014年11月24日

ヘッセが1905年に発表した自身の学生時代を描いた自伝的な長編小説。初めて読んだのは、中学生の頃に新潮文庫から出ている高橋健二訳でしたが、今回は新訳で。しかし、100年以上前の作品が、今も読む度に新しい感動を生みだすという持っている力に本当に驚かされる。ハンスの周りにいた大人たちがもっと色々なサイン...続きを読むに気づいていれば、彼は死なずに済んだんだろうと思うとやるせない気持ちになる。新訳はかなり読みやすいので多くの人に読まれると良いな。とは言うものの、四苦八苦しながら、あえて旧訳で読むという選択肢も面白いと思う。

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Posted by ブクログ 2014年09月25日

ハンスは若者の象徴のように思える。
頭がよくて言われたことは有無を言わず勉強する。インプットするがアウトプットする機会を得ない。
そんな彼がどんな結末になるかとても関心があった。まさか飲んだくれて死の結末になるなんて。
ひたすら勉強して学校に合格し、恋やら友情やらを味わい、没落の道を歩んで行った。
...続きを読むこれはハンスだけの問題じゃない。周りのサポートのなさも影響していると思う。一つの道にしか与えず、その道をそれたはのけ者にする。
大人だって責任があるんだ。

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Posted by ブクログ 2014年05月31日

前半の神学校篇はBL展開じゃないか!(笑

ラストについて。女や労働、酒という新しい刺激に楽しさを見出すハンス君だが、それはかつて少年時代に彼が見下していた「俗な輩」が好むものではないか?と。それに気付いてガーンときたのではないかなぁ、と。
でもハンスは最後に微笑んでいた。自分の中の俗な部分を受け入...続きを読むれたってことなのかな。

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Posted by ブクログ 2013年05月12日

はじめ読んだのは高校のころだったと思うけど、新潮の高橋建二訳だった。
そのときはやたら内容が重苦しくかんじられたし、読後感がアレなもんで「こなくそ!」てな気分になった。

新訳で読むヘッセ。いいです。
再読だからもちろん物語は破滅という終局に向かっていくことはわかっているんだけれど、全体としてはそん...続きを読むなに暗くなくて、なおかつハンスが最後に感じる抗いようのない徒労感みたいなものにも難なくついていけた。

あとハンスの自然や遊び、あるいはハイルナーに寄せる友情やエンマへの恋慕といった瑞々しさは、やはり新訳に分がある。

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Posted by ブクログ 2013年05月03日

 今までずっと食わず嫌いだった作品なんだけど、想像よりずっと面白かった。もっと前に読んでおけばよかった。
 猛勉強して田舎から神学校に進んだ主人公は学校での生活になじめずに落ちこぼれ、敗者として田舎に戻ってくる。機械工として新たな一歩を踏み出そうとするけれど、さらなる苦しみが主人公を襲う‥。
 スト...続きを読むーリーは暗いんだけど、ドイツの自然が上手に描かれているし、主人公の脇を固める登場人物たちも個性的で、どんどん読み進められた。田舎でも神学校でも自分の居場所を見つけられなかったある意味「半端」な主人公の苦悩が伝わってきた。

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Posted by ブクログ 2013年03月17日

小さい頃のワクワクした気持ちを感じられる部分もあるけれど、常に悲壮感がつきまとう。どうすれば彼は救われたんだろう。

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Posted by ブクログ 2022年08月30日

おとなは、子どもに過度の期待をすることでつぶしてしまうこともある。
教育とはかならずしも人間を幸せにはしない、という感じの小説。
名作と呼ばれるだけあって、説得力がある。

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Posted by ブクログ 2022年07月13日

有名な本なので読んでみた

事前に他の方のレビューを見ないで良かった
(読んでいたら、多分最後までたどり着けなかった)

秀才タイプならではの悩み?
教える側(教育体制)への問題提起でしょうか

文章としては主人公の悩みをひたすら追いかけていくので
読んでる方がノイローゼになりそう
ただドイツ?の地...続きを読む方風景の描写が素晴らしいので、
なにげない釣りや収穫したリンゴをジュースにするシーンは目に浮かぶよう

