【感想・ネタバレ】車輪の下でのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

バッドエンド、暗い話ウェルカムなので、最高なラストではあった。まぁ、夢オチ、とは言わないけど、ああいうラストはズルい感じもする。けど、わたしは、ああいう風に投げ出して解釈任せて想像させてくれるのも好きだから、良かった。
うーん、でも、ハンスは何一つ間違っていないからこそ、彼を死なせてしまうことにより、やっぱ変わらない世間の肯定になってしまう、彼が車輪の下に轢かれてしまったことを証明してしまうことになるので、それは悔しい。やっぱ絶対生きててほしかった。ハンスは死んではいけなかった。

全体も、試験前・試験後・神学校・地元に戻った後(過去の思い出・現在)、とにかくテンポが良くて、スラスラ読めた。
そのテンポで主人公の心持ちもコロコロ移り変わっていくけど、その様子もちゃんと一つずつ理解できて、1ページたりとも飽きることなく読み切れた感じでした。(学校に馴染めなかった時点で、この劣等感でずっと話続いていくのかな?と思いきや、ファルケン、女の子の話とハンスの気持ちもテーマも進行し続けてくれたおかげかな?あと読みやすさは翻訳の力もあるのかな?)
あの最後のお酒のシーンも、今まで友達とかのコミュニティーが自分の一番渇望していたものだからこそ、それに飲み込まれていってクラクラする感じ、自分にも共通する感覚で、本当に引き込まれた。

やっぱりわたしはハイルナーが大好きでした。
彼は元気にやっているだろうか…

名著と呼ばれる理由は理解できた、けど本当に名著かどうか、そして、ヘルマンヘッセが好きかどうかは、ちょっとまだ分からない。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヘッセの2作目。自伝的小説。
日本で第1作目の「ペーター・カーメンツィント」より売れている理由は、鬱屈した締め付け型の学校教育・競争受験社会への共感かららしい。

純粋で繊細で不器用な少年ハンスが周囲の期待=圧力からどんどん身のうちに虚栄心を育てていき、虚栄心が自分のエネルギーを食い尽くして、最後は干からびた身体と魂ですっと消えていく。ハンスを見守ってくれていた親方が埋葬時に父親に語る言葉でハンスが少しでも救われてほしい。「あそこに行く紳士方も」「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」「いえ、これ以上はやめましょう。あなたとわたし、我々も、あの子に色々としてやれたことを怠ったのではありませんかな?」

豊かな森、素朴な生活の情景描写にうっとりする。

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2021年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ハンスが死を支えに生きるとき、そして冷たい水の中で帰らぬ人となったとき、安堵した。無慈悲に回る車輪の轟音のふもとで生きるには、彼の心は小鳥の雛のように柔らかくはかなすぎた。人生にピリオドをあっさりと打てる人もいるけれど、そうでない人もたくさんいる。小鳥の心の周りを頑丈な鎧で固めたり、小鳥の心に知らん顔して、新たな大人の理性をインストールしたりして生きてる人をたくさんしっている。私の中のハンスは、ぼんやり遠いうつろな目をして日曜日の終焉に絶望している。

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2020年07月05日

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ヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身的存在であると解説で知り、面白い。
レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで感触が変わるだろうな。

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2020年02月12日

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ハンスがもう少し生きて大人になっていたら気持ちの整理ができたり、現実と折り合いをつけて生きられたのかなとも思ったりする。
少年愛とも思われるシーンもあり、少女漫画界に影響を与えたらしい。

学生時代に別の訳で既読だが、この訳はとても読みやすかったです。

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

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‹内密紹介より›
周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

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受験に耐え抜き、エリート学校に進学したハンス。
そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンスはついに学校を退学して「機械工」として社会復帰を目指します。
ホワイトカラーとして社会のトップ層として人生を送るつもりだったのに、今までの努力(余暇、青春を犠牲にしてきたのに)が水の泡となったことを感じつつ、新たな環境に適応しようと努力してきましたが、そこでも「今までの価値観」との差に悩み続けるハンス。

進学校の中学生・高校生には少し「厳しい」小説になるかもしれません。
推薦する生徒を選ぶ作品では、とも思います。
教職員としては読んでおいてよかった作品だと感じます。

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2017年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は20世紀初頭ドイツ南部。
主人公は、田舎の村で優秀で、周囲から期待されていた少年。
遊びや友達付き合いを我慢して勉学に打ち込みエリート学校へ入学したのだけど、成績が落ち精神を病んで退学し、田舎に戻って機械工になって、、、という少年の挫折を描いた古典小説。

著者のヘルマン・ヘッセが彼自身の少年時代のことを書いた自伝的小説でもあるらしい。
たしかに、少年が不幸になった根本原因は、親や教師や社会のせいだ、みたいな恨みつらみが全編通じて詰まっているように感じた。
ヘッセがこの小説を書いたのは20代。
彼は退学して機械工をした後、作家という別の道を見つけることが出来たけど、まだ少年時代の辛い気持ちを忘れてなかったんだと思う。

正直、読んでいてそんなに面白い小説ではない。
今回始めて読んだけど、僕が学生の頃に読んでも、可哀そうだなということ以外に何も感じなかったと思う。
でも今、40歳で親になって読んで思うのは、子供に過剰な期待をして親の決めた人生を歩ませようとしても、幸せになれないんだろうなということ。
とはいえ一方で、子供の自主性に任せているだけでは、必要最低限の勉強もしないんで、そのさじ加減が難しいのだけど。

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2014年11月23日

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