作品一覧

  • イギリス人の患者
    4.2
    1巻1,300円 (税込)
    王に名を消し去られた風、部族ひとつを溺れさせる砂の海、泳ぐ人々が壁一面に描かれた泉の洞窟――妖しくも美しい情景が、男の記憶には眠っていた。砂漠に墜落し燃え上がる飛行機から生き延びた彼は、顔も名前も失い、かつて野戦病院だった屋敷で暮らす。世界からとり残されたこの場所に、一人で男を看護する女性、両手の親指を失った泥棒、爆弾処理班の工兵と、戦争の癒えぬ傷を抱えた人人が留まり、男の物語に耳を傾ける。それぞれの哀しみは過去と現在を行き来し、記憶と交わりながら、豊饒な小説世界を展開していく。英国最高の文学賞、ブッカー賞五十年の歴史の頂点に輝く長編。/解説=石川美南
  • クララとお日さま
    4.4
    1巻1,650円 (税込)
    AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作
  • クララとお日さま
    4.1
    1巻2,750円 (税込)
    ノーベル文学賞受賞第一作。カズオ・イシグロ最新作、2021年3月2日(火)世界同時発売! AIロボットと少女との友情を描く感動作。
  • 日本文学史 古代・中世篇一
    4.0
    1~6巻1,152~1,257円 (税込)
    「日本文学史」全体の序文を本巻に収録。人間的でなまめかしい『古事記』、奈良時代と平安時代前期の漢文学、そして最古にして最高の歌集『万葉集』の世界を語り尽くす。 序/古事記/奈良時代の漢文学/万葉集/平安時代前期の漢文学
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー
    4.2
    デビュー前の若き日々から現在にいたるまでの問題意識、思い出の中の日本について、そして現代社会の諸問題にどう立ち向かっていくか。日系イギリス人作家カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念公演を書籍化。原文と土屋政雄による日本語訳を収録した対訳版!
  • 忘れられた巨人
    3.7
    1巻1,078円 (税込)
    奇妙な霧に覆われた世界を、アクセルとベアトリスの老夫婦は遠い地で暮らす息子との再会を信じてさまよう。旅するふたりを待つものとは……ブッカー賞作家が満を持して放つ、『わたしを離さないで』以来10年ぶりの新作長篇!
  • 千の輝く太陽
    4.9
    1巻1,320円 (税込)
    望まれぬ子として生まれたマリアムは、粗末な小屋で母と暮らしている。父は土産を持って毎週娘を訪れるが、兄弟達に逢わせることも、経営する映画館に連れて行くこともしない。ある日、マリアムは父の屋敷を突然訪れ、その扉を叩いた。それが、悲劇の始まりになるとも知らず…。そして彼女の人生は闇に包まれる。二十年後、聡明な少女ライラとの間に、美しい心の絆が生まれるまで。アフガニスタンの激動の歴史に翻弄されながらも力強く生き抜く女達の姿を感動的に描く傑作長篇。
  • 月と六ペンス
    4.1
    1巻792円 (税込)
    新進作家の「私」は、知り合いのストリックランド夫人が催した晩餐会で株式仲買人をしている彼女の夫を紹介される。特別な印象のない人物だったが、ある日突然、女とパリへ出奔したという噂を聞く。夫人の依頼により、海を渡って彼を見つけ出しはしたのだが……。創造の悪魔に憑かれた男ゴーギャンをモデルに、最期まで絵筆を手放さなかった男の執念と情熱を描く、20世紀の大ベストセラー小説を決定訳で。
  • 守備の極意(上)
    5.0
    1~2巻2,750円 (税込)
    ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札を―アメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。
  • ダロウェイ夫人
    3.8
    1巻748円 (税込)
    6月のある朝、ダロウェイ夫人はその夜のパーティのために花を買いに出かける。陽光降り注ぐロンドンの町を歩くとき、そして突然訪ねてきた昔の恋人と話すとき、思いは現在と過去を行き来する――生の喜びとそれを見つめる主人公の意識が瑞々しい言葉となって流れる、20世紀文学の扉を開いた問題作を、流麗にして明晰な新訳で!
  • ねじの回転
    3.9
    1巻946円 (税込)
    両親を亡くし、英国エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる美しい兄妹。奇妙な条件のもと、その家庭教師として雇われた「わたし」は、邪悪な亡霊を目撃する。子供たちを守るべく勇気を振り絞ってその正体を探ろうとするが――登場人物の複雑な心理描写、巧緻きわまる構造から紡ぎ出される戦慄の物語。ラストの怖さに息を呑む、文学史上もっとも恐ろしい小説、新訳で登場。
  • 夜想曲集
    3.9
    1巻858円 (税込)
    ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
  • 日の名残り
    4.3
    1巻1,012円 (税込)
    短い旅に出た老執事が、美しい田園風景のなか古き佳き時代を回想する。長年仕えた卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々……。遠い思い出は輝きながら胸のなかで生き続ける。失われゆく伝統的英国を描く英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。
  • わたしを離さないで Never Let Me Go
    4.1
    1巻1,078円 (税込)
    優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸