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月27日

ハンスがもう少し生きて大人になっていたら気持ちの整理ができたり、現実と折り合いをつけて生きられたのかなとも思ったりする。
少年愛とも思われるシーンもあり、少女漫画界に影響を与えたらしい。

学生時代に別の訳で既読だが、この訳はとても読みやすかったです。

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Posted by ブクログ 2021年12月23日

どこまでも美しい言葉のリズム
美しい中に痛みを感じる表現
1905年に書かれた作品を今わたしは読んでいる…
100年以上前の言葉に 今の私の心が震えている…

“車輪”という言葉に 絶望と希望が込められているのだろうか…

少年の心の成長の繊細な描写が描き出されている
時に車輪を追い抜き 追い越さ...続きを読むれ 下敷きになりながらも
ヘッセ自身の人生を体現させてくれる


ラストはまるで映画を観終わったかのように
すーっと私の前から物語が消えていく…
心に残る映画を観たあとの
少しずつこちら側の世界に戻ってくるような感じがした…

もしも この作品を読みなおす機会があるならば…
間接照明がほんのり灯る中で ウイスキーを飲みながら
ヘッセの世界を堪能してみたいかもしれない…

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Posted by ブクログ 2018年04月24日

中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当...続きを読むに正しい教育の姿なのだろうか…
私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少なくとも本書はヘッセ諸作の中で、中学生に読ませる本ではないのではないか。親が子供に与える本の大切さはもっと認知されてしかるべき問題だと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月24日

‹内密紹介より›
周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

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受験に耐え抜き、...続きを読むエリート学校に進学したハンス。
そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンスはついに学校を退学して「機械工」として社会復帰を目指します。
ホワイトカラーとして社会のトップ層として人生を送るつもりだったのに、今までの努力(余暇、青春を犠牲にしてきたのに)が水の泡となったことを感じつつ、新たな環境に適応しようと努力してきましたが、そこでも「今までの価値観」との差に悩み続けるハンス。

進学校の中学生・高校生には少し「厳しい」小説になるかもしれません。
推薦する生徒を選ぶ作品では、とも思います。
教職員としては読んでおいてよかった作品だと感じます。

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Posted by ブクログ 2015年07月17日

いたって普通、という感想しか持てなかった。
緩慢に人が壊れていく話。
人といっても、10代の真ん中位の少年だけれど。
共感も何もなかったのは、年を取りすぎたからか、元々心がないからか。
150717

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Posted by ブクログ 2015年01月01日

教育業界はいつの世も問題を抱えている。教育を受ける子供たちが苦しむのは不条理である。
大人はかつて子供だったのに、自分が子供だった頃を覚えている人は少ない。

子供に寄り添える、子供が手放しで心を見せてくれる、そんな大人になりたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年11月23日

舞台は20世紀初頭ドイツ南部。
主人公は、田舎の村で優秀で、周囲から期待されていた少年。
遊びや友達付き合いを我慢して勉学に打ち込みエリート学校へ入学したのだけど、成績が落ち精神を病んで退学し、田舎に戻って機械工になって、、、という少年の挫折を描いた古典小説。

著者のヘルマン・ヘッセが彼自身の少年...続きを読む時代のことを書いた自伝的小説でもあるらしい。
たしかに、少年が不幸になった根本原因は、親や教師や社会のせいだ、みたいな恨みつらみが全編通じて詰まっているように感じた。
ヘッセがこの小説を書いたのは20代。
彼は退学して機械工をした後、作家という別の道を見つけることが出来たけど、まだ少年時代の辛い気持ちを忘れてなかったんだと思う。

正直、読んでいてそんなに面白い小説ではない。
今回始めて読んだけど、僕が学生の頃に読んでも、可哀そうだなということ以外に何も感じなかったと思う。
でも今、40歳で親になって読んで思うのは、子供に過剰な期待をして親の決めた人生を歩ませようとしても、幸せになれないんだろうなということ。
とはいえ一方で、子供の自主性に任せているだけでは、必要最低限の勉強もしないんで、そのさじ加減が難しいのだけど。

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Posted by ブクログ 2014年03月09日

見えない「将来」の為に我慢するよりも、生きてる「今」を大切にしたいと思わせてくれる。詩的な情景描写も◎

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