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Posted by ブクログ
現代の1984。舞台はサークルという「C」のロゴを持つIT企業。疑いようもなくモデルはGoogleであり、世界は知らず知らずのうちに情報を管理され、プライバシーはなくなり、監視のもとに晒される。「C」の穴が閉じるとき、サークルは完全な円になる。
ここでは、SNSのニコマークを得るのに中毒になっている人間や、知る権利の正義を信じてハードワークをこなす人間がたくさん出てくるが、それらは全て私たちの生き写しだ。私たち一人ひとりは罪のない一般人だし、影響力もないし、そんなに悪い人でもない。ただその無意識の盲信が集団で持つ力はあまりに大きすぎる。
知る権利は確かにあるところまで正義だろう。性犯罪をなくすこともできるだろうし、介護が必要な親の生活を見届けることもできるだろうし、税金の無駄遣いをなくす効率的な政治をすることもできるだろう。しかし、アカウントを義務化して、人間にマイクロチップを埋め込むのはやりすぎだ。ただ、その境目はどこだろう。その境目ははっきり分かったり急にやってくるものではなく、あまりにグレーで緩やかにやってくるために、我々は変化に気付かず、気付いた時には世界は終わっている。
非常によくできた小説で、デイヴ・エガーズという新進気鋭の作家の実力にも非常に惹かれた。
Posted by ブクログ
「すごい、ここは天国だ」という書き出しで始まる、現代ディストピア小説。かつてのディストピア小説は共産主義国をモデルにしていたわけだが、この現代ディストピア小説のモデルは言うまでもなく Google で、誰もが内心気がついている恐怖感を具現化した。そして、これが壮大なパロディとなるか、黙示録となるかは、まだ誰にも判らない。
Dave Eggers は現代アメリカを代表する作家で、この "The Circle" も New York Times bestseller #1。本当は原著で読もうと思っていたのだが、面白そうだったので翻訳でサッサと読んでしまった。
Posted by ブクログ
ますます進化するIT化、ソーシャル化。
「いいね」押していい気分に。「いいね」押されていい気分に。
会社の資料はすべて共有フォルダへ。メールは全員へ返信で。
CCには知らない部署の人の名前までずらっと並ぶ。
すべてオープン、それが「善」となんとく思うようになり、
すべてを透明化することで社会が一歩前進すると信じていた。(少し前の頃)
透明化によって、貧富・優劣の差はなくなり、手助けし合える“素敵な”社会が生まれても、
なんか居心地の悪さも感じる。個性もいつの間にか失われている気がする。
そんな「違和感」が脳裏をよぎる人もちょいちょい出てきたが、世間の“ムード”には抗えない。(ここが今)
10年後 あの時に感じていた「違和感」は正しかったんだ、と気付いても遅い。
サークルという輪の真ん中は空洞。何もない。
手遅れにならないように、今、多くの人にこの本を読んでもらいたい。
ただ、手遅れにならないようにこの“ムード”に抵抗したいところだが、
抵抗する方法がわからない現実に気付くと恐怖感はさらに倍増する。
この本に書かれてるのは、良かれと思って築き上げた夢のような未来の影に潜む、
取り返しのつかなくなった「奇妙な世界」。
罪のない“ムード”をどうやって軌道修正すればいいのか、考えさせられた。
BGMはゆらゆら帝国「空洞です」の小泉今日子バージョンで。
Posted by ブクログ
とにかく面白かった。500ページ超の本を一気に読んだ。
実在するIT企業を髣髴をさせる現実的な設定が特に面白かった。
あと10年もすれば全て実現できるのでは?と思わせる
妙にリアルな近未来の世界がぞわぞわと心に迫ってくる。
便利にすること、だれにでも分かりやすくすること、正直で公平であること。
そこから始まったことが段々と常軌を逸していく。
スタートが「善」だと、そこに異議を唱えるのは難しい。
中庸というのは本当に難しいのだと改めて思った。
このシステムは本当に便利だ、だれにでも無料で使えるようにするべきだと思うシステムもあった。けれど、その裏には常に危うさが付きまとう。
オンラインが実生活から切り離せなくなっている以上、この難しいバランスをずっと取り続けなければならないのだ。
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