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  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    深く感動した。人工知能を有する子どもに寄り添うロボット?のクララと遺伝子操作処置後に病気をするようになったジェシー。死にそうなときにはジェシーの全てを記憶して死後成り代わるよう仕向けられ、元気になったら用無しで廃品として扱われる。でも人工知能で感情はないのでただ感謝する。ジェシーの周りの人のジェシーへの想いは理解できない、再現できないから成り代わりになれないと最後にクララは言うが、生成AIにもきっと同じことが言えるのだろう。

    0
    2024年07月21日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    『おっしゃるとおり、私はお屋敷と込みでございます』

    信頼できない語り手、とまでは言わないが、情報も内面も秘匿している執事の一人称小説。執事自身の、イギリスの、ある名家の斜陽が平易な表現の上に浮かび上がっていく。
    執事という職業小説として読むと、人格=仕事=執事となっており、それ以外の主人公の内面や母の描写は消えてしまう。人生の夕刻以降は、新しい雇い主ではなくて、そちらにフォーカスし…ないのでしょうね。

    0
    2024年07月07日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    イギリスの執事として、自身の持つ美学に忠実に職務を遂行してきた。時代の変化によって価値観が変わり、過去の選択を悔やんだり、自分が信じていたものが誤りだったのではないかと悔恨する。
    それでも最後には新しい価値観のもと前向きに生きていこうとする。

    印象に残った場面
    ◯邸宅で民主主義に関する議論が交わされている場面
    国際問題のような複雑で重大な問題について、知識も十分でない国民が決定を下そうとする、それが民主主義なんだ。それが正しいことでそれが国民の品格というべきものなのか。国民は静かな日々の暮らしを望んでいる。目の前の生活で精一杯なのに、世の中の問題を全て理解し意見を持たねばならないのか?それが

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    2024年06月18日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロ作品は読んでる時より読み終わった後に残るものが大きい。

    アンドロイドと人間の世界を描いた『電気羊』などは「人間の目線」で語られていた。

    この作品はクララという「アンドロイドの目線」で物語が進む。
    「人間目線」と「アンドロイド目線」でこんなにも感じるものが違うとは…。

    この物語に出てくる人間は、アンドロイドを完全に「モノ」だと考えている。
    対してクララは誰に対しても深い愛情を持っている。それは人間以上に感じた。

    自分は小さい頃からいつも一緒だった犬のぬいぐるみを今でも大切にしている。
    喋れないぬいぐるみでも大切な存在なのに、どうしてクララのような子を「モノ」扱いできるのか

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    2024年06月18日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    『わたしを離さないで』と同様にずっと心に残る本だった。
    これから更に歳を取って子供達が自立した後に、旅先でゆっくり再読したい。

    執事が旅に出て人生を振り返る。
    仕事に忠実過ぎる、仕事以外には不器用過ぎる主人公。『コンビニ人間』を思い出す。

    特別大きな事件が起きることもないし、ミステリーもSF要素もゼロ。
    それなのに不思議と話に惹き込まれる。翻訳も素晴らしくてとても読みやすい。
    ページをめくるとイギリスのノスタルジックな世界に没入できる。

    歳を取った今だから共感する部分が多かった。何の悩みもない若い時に読んでもこの本の良さはわからなかったと思う。
    本を閉じた後にじわじわくる読後感の良さにし

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    2024年06月18日

